にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/08/30 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/08/24-08/30

8/29(土

Ploermel (FR) Tres Souple (3.8)

〇 Prix Association Pat Plo 56

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas reçu 9.000 en steeple-chase (victoires et places) cette année. 4000m (Replay)

2. So French J: Mlle Charlotte Prichard T: Guillaume Macaire

2016-17年のGrand Steeplechase de Paris (G1)などを制し、フランスSteeplechaseにおいて一時代を築き上げたSo Frenchの復帰戦であったが、好位から進めるも先に抜け出したSamysanを捉えきれず2着に終わった。Ploermelの競馬場は杭を地面に刺しただけの簡易なコースだが、全体的にコーナーが多く狭いコースであり、So Frenchのようなストライドの大きな馬にとって有利なコースとは言い難いものであろう。2017年のGrand Steeplechase de Paris (G1)の勝利を最後に、大舞台での勝利を上げることはできていないのだが、ひとまず約1年ぶりの復帰を果たしたことを喜ぶべきだろう。

 

Pardubice (CZE)  stav dráhy: 3.2 (dobrá až pevná / Good to Firm) (Result)

〇 CENA VÝCHODNÍCH ČECH

Steeplechase crosscountry II.kat. - 3300 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Chrystal Cross J: ž. Jaroslav Myška T: Myšková Štěpánka

前半からハナに行ったChrystal Crossがそのまま逃げ切り勝利した。Chrystal Crossはこの路線については比較的長い馬で、前走は同じようなメンバーが揃った中でMedicの2着に入っているように、比較的コンスタントに上位争いを演じてきた馬である。今回も例によっていつものメンバーが揃っているのだが、今回は前半から積極的に前に行く競馬で後続を完封するレースを見せた。この戦法はこの馬にとって新しいものであり、この馬にとっては収穫の多いレースと言えるだろう。前走III. kat.において強い競馬を見せていたDajukaが2着で、比較的メンバーが揃ったここにおいて新たな風穴を開けることに成功した。この路線の実績馬Medicは前走からややズブいところを見せており、今回もどうにも動ききれず3着に終わった。もしかするとそろそろ使うレースを考え直す時期かもしれない。やはり実績馬のTiara Manは課題のDropにおいてミスはなかったのだが、前半から中段に構える競馬で見せ場を作れず5着に終わった。おそらく一叩きの意図でここを使ってきたと思われるNo Time To Loseは落馬に終わった。

 

〇 Cena DENÍKU PRÁVO

Steeplechase crosscountry II.kat. - 4500 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Mustamir J: ž. Lukáš Matuský T: Holčák František

最終障害を越えて中段から差し込んできたMustamirが前を捉えて勝利した。Mustamirは9歳とやや年齢を重ねている馬だが、Cross Country自体は3戦目にして初勝利とした。Steeplechaseでは2018年にZlatý pohár – Cena předsedy Poslanecké sněmovny Parlamentu ČR (Listed)を勝利した実績馬で、非常に楽みな能力馬がようやくCross Countryに来たといったところだろう。ただしレースの内容としては能力で最後間に合わせたといったところで、もう少し道中動けるようになって欲しいところ。PlayerはおそらくVelka Pardubickaに向けた一叩きと思われるが、積極的な競馬で2着に入った。Lysá nad Labemで頭角を現してきたForever Dryは収穫のある4着。Velka Pardubickaに向けて一叩きのために出てきたStrettonは5着に終わったが、73kgを背負って明らかに距離が足りない中でこれだけ走れれば十分だろう。

 

〇 Cena společnosti SEKO AEROSPACE

Steeplechase crosscountry II.kat. - 5200 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Evžen J: ž. Jaroslav Myška T: Myšková Štěpánka

前半から前に行ったEvženがそのまま後続を突き放して10馬身差の快勝。Evžen自身は昨年のCena hejtmana Pardubického kraje – Cena Vltavy (Stcc NL)の勝ち馬で、これでCross Countryは7戦6勝とした。どうにもシーズン初戦は微妙なところがあるのか、前走のSteeplechaseでは3着に敗れていたが、ここでは能力の違いを見せた。この馬自身まだ6歳と若く、今年はVelka Pardubickaに登録はないのだが、今後に向けて楽しみな存在となるだろう。同2着のCasperがここでも2着に入った。Mahony、MazhilisとVelka Pardubickaに向けて一叩きと思われる馬もいたのだが、どちらも落馬に終わった。

 

Velká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 200.000 Kč (Replay)

1. Sottovento J: ž. Jan Odložil T: Váňa st. Josef

2. Vandual J: ž. Sertash Ferhanov T: Štangel Marián

Z Ange Guardian J: ž. Jiří Kousek T: Váňa st. Josef

Velka PardubickaのQualification Raceの第4戦。前半からゆったりとVandualが逃げる展開も、これにSteeplechase Courseに入る辺りから絡んで行ったSottoventoが最後Vandualを振り切り4馬身差の快勝とした。Sottovento自身は今シーズンの上り馬で、7月のQualification RaceではAnge Guardianを追い詰める2着に入っていた。まだ8歳と若い馬で、勢いという点では本番でも楽しみな一頭になるだろう。ただし、レース内容としては全体的に実績馬が不調に終わった影響は否めない。12歳のベテランVandualは積極的な競馬で見せ場を作った。遡れば2011年のスロバキアSaint Leger勝ちもある馬だが、2013年からCross Countryに転向し、12歳となるここまで一度の落馬もなく走り続けているのは立派なことである。ただしVelka Pardubicka自体はこれまでに2回挑戦し、いずれも見せ場なく敗れていることを考えると、さすがに今年いきなりどうこうということもないだろう。昨年のこのレースを勝ったTalentは今年2戦目であったが、前とは大きく離された3着に終わった。故障の経験のある馬だけに目一杯仕上げて来なかった可能性を考えたい。一昨年のVelka Pardubickaの勝ち馬Tzigane Du Berlaisは前半から動きが重く、前から大きく離された6着に敗れた。これを叩いて変わってくれば良いのだが。前に行くと思われたBridgeurは戦術を変えて中段から進めたが、案の定引っかかってレースにならなかった。Trezorの記録を破るQualification Race6勝目を狙ったAnge Guardianはレース中の故障で途中棄権に終わった。残念ながら予後不良とのことで、12歳となるここまで一線級で活躍を続けた名馬のキャリアとしては悲しい結末となってしまった。

 

Kokura / 小倉 (JPN) Firm

Kokura Summer Jump / 小倉サマージャンプ (JG3) 3390m

1. スプリングボックス J: 森一馬 T: 寺島良

夏の小倉恒例のレース。障害重賞にありがちなのだが発走は13時40分と一日のうちで一番暑い時刻に設定されている。せめてこの時期くらいは若干は涼しくなることを見越して最終レースに移動するなど少し配慮が欲しい。レースは前半からタガノグルナが飛ばす展開も、最終周からブレイクスピアーが接近。抵抗するタガノグルナを最終コーナーでブレイクスピアーが振り切って先頭に立つも、これに忍び寄ってきたスプリングボックスが最終障害を越えてこれを捉えて勝利した。

ハーツクライ産駒は障害重賞これが初勝利らしい。ハーツクライの産駒はそれなりにパワーのある馬や距離もある程度あった方が良い馬が多いのだが俊敏性に欠けるところがあり、本質的なステイヤーとは異なることから、障害競走への適性というと全体的な傾向からすると若干微妙なのかもしれない。スプリングボックス自身は重賞クラスでも上位争いをする能力のあった馬だが、今回はタガノグルナがやや玉砕的なペースを刻み、これにブレイクスピアーが絡んでいく展開の中で、じわりと好位から加速を掛けていく森騎手のレース運びの妙が光った。飛越も全体的に安定したものを見せており、実績が示す通り小倉の障害にも十分対応可能な技術を持っていたということだろう。前走阪神のオープン競走において、後続に5秒近い大差をつけて圧勝してきたブレイクスピアーはさすがに力を見せた。2周目から積極的に逃げたタガノグルナに絡んで行ったものの、結果的には若干仕掛けが早すぎた感もある。3着には人気薄のハルキストンが入ったが、ちょうどペースが緩むところで加速を掛けて前に取りついて行くというレース運びで、ちょうど位置取りの順にハルキストン、マイレルレオーネ、さらにクリライジンと入線しているところは面白い。タガノグルナは思い切った逃げを打ちレースを盛り上げたが、さすがに前半は行きたがって走っていたところもあり、最後は脚が上がってしまったようだ。

 

8/30(日

Merano (ITA) Tempo Piovoso - Terreno M. Pesante (Result)

〇 Associazione Arma Di Cavalleria Euro 15.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross Country - Condizionata - G.R.-Amazzoni-Fantini) 5000m (Replay)

1. Broughton J: Jan Faltejsek T: Josef Vana Jr

2. All About Cossio J: Marcel Novak T: Pavel Poles

この日のMeranoは断続的に強い雨が降り続いており、馬場は不良馬場に相当するMolto Pesanteで行われた。各国の馬場表示はこちらに記載してあるので参考にされたい。レースは先に抜け出したAll About Cossioをゴール直前でBroughtonが捉えて勝利した。Broughton自身は言うまでもなくこの路線ではすでにかなり長い馬で、今年の6月にはGrande Steeplechase Di Roma (G3)を連覇しているように調子もいいようだ。最終障害で若干のミスがあったが、そこからスムーズに運んだ古豪All About Cossioを捉える脚力もまた素晴らしいものがある。ただし、このレースにおいてはレース内容というよりは昨年のPremio Delle Nazioni (G2)において全馬落馬に終わった3連続生垣障害ことDoppia Gabbia Di Siepiを全馬がクリアしたことを喜ぶべきだろう。どうにもこの障害を使用するレースは少ないことも相まって、この障害における落馬率は近年非常に高く、おそらくPremio Delle Nazioni (G2)においても最大の難関となることが想定される。今回はこの路線の常連揃いの非常にハイレベルなメンバーであり、今回も馬場入場ににおいてかなり念入りに下見をさせていたとはいえ、昨年のような残念な結果とならないためにも、とりあえず本番に向けて明るい材料と言えるだろう。

 

Piero E Franco Richard Euro 30.000 TRIO

per cavalli di 4 e 5 Anni (Steeplechase- Gruppo III - Fantini) 3800m (Replay)

1. First of All J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

前半からするすると逃げたFirst of AllがLaldannを突き放すと10馬身差の圧勝。First of All自身はこれで前走のLXV Premio Ezio Vanoni (G2)を含む5連勝とした。MeranoのSteeplechaseは3戦目だがいずれの飛越も安定しており、ここでは能力が一枚違った内容だろう。昨年のCorsa Siepi Dei 4 Anni (G2)の勝ち鞍のあるLaldannは71kgを背負っており、勝ち馬とは若干の斤量面での不利はあったが、パフォーマンスを見る限りではあまり関係はないだろう。

 

Niigata / 新潟 (JPN) Firm

〇 Maiden / 障害3歳以上未勝利 2850m

1. ケイブルグラム J: 簑島靖典 T: 高橋文雅

2周目から動いたケイブルグラムが最終コーナーの辺りから先頭に立つと、そのまま後続に大差をつけて快勝した。ケイブルグラム自身は2007年のエクリプス賞最優秀古馬に選ばれたアメリカの名牝Ginger Punchの産駒で、その兄弟にも毎日王冠 (G2)等の勝利のあるルージュバックがいるという活躍の血統である。平地では2勝クラスで早々に頭打ちになったようだが、2019年からは障害に参戦しており、9戦目での嬉しい勝ち上がりとした。ほぼ中京・新潟を使っている馬だけあってやや飛越は低いところが散見されたが、さすがに数を使っている馬だけあって飛越技術自体はしっかりしていた。ディープインパクト産駒らしい身体のしなやかさを生かした運動神経の高さも垣間見せており、上のクラスでも楽しみな一頭になるだろう。