にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/06/14 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/06/08-06/14

今週のMiddleburg Spring Raceからアメリカ障害競馬が再開されました。無観客開催とは言え数多くの実績馬が参戦し、やはり起伏の激しい緑豊かな競馬場で行われる障害競走というのはよいものです。フランス障害競馬の春のG1競走は相変わらずAuteuil競馬場での開催が叶わず、Compiegne競馬場での開催となりました。

 

6/10(水)

Göteborg (SWE) Häckbana lätt (Result)

〇 Strömsholm Häcklöpning

Häck 100.000 kr För 4-åriga och äldre hästar 3800m (Replay)

1. Point Taken J: Rosenqvist Michelle T: Hallqvist Per

2. Crindle Carr J: Parkin Kevin T: De Burca Kahlil

レース結果へのリンクをつけてみるなどした。同レースは2020年6月10日にGöteborg Galoppで行われた第9競走(Lopp 9)である。

本来Strömsholm競馬場にてSvenskt Grand Nationalが予定されていたのだが、新型コロナウイルス感染症の影響で開催が難しくなり、代わりに行われたのがこの競争である。やはり賞金額としてはわりと残念であり、特段の国外競走馬の参戦もなく、やや寂しい競争となった。レースは途中から先頭を奪った人気のCrindle Carrが逃げ込みを図るも、これを捉えたPoint Takenが勝利した。Point Takenはもともとイギリス調教馬で、イギリス・アイルランド時代には目立った実績はないのだが、スウェーデン移籍後はMaidenからこれで連勝となる。やや前半制御を欠く場面があったが、能力は高い物があるのだろう。16歳のアマチュア女性騎手Michelle Rosenqvistはこれが障害競走3戦目であったが、いきなり嬉しい勝利を挙げることになった。3連勝で挑んできたCrindle Carrは飛越がいまいちで2着まで。この馬も元々はイギリスにいた馬で、例によって大した実績はないのだが、スウェーデンの障害競走に参戦した今年は安定した成績を収めている。11歳のThe Black Balsamは3着に終わった。

 

6/14(土)

Compiegne (FR) Tres Souple (4.1) (Result)

Prix Ferdinand Dufaure (G1)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans 4500m (Replay)

1. Gardons Le Sourire J: Clement Lefebvre T: Gabriel Leenders

2. Yeiayel J: Oliver Jouin T: Jerome Delaunay

3. Nanosecond J: Angel Zuliani T: Francois Nicolle

相変わらずAuteuilがレッドゾーンのためCompiegneに舞台を移して行われた。レースは逃げたYeiayelがじわじわとペースを上げて逃げ込みを図るも、ゴール直前で人気のGardons Le Sourireがこれを捉えて勝利した。Gardons Le Sourireはこれで今年のPrix Jean Stern (G2)から連勝とした。どうにも前半もたもたと飛越するところがあるのは相変わらずなのだが、加速を掛けていけばあっさりと飛越が良くなるようだ。直線では進路を探す場面もあり、着差以上の力差があるだろう。Clement Lefebvre騎手の派手なガッツポーズも印象的で、やはり大レースを勝った人にはこれくらい喜んで欲しい。YeiayelはMoulinsやAngersで好走してきたどちらかというと格下感のある馬だが、一気の相手強化にも関わらず頑張った。牝馬Nanosecondは例によって反応が悪いのだが、最後まで脚色衰えず3着に踏ん張った。

 

Prix Alain Du Breil - Course de Haies De Printemps Des Quatre Ans (G1)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3800m (Replay)

1. For Fun J: Kevin Nabat T: Guillaume Macaire

2. James Du Berlais J: Ludovic Philipperon T: Robert Collet

3. Kool Has J: Theo Chevillard T: Francois Nicolle

逃げ込みを図るJames Du Berlaisをゴール前でFor Funが捉えて勝利した。For Funは昨年のPrix Cambaceres (G1)にて既に種牡馬入りで引退したNirvana Du Berlaisの3着に入った馬。フランス障害馬らしくややゆったりとした柔らかいストライドを持っているのだが、どうにも惜敗が多い辺り決め手に欠ける印象もあった。今回は人気のKool Hasに対してKevin Nabat騎手が散々内にぶつけに行き、そのままの勢いでJames Du Berlaisまでをねじ伏せる精神力の強さを感じさせる競馬を見せたのだが、やはりこの3頭の力差はあまりないと考えてよいだろう。上り馬James Du Berlaisは価値のある2着。前走Prix Amadou (G2)を勝利し調子のよかったKool Hasだが、最後はやや勝負圏内から脱落しての3着。さすがに直線であれだけアタックされては厳しいものがある。

 

Glenwood Park At Middleburg (US) Good (Result)

The Temple Gwathmey Hurdle (G3)

Hurdle Purse $50,000. For Four Year Olds And Upward. Two And One-Half Miles. (Turf) (Replay)

1. Moscato J: Michael Mitchell T: Jack Fisher 

2. Belisarius J: Bernard Dalton T: Kate Dalton

無観客ながらもこのMiddleburg開催から再開されたアメリカ障害競馬。同日のメインレースとなるGwathmey Hurdle (G3)は同レース連覇を狙ったMoscatoが、後続に11馬身差をつける圧勝を見せた。2017年にNovice路線で活躍した馬で、2019年にはIroquois Hurdle (G1)にてScorpiancerの3着、Grand National Hurdle Stakes (G1)にてイギリスのBrain Powerの3着に入っている。Belisariusは2年連続でこのレース2着となった。元々はアイルランド調教馬で、これがアメリカ3戦目となるRashaanが3着。アイルランドでは重賞勝ちのある馬だが、今のところさほどアメリカでは元気がない。2018年のNoviceチャンピオンであるIranistanは前半からぶっ飛ばすも4着。それを追いかけたLonesome Glory Hurdle (G1)勝ちのあるSurprising Soulも苦しくなり5着に敗れた。2018年のエクリプス賞受賞馬Zanjabeelは途中棄権に終わった。

 

〇 The Middleburg Hunt Cup

Timber Purse $20,000. For Five-Year-Olds And Upward. Five-Year-Olds, Three And One-Fourth Miles. (Turf) (Replay)

1. Andi'amu J: Thomas Garner T: Leslie F. Young

2. Doc Cebu J: Michael Mitchell T: Jack Fisher 

スタート直後から積極的に先頭に行ったAndi'amuがそのまま勝利した。同馬は同レースの昨年の勝ち馬で、昨年はVirginia Gold Cup、National Sporting Library and Museum Cup Stakes等を勝利する活躍を見せている。2017-18のInternational Gold Cupの勝ち馬Doc Cebuが2着に入った。昨年は2走して良いところなく終わっているが、今年は期待してよさそうだ。Codrington Collegeが3着。同レース2018年の勝ち馬であるSuper Saturdayは4着、2019年のInternational Gold Cupの勝ち馬Schoodicは5着に終わった。

 

東京(日本)芝:重 ダート:不良

〇 障害3歳以上未勝利 3000m (Result)

1. ザメイダン J: 上野翔 T: 新開幸一

好位から進出したザメイダンが後続に4馬身ほどの差をつけて勝利した。ザメイダンは障害は4戦目での初勝利。平地では未勝利戦ですら全くいいところがなく終わった馬だが、比較的低い飛越は終始安定したものを見せていた。強い雨のため重馬場のコンディションで行われたレースであり、上のクラスでどこまで対応できるのかは不明だが、現時点でのパフォーマンスは未勝利クラスとしては合格点だろう。テイエムディランは初障害であったがいきなりの2着。西谷騎手は初障害の馬は後方からゆったりと進めることが多いのだが、この馬では積極的に先行するレースを見せた。飛越技術の面では一流の技術を持った騎手なのだが、なにかそのお眼鏡に適ったということだろうか。

 

6/15(日)

Merano (ITA) Tempo Piovoso - Terreno L.Pesante

〇 Giulio Coccia

Euro 12.000 TRIO per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country - CONDIZIONATA - G.R.-AMAZZONI-FANTINI) 4100m (Replay)

1. Broughton J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

2. Amaranthus J: Raffaele Romano T: Raffaele Romano

途中からするすると先頭に立ったAmaranthusが逃げ込みを図るも、これをきっちりとBroughtonが差し切り勝利した。Broughtonは前走のGergio Giorgi (Cross Country CONDIZIONATA)こそPower Zarに敗れているが、やはりこのクラスでは力上位の一頭で、障害への慣れもある。同コースを使用するGrande Steeplechase di Roma (G3)の連覇に期待がかかる。Amaranthusは途中から一気に動いて見せ場を作った。細かい障害の飛越技術という面では良いものを持っているのだが、やや脚の使いどころが難しいかもしれない。久々の出走となったAll About Cossioは3着までで、やや飛越のリズムが悪いのは休み明けの分だろう。Silver TangoはAmaranthusのスパートに対応しきれず5着に終わった。

 

阪神(日本)芝:重 ダート:不良

〇 障害3歳以上オープン 3110m (Result)

1. ブレイクスピアー J: 熊沢重文 T: 長谷川浩大

2. メイショウタンヅツ J: 佐久間寛志 T: 藤沢則雄

大逃げを打ったブレイクスピアーがそのまま勝利した。約5.6秒ほどの差のついた2着にはメイショウタンヅツが入った。ブレイクスピアー自身は障害は未勝利に続く2勝目。ここまで熊沢重文騎手が主戦で抑え込む競馬を試みていたのだが、今回は前半から積極的に飛ばしたのが功を奏したのだろうか。平均1f13.3で勝ち時計が3.27.2という時計は立派であり、番手で頑張っていたメイショウバイタルが失速したことや、類似競走との比較からしてもハイレベルなものなのだが、前半やや制御を欠いていたことを考えると、距離延長には一抹の不安が残る。メイショウタンヅツは後方から追い上げて2着。タガノアンピールは人気になっていたが、第1障害で落馬に終わった。