にげうまメモ

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20/10/04 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/09/28-10/04

9/29(火)

Compiegne (FR) Collant (4.5)

Prix De La Gascogne (G3)

Steeplechase Pour Tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4500m (Replay)

1. Roi Mage J: Nicolas Gauffenic T: Jerome Larrigade

Saint Goustan Blueがゆるゆる逃げる展開も途中でまさかの落馬。代わってPoliricoが先頭に立ちそのまま逃げ込みを図るが、最終障害を越えて追いこんできたRoi Mageがこれを捉えて勝利した。Roi Mageは今年の秋に入ってCompiegneのPrix The Stomp (Listed)から連勝とした。昨年のGrand Steeplechase de Paris (G1)の3着馬だが、走法を見るとこの重馬場が向いた感があり、このような馬場で浮上してくる馬として注意しておきたい。64kgという軽量もあってか人気を背負っていたPoliricoは最後脚が上がって2着。3歳時にはGoliath Du BerlaisをPrix Congress (G2)にて下した実績もあり、その後Steeplechaseの実績は多くはないのだが、馬場が良くなって期待したい。2018年のGrand Steeplechase de Paris (G1)の勝ち馬On The Goは4着。今年の2月に復帰してからSteeplechaseではまだ勝ち星は上げられていない。落馬したSaint Goustan Blueが前をふらふら走っていた面もあるのだが、全盛期の実力が戻っているかと言われるとそろそろ疑問を呈した方がいいだろう。

 

9/30(水)

Wroclaw (POL) płotowy - elastyczny (3.7); przeszkodowy - elastyczny (3.6); (Result)

〇 Nagroda 20000 zł (10000-4000-3000-2000-1000)

Międzynarodowa gonitwa z płotami dla 4-letnich i starszych koni. (Replay)

4. Haad Rin J: Niklas Loven T: Robert Świątek

昨年のWroclaw Cystal Cup勝ちなど、昨年ポーランドのSteeplechaseで活躍したHaad Rinが出走していたが、後方から進めるも特に見せ場なく4着に敗れた。昨年のWielka Wrocławska Nagroda Portu Lotniczego Wrocławにおいて途中棄権に終わっており、これがその復帰戦となる。勝ったのはチェコ調教馬のOption Beという馬で、2018年にイタリアのSiepiで3勝を挙げているように、イタリアSiepiにおいて主に使われてきた馬で、これがポーランドHurdleでは初参戦であった。

 

〇 Nagroda 20000 zł (10000-4000-3000-2000-1000)

Cykl gonitw z przeszkodami dla 4-letnich koni. Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 4-letnich koni. (Replay)

1. Neapol J: Pavel Peprna T: Kazimierz Rogowski

障害手前で減速する仕草を見せたのを嫌ったのか、ある程度強引にFilipが逃げる展開だが、Hurdleコースに入った後に躓いたのか騎手が落馬。これを捉えに行ったAvestanが先頭に代わるが、後ろから忍び寄っていた地元のNeapolがこれを捉えて勝利した。NeapolはSteeplechaseはこれが初勝利とした。2020年の7月からSteeplechaseは使っているのだが、3戦してさっぱり良いところはなく、やや驚きの勝利と言ったところ。Avestanはまたもや勝ち切れず2着。この中では比較的力上位のFilipは途中から頑張って騎手が押っ付けて走らせていたのだが、残念ながらもったいない落馬で、落馬した騎手はそれなりにがっかりしていたようだ。もっとも、この4歳世代Steeplechaseの上位勢は出走しておらず、レースの全体的な水準としては微妙なところだろう。

 

Nagroda Tiumena 20000 zł (10000-4000-3000-2000-1000)

Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. (Replay)

1. Her Him J: Složil ml. Pavel T: Porkátová Ivana

最終障害を越えて先頭に立ったHer HimがNickを抑えて勝利した。Her HimはこれがポーランドのSteeplechaseでは初勝利とした。元々はフランス調教馬だが、チェコ国内ではSteeplechaseの下級条件戦で好走するも勝利を挙げられず、これが初勝利となる。まだ5歳と若い馬だけにこれからに期待したい。地元のNickが2着で、昨年はWielka Wrocławska Nagroda Portu Lotniczego Wrocławの3着とそれなりに頑張ってきた経歴もある。もったいなかったのがこのコースでのベテランであるLe Grandで、残念ながらコースを間違えて試合終了した。一頭間違ったコースで寂しく障害を飛越している姿はなかなかに哀愁が漂っている。本来このメンバー相手にはそれなりに威張れる能力を持った馬であり、次に期待したい。

 

10/3(金)

Gowran Park (IRE) Good

Pat Walsh Memorial Irish EBF Mares Hurdle (Listed) 2m (Replay)

1. Buildmeupbuttercup J: Paul Townend T: Willie Mullins

残り2障害辺りで先頭に立ったBuildmeupbuttercupがそのままPhythm Divineを凌いで勝利した。BuildmeupbuttercupはこれがHurdleは3勝目となる。今年の8月にもGMHD Mares Hurdle (Listed)の勝利があり、調子はいいようだ。ただしあくまで牝馬限定戦ならではといったところで、これ以上相手が強くなるとやや分が悪いところがありそうで、この路線を主に使うことになりそうだ。日本産馬のFujimoto Flyerも出ていたが、どうにもお行儀が悪く第4障害で躓いて落馬に終わった。AuteuilではWant Of A Nailを9馬身千切ってきた実力馬だが、ここ2戦連続で落馬に終わっている点はやはり気になる。

 

Honzrath (GER) normal

Grosser Hindernispreis des Saarlandes 3400m (Replay)

1. Wutzelmann J: Pavel Slozil T: Anna Schleusner-Fruhriep

今年ドイツ国内で行われる唯一の障害競走だが、ダートコースを使用する障害競走は世界的に見てもここHonzrath競馬場のみであり、大変珍しい競争である。レースはスタート直後から積極的に先頭に立ったWutzelmannがそのままあっさり押し切り勝利した。Wutzelmannは今年はBro ParkのH M Konungen Prisから連勝とした。昨年はKrefeldのHerbert Cohn Gedächtnis-Jagdrennen、HonzrathのGroßer Hindernispreis des Saarlandes、QuakenbruckのPreis der Fa. JCK Holding - Altes Artländer Seejagdrennen,、Bad HarzburgのPreis der Bauwirtschaft - Bad Harzburger Seekönig等と、ドイツ国内の障害競走ではトップクラスの活躍を見せていた馬で、75kgと他馬と比べると10kg近く重い斤量を背負ったここでも貫禄の勝利であった。飛越技術は走路がダートコースであっても終始安定しており、ここでは抜けた技術を持っていた。今後の動向は不明だが、いずれにせよ今年はコロナウイルス感染症の影響で減少したドイツ国内の障害競走が復活し、この馬の活躍の場が増えることを期待したい。これが久しぶりの障害競走となったZuckerprinzは頑張って勝ち馬について行き2着に入った。

 

10/4(土)

Gowran Park (IRE) Good

PWC Champion Chase (G2) 2m4f (Replay)

1. Easy Game J: Paul Townend T: Willie Mullins

ゆるゆると逃げたEasy Gameがそのまま勝利した。Easy GameはこれでTramoreのEy Chaseから連勝とした。今年の夏はGalway Plate (Grade A)を使い大敗しているが、本来能力の高い馬だけあって、今回のような純粋な能力比べであれば上位のようだ。ここのところHurdle、Chaseの平場戦を2連勝してきたThe Storytellerが2着に入ったが、前半やや微妙な飛越が多くあったのが気になった。遡れば重賞勝ちもある馬だが、本来の実力としてはこのくらいだろう。

 

Nakayama / 中山 (JPN) Firm

〇 Maiden / 障害3歳以上未勝利 2800m

1. マイネルパラディ J: 白浜雄造 T: 田所秀孝

先に抜け出したディードをゴール直前でマイネルパラディが捉えて勝利した。マイネルパラディ自身は障害競走は2戦目での勝ち上がりとした。平地競争では3勝クラスまで駒を進めた馬で、さすがに平地部分でのスプリント能力は目立っていたが、勝負所でやや加速が十分でなかった点が気になった。とはいえこれが障害2戦目であり、今後の飛越技術の向上に期待したい。4歳馬ディードはほぼ勝ちに等しい内容での2着。平地のスピードには乏しい馬で、上がりの掛かる競馬の方が良いだろう。ヒドゥンパラメータは人気になっていたが、どうにも終始制御を欠いて走る場面が目立った。

 

10/5(日)

Tipperary (IRE) Yielding to Soft

Joe Mac Novice Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Shewearsitwell J: Paul Townend T: Willie Mullins

残り2障害辺りから抜け出したShewearsitwellが8馬身差の快勝とした。ShewearsitwellはこれでHurdleは2戦2勝とした。あまり見ないClosutton Racing Clubという馬主の馬だが、どうやら最近参入してきたようで、Willie Mullins厩舎に主に馬を委託しており、ここまで3頭中2頭が勝ちあがりと上々の滑り出しを見せているようだ。Shewearsitwellは終始低く抑えられた飛越が特徴であり、少なくともこのような馬場におけるスピード勝負では良い物を持っている印象がある。Goodbye Somedayはここでは実績上位の馬だが、今回は少々相手が悪かった。

 

Horse & Jockey Hotel Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Saint Roi J: Mark Walsh T: Willie Mullins

残り2障害辺りから外をまくって出てきたSaint Roiがそのまま快勝。Saint Roiは比較的経験の浅い馬だが、これでHurdleはMaidanから3連勝とした。Cheltenham FestivalではいきなりCounty Hurdleを制した能力の高い馬で、今シーズンの活躍が非常に楽しみになる勝利であった。飛越の点では若干微妙なところは残っていたが、Djingleがかなりゆったりと逃げた展開の中、5馬身差をつける勝利はここでは力が違ったといってよいだろう。元々Joseph O'Brien厩舎にいたTigris Riverは転厩してから馬が元気なようで、前半はもたもたと飛越する場面はあったが最後頑張って追い上げて2着まで来た。元々の能力は高い馬で、近年はすっかりスランプに陥ってしまっていたのだが、本来であれば重賞クラスでも戦えた可能性がある。9歳と年齢は重ねているがどこかで一度くらいいいことがあって欲しい。

 

Like A Butterfly Novice Chase (G3) 2m (Replay)

1. Galvin J: Davy Russell T: Gordon Elliott

最終障害手前で抜け出したGalvinがそのまま勝利した。GalvinはこれでChaseは3連勝とした。Hurdleでは3連勝でBallymore Novices' Hurdle (G1)にも挑戦した能力の高い馬だが、昨シーズンからChaseを使うも未勝利に終わっていた。今年の夏は精力的にChaseを使っており、メンバー的にはだいぶ楽になった面もあるが3連勝と勢いに乗っている。やはり経験馬らしく安定した飛越はここでは目立っていたが、メンバー的には前走下してきたWaitnseeが相手と、かなり楽であったことは気を付けた方がいいだろう。

 

Segre (FR) Souple (3.7)

〇 Prix Imprimerie Blin

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu 10.000 (victoires et places) 4300m (Replay)

1. So French J: Mr Leo-Paul Brechet T: Guillaume Macaire

好位から抜け出したSo Frenchが2馬身ほどの差をつけて勝利した。So Frenchは2016-17年のGrand Steeplechase de Paris (G1)の勝ち馬で、かつてはフランスSteeplechaseにおいて大活躍を見せた馬なのだが、その後は故障等もあり、あまり順調にレースを使えていない。Steeplechaseは2017年のGrand Steeplechase de Paris (G1)以来の勝利とした。メンバー的にはかつてAuteuilで戦ってきた相手と比べると遥かに格下のメンバーであり、この馬自身も全盛期の姿とは大きく違うのだが、それでも無事に勝利を収めたことを喜ぶべきだろう。

 

Ellerslie (NZ) Dead4

〇 Corson Maisze Pakuranga Hunt Hurdle OPN HDL 3350m (Replay)

1. Aigne J: Dean Parker T: Kevin Myers

例によって葦毛のRevolutionが元気よく逃げる展開も、2周目からNo Tipが積極的に絡んでいく。最終コーナーからLake Superior、さらにTommyraが捲りにかかるが、さらに外からAigneが進出。内を立ち回って進出したDelegateを凌いで勝利した。

今年のニュージーランド障害競馬はコロナウイルス感染症の影響で開始が遅れたため、全体的にスケジュールが後ろ倒しになっている。従って10月のこの時期は本来ニュージーランド障害競馬が行われる時期ではないのだが、気候によるものかDead4とニュージーランド障害競馬では珍しいくらいの良馬場での開催となった。AigneはHurdleはこれで5戦4勝とした。前走のAwapuni Hurdleでも見せたように高いスピードを生かすタイプで、この良馬場は向くのだろう。Heavy11でも距離次第では対応してしまうだけの能力は持っているのだが、本来はこのくらいの馬場の方がよさそうだ。Hawke's Bay Hurdle (PJR)で5着に入ったDelegateは人気がなかったがここでも頑張った。Revolutionはいつも通り前で元気よく運んだが、さすがにあれだけNo Tipに絡まれてはどうしようもない。

 

CLC Pakuranga Hunt Cup (PJR) OPN STP 4900m (Replay)

1. Magic Wonder J: Barry Donoghue T: Jo Rathbone

Zedman、Zamora、Old Countessなどが飛ばす展開も、2周目のEllerslie Hillを下り降りたあたりから先頭に立ったMagic Wonderがそのまま6馬身差の快勝とした。Magic Wonderはこれで前走のRST OPN STPから連勝とした。前走はSlow9において今までとは打って変わっての積極策が嵌ったような印象もあったのだが、今回は横綱相撲での勝利であった。Dead4の良馬場において比較的低くスピードに乗せた飛越が目立っており、この条件が向いたといってよいだろう。距離は伸びるが、この良馬場に適性がある馬としてGreat Northern Steeplechaseでも期待したい。Southern Coolは全く人気がなかったが2着まで。MDNを勝ったばかりの馬だが、MDN勝ちの際もSlow9であったように、現状この条件での適性を最優先に考える必要があるかもしれない。もっとも、来年以降通常の時期に開催が戻るとすると、今年良馬場においてパフォーマンスを上げてきた馬は総じて疑ってかかる必要が生じる可能性は考慮に入れるべきだろう。3着にはNapoleon、4着にはGrinnerと続いた。オーストラリア帰りのShamalは後方から足を伸ばすも5着まで。Wise Men Sayは後方で頑張って馬群について行っていたが、さすがにこの条件は気の毒であった。