にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/05/31 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/05/25-05/31

ようやくイタリア及びチェコ障害競走が始まりました。イギリスやアイルランドでも着々と競馬再開のカウントダウンが始まっており、ようやく長い長いトンネルに光が見えてきた状況でしょう。決して大きなレースがあったわけではありませんが、やはり競馬が行われているのを見るのは嬉しいですね。とはいえ新型コロナウイルス感染症の影響で各国の競馬産業が受けた損失は非常に大きく、ここからが正念場といったところでしょうか。なお、日曜にGöteborg競馬場で予定されていたHurdle競走は中止となりました。

 

競馬開催情報

British horseracing focused on returning safely  (British Horseracing Authority)

イギリス競馬は6月1日のNewcastle競馬場のAW開催から再開されることが決定された。すぐにイギリス平地競争のクラシックシーズンが控えており、障害競走の再開はもう少し先になりそうだ。

Décision sur la tenue de la réunion du Grand Steeple-Chase de Paris (France Galop)

Grand Steeplechase de Paris (G1)及びGrande Course de Haies d'Auteuil (G1)はAuteuilで開催が可能な場合のみに実施されるそうだ。6月7日にAuteuilで開催が困難な場合はCompiegneでの開催に代替されるらしい。

Grand Steeple et Grande Course de haies à l'automne (France Galop)

続報が出ましたね。予定されていたAuteuil開催はCompiegneでの開催となり、Grand Steeplechase de Paris (G1)及びGrande Course de Haies d'Auteuil (G1)はいずれも秋になるそうです。

Startujemy 17 czerwca (Tor Partycnice)

ポーランドWroclaw競馬場は6月17日から再開されるそうだ。ただし、通常日曜日の開催であったのがしばらくは水曜日の開催となるらしい。

Racing Will Restart in Italy May 27 After Protests (Bloodhorse)

新型コロナウイルス感染症により甚大な影響を受けたイタリアであるが、イタリア競馬は5月27日から再開されることになった。イタリア障害競走としては5月31日(日)にMerano競馬場の開催が予定されている。

 

5/26(火)

Pau (FR) Tres Souple (3.9)

〇 Prix Djarvis

Steeplechase Pour poulains entiers, hongres et pouliches de 4 ans, n'étant pas de race Pur Sang, n'ayant pas gagné un steeple-chase à Auteuil. 3900m (Replay)

1. General En Chef J: Jonathan Plouganou T: David Cottin

終始先頭を走ったGeneral En Chefがそのまま11馬身差の快勝。同馬はSteeplechaseはこれが2戦目で、Lignieresでの17馬身差の勝利に次ぐ快勝となった。Auteuil競馬場がレッドゾーンに指定されたためPauでの代替開催となったが、少なくともPauのSteeplechaseにおいて特段飛越に問題はなかった。Martaline産駒らしい比較的前向きなスピードの持続性能の高さを伺わせる走りで、次走は重賞クラスでも楽しみになる一頭だろう。

 

5/29(金)

Bordeaux Le Bouscat (FR) Souple (3.7)

〇 Prix Jacques Delaye

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, depuis le 1er décembre de l'année dernière inclus, en steeple-chase, reçu une allocation de 10.000. 3800m (Replay)

1. Fantasia Du Rock J: Kevin Nabet T: David Cottin

2. Ecris L'histoire J: Alain De Chitray T: Donatien Sourdeau de Beauregard

3. Device J: Mlle Nathalie Desoutter T: Guillaume Macaire

Fantasia Du Rock、Ecris L'histoire、Deviceの叩き合いはFantasia Du Rockに軍配が上がった。Fantasia Du RockはAuteuilの若手騎手限定ハンデ戦から連勝とした。内容としては全体的に慎重なレース運びに終始するところを機動力を生かして前に出たというもので、さほど評価できるものではないのだが、飛越には特段問題はなく、ここまであまり好走歴がなかったSteeplechaseに目途をつけたということで、この馬なりの収穫はあったようだ。HaiesではPrix Christian de Tredern (G3)勝ちのあるEcris L'histoireが2着。この馬は今年からSteeplechaseを使っている馬で、今回は全体的に狭くなる場面が多く、次に期待したい。Deviceは約2年近い休養からの復帰2戦目ということで、前走と比較するとレース運びに進歩が見られた。さすがにWestonneの血統ともあり身体能力の高さは際立っていたが、飛越にややもたつく場面が多く、次はこの辺りが課題となるだろう。

 

5/30(土)

Clairefontaine (FR) Souple (3.7)

〇 Prix Beaumanoir - Prix Des Pronos Paris-Turf

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant pas, en courses à obstacles, reçu 13.000 (victoires et places). 3600m (Replay)

1. Lost In Montmartre J: Mlle Pauline Dominois T: Mickael Seror

葦毛のLost in Montmartreが勝利した。女性騎手Pauline Dominoisは10回目の騎乗にて障害競走初勝利を挙げた。

 

Karlovy Vary (CZE) stav dráhy: 3.5 (dobrá / Good)

〇 Cena JOCKEY CLUBU ČR

Steeplechase III.kat. - 3700 m, cena, 5letí a starší 90.000 Kč (Replay)

1. Dominique J: ž. Jan Faltejsek T: Tůma Pavel

2. Meisho Kongoh J: ž. Marcel Novák T: Wroblewski Grzegorz

3. Andoins J: ž. Josef Bartoš T: Váňa ml. Josef

4. Sztorm J: ž. Marek Stromský T: Wroblewski Grzegorz

チェコ障害競走最初のレースはDominiqueが圧勝した。障害戦はこれが初参戦であったが、平地ではチェコダービーにも出走した素質馬であることを考えるとやはり期待も大きいところ。父MotivatorはやはりTreveが有名だが、障害競走ではPentland Hills、Stormy Irelandといった一定の活躍馬を輩出している。なぜかメイショウの名前が付いているMeisho Kongohが2着に入った。フランスでも実績のあるAndoinsは3着。2018年のポーランドSteeplechaseで無敵を誇ったSztormは中段から伸びきれず4着だが、全体的に試走といった意味合いの強いレースだろう。

 

〇 Cena HOLOUBEK KONCERN

Steeplechase IV.kat. - 3200 m, cena, 4letí a starší 60.000 Kč (Replay)

1. Engele J: Jakub Kocman T: Jirátová Petra

7. Father Frost J: ž. Jan Kratochvíl T: Váňa st. Josef

9. Intisari J: Michal Kubík T: Bodlák Radim

Engeleが後続に2馬身ほどをつける勝利を挙げた。ここまで障害戦のキャリアは豊富な馬だが、kat. IVでの2着が最高と結果を残せておらず、やや波乱の結果となった。平地競争ではDutch Connectionの勝利したAscot競馬場のJersey Stakes (G3)にも出走し、その後イタリアやチェコの重賞競走にも出走していたFather Frostはこれが2回目の障害戦であったが、良いところなく7着に敗れた。また、スロバキアにてVelká cena Slovenska (G3)の勝ち鞍のあるIntisariも出ていたが、こちらも9着と大敗した。

 

東京(日本)良

〇 障害4歳以上未勝利 3000m

1. マンノグランプリ J: 西谷誠 T: 角田晃一

2. エミーリオ J: 江田勇亮 T: 田中剛

3. マイネルサージュ J: 五十嵐雄祐 T: 鹿戸雄一

最終コーナーを回った時点では先頭集団から一段後ろにいたマンノグランプリがダートコースの直線で良く伸びて勝利した。マンノグランプリはこれで障害は3戦目での勝ち上がりとした。障害走路ではやや差が付けられた一方で、最後府中の長い直線で脚が上がった先頭集団を差し切った形での勝利であり、内容としてはあまり高く評価できるものではないが、オープンクラスのスピードに追走可能であれば楽しみは広がるだろう。エミーリオは前々で運んで2着まで踏ん張るレース運びで、前走の福島での2着と比較してレース運びに進境が見られる。マイネルサージュは人気になっていたが、前半から飛越が低く危なっかしい場面が多くみられた。新潟等に代わればチャンスはありそうだが、今後のことを考えると早めにこの飛越の低さは矯正すべきだと考える。

 

5/31(日)

Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Morbido

〇 Luca Brunoro

Euro 12.000 TRIO per cavalli di 4 anni ed oltre (Siepi - MAIDENS OD A VENDERE - FANTINI) 3000m (Replay)

1. Chicago J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

終始先頭を走ったChicagoがそのまま勝利した。Chicagoはさかのぼれば2015年のGran Corsa Siepi di Milano (G1)の勝ち鞍がある馬で、さすがに当時は出し抜けを食らわせた感が強くその後はぱっとしないのだが、やはりこの馬のペースで逃げることが出来るとしぶといところがある。2017年にはPardubiceのCross Countryを使っていたが結果は残せず、2018年からはイタリアSiepiに戻している。昨年はTrevisoとはいえSteeplechaseでの勝ち鞍もあり、11歳となった今年も活躍が期待できそうだ。

 

京都(日本)良

〇 障害4歳以上未勝利 2910m

1. ピッツバーグ J: 五十嵐雄祐 T: 田村康仁

2. タイセイパルサ― J: 熊沢重文 T: 大橋勇樹

3. ピースプレイヤー J: 北沢伸也 T: 高野友和

上位3頭の叩き合いは逃げたピッツバーグがそのまま勝利した。ピッツバーグは障害2戦目での勝ち上がりとした。平地では芝長距離戦で2勝クラスまで出世した馬で、2019年のダイヤモンドステークス (G3)への挑戦経験もある。2周目の5号障害に代表されるようにやや全体的に踏み切り動作に怪しいところはあったが、障害2戦目の馬としては許容範囲だろう。1周目の後半に息を入れた五十嵐騎手のペース配分も見事であった。タイセイパルサーは惜しい2着。ピースプレイヤーは人気になっていたが、平地では未勝利も勝ちあがれず、船橋で勝ちあがったはいいものの1勝クラスで早々に頭打ちになった馬で、平地のスピード面でやや後れを取った。

 

その他

New Zealand-to-Australia Equine Transport Suspended (Bloodhorse)

ニュージーランドにおける馬ピロプラズマ病の発生疑いにより、ニュージーランドからオーストラリアへの馬の輸出は3年間禁止されることになった。ニュージーランドとオーストラリアの馬産業の関連は非常に密接であり、輸出禁止による影響は甚大である。オーストラリア障害競走においてはニュージーランド産馬が数多く活躍している。

Equine exports nearing return (Racing News)

とはいえ、陽性例は馬ピロプラズマ流行国から輸入した馬であり、馬ピロプラズマ清浄国であるニュージーランド国内での感染ではないことを踏まえると、ニュージーランド国内で馬ピロプラズマの感染が広まっている可能性は低いと考えられることから、馬の輸出の再開を目指しているそうです。

Shut Down by Coronavirus, Steeplechase Racing Looks for A Way Back (Thoroughbred Daily News)

アメリカ障害競走は春における殆どの開催を中止または延期としており、秋には競馬開催を再開することを計画しているが、無観客開催となる可能性もあるそうだ。主にNSAのBill Gallo氏の見解が引用されている。