にげうまメモ

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20/10/11 Czech Racing - Velká Pardubická Entries

*Pardubice (CZE)

130. Velká Pardubická se Slavia pojišťovnou

Steeplechase Cross Country Listed - 6yo+ - 6900 m - 3,000,000 Kč

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出馬表はこちら

 

いわゆるチェコのあれ。日本語では「ヴェルカ・パルドゥビツカ」と表記されることが多いものの、チェコ語の発音では「ヴェルカー・パルドゥビツカー」の方が正確である。上の写真はRathlin Roseが真ん中に見える通り去年のもの。チェコ競馬及びVelká Pardubickáに関する詳細は下記リンクから。チェコ競馬に関する情報の入手先や、中継サイトのリンクもあるので遊んでみてください。"Country"の項の"Czech Republic"、または"Principle Races"の"Velká Pardubická"のページをご覧ください。

 

昨年の結果。地味に現地にいました。もう少しラフな旅行記は上記webサイトで。

 

上記のホームページに記載されている通り、Velká Pardubickáにおいてチェコ及びスロバキア調教馬は年に4回行われるQualification Raceにおいて完走することで出走権を得る(前年の勝ち馬は無条件で出走可能)。コロナウイルス感染症の影響で例年と比べると開催時期の変更はあったものの、今年はここまで4回のQualification Race(kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou)が行われている。それぞれの振り返りは以下の記事で。

第1回第2回第3回第4回

 

 

1. All Scater J: Veronika Škvařilová-Řezáčová T: Jana Řezáčová 70kg

https://www.pedigreequery.com/all+scater

牝系としてはもともとロシアにルーツを有する血統で、現在はチェコの土着血統といったところ。父系としてはもはや絶滅寸前のTourbillon系の中の、しかもTornadoから連なるScaterの産駒である。Tourbillon系はDjebelを経由する系統が殆どで、日本でお馴染みシンボリルドルフ及びトウカイテイオーの父系もDjebelからMy Babuを経由する系統なのだが、このTornadoから連なる父系はDjebelとは独立して分岐している稀少な血統であり、概ねポーランドチェコで細々と繋がっているようだ。チェコPardubiceのCross Countryでも活躍したScaterは種牡馬として、2015年のVelká Pardubickáで1位入線を果たすも、その後禁止薬物が検出されたことで失格となった悲運の名馬Nikasを輩出し、一定の成功を収めている。

上記の通り世界的にも非常に貴重な血統の出自ではあるのだが、All Scater自身は障害競走馬としては残念ながら目立った成績はなく、ここまで障害競走は合計17戦して未勝利、2016年のkat. III.のCross Country競走における2着が最高といったところで、近年はほぼ着外と冴えない成績である。今年初戦にCross Country競走としては下級クラスとなるIV. kat.において10着と大敗したのち、何を考えたのかVelká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)に参戦し、なんとか完走を果たしてここへの出走権利を獲得するも、前評判としては圧倒的最低人気、着順も勝ち馬からは12秒近く離された最下位と絶望的な成績であった。ここまでの実績から考えると、いくらなんでもここでいきなり勝負になるとは思えない。馬主のDS Řezáčová-Mikuleはこの馬が唯一の所有馬らしく、10歳とそれなりの年齢になるこの馬にとっては記念出走的な意味合いの強いレースだろう。女性騎手Veronika Škvařilová-Řezáčováはこの馬の主戦騎手だが、Velká Pardubickáはこれが初参戦となる。

 

2. Lodgian Whistle J: ž. Jaroslav Myška T: Štěpánka Myšková 70kg

https://www.pedigreequery.com/lodgian+whistle

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父Silver Whistleは、Cozzene、Caroに連なる血統で、アメリカ生産馬だが現在はポーランドで繋養されているようだ。ポーランドチェコにおいてさほど目立った産駒はなく、Lodgian Whistleが代表産駒と言ってよさそうだ。母Lodgiaはアイルランド産馬で、Lodgian Whistle自身はチェコ生産馬だがあまり血統的に地元色は強くない。

Lodgian WhistleはPardubiceのCross Countryはここまで4戦とさほど経験は多くはないのだが、その数少ないPardubiceの実戦経験の中で昨年のCena společnosti VCES a.s. – Cena Labe (Stcc L)を制した上り馬である。今年は7月のCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)において、Irish Bankで出走馬14頭中唯一の落馬に終わるという悲しい結果となったが、その後のCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)では見事勝利を収め出走権利を獲得した。ただし、同レースは超の付くスローペースで実績馬がどうにもいまいちなパフォーマンスに終わったということもあり、昨年のCena Labe (Stcc L)自体も少頭数で強力なメンバーは不在であったことを考えると、ややいきなりここに入ると相手関係の面からは不安が残る。フランスWissembourgのSteeplechaseで勝利もあるのだが、やはりPardubiceのCross Countryの経験が少ないのは不安な材料である。勢いや潜在能力という面であれば魅力的であるが、その反面不安材料も多い一頭だろう。Jaroslav Myškaはこの馬の主戦騎手。1996年から騎乗しているベテラン騎手で、毎年コンスタントに10勝前後を上げている人だが、Velká Pardubickáの勝ち鞍はない。

 

3. Hegnus J: ž. Lukáš Matuský T: Radek Holčák 70kg

https://www.pedigreequery.com/hegnus

チェコ産馬。父MagnusはRibotTom Rolfe、さらにはHoist the Flagからなる父系の出身である。Magnusの父Japeはアメリカ生産馬だが産駒はポーランドチェコで走っており、血統的にはこの地域ならでは血統となるのだろう。母系は古くからチェコ・スロバキアに根差した土着血統である。

今年で12歳になるベテランHegnusは、Velká Pardubickáへの参戦はこれが3回目となる。2015年のCena Labe (Stcc L)を勝って一躍チェコCross Countryの有力馬に躍り出た馬だが、その後はVelká Pardubickáへの参戦を中心にコンスタントに活躍を続けており、Velká Pardubickáは2016年は5着、2018年は2着と、そのいずれにおいても好成績を残している。上記の通り今年で12歳となかなかに年齢は重ねているが、今年のCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)においても昨年のチャンピオンであるTheophilosを僅差まで追い詰める2着に入るなど、その能力に衰えはない。2017年からこれで7戦連続で連対を外さない抜群の安定感を誇っており、当然PardubiceのCross Countryの経験も豊富である。最有力の一頭だろう。12歳と年齢的にはそろそろラストチャンスに近いが、悲願のVelká Pardubická制覇に向けて視界良好である。Lukáš Matuskýはチェコのトップジョッキーの1人だが、この人もVelká Pardubickáの勝ち鞍はない。この馬とは初コンビになる。

 

4. Bugsie Malone (IRE) J: Adam Čmiel T: Radek Holčák 70kg

https://www.pedigreequery.com/bugsie+malone

アイルランド産馬で、Sadlers Wells、Galileoの直系のMahlerを父に持つ。2007年のQueen's Vase (G3)の勝ち馬であるMahler自身はNational Hunt Sireとして繋養されており、目立った産駒としては2019年のDoom Bar Maghull Novices' Chase (G1)勝ちのあるOrnua、2020年Red Mills Chase (G2)勝ちのあるChris's Dreamなどを輩出している。

Bugsie Malone自身は元々イギリス障害競走で比較的長く走ってきた馬で、重賞クラスに参戦した経歴はないものの、障害では主にC3辺りで24戦して合計5勝を挙げている。どちらかというと良馬場で、3マイル程度の距離を得意としていたようだ。2019年からチェコに移籍しているが、チェコ移籍初戦となったLysá nad Labem競馬場のMemoriál Evy Palyzové o Pohár Hejtmanky Středočeského Kraje (Stcc I. kat.)では3着、イタリアMeranoのPremio Creme Anglaise (Listed)ではのちにGran Premio Merano (G1)を制すことになるL'Estranからさほど離れていない5着とそれなりに頑張っており、その後はGran Premio Merano (G1)にも参戦したようだ。今年はCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)で完走して出走権利を得たのだが、同レースでは勝ち馬から4秒近く離された9着、その後のCena společnosti SEKO AEROSPACE (Stcc II. kat.)では落馬と、あまり冴えない成績に終わっている。イギリスにおいてChaseを含む実戦経験は豊富な馬であり、イタリアMeranoの難易度の高いSteeplechaseもこなしてきた10歳馬の経験に期待したいところだが、やはりPardubiceのCross Countryの経験が2戦しかなく、そのいずれにおいても実績を残せていないというのは大きく割り引く材料だろう。イギリスSteeplechaseは比較的高さのある正確な飛越を要求する反面、さほどスピード能力を要求しない傾向を踏まえると、この馬の実績や10歳という年齢を考えると、ここに入るとスピード能力の面で不安が残る。鞍上のAdam Čmielはここ数年で勝ち星を伸ばしつつある若手騎手。Velká Pardubickáはこれが初参戦となる。

 

5. Catch Life (ITY) J: ž. Niklas Lovén T: Radim Bodlák 70kg

https://www.pedigreequery.com/catch+life

なんとイタリア産馬。イタリアの馬産は現在危機的な状況にあり、この馬は貴重なイタリア産馬である。Catch Lifeは、Dancing BraveWhite Muzzleの系統でお馴染みのLyphardの孫で、カナダにて3回ものSovereign Awardsを獲得した名馬Rainbows For Lifeを父に持つ。Rainbows For Lifeは種牡馬として大成功を収めており、1999年のチェコダービー・スロバキアダービーを制したRay of Lightや、2007、2008とVelká Pardubickáを連覇したチェコの名牝Sixteenを送り出している。

Catch Lifeは長らくイタリア・スロバキアチェコ障害競走で頑張ってきた馬で、過去にはスイス・ポーランドへの参戦歴もある。2015年のPremio VI Steeplechase Di Treviso (Listed)の勝ち星もある実績馬だが、12歳となった今年もスロバキアBratislavaの47. Jarná cena Petržalkyで勝利を挙げるなど、この馬なりに元気なようだ。今年はCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)にてLodgian Whistleの2着、Velká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)にてSottoventoの4着とキャリアハイの活躍を見せているが、その実前者は超の付くドスローでなだれ込んだもの、後者は期待されていた実績馬がさっぱり走らなかったというレースであり、どうにも内容的にはいまいち額面通りには評価できないものである。やはりPardubiceのCross Countryにおける一線級相手だと厳しい感もあるのだが、各国の障害競走を転戦してきた経験と円熟した飛越技術を生かした競馬に期待したい。ペースを上げて逃げる戦法が特徴のBridgeurが回避したことも、スピードに不安のあるこの馬にとってはプラスだろう。Niklas Lovénはスウェーデンの名手であり、その卓越した騎乗技術に不安はない。

 

6. Casper (FR) J: ž. Sertash Ferhanov T: Čestmír Olehla, MVDr. 70kg

https://www.pedigreequery.com/casper14

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フランス産馬で、フランス・イギリス・アイルランド障害競走で多数の活躍馬を送り出している名種牡馬Martalineの産駒である。Martaline自身、イギリスでは2014年のRyanair Chase (G1)や2012年のKauto Star Novices' Chase (G1)勝ちのあるDynasteを送り出しているが、ゆったりとしたストライドを武器に走る産駒が多いためどちらかというとフランス障害競走に適性があるようで、2015年のPrix Ferdinand Dufaure (G1)の勝ち馬Kotkikovaなど、その活躍馬は枚挙に暇がない。

Casper自身、元々はチェコ調教馬ながらフランスのSteeplechaseを中心に使ってきており、PardubiceのCross Countryはこれが9戦目とやや実績的には乏しい馬だが、昨年のCena hejtmana Pardubického kraje – Cena Vltavy (Stcc NL)においてEvženの2着もある。Evženは今年のVelká Pardubickáへの出走はないものの、現時点においてここまでCross Countryでは7戦6勝と素晴らしい成績を残している実力馬であり、非常に将来有望な障害馬である。上記のレースにおいてそのEvženから3馬身差の2着に入ったことは誇るべき成績だろう。この馬はこれがVelká Pardubickáは初参戦で、どちらかというと上り馬といった立ち位置である。今年は7月のCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)で6着に入って出走権利を得た。当時の成績を踏まえるとやや一線級相手だと厳しい感もあるのだが、8月のCena společnosti SEKO AEROSPACE (Stcc II. kat)では上記Evženの2着もあり、この馬自身の調子はいいようで、若い馬が一度Qualification Raceを経験しての上がり目に期待したい。課題は初距離と相手関係になるだろう。Sertash Ferhanovは2018年に年間27勝と大きく勝ち星を伸ばした騎手だが、Velká Pardubickáではあまり良績がない。Casperとはこれが2回目のコンビとなる。

 

7. Mazhilis (FR) J: ž. Jiří Kousek T: Josef Váňa st. 70kg

https://www.pedigreequery.com/mazhilis

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日本にもわずかに産駒が輸入されているCountry Reelの産駒。元々はイタリアMeranoのSteeplechaseを中心に走っていた馬で、イタリアSteeplechaseにおける最高峰であるGran Premio Merano (G1)を2016年に制覇した名馬である。2016年の同レースはイタリア・チェコのみならず、ドイツやアイルランドからも参戦馬を集めており、非常に国際色豊かでハイレベルなレースであった。その後も2017年のGrande Steeplechase D'Europa (G1)ではフランスの快速牝馬Stylineの3着に入るなど活躍を続けたが、ややイタリアSteeplechaseでは頭打ち気味となり、2018年からはPardubiceのCross Countryに参戦してきている。

Velká Pardubickáはこれが2回目の参戦となる。昨年のVelká Pardubickáではやや勝負所で加速しきれない部分があった分、やや勝ち馬からは後れを取ったものの、結果的には4着に善戦している。一方で今年はQualification Raceを2回使い、Cena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)では7着、Cena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)では5着と、勝ち切れないまでもコンスタントに善戦を続けていた昨年までの成績と比較するとどうにもぱっとしない着順に終わっている。ここへのプレップレースと思われた前走のCena společnosti SEKO AEROSPACE (Stcc II. kat)でもまさかの落馬に終わっており、11歳となった今年に入ってそろそろ年齢的な衰えがあるかもしれない。この馬最大の武器である持続的なスピード性能を最大限に生かすための強気に立ち回るレース運びをすれば、元々の能力であれば勝ち切るまでの可能性を秘めた馬ではあるのだが、近走成績を鑑みると少々不安の方が大きいのが現状だろう。Jiří Kousekとはこれが3回目のコンビとなる。この人自身Velká Pardubickáの勝ち鞍はないのだが、Pardubiceの経験自体は豊富である。ただし、本来この人はAnge Guardianの主戦騎手であり、同馬の出走が叶わなくなったためこちらに回ってきたという可能性も考えられる。

 

8. Sottovento (GER) J: ž. Jan Kratochvíl T: Josef Váňa st. 70kg

https://www.pedigreequery.com/sottovento2

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Fastnet Rockはオーストラリア生産馬で、オーストラリア2014年シーズンのリーディングサイアーに輝いている。DanzigDanehillに連なるこの種牡馬は、Danhill系の中でもFastnet Rock系として多数の後継種牡馬を送り出し、素晴らしい成功を収めている。一方で障害競馬における存在感はあまりなく、障害競馬における活躍馬は2018年のWKD Hurdle (G2)を制したBedrockがいるくらいだが、同馬は既にアイルランドからアメリカに輸出されている。SottoventoはFastnet Rock産駒としてはチェコで最も成功を収めた競走馬である。

Sottoventoは昨年のCena Labe (Stcc L)で3着に入った実績はあるものの、今年のCena města Pardubic - II. kvalifikace na Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)においてAnge Guardianの僅差の2着に入り、一躍有力馬の仲間入りを果たした。Ange GuardianはQualification Raceを生涯で5勝した名馬で、残念ながらTrezorの記録を破る6勝目を狙った今年のVelká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)においてレース中の事故が原因で亡くなってしまうのだが、そのレースを制したのはSottoventoである。今年で12歳となったベテランAnge GuardianのQualification Raceにおける安定感は現役屈指のものがあり、このAnge Guardianに対してQualification Raceにおいて僅差の2着という成績の価値は非常に高い。また、上記の通り勝利したVelká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)においても盤石の走りを見せており、上述Ange Guardianの事故は残念であったものの、新たなスターホースの誕生を予感させるものであった。今年特に力をつけてきた馬で、今年の上り馬の中では最有力の一頭だろう。ここ5~6年ほどで頭角を現してきた若手Jan Kratochvílはこの馬とは過去に何度かコンビを組んでいる。調教師のJosef Váňaは騎手としてVelká PardubickáはŽelezník(1987-1991)、Vronsky(1997)、Tiumen(2009-2011)で計8回、調教師として2020年の時点で計10回制している、チェコ競馬界におけるレジェンド中のレジェンド。今年はこの馬に加えてTheophilos、No Time To Lose、Mazhilisといった強力なメンバーを送り込んでいる。

 

9. Dulcar De Sivola (FR) J: Josef Borč T: Stanislav Kovář 70kg

https://www.pedigreequery.com/dulcar+de+sivola

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フランス産馬。父Assessorは2000年台にイギリスで活躍したMy Way De Solzen(2007 Arkle Challenge Trophy (G1)等)やReve De Sivola(2012-14 Long Walk Hurdle (G1))などの活躍馬を輩出しており、一定の成功を収めたNational Hunt Sireである。ただしAssessor自身は2012年に死亡しており、Dulcar De Sivolaはその残った産駒の一頭となる。

Dulcar De Sivolaは元々はフランス調教馬で、2018年のチェコ移籍後、これが2回目のVelká Pardubická参戦となる。現時点でPardubiceのCross Countryでは未勝利だが、今年はCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)において人気薄ながらTheophilosの4着に頑張っており、昨年のQualification Raceではさっぱり良いところがなかった状況と比較すると進境を伺わせるレースを見せた。おそらく後方から捲り上げていくスタイルになると思われることから、展開に左右される可能性は否めないが、昨年のVelká Pardubickáにおける9着からの前進を期待したい。Josef Borčはこの馬の主戦騎手だが、2018年8月以来勝ち星がない。

 

10. Stretton J: ž. Marek Stromský T: Stanislav Popelka 70kg

https://www.pedigreequery.com/stretton2

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父のHouse Rulesはアメリカ生産馬。2008年のVelká cena města Pardubic - XVI.ročník - I.kvalifikace na Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc NL)を制し、この時期のチェコ障害路線を沸かせたAmant Grisをはじめ、チェコ競馬における活躍馬を送り出している。

StrettonはこれでVelká Pardubickáは3回目の参戦となる。2018年は3着、2019年は2着と非常に安定した成績を残しており、Velká Pardubickáの条件に適性を有する馬であることは間違いない。今年はCena města Pardubic - II. kvalifikace na Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)では勝ち馬Ange Guardian及び2着馬Sottoventoからはやや離れた4着、その後のCena DENÍKU PRÁVO (Stcc II. kat)でも5着とややぱっとしないが、昨年も前哨戦は微妙な内容からいきなり本番になってパフォーマンスを上げてきたことを考えると、前哨戦の内容はあまり気にしなくてよいだろう。チェコCross Countryにおいてこのレース以外には存在しない6000メートルクラスの距離に適性があると考えられること、さらにここまで障害は合計25戦して一度も落馬がない安定した成績も魅力である。チェコのベテラン騎手Marek Stromskýは長年チェコを始めとする障害競馬で活躍してきた人だが、1位入線のNikasが禁止薬物の検出で失格になったり、1位入線のAmant Grisが走路を間違えていたとして失格になったり、とにかくVelká Pardubickáとは縁がない。悲願のVelká Pardubická制覇に向けて期待がかかる。

 

11. Mahony J: ž. Hakim Tabet T: Stanislav Popelka 70kg

https://www.pedigreequery.com/mahony2

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父Look HoneyはSadlers Wellsの直系で、フランスにおいてPrix Eugene Adam (G2)の勝ち鞍がある。チェコでは2016年のVelká Pardubickáの勝ち馬Charme Look、2018年のCena Vltavy (Stcc NL)の勝ち馬Izynka、2019年のWielka Wrocławskaの勝ち馬Rekiなどを輩出しており、チェコポーランド障害競走において非常に成功した種牡馬と言えよう。ただし既に種牡馬生活を退いているようだ。

Mahonyは昨年のCena Labe (Stcc L)で、未勝利馬がならフランスのUnbrin De L'Isleなどを抑えて驚きの勝利を上げた馬。しかしその後はどうにもいまいちで、昨年のVelká Pardubickáに参戦するもTaxis Ditchにて早々に落馬に終わっており、今年のCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)でも勝ち馬からは少々離された5着と、いまいち冴えない成績に終わっている。ここに向けての前哨戦と思われたCena společnosti SEKO AEROSPACE (Stcc II. kat)でもまさかの落馬に終わっており、8歳とまだ若い馬だけに伸びしろに期待したいところではあるのだが、相手関係や近走成績から考えるとどうにも強調しづらい。フランスの騎手Hakim Tabetとは初コンビになるが、Pardubiceでの騎乗機会に乏しい点が不安材料だろう。

 

12. Rebelino (FR) J: ž. Thomas Boyer T: Luboš Urbánek 70kg

https://www.pedigreequery.com/ribelino2

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Truth or Dareの代表産駒の一頭。Truth of DareはNearcticNorthern DancerNijinskyの直系で、Royal Academyの直仔となる。Truth or Dareの牝系はさかのぼるとフランスの名牝Riverqueenに連なる血統で、Riverqueenは日本でローザネイから連なる薔薇一族の始祖となった牝馬である。Truth or DareはRebelinoの他、フランス・イギリスのCross Countryで活躍し、2017年のVelká PardubickáでNo Time To Loseの2着に入ったUrgent De Gragaineも送り出している。Urgent De Gragaineは今年のVelká Pardubickáにも登録があったのだが、残念ながら参戦は叶わなかった。

Rebelinoは2015年のVelká Pardubická (Stcc L)の勝ち馬だが、同レースは1位入線のNikasが禁止薬物が検出されたため失格になった結果による繰り上がりの勝利であり、Rebelino自身は2位入線である。2014年まではさっぱり目立った成績はなかったのだが、2015年にはÚvodní cross country Koroka (Stcc I. kat.)において当時チェコCross Countryにおける有力馬Universe of Gracieを下して勝利、さらにVelká cena města Pardubic XXIII.ročník - I. kval.na 125. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou (Stcc NL)でもそのUniverse of Gracieを相手に僅差の2着と踏ん張り、一躍この路線の有力馬へと躍り出た。しかし2016年以降は体調面・気性面等での問題が払拭できないまま、一気に頂点まで上り詰めた2015年当時の走りを取り戻せずにいる。12歳となった今年も、Cena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)では勝ち馬から10秒近く離された11着、Velká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)でもやはり勝ち馬から大きく離された5着と、さっぱり勝負に加われていない。そもそも2015年のVelká Pardubickáを繰り上がりで勝利したのち、ここまで合計して障害競走16走を戦っているが、まともに勝負に加わることができたレースは1走もない。途中長い休養を挟みながらここまで頑張って現役を続行した理由は不明だが、いずれにせよここでどうこうと言うのは厳しいだろう。Thomas Boyerとは3回目のコンビとなる。

 

13. Vandual (SVK) J: ž. Romain Julliot T: Marián Štangel 70kg

https://www.pedigreequery.com/vandual

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上述のRainbows For Lifeの産駒。今年唯一のスロバキアからの参戦馬となる。Vandualは遡るとスロバキアのSaint Leger (Rovina L)を勝利した馬。Cross Countryの実績は2015年にCena Komerční banky (Stcc II. kat)を勝利したのが目立つ程度だが、今年はVelká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)においてSottoventoの2着に入り、古豪健在ぶりを見せた。ただし同レース自体有力馬がいまいちなパフォーマンスに終わったことを踏まえると、昨年のVelká Pardubickáにおいて前からはそれなりに離された8着に終わったこの馬が、12歳になって急激に力をつけてきたというのもやや考えにくい。また、これまでにも2015年のCena Labe (Stcc L)においてHegnusから13馬身差の3着に入った実績を有することも考えると、この路線の一線級からは少々差のある立ち位置というのが現状だろう。これでVelká Pardubickáは3度目の挑戦となり、過去2回においていずれも8着とこの馬なりに頑張ってはいる。上記のように平地競争での活躍に加え、障害はここまで21戦を消化し、その一度も落馬がないという素晴らしい成績の持ち主であり、このようにコンスタントに頑張ってきたベテランホースにはなんとか良いことがあって欲しいのだが、やはりこれ以上を望むのは厳しいだろう。Romain Julliotは初のPardubice参戦となる。

 

14. Player J: ž. Marcel Novák T: Lenka Kvapilová 70kg

https://www.pedigreequery.com/player8

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父Moonjazはイギリス産ながらチェコに輸出された種牡馬で、2014年のVelká Pardubickáで3連覇を狙った伝説的名牝Orphee Des Blinsを僅差まで追い詰めたAl Jazなどを輩出している。

Pleyerは2017年のCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice a.s. - Cena Jana Kašpara (Stcc NL)の勝ち馬で、当時の5歳世代としてはトップクラスの活躍を見せた馬である。昨年のVelká Pardubickáに参戦するも、悲しいことに急カーブで滑って転倒に終わっており、これが2回目の挑戦となる。今年7月のCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)ではTheophilos、Hegnusに次ぐ3着に入っており、一線級相手にも戦えることを示した。その後はCena DENÍKU PRÁVO (Stcc II. kat.)で2着に入っての参戦となるが、同レースの勝ち馬MustamirはSteeplechaseで実績のある高いスピード能力を持つ相当な素質馬であり、その馬に対して1kgの不利がありながらも僅差の2着に入ったこと、及び4500メートルクラスのスピードにも対応したことはむしろプラスに考えるべき内容だろう。昨年はあえて追加登録してまで出走してきた経緯もあり、不気味な一頭である。鞍上はこの馬の主戦で、チェコ障害競走ではベテランのMarcel Novákを確保してきた。

 

15. Theophilos (FR) J: ž. Jan Odložil T: Josef Váňa st. 70kg

https://www.pedigreequery.com/theophilos

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日本でもちらほらその名前を見かけるElusive Cityの産駒。平地競争ではPoule d'Essai des Pouliches (G1)を制し、アドマイヤビルゴの母として知られるElusive Waveを輩出するなど非常に成功した種牡馬のようだが、イギリス・アイルランド・フランス障害競走においてはさほど活躍馬は出していない。チェコにおいてVelká mostecká steeplechase (Stch NL)を2018年、2019年と連覇したほか、2018年ドイツのAlpine Motorenöl Seejagdrennenを制したPentre Elusifも代表産駒として挙げられる。

Theophilosは昨年のVelká Pardubickáの勝ち馬。今年に入ってもCena města Pardubic – EURO EQUUS – I. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)において12歳のベテランHegnusに対して競り勝つなど馬の調子はいいようだ。8月のCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)ではまさかの4着に敗れているが、同レース自体超のつくスローペースで流れた面があり、この敗戦自体はさほど気にしなくていいだろう。もともと3000メートルクラスのCross Countryにも対応できるスピードを有する馬であり、今年に入って順調にレースを消化していることもプラス材料。連覇が期待される。主戦のJoseph Bartošが怪我のため乗り代わりとなり、Jan Odložilとは久しぶりのコンビとなる。

 

16. No Time To Lose (GB) J: Jakub Kocman T: Josef Váňa st. 70kg

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父Authorizedは日本でもバンデをはじめ産駒がかなり走っている。産駒の平地競争での成功はいわずもがな、障害競馬においてもGrand National (G3)を連覇したTiger Roll、アイルランドHurdleにてG1を8勝し、稀代の怪物Faugheenに初めて土をつけた名馬Nichols Canyonなどを送り出しており、非常に成功した種牡馬と言えよう。

No Time To Loseは2017年のVelká Pardubickáの勝ち馬。不良馬場で各馬が追走に苦労する中、子気味良いテンポで飛ばし、一旦は後続にセーフティーリードと思われる大差をつけたフランス調教馬Urgent De Gragaineをゴール前で差し切ったパフォーマンスはまさに重馬場巧者のそれであり、チェコ調教馬の勝利を期待する地元のファンを大いに沸かせるものであった。表彰式でのUrgent De Gragaineの鞍上Felix De Gilesの憮然とした表情はなかなかに印象的であった。一方で2018年は良馬場に泣き5着、2019年は故障で回避とやや不甲斐ない結果に終わっている。今年はCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)を完走して権利を得たものの、結果は勝ち馬から大きく離された6着に終わっており、この馬にとってあまり得手ではない良馬場であったことを考えても、少々年齢的にズブさが出てきている感も否めない。今年はVáňa st. Josef調教師があえて2回も3000メートルクラスの距離のレースを使って馬に刺激を与えているのだが、前走のCENA VÝCHODNÍCH ČECH (Stcc II. kat)ではまさかの落馬に終わっている。11歳とやや年齢を重ねてきたことを考えると、条件次第で好走する可能性はあるものの、年齢的な衰えが出てきた可能性は考慮すべきだろう。若手騎手Jakub Kocmanとは初コンビ。この人自身、Velká Pardubickáは初参戦となる。

 

 

17. Tzigane Du Berlais (FR) J: ž. Jan Faltejsek T: Pavel Tůma 70kg

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欧州障害競馬ファンにはお馴染みのPoligloteの産駒。イギリスでJLT Melling Chase (G1)、Tingle Creek Chase (G1)を勝利した葦毛のPolitologueが良く知られているが、この馬もまたPoligloteの代表産駒である。Sadler's Wellsの直系からは、イギリス・アイルランド・フランス等の障害競走において素晴らしい種牡馬成績を残しているKayf Tara、Oscar、Milan、King's Theatreなどの名種牡馬が輩出されており、この馬もまた父系から考えるとヨーロッパ障害競走におけるエリートの出自である。

同馬は2018年のVelká Pardubickáにおいて、外から強烈な瞬発力を発揮して勝利した馬だが、昨年のVelká PardubickáではTaxis Ditchで早々に落馬、今年は8月末のVelká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)で復帰するも、終始もたもたと走り、結果としては前から大きく離された6着と、どうにも近走は冴えない成績である。昨年のVelká Pardubickáの直前の競走でも同様の負け方を見せており、どうにもここのところは馬のやる気の面で不安が残る。チェコのトップジョッキーであり、2018年にこのレースを制覇したときの鞍上Jan Faltejsekを確保できたのはプラス材料だが。

 

18. Talent J: ž. Martin Liška T: Hana Kabelková 70kg

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父のEgertonはドイツ生産馬で、ソングオブウインドアドマイヤメインが参戦したHong Kong Vase (G1)にも出走していた馬といえば少しは馴染みがあるかもしれない。現在はチェコで繋養されているようだ。Egertonの代表産駒としては、2015~17年頃にハンガリー障害競走において無敵を誇り、イタリアのGran Corsa Siepi Di Milano (G1)などでも2着と活躍したハンガリーの名馬Diplomataが挙げられる。ハンガリー障害競走は現在Kincsem Parkにおいて、月に1度、平易な障害を用いるHurdle競走が行われるのみとなっており、今後Diplomataのような名馬が輩出される可能性は残念ながら高くない。

Talentは昨年9月のCena města Pardubic – EURO EQUUS – IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)でのちにVelká Pardubickáを制すことになるTheophilosを6馬身千切って勝ってきた馬で、当然本番でも3番人気くらいには押されていたのだが、残念ながら前とはやや離れた7着に終わっている。今年はQualification Raceを2回走り、Cena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice, a.s. - III. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)では3着、Velká cena města Pardubic - IV. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Oktaviána Kinského (Stcc NL)でも3着とそれなりに頑張ってはいるのだが、後者に関しては勝ったSottoventoからはかなり離された入線に終わっており、昨年のような勢いがあるかと言われると微妙なところである。故障がちな馬が順調に使えているという点はプラス材料ではあるのだが、勢いのあった昨年も本番ではイギリスの名手Leighton Aspellが騎乗して大敗していることを考えると、現状では距離及び馬の調子においてやや不安が残る。ベテランMartin Liškaとは3回目のコンビとなる。