にげうまメモ

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20/07/19 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/07/13-07/19

7/13(月)

Auteuil (FR) Tres Souple (3.9)

Prix Questarabad (G3)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant pas, cette année, en courses de haies, reçu une allocation de 78.000. 3900m (Replay)

1. James Du Berlais J: Ludovic Philipperon T: Robert Collet

2. Galleo Conti J: Felix De Giles T: Guillaume Macaire

Fureur De Vivreがやや注文を付けて前に行くも、早々に飛越がおぼつかずに後退。代わって先頭に立ったGalleo Contiがそのまま逃げ込みを図るが、最終障害で並びかけたJames Du BerlaisがGalleo Contiとの叩き合いを制して勝利した。James Du BerlaisはCompiegneで行われたPrix Alain Du Breil (G1)にてFor Funの2着に入った馬で、障害はこれが10戦目とここでは比較的経験は積んでいる。全体的に力を抜いた飛越が目立ったが、最終障害ではきっちりとストライドを伸ばす器用さも見せていた。飛越技術の完成度は高く、Steeplechaseでも見てみたい。Silviniaco Contiの半弟であるGalleo ContiはこれがHaies3戦目であったが、強敵相手に見せ場を作った。Poligloteの産駒にありがちなやや伸びのあるストライドが目立っており、Dom Alcoの産駒であるSilviniaco Contiとはややタイプが違いそうだ。全兄にはClass Contiという馬がWillie Mullins厩舎に在籍しており、今年の1月のGoffs Thyestes Handicap Chase (Grade A)の2着などの実績を残しているが、この馬はどうだろうか。CompiegneでPrix Christian De Tredern (G3)を勝ってきた牝馬Seductionは上位争いには加われず3着に終わった。

 

Prix La Perichole (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu une allocation de 90.000. 4400m (Replay)

1. Le Berry J: Kevin Nabet T: David Cottin

逃げたLe BerryにGratos De L'Isleが絡んでいくも、Gros Open Ditchにて大きなミスをして後退。そのままLe Berryが逃げ切り勝利した。Le BerryはこれでSteeplechaseは3戦3勝とした。フランスHaiesで活躍したGemixの産駒としては現時点で最も活躍した産駒だが、比較的硬めのストライドで走りながらも、飛越においては伸びのあるものを見せるのがこのフランスSteeplechaseには適合しているように感じる。飛越技術も若馬ながらしっかりしており、将来有望な一頭だろう。フランス障害競馬では他国と異なり、比較的積極的に障害馬を種牡馬入りさせ、障害専用種牡馬として使っているところがあるのだが、現代競馬におけるその試みのポテンシャルを図る上でもLe Berryは興味深い一頭と言えるだろう。

 

7/18(土)

Waikato RC @ Te Rapa (NZ) Slow9

〇 Fiber Fresh Stables BBQ Hurdle MDN HDL 2800m (Replay)

1. Ali Baba J: Reece Cole T: Michael Moroney & Pam Gerard

地味にニュージーランド競馬のレース映像のクオリティが上がっている。レースは中段から抜けてきたAli BabaがThe Cossackに6馬身差をつける快勝。Ali BabaはこれでHurdleは5戦目での初勝利とした。平地では5勝を挙げた実績馬で、Hurdleの未勝利クラスではここまで好走を続けていたこともあり、飛越にはやはり慣れがあり安定したものを見せていた。後方から追い上げたThe Cossackが2着。昨年の夏にはRST OPN HDLでAve Mariaの2着にも入っており、勝ちあがりは早いだろう。牝馬Mizzenaが一番人気に押されており、勝ち馬と同じような位置からレースを進めたが、どうにも伸びきれず5着に終わった。

 

〇 Foster Construction Hurdle MDN HDL 2800m (Replay)

1. Lake Superior J: Hamish McNeill T: Shaun & Emma Clotworthy

最終コーナーから先頭に立ったLake Superiorがそのまま後続の追い上げを凌いで勝利した。Lake SuperiorはこれがHurdle初参戦で、平地では2勝とそこまで目立った成績ではなかったのだが、ここでは波乱を演出する結果となった。飛越自体はHurdle初参戦の馬としては及第点だが、やはり全体的にレースの重心が後方にあった中を前々で運んだ展開の利もあるような印象があり、いきなり上のクラスでやるのであればもう少し上乗せが欲しいところ。Hurdle8戦目のMaster Courtsmanはやや踏み遅れる格好の2着。人気のCountry Bumpkinは5着に終わったが、勝負所からやや狭いところに入ってしまった感がある。

 

〇 LL Hire - Weddings & Events Hurdle RST OPN HDL 2800m (Replay)

1. Revolution J: Aaron Kuru T: Paul Nelson & Corrina McDougal

2. Tommyra J: Hamish McNeill T: Toby Autridge

外から元気よく逃げたRockyを制して2周目からハナに行ったRevolutionが最終コーナーで後続を振り切ると、そのままTommyraの追い上げを凌いで勝利した。RevolutionはMDNからこれでHurdleは2勝目で、昨シーズンの段階ではこのクラスではいまいちだったのだが、今年に入って力をつけていると考えたいところ。昨年のKS Browne Hurdle (PJR)の勝ち馬Tommyraが2着で、昨年の後半はいまいちだったのだが休養して回復していたことを期待したい。勝ち馬とは5kgの斤量差の影響だろう。フランス及びオーストラリアで平地G1勝ちのあるGallanteはこれが今年の復帰戦であったが、どうにも道中から無駄な仕草が多く、勝負所で脱落して大敗に終わった。

 

〇 Signature Homes Steeplechase MDN STP 3900m (Replay)

1. Zedman J: Aaron Kuru T: Diana Kennedy

ゆるゆると馬群を引っ張ったZedmanがそのまま後続を突き放して勝利した。ZedmanはこれがSteeplechaseは4戦目での勝ち上がりとした。先週のEllerslieで平地競争を勝利しており調子もいいようだ。ただし、途中で2年ほどの休養があったためか7歳のキャリアにして平地競争は5戦、障害も4戦しか消化しておらず、健康面でも少し気を付けておいた方がいいかもしれない。中団から脚を伸ばしたMacklemoreが2着。昨シーズンはなぜか未勝利馬ながらGrand National Steeplechase (PJR)にも挑戦している馬である。Little Macsはこのクラスの常連で力上位の馬なのだが、前には追い付かず3着に終わった。

 

〇 Ken & Roger Browne Memorial Steeplechase RST OPN STP 3900m (Replay)

1. Delacroix J: Baddy Lammas T: John & Karen Parsons

2. Justa Charlie J: Shau Fannin T: Harvey Wilson

That's How It Goesなどが先頭を伺うも、スタンド前からZamoraが先頭に。そのままZamoraが逃げ、最終コーナー辺りからDelacroix、Justa Charlieが接近するも、最終障害でZamoraが落馬。DelacroixとJusta Charlieの叩き合いはDelacroixが勝利した。Delacroix自身は平地で57戦6勝と多数の実績がある上に、Hurdleでは5勝、Steeplechaseもこれが4勝目と、実に長きにわたって活躍している10歳馬である。PJRでの勝利はなく、強敵相手だとやや打ち負ける部分もあるのだが、RST OPNクラスでは安定感のあるレースを見せた。72kgのトップハンデを背負っていたシンコウキング産駒のJusta Charlieが2着。Steeplechaseでは2018年にHawke's Bay Steeplechase (PJR)の勝利があり、実に障害は2年ぶりの実戦となるが、今日のレースを見る限りでは往年の力を期待してよいだろう。12歳馬Raisafuashoは好位から進めて3着。The Arabian Dukeは後方から押し上げて4着に入った。この辺りの馬もまたPJRクラスでも伏兵としてチャンスがあるだろう。前走Wanganuiで勝ってきたZentangleは人気になっていたが案外な大敗。Mr Enthusiasticは後方から特に見せ場を作れずに終わった。昨年Hawke's Bay Steeplechase (PJR)を勝利したPerry Masonは途中棄権で、どうにも昨年後半の不調から脱していない感がある。Zed Caseはこれが3年ぶりのレースであったが、もともとズブい馬ということもあるのだが1周目で早々に脱落して大敗に終わった。落馬に終わったもののいいレースをしたのがZamoraで、最終障害手前の脚色からして3着くらいはあっただろう。

 

福島 (日本) 稍重

〇 障害3歳以上未勝利 2770m (Result)

1. ストレイライトラン J: 石神深一 T: 堀井雅広

前半からするすると前に行ったストレイライトランがそのまま勝利した。ストレイライトランはアメリカ産馬で、障害はこれが9戦目での勝ち上がりとなる。平地競争ではさっぱり良いところがなく未勝利で終わった馬だが、飛越自体は低く安定したものを見せていた。現状ではやや小型の障害向きといったイメージだが、スピード能力自体には若干の不安があるためできればもう少し大型の障害をこなせるようになって欲しいところ。レイヴンキング、メジャーリーガーが2、3着と、平地ではさっぱり良いところがなかったものの、障害に転向して安定した成績を収めている馬が上位に来た。平地では2勝クラスまで出世したショウボートもいたが良いところなく大敗、2歳時にはホープフルステークス (G1)で3番人気にも推されたフラットレーも大敗に終わった。

 

〇 障害3歳以上オープン 3380m (Result)

1. コウキチョウサン J: 石神深一 T: 和田正一郎

クオンタムシムトが元気よく逃げるもスタンド前の障害で逸走して競争中止。代わって隙あらば逃げる構えを見せていたエンシュラヴドが後続を大きく引き離して逃げるも、向こう正面からこれを捉えに行ったコウキチョウサンが最終障害の大きなミスをなんとか立て直して勝利した。コウキチョウサン自身はこれで障害は2勝目で、やはりオジュウチョウサンの下ということで期待されている馬である。飛越技術自体はさほど抜けたものを持っているわけではなく、オープンクラスとなるとややスピード能力の面で怪しい部分もあるのだが、現在の福島のような反主流血統仕様の力のいる荒れ馬場はこの馬向きであったようだ。オジュウチョウサン自身は現代日本競馬においては珍しいほどの本格的なステイヤー資質を持った馬であり、この馬も兄の最大の武器であるステイヤー資質を思わせるような能力を見せたことは今後に向けて非常に楽しみとなる材料である。同じステイゴールド産駒のマイネルヴァッサーが2着に入った。

 

7/19(日)

Vittel (FR) Souple (3.7)

〇 Prix Maurice Aubry

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5200m (Replay)

1. Vent Des Dunes J: Jimmy Zerourou T: Daniel Houillon

フランスCross Country SeriesであるTrophée National Du Crossの一環のレース。リンク先はFrance Galopのレース結果で、いつものようにレース映像も見ることが出来るので、是非見て欲しい。コースの内側に棒を立てただけでコースを仕切るやり方はヨーロッパでよくあるもので、日本のようにきっちりラチを作る競馬に慣れているとやや驚きなのだが、特にこの棒をどかすわけでもなくそのまま棒の間を縫ってコースを横切る走路であったり、観客らしき人たちがコースの脇を堂々とうろうろしていたり、途中は単に森が映っているだけで景色をお楽しみください状態のレース映像になっていたり、コースは実にフリーダムである。France Sireのページの動画の方がマシかもしれない。レースは先に抜け出したAnouk Des Ongraisをゴール直前でVent Des Dunesが捉えて勝利した。Vent Des Dunesは実に6勝の内4勝をこのVittelのCross Countryで挙げているCourse Specialistであり、ここのところはVittelかStrasbourgくらいしか使っていない。Urbrin De L'Isle、Vol Noir De Kerserなどお馴染みのベテラン勢もいたが、勝負には加われずに終わった。

 

Racing.com Park Syn (Pakenham) (AUS) Soft7

〇 Ecycle Solutions Maiden Hurdle 3200m (Replay)

1. Wolfe Tone J: Atonia Ihaka T: Francis Finnegan

好位から進めたWolfe Toneが後続に12馬身差をつけて快勝した。Wolfe Tone自身はこれがHurdleは初参戦で、飛越技術自体は未熟な面があったのだが、平地ではJericho Cupにも挑戦した馬でもあり、能力自体は高いものを持っているようで、今後が楽しみな一頭である。この日のPakenhamはSoft7と極端に馬場が悪かったわけではないのだが、風が強くタフなコンデションとなっており、この中で圧勝を見せたことはやはり評価すべき内容である。ニュージーランド出身のAtonia Ihaka騎手はこれがオーストラリア初勝利となった。もともとはドイツ調教馬で、2018年のHannoverでDerby Trialの勝ち鞍があるBeau Balmainは障害初戦ながらも積極的な競馬で2着に入った。ドイツ時代はBalmainという名前だったようで、オーストラリア移籍時に微妙に名前が変わったようだ。オーストラリアでよくあるこの仕様、ややこしいので個人的には止めて欲しいのだが。

 

〇 Ecycle Solutions Maiden Hurdle 3200m (Replay)

1. Sollevare J: Will Gordon T: Tony Rosolini

2. Instigator J: Braidon Small T: Aaron Purcell

最終コーナー辺りから先頭に立ったInstigatorであったが、これを最終障害辺りで捉えたSollevareがInstigatorとの叩き合いを制して勝利した。Sollevare自身はHurdleは3戦目での勝ちあがりとした。平地では2歳時に未勝利勝ちのみと冴えなかった馬だが、まだ4歳と若く、ここから息の長い活躍を期待したい。ドイツ産馬のInstigatorが2着。2017年にはDschingis Secretの勝利したGrosser Preis von Berlin (G1)にも出走した馬で、オーストラリアではあまり目立った実績は残せず、これが障害初戦となった。やや大事に乗りすぎてSollevareに前に出られた感もあり、乗り方一つでこのクラスの卒業は可能だろう。

 

〇 Ecycle Solutions Maiden Hurdle 3200m (Replay)

1. Eckhart J: Thomas Sadler T: Patrick Payne

好位から抜け出したEckhartが直線だけで後続に15馬身差をつける圧勝。Eckhart自身は平地では4勝を挙げた馬で、これが障害初参戦となる。後続が明らかに脚が上がる中、ピッチ走法で一気に加速して後続を突き放す勝ち方は鮮やかであったが、さらに馬場が渋った場合や、道中さらにペースが流れた際の対応が課題となるだろう。Way of the Stormは全く人気がなかったが2着に頑張った。

 

Brendan Drechsler Hurdle 3500m (Replay)

1. Tallyho Twinkletoe J: Steven Pateman T: Patrick Payne

2. Bee Tee Junior J: Lee Horner T: Rachael Cunningham

レースはRunawayとWoodsmanが積極的に引っ張る展開だが、早々にWoodsmanは後退、途中で落馬。Runawayも前で頑張るも、Gobstopper、Tallyho Twinkletoeと捲られ脱落。外から悠然と捲ってきたTallyho TwinkletoeがGobstopperを振り切り抜け出すも、ここに内からBee Tee Juniorが接近。Tallyho TwinkletoeとBee Tee Juniorとのたたき合いはTallyho TwinkletoeがBee Tee Juniorを凌いで勝利した。Gobstopperは3着に遅れた。

Runawayは平地のスピードがあるのだがどうにも行きたがって走る面があり、今回はSoft7とやや馬場がいいことも鑑みて積極策を試みている。さらにWoodsmanは前走積極的な競馬でGobstopperを苦しめた実績があり、やはり同様に積極的な競馬を試みている。結果的に前の2頭はオーバーペース気味となり、早々に脱落するに至った。Tallyho Twinkletoeは例によって中段からロングスパートで前をまくり切る競馬をしており、これがこの馬の勝ちパターンなのだが、一方で馬群の中を立ち回って抜けてきたBee Tee Juniorが、Tallyho Twinkletoeが出走した障害競走においては初めてTallyho Twinkletoe相手に肉薄するに至った。Tallyho Twinkletoeは72kg、Bee Tee Juniorは66kgと大きな斤量差があったのは事実なのだが、現オセアニア障害競走最強馬であるTallyho Twinkletoe相手にここまでのレースをする馬が現れたことは、今年も残り少なくなってきたオーストラリア障害競走シーズンの終盤に向けて非常に興味深い内容だろう。Bee Tee Juniorはニュージーランド、オーストラリアではいずれもこのように馬群を抜けてくるレースをしており、決してどれも勝ち方は派手ではないのだが、それでも馬格のあるTallyho Twinkletoeに外からぶつけられながらも怯まずに最後まで抵抗したパフォーマンスは非常に立派である。こういう馬は勝ち方以上の能力を秘めている場合があり、この馬の前走も微妙な勝ち方であったのだが、このレースを見ればその能力は勝ち方以上のものであることは間違いないだろう。一方のTallyho Twinkletoeはやはり馬場はもっと渋った方がよさそうな印象で、連覇がかかるGrand National Hurdle / Steeplechaseに向けてはその辺りにも注意すべきである。今シーズン絶好調のGobstopperはTallyho Twinkletoe相手に真っ向勝負を挑むも、勝負所であっさりついて行けなくなり3着まで。Gobstopperの方がここまで厳しいローテーションであったこともまた事実なのだが、1kgの斤量差をもらっての今日の着差を見ると少々逆転は厳しそうな感もある。

 

Mostrooper Steeplechase 3500m (Replay)

1. Slowpoke Rodriguez J: Shane Jackson T: Patrick Payne

2. Killarney Kid J: Steven Pateman T: Patrick Payne

前半はGetting Leggieが積極的に逃げるも、早々に捕まると抵抗できずに脱落。代わって先頭に立ったSlowpoke Rodriguez がKillarney Kidを抑えて勝利した。Slowpoke Rodriguezは昨年のCrisp SteeplechaseにてWells相手に僅差の2着に入った馬で、大きなレースの勝ち鞍自体はないのだが、ようやくここに来てタイトル獲得となった。今回はこれまでの中段待機策から打って変わって前に行く競馬を見せており、よくわからないペースで逃げたGetting Leggieが勝手に自滅しこともあり、この馬にとってはやりやすい展開になった感もある。Killarney Kidは初めてのSteeplechaseであったが好走した。2018年にMorphettvilleのGrand National Steeplechaseを勝利しているFelix Bayが最後追いこんで3着に入った。元ニュージーランド調教馬のShamalは人気になっており、好位から元気に運んだが、早々に脱落して大敗した。やや前向きに走りすぎる感もある馬で、あまり考え無しにぶっ放すと物凄い脚を使って物凄い勢いでフェードアウトする欠点もあり、今回は自由に走らせすぎた結果道中で消耗したような印象もあるのだが、やや前走辺りからパフォーマンスを落としているのが心配である。今年のBrierly Steeplechaseの勝ち馬Getting Leggieは前半は積極的に逃げたが、2周目からの再度のペースアップが出来ずそのまま脱落した。このような二峰性のラップは本質的なステイヤー能力を要求するレースとは本来相容れないのだが、風向きの影響もあったかもしれない。

 

〇 Ecycle Solutions BM120 Steeplechase 3200m (Replay)

1. The Dominator J: Thomas Sadler T: Henry Dwyer

前半から積極的に引っ張ったThe Dominatorがそのまま逃げ切り勝利した。The Dominator自身はこのクラスでは力上位の一頭で、70.5kgのハンデを背負っていたが鮮やかな勝ち方であった。おそらくこの形がこの馬には合っているようで、今後も展開のカギを握る一頭となるだろう。未勝利戦で鮮やかな勝ち方を見せていたFlying Agentは2着までで、勝負所でスピード負けする場面があるように、やはりこの馬にとって馬場は渋った方がいいだろう。Castertonの生垣障害を得意とするSpeedy Jaxが3着。Michelinは人気になっており、Flying Agentの手ごたえが悪いのを騎手が確認してから前を捉えに行っていたのだが、逆に脚が上がって4着に終わった。

 

阪神 (日本) 芝・ダート:良

〇 障害3歳以上未勝利 2970m (Result)

1. マサハヤドリーム J: 森一馬 T: 今野貞一

途中から先頭に立ったマサハヤドリームがそのまま後続を突き放して快勝した。マサハヤドリームはこれで障害は5戦目での勝ち上がりとした。平地では福島TVOPの勝利を始め、2018年の大阪杯 (G1)にも出走するなど頑張ってきた馬で、今年の年明けから障害を走っている。飛越技術自体は安定しており、道中やや行きたがって走るところが解消されればオープンクラスでも十分に戦えるだろう。障害は2戦目となるケンホファヴァルトが平地時代を彷彿とさせる積極的な競馬で2着に入った。どうにも障害手前で減速してみたりと、まだ能力に技術がついて行っていない印象だが、最後盛り返して2着まで来るようにやはり能力自体は高いものがあるようで、技術さえあればこのクラスは早々に突破できるだろう。