にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/08/09 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/08/03-08/09

8/3(月)

Clairefontaine (FR) Tres Souple (3.9)

〇 Prix 3601 Des Consultants Paris Turf

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu une allocation de 17.000. 3900m (Replay)

1. Galleo Conti J: Baptistle Le Clerc T: Guillaume Macaire

途中からするすると先頭に行ったGalleo Contiがそのまま10馬身差の快勝。Galleo Conti自身はこれがSteeplechaseは初参戦で初勝利となる。Silviniaco Contiの半弟ということもあり英国からの注目も高いようだが、現時点では、AuteuilのG3で2着があるのみで、大舞台での活躍はまだない。飛越技術はSteeplechase初参戦の馬としては十二分に合格点の内容で、やはり身体能力の面においてここでは一枚上手であった。Steeplechaseではすでに2勝の実績のあるApple's Catが2着に入った。

 

8/8(土)

Dieppe (FR) Souple (3.6)

〇 Prix Ville De Martigny

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu 10.000 (victoires et places). 3900m (Replay)

1. Master Dino J: James Reveley T: Guillaume Macaire

最終障害手前で先頭に立ったMaster Dinoがそのまま軽く気合をつけただけで5馬身差の快勝。Master Dinoはこれが故障からの復帰2戦目となる。フランスのSteeplechaseとしては2戦目だが、終始飛越は安定しており、さすがに馬の能力自体がここでは違った。復帰戦にHaiesを選択、直後にSteeplechaseにおいて続戦する辺り、おそらく今後の選択としてはSteeplechaseとなることが想定される。道半ばに終わったイギリスSteeplechaseを選択する可能性もあるが、さすがにこのコロナウイルス感染症の拡大下においては人の移動が困難なことも考えられ、おそらくフランスSteeplechaseを使うものと思われる。それにしても、途中のBull Finchがなにやら異様にもさもさしているのがなんとも気になるのだが。

 

Pardubice (CZE) 3.2 (dobrá až pevná / Good to Firm) (Result)

〇 Cena společnosti K-K METAL, a.s.

Steeplechase crosscountry V.kat. - 3300 m, handicap, 5letí a starší 30.000 Kč (Replay)

1. Woody J: Ondřej Velek T: Uhl Jiří

 中段から進めたWoodyが最終障害手前で先頭に立つと、追いかけてきたNon Stopなどを退けて勝利した。Woodyは10歳のベテランでほぼkat. IV以下の勝利しかないのだが、ここで75kgのトップハンデを背負って勝ったことはやはり褒めるべき内容だろう。ここまでの重い斤量を背負うことはチェコでも殆どない。未勝利馬Non Stopはやや馬群を捌くのに苦労しての2着だが、順調であれば逆転まであった。ここまで全くいいところがなかった馬で、これを機に何か変わってくれば。同じく未勝利馬のTexが3着、kat. IVで実績のあるVaxertonが同着の3着に入った。

 

〇 Cena společností Trios, Zámecký vrch a Dobrá nálada

Steeplechase crosscountry III.kat. - 4000 m, handicap, 5letí a starší 90.000 Kč (Replay)

1. String J: ž. Lukáš Matuský T: Holčák František

途中から先頭に立ったSaint Josephがそのまま逃げ込みを図るも、ゴール直前で強襲してきたStringがこれを捉えて勝利した。String自身はCross Countryは3勝目で、kat. IIIではこれが初勝利とした。どちらかというと4000メートル級のレースに比較的良績があるようで、距離を伸ばしても面白いタイプだろう。7歳とまだ若く、今後の活躍が期待される。もったいなかったのがSaint Josephで、ほぼ勝ちに等しい内容であった。人気の一角East Riverは前半から積極的に進めたが、途中でコースミスをしてそこから復帰するも、そのまま飛越のリズムを崩し、馬群から遅れて途中棄権に終わった。

 

〇 Pohár BICZ holding 2020

Steeplechase crosscountry III.kat. - 3600 m, cena, 4letí 90.000 Kč (Replay)

1. Chelmsford J: ž. Jan Kratochvíl T: Váňa st. Josef

残り3障害辺りから抜け出したChelmsfordがそのまま後続に13馬身差をつける快勝。Chelmsford自身はCross Countryはこれが初参戦で初勝利とした。この4歳世代のProutkyにはNight Moonという非常に強力な馬がいるのだが、まださほどCross Countryの競走は始まっておらず、現時点では世代内では頭一つ抜けた存在と言えるだろう。4歳馬ながら飛越も終始安定していた。日本産馬でアメリカで現役生活を送ったSunday Breakの産駒ということで、日本競馬との関連性という意味でも楽しみな一頭である。Sunday Break自身は目立った産駒を残せず2017年に死亡しているが、なんとか代表産駒と言えるくらいにはなって欲しいところ。ポーランド産馬で比較的レース経験のあるZafiroが2着。Cross Countryは2戦目のCelentanoも人気になっていたが、特にいいところなく6着に終わった。尾花栗毛が印象的なGerroyはこれがデビュー戦であったが、飛越がいまいちで途中で落馬に終わった。

 

〇 Cena města Pardubic - Cena Registany

Steeplechase crosscountry II.kat. - 4150 m, cena, 4letí a starší - klisny 120.000 Kč  (Replay)

1. Alegoria J: ž. Jan Faltejsek T: Derych Vladimír

2. Dallina J: ž. Sertash Ferhanov T: Wroblewski Grzegorz

Rideri Crossが元気一杯引っ張る展開も、最終障害を越えて後続が殺到。大外から伸びたAlegoriaが内の各馬を抑えて勝利した。AlegoriaはPop Rock産駒の牝馬で、Cross Countryは2勝目となる。昨年のCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice a.s. Cena Laty Brandisové (Stcc NL)でも3着に入った実績もあり、現状の牝馬戦線においては比較的力上位の一頭と思われるが、レース内容から考えれば上位4頭は殆ど差はないだろう。後方から一気に追い上げてきたDallinaが2着。前走はNo Time To Loseなどを相手に3000メートルクラスのレースで穴をあけた馬だが、距離延長のここでも見せ場を作った。同じくPop Rock産駒のApas Rockaが3着。Suteki Shinsukekun産駒のLantana Ladyも出ていたが、早々に落馬に終わった。

 

Cena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 200.000 Kč

www.youtube.com1. Lodgian Wistle J: ž. Jaroslav Myška T: Myšková Štěpánka

2. Catch Life J: ž. Jan Faltejsek T: Bodlák Radim

4. Theophilos J: ž. Josef Bartoš T: Váňa st. Josef

6. No Time To Lose J: ž. Jan Kratochvíl T: Váňa st. Josef

Velka PardubickaのQualification Raceとしては第3レースとなる。昨年の勝ち馬Theophilos、一昨年の勝ち馬No Time To Loseが出走し注目を集めていた。レースはCatch Lifeが出てくるも、途中からさすがに業を煮やしたのかLodgian Wistleが引っ張る。ここにTheophilosがじわじわと差を詰めに行くも、残り2障害にて大きなミス。最終障害を越えてLodgian Wistleに迫ったCatch LifeとTalentを凌いでLodgian Wistleが勝利した。Theophilosは4着。No Time To Loseは6着に遅れた。

Qualification Raceは完走することでVelka Pardubickaの出走権を得ることになるため、ここで勝負をかけてくる先行馬がいた場合はある程度ペースも流れて激しいレースにもなるのだが、そういう馬がいない場合は往々にしてスローペースで流れ、後半少し脚を使う程度のレースになりやすい。今回は後者となった。ほぼ同じような馬場状態で行われた今年のCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)の勝ち時計が7.29.85、例によっての先行馬であるBridgeurが鞍上変更のためかペース配分を明らかにミスしたCena města Pardubic - II. kvalifikace na Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)ですら7.40.65であることを考えると、今回の勝ち時計である7.56.04というのは明らかに遅く、レースレベルとしては低調であったと言わざるを得ない。

Lodgian Wistle自身は7歳と比較的若い馬で、昨年のCena společnosti VCES a.s. – Cena Labe (Stcc L)の勝ち馬である。当時下してきた相手であるLombarigini、Sottoventがいずれも今年のQualification Raceでよいレースをしてきたことを考えればこの馬自身も今後が楽しみな一頭ではあるのだが、今年のCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)ではIrish Bankで落馬に終わっており、今回のIrish Bankも非常に丁寧に対応することが可能であったことを踏まえると、やはりまだ飛越技術自体に不安が残る面もある。スロバキア調教馬で、12歳になるCatch Lifeは大穴をあけた。さすがに恵まれすぎた感もあるのだが、今年の6月のBratislavaのSteeplechaseを快勝するなど調子はいいようで、Jan Faltejsekという恐ろしい人が騎乗していたというところもあるだろう。こういう馬は長く見ていたいところ。これが今年初戦となるTalentは好位から脚を伸ばすも3着までで、故障持ちの馬だけに未知数のところはあるのだが、ここを一度叩いて変わってくる可能性もある。Theophilosは残り2障害のミスが全てだろう。Mazhilisはこのようなスローペースで後ろからの競馬では幾らなんでもなにもできない。No Time To Loseはさっぱり走らなかったが、本来反応の悪いところのある馬で、馬場ももっと渋った方がよさそうな印象がある。

 

Waikato RC @ Te Rapa (NZ) Heavy10

Fairview Motors Waikato Hurdle (PJR) OPN HDL 3200m (Replay)

1. Tommyra J: Hamish McNeill T: Toby Autridge

2. Ali Baba J: Reece Cole T: Michael Moroney & Pam Gerard

ニュージーランド障害競走としては今年最初のPrestige Jumping Raceである。いきなり第一障害で人気のAve Mariaが落馬する波乱。レースは葦毛のRevolutionが引っ張る展開も、最終コーナーから捲っていったTommyraが後続を突き放すと、そのまま15馬身差をつけて快勝した。2着にはAli Babaが上がった。Tommyra自身は昨年のKS Browne Hurdle (PJR)の勝ち馬で、一昨年の段階からPJRでは良いレースをしていたのだが、昨年の7月以降はどうにもぱっとしない成績に終わっていた。今年はRST OPN HDLで入着するなど復調していたようだが、本来は極端な不良馬場よりは少し馬場は良化した方がいいようで、今回はHeavy10の馬場がこの馬には向いた結果だろう。未勝利を勝ったばかりのAli Babaは2着に健闘したが、先月は平地でも勝利を上げるなどこの馬も調子は良かったのだろう。昨年のGreat Northern Hurdle (PJR)の勝ち馬Bad Boy Brownはどうにも動きが重く4着に終わったが、距離延長と馬場の悪化が揃えば見直せるだろう。実績馬Laekeeperはどうにも飛越に怪しい部分があり、残念ながら今回は途中で落馬に終わった。なお、色々とアクシデントの多いレースではあったが、大きな事故は生じなかったようだ。

 

Signature Homes Waikato Steeplechase (PJR) OPN STP 3900m (Replay)

1. It's A Wonder J: Shaun Fannin T: Harvey Wilson

2. Delacroix J: Buddy Lammas T: John & Karen Parsons

例によってIt's A Wonderが元気よく逃げる展開。2周目の途中からDelacroix、さらに人気のZedmanが迫ってくるも、最終障害の手前にZedmanは脱落。DelacroixとIt's A Wonderの叩き合いはShaun Fannin騎手の風車鞭に応えてIt's A WonderがDelacroixを凌いで勝利した。It's A Wonderは昨年のGrand National Steeplechase (PJR)の勝ち馬で、残念ながら今年は南島の障害競走は全てキャンセルとなったものの、その雪辱を晴らす勝利を上げた。もともとHDLでもPJRクラスで戦えるスピードを持った馬だが、STPで距離延長にも対応することが可能であり、順調に障害馬としてレベルアップを果たしている。Delacroixも同じようにHDLでの実績のあるベテランで、前走RST OPN STPクラスを勝利して調子を上げてきているようだ。11歳と年齢は重ねているがまだまだやれるだろう。上り馬Zedmanは最後やや根負けするような形での3着。Perry Mason、Chocolate Fishなどの近走不調の実績馬は今回も見せ場を作れず。NapoleonはMacklemoreの影響で最終障害において外に逃避するような格好になり落馬に終わった。13歳馬のRaisafuashoは約7年もの長きに渡ってニュージーランド障害競走で活躍してきたベテランであるが、どうやらTendon Injuryによる途中棄権であったとのことで、これで引退するようだ。

 

8/9(日)

Casterton (AUS) Soft5

〇 Peter Nolte Electrician Maiden Hurdle 3480m (Result)

1. Saunter Boy J: Shane Jackson T: Ciaron Maher

途中から先頭に立ったBeau Balmainがそのまま逃げ込みを図る展開も、最終障害でミス。代わって前に出たSaunter BoyがLittle Phoenixの追い上げを凌いで勝利した。Saunter Boy自身はもともとはイギリスで走っていた馬だが、2019年にオーストラリアに移籍、その後は主に平地の重賞戦線を使われるも、結果は残せていなかった。Hurdleはこれが初参戦となる。全体的に飛越技術は怪しく、とりあえずは能力で勝ち切ったという内容で、さすがに上のクラスで同じ飛越をしているようでは少々厳しいだろう。名門Ciaron Maher厩舎ということもありここから技術を向上させてくることを期待したい。このクラスでは実績のあるLittle Phoenixが2着に入った。ドイツからの移籍馬Beau Balmainは最終障害でもったいないミスでの敗戦で、ミスがなければ順当に勝ちまであった内容だろう。

 

〇 Selkirk East Pastoral/Mane on Henty Casterton Hurdle 3480m (Replay)

1. Coleridge J: Aaron Lynch T: Eric Musgrove

BritannicusとSo Belafonteが並んで逃げるも、向こう正面の障害でSo Belafonteは大きなミス、騎手が鐙を落とす場面があり後退。そのままBritannicusが逃げ込みを図るも、好位にいたColeridgeがこれを捉えて勝利した。人気のThe Statesmanは追い上げるも3着まで。Coleridgeは今年の6月に未勝利を勝ったばかりの馬だが、Hurdleの経験自体は比較的長く昨年の5月から走っている。5歳とまだ若いものの経験馬らしく技術面では比較的しっかりしており、前走の大敗が嫌われたのかややここでは人気の盲点になっていたのだが、さすがに前走を勝ったのはその後Grand National Hurdleでも最後強襲してくるBee Tee Juniorであり、相手が強すぎたというべきだろう。やはり未勝利を勝ったばかりのBritannicusが2着に踏ん張った。この中では比較的実績のあるThe Statesmanが3着に入った。

 

Moredun Hill Casterton Steeplechase 3800m (Replay)

1. Elvision J: Ronan Short T: Symon Wilde

道中からトップハンデのLucquesが積極的に引っ張る展開も、好位にいたElvisionが勝負所で前に出ると、食い下がるLucquesを凌いで勝利した。Elvisionは今年の6月にWarrnamboolの1JW Steeplechaseを勝利した実績のある馬で、CastertonのSteeplechaseはこれが2戦目となる。そのE-Cycle Solutions Two Rivers Steeplechaseでは積極的に引っ張るも前からはやや脱落した4着に終わっていたが、その上位3頭が不在となったここでは力を見せた。やはりCastertonの生垣障害への対応力という点で、前走でこの障害を経験した強みは大きく、終始障害飛越は安定していた。同レース5着のLucquesは積極的な競馬で2着。ややストライドを伸ばしたタイプの飛越をする馬であり、このような障害には適性があるのだろう。途中から後方にいた11歳馬のDarebinが猛然と追い上げてきて見せ場を作ったが、最後はさすがに脚が上がったようだ。前半障害に対応しきれていないような飛越を見せており、騎手があえて馬に気合をつけて行くことで強引に飛越をさせていたものと思われる。このコースで実績のあるMappingは勝負に加われず4着。同様に実績のあるSpeedy Jaxは人気を背負っていたが、途中で落馬に終わった。