にげうまメモ

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20/09/06 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/08/31-09/06

9/1(火

Auteuil (FR) Tres Souple (3.9)

〇 Prix Jean Noiret

Steeplechase Pour poulains entiers, hongres et pouliches de 4 ans, n'étant pas de race Pur Sang, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu une allocation de 17.000. 3600m (Replay)

1. Galleo Conti J: Baptiste Le Clerc T: Guillaume Macaire

Auteuilはこの日から観客を入れていたらしいのだが、フランスは新型コロナウイルス感染症の感染者数がまたもや増加しているらしく、果たしてこのような対応で大丈夫なのだろうか。レースは最終障害を越えて抜け出したGalleo Contiが4馬身差の快勝とした。このレースは3600メートルと、ややSteeplechaseとしては短距離であるため一部の障害が使用されておらず、レースとしても比較的のんびりとレースが進行していたりとさほど水準自体は高くないのだが、Galleo Contiは初のAuteuilのSteeplechaseにも関わらず終始安定した飛越を見せた。Silviniaco Contiの半弟ということでイギリスでも注目度は高い馬だが、ここまでのレース振りを見る限りではフランス一流の障害馬らしいしなやかな身体能力を武器としており、前評判通り活躍が期待できる一頭だろう。

 

9/4(金)

Auteuil (FR) Tres Souple (3.9)

〇 Prix De L'Orleanais

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant, en courses de haies, cette année, ni couru trois fois, ni reçu deux allocations. 3600m (Replay)

1. Device J: James Reveley T: Guillaume Macaire

レースはゆったりと逃げたDeviceがそのまま逃げ切り勝利した。Device自身はさかのぼれば2017年のGrand Prix D'Automne (G1)にてAlex De Larredyaの2着がある実績馬だが、2018年の6月から今年の5月まで長期の休養に入っていた。復帰初戦こそ3着に敗れたが、これで3連勝とした。久々のHaiesであったが飛越自体には問題はなく、馬としては全盛期の活躍を期待してもよいだろう。Le Costaudは後方から押し上げるレースをしたが、最終障害でミスをして2着に終わった。2018年のGran Premio Merano (G1)の勝ち馬で、2019年は連覇を狙うもコースを間違えて試合終了していた経歴があり、今年のGran Premio Merano (G1)に登録があることを考えると今年もイタリアに向かうものと思われる。AuteuilのG1路線でも戦える馬だが、イタリアに向かうのであれば当然の如く大本命と目されるだろう。レース中尻尾を振ることで有名なRoxinelaは3着だが、残り2障害でミスがあり、そこから先はほぼ諦めていた。残り2障害の時点でほぼDevice、Le Costaud、及びRoxinelaの3頭のレースになっており、さすがに他の馬とは大きな力量差があるように思える。この馬はAuteuilのSteeplechase重賞戦線が目標と考えられ、ここは単なる一叩きといったところだろう。

 

9/5(土)

Wanganui JC @ Wanganui (NZ) Heavy10

〇 Sportz Bar OPN HDL 3000 OPN HDL 3000m (Replay)

1. Senassy J: Dean Parker T: Kevin Myers

2. Ave Maria j: Shaun Fannin T: Kevin Myers

スタート直後からLake Superiorが前に行くも、早々に障害手前で内側に逃避して競争中止。トップハンデのZentangleがやや後続を引き離して逃げるが、最終コーナーで馬群を縫って出てきたSenassyがAve Mariaを制して勝利した。レース全体として内側に空馬がレースに参加しているつもりで走っているのが気になるのだが、レースの大勢にはそう影響はないものと思われる。Senassyは9歳の牝馬で、Hurdleは12戦目での初勝利とした。もともとRST OPNクラスでは上位の力量があった馬で、Ave Mariaに対して1kgの利があったこと、馬群をうまくさばいたDean Parker騎手の好騎乗が光った。人気のAve Mariaは惜しい2着で、内容的にはこちらを上に取るべきだろう。Zentangleは72kgを背負うも積極的な競馬で見せ場を作った。

 

〇 Wanganui Chronicle OPN STPL 3800 OPN STP 3800m (Replay)

1. Old Countess J: Buddy Lammas T: Peter & Jessica Brosnan

最終コーナーから先頭に立ったOld Countessがそのまま押し切り勝利した。Old Countessは11歳の牝馬で、これでSTPは4勝目。RST OPNクラスの4000メートルくらいの距離が守備範囲のようだが、今回は最終周からじわじわとペースが上がる展開も味方した。これ以上距離が伸びたりすると少々頭打ちのような感もあり、PJRに上がってどこまでやれるかはやや疑問だろう。Mendelay、Zartanと続いた。人気のDes De Jeu、Napoleonは後方から見せ場を作れず大敗。展開的なところもあるかもしれないが、シーズンの中盤に差し掛かり、そろそろ状態が落ちてきた可能性もある。Wise Men Sayも出走していたが馬場も距離も障害もこの馬にとっては不向きな条件であり、目的としては明らかに一叩きといったところで、とりあえずは馬群の後ろをついて回ってきたようだ。

 

9/6(日)

Craon (FR) Tres Souple (3.9)

Prix Super U Craon Cross Country 6000m (Replay)

1. Bomari J: Roman Julliot T: William Menuet

Eddy Bluesが先頭に行く展開も、途中の難所であるPassage de Routeにてミスをすると、代わってBomariが先頭に。そのまま唯一くらいついてきたDeauseilleを振り切ると4馬身差の快勝とした。3着にはDylaneが入った。BomariはさほどCross Countryの経験が豊富な馬ではなく、Cross Countryを走るようになったのは2020年からという馬である。それまでは主にSteeplechaseを走っており、Lion D'AngersのGrand Steeple Alain Du Breil (Listed)の勝ち星もあるのだが、Auteuilの重賞クラスでは歯が立たなかったようで、2019年からは路線変更をしている。CraonのCross Countryは3戦目だが、全体的に安定した飛越を見せた。さほど強力なメンバーがいなかったことは差し引いて考える必要はあるのだが、9歳とまだ若く今後が楽しみな馬だろう。7歳牝馬Deauseilleが2着に入った。この馬は2019年からCross Countryを使っており、そこまでは勝ち馬のような華々しい経歴があるわけではなく、この辺りは単純なスピード能力の差と思われる。ここに来て2連勝で挑んできた7歳牝馬Dylaneはどうにも飛越にミスが多く見られた。

 

〇 Prix Mercedes Etoile De Lavel

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, été classés 1er d'une course de dotation totale de 30.000. 4200m (Replay)

1. Galop Marin J: Morgan Regairez T: Dominique Bressou

前半からゆるゆると逃げたGalop MarinがDiffly River Annを抑えて勝利した。Galop Marin自身は2018年の秋にはフランスHaiesのGrand Prix D'Automne (G1)を含め主要競走で連勝を飾り一時代を築いた馬で、2019年の秋にも同レースを勝利しているのだが、今年はどうにもいまいちなレースを繰り返していた。Steeplechaseは2016年、2017年、2018年と何度か試したことがあり、これが4回目のチャレンジとなる。ただしここまでListed勝ちが精々であまり結果は残せておらず、この馬らしい伸びのある飛越を見せてはいたものの、一旦ミスしてリズムを崩すと若干取り戻すのに手間取ったり、最後はDiffly River Annに詰め寄られたりと、わりと課題は多いレース内容であった。Diffly River AnnはGalop Marinと比べると圧倒的に格下の馬だが、1kgの不利がありながらも強敵相手に詰め寄った。

 

Merano (ITA) Tempo Vario - Terreno Morbido (Result)

〇 Azienda Di Soggiorno Di Merano Euro 21.000

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - Condizionata - Fantini) (Replay)

1. Stuke J: Lukas Matusky T: Radek Holcak

途中から先頭に立ったLive Your Lifeが押し切りを図る展開も、ゴール直前で強襲してきたStukeがこれを捉えて勝利した。Stukeは昨年のGran Corsa Siepi D'Italia (G1)の勝ち馬で、ほぼその当時の順番通りに入線したことになる。今年は復帰初戦となった同レースにてPiton Des Neigesに逆転を許しているが、今年2戦目となったここでは格好をつけた。レース内容としてはLive Your Lifeが業を煮やして動くまではほぼゆったりと進行しており、この馬の瞬発力を生かし切った内容と考えられる。この路線の実績馬として本番が楽しみになるレース内容であったが、やはり本番となると展開が変わってくる可能性には注意した方が良いだろう。Live Your Life、Piton Des Neigesらも僅差の2、3着と、本番に向けて調子の良さをアピールした。

 

〇 Aimo Immobilien Euro 23.100 TRIO

per cavalli di 4 anni (Siepi - Condizionata - Fantini) (Replay)

1. Sky Constellation J: Raffaele Romano T: Raffaele Romano

途中から先頭に立ったSky Constellationがほぼ最後は流す状態で圧勝とした。Sky Constellation自身はこの世代のSiepiではトップクラスの馬で、Gran Criterium D'Autunno (G1)ではNight Moonの2着、Criterium Di Primavera (G1)ではPour Vous Et Nousの3着と善戦を続けている。イタリア調教馬としては最も有力な馬であり、さほどここではメンバーが集まっていなかったこともあるが内容としては順当な結果だろう。

 

M.I.P.A.A.F - Memorial Massimo Caimi Euro 30.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - G3 - Fantini) (Replay)

1. L'Estran J: Alessio Pollioni T: Josef Vana Jr

Notti Magiche、Martinstarなど合計7頭が出ていたが、そのうち5頭は途中で落馬。残ったQuinze De La RoseとL'Estranのレースはほぼ持ったままでL'Estranが快勝した。L'Estranは昨年のGran Premio Merano (G1)の勝ち馬で、今年の復帰戦となったGrand Steeplechase D'Europa (G1)ではNotti Magicheの2着に頑張っている。現時点ではイタリアSteeplechaseにおいて最有力の馬だが、レース内容としては比較的有力なメンバーが揃っていたとはいえ落馬が多く発生した残念なもので、本番に向けて課題を残してしまった点は気がかりな内容である。2018年にGran Premio Merano (G1)を圧勝し、昨年もコースミスしなければ同様の圧勝が期待できるような走りを見せていたフランスのLe Costaudが今年もエントリーしていることを考えると、若干こちらの組としては分が悪そうな感がある。Discendenteを勝ってきたQuinze De La Roseが2着に入った。Notti Magicheは前述の通り落馬。2018年のGrande Steeplechase Di Milano (G1)の勝ち馬であるMartinstarも2年ぶりの復帰戦であったが、こちらも途中で落馬に終わった。

 

Ettore Tagliabue Euro 33.000 TRIO

per cavalli di 3 anni (Siepi - G3 - Fantini) (Replay)

1. No Profit J: Gabriele Agus T: Raffaele Romano

前走のCondizionataを圧勝してきたMakitoが出走を予定していたが、直前で取り消し。レースは逃げたNo ProfitがRoncalを抑えて勝利した。No ProfitはこれでSiepiは3勝目だが、その前走のCondizionataではMakitoからは少々離された3着に終わっており、次はMakitoとの再戦が期待される。レース内容としては2着のチェコ調教馬Roncalとはさほど差はなく、あくまで仕掛けのタイミングの差といったところだろう。

 

Kokura / 小倉 (JPN) Firm

〇 Maiden / 障害3歳以上未勝利 2860m

1. ミッキーブラック J: 平沢健治 T: 音無秀孝

台風が懸念された小倉開催だが、とりあえずこのレースの時点では雨は降っておらず、馬場も良で行われた。レースはするすると逃げたミッキーブラックが特に追うこともなく3馬身差の快勝。ミッキーブラック自身は障害は2戦目での勝ち上がりとした。若干飛越の手前で無駄な動作はあるのだが、障害2戦目というキャリアを考えれば十二分に合格点だろう。4歳とまだ若い馬ではあるのだが、現時点での障害馬としての完成度は高く、この馬自身が有する身体能力を考えると今後が楽しみな一頭である。ケンホファヴァルトは例によって飛越手前で余計な仕草を入れる場面が目立った。とはいえ前走と比較すればこの動作は少し改善があり、飛越技術がついてくれば勝ち上がりは早いだろう。