にげうまメモ

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20/10/25 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/10/19-10/25

10/20(火)

Exeter (UK) Good to Firm (Good in places)

〇 Maiden Hurdle (C4) 2m175y (Replay)

1. Shantou Express J: David Bass T: Kim Bailey

好位から抜け出したShantou Expressがそのまま23馬身差の快勝。Shantou ExpressはHurdleはこれが3戦目での勝ち上がりとした。C3クラスのNovice戦でも2着に入るなど素質を見せていた馬で、昨年AscotのNHF Listed競走でも3着に入っている能力の高い馬である。全体的にメンバーとしてはいまいちな相手ではあったが、能力の違いを見せつける勝利であった。飛越は全体的にややいまいちで、今後の向上が必要なものと思われる。

 

10/23(金)

Cheltenham (UK) Good

〇 Novices' Chase (C2) 3m80y (Replay)

1. Galvin J: Robbie Power T: Gordon Elliott

CheltenhamのThe Showcase Meeting。比較的メンバーの揃ったNovice Chaseは好位から抜け出したGalvinが勝利した。GalvinはTipperaryのLike A Butterfly Novice Chase (G3)を含む4連勝とした。やや飛越に怪しい部分は残っていたのだが、それでも最後はきっちりと脚を伸ばし切る辺りここでは力が上であった。Chaseはこれが2シーズン目となる馬だが、Chaseの勝ち星自体は今年の夏以降に挙げている。ただし、重賞クラスの瞬発力と言うよりはじわじわと長く脚を使うタイプであり、レース選択には気をつけた方がよさそうだ。Newton Abbotを中心にChase4連勝を上げてきたSoldier Of Loveが2着に入った。飛越技術は安定しており、現時点の完成度は高いものがある。HurdleではLeamington Novices' Hurdle (G2)勝ちのあるMossy Fenが3着で、この辺りは飛越技術の向上が必要だろう。KelsoのPremier Novices' Hurdle (G2)勝ちのあるClondaw Caitlinはややペースについて行くのに苦労する場面があり、この馬は重馬場で見直したい。昨シーズンはStayers' Hurdle (G1)まで駒を進めたAsk Dillonは前半のOpen Ditchで落馬に終わった。これがChase初戦と経験は少ない馬なのだが、やや位置取りが難しくなったことで強引な飛越を強いられた結果であり、とりあえず次に期待したい。

 

〇 Handicap Chase (C2) 1m7f199y (Replay)

1. Rouge Vif J: Darryl Jacob T: Harry Whittington

注文を付けて逃げた軽量のNorthern Beauを好位で追いかけたRouge Vifが快勝。Rouge Vif自身は昨シーズンのWarwickでKingmaker Novices' Chase (G2)勝ちのある馬で、その後のArkle Challenge Trophy (G1)でもPut The Kettle Onの3着に入っている。今シーズンはこれが復帰戦であったが良い勝ち方を見せた。逃げた10st0lbのNorthern Beauはかなり強引に先手を切る馬のようで、前半からペースは流れているのだが、それを好位でスムーズに追走してのパフォーマンスは立派であり、良馬場でこの着差は決定的だろう。

 

〇 Novices' Chase (C2) 1m7f199y (Replay)

1. Fusil Raffles J: Darryl Jacob T: Nicky Henderson

好位から抜け出したFusil Rafflesが快勝した。Fusil RafflesはChaseはこれで2連勝とした。HurdleではPunchestownのChampion Four Year Old Hurdle (G1)勝ちのある素質馬で、ここに入っても運動神経の高さは目立っていた。ドイツ産馬Sir Valentineが2着。Hurdleでは重賞クラスで好走歴のある馬で、Chasehaこれが初戦であったが見せ場を作った。走法的には独特なタイプで一見馬場は渋った方がよさそうなのだが、案外パワーという観点では微妙なようで、良績は良馬場に集中している。Chaseはこれが2シーズン目となるGataway Trumpもいたのだが、いいところなく大敗した。Hurdleに戻した方がいいかもしれない。

 

10/24(土)

Cheltenham (UK) Good

〇 Masterson Holding Hurdle (C2) 4yo 2m87y (Replay)

1. Botox Has J: Joshua Moore T: Gary Moore

好位から進めたBotox HasがAllmankindを捉えて勝利した。Botox Hasは昨シーズンのCheltenhamのJCB Triumph Trial (G2)にてAllmankindの2着のある馬で、今回はその借りを返した格好になる。良馬場ということでこの馬のスピードが生きやすい展開であり、Allmankindがやや引っかかって走っていた分もあるが、いずれにせよあまり差はない印象がある。昨シーズンはCoral Finale Juvenile Hurdle (G1)勝ちなど活躍したAllmankindは3着で、この馬は馬場が渋った方がいいかもしれない。The Pink'nは昨シーズンは下級条件戦のみで走っていた馬だが、ここでは2着に入った。どちらかというと良馬場の方がよいタイプだろう。

 

〇 Novices' Chase (C2) 2m3f166y (Replay)

1. Southfield Stone J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

前半から前に行ったSouthfield Stoneがそのまま勝利した。Southfield StoneはHurdleではDovecote Novices' Hurdle (G2)勝ちのある馬だが、昨シーズンはChaseを使うもC3の1勝のみに留まっていた。どうやらノドの問題があったらしく、これがWind Surgery明けのレースとなる。8月にChaseにて勝利を挙げていたCoole Codyが2着に入った。

 

〇 Handicap Chase (C2) 3m1f (Replay)

1. Frodon J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

2. West Approach J: Harry Cobdon T: Colin Tizzard

前半からするすると逃げたトップハンデのFrodonがそのまま逃げ切り勝利した。Frodonは遡れば昨年のRyanair Chase (G1)の勝ち馬で、これが今シーズンとしては復帰戦となる。前半からミドルペースを刻んでいくタイプの逃げ馬だが、この馬のリズムで走らせることに長けた女性騎手Bryony Frostとの手は合っているようで、この人が騎乗するようになってから飛躍的にパフォーマンスを向上させてきた経緯がある。昨シーズンまでは24f戦は少し距離が長いような印象もあったのだが、ここでトップハンデを背負って勝ち切ったことは今後に向けて明るい材料だろう。昨シーズンのBetVictor Smardcards Handicap Chase (G3)勝ちの実績のあるWest Approachが2着に入った。とにかく操縦性に難のある馬だが、今回はHarry Cobdon騎手が馬の後ろを追走させることで終始馬をコントロールして走らせることに成功していた。飛越は例によってあまりうまくないのだが、それをカバーするだけの身体能力は一流のものある。シーズン後半になるとやや精神的な問題でパフォーマンスを落とすところがある馬だけに、今後の走りには少々注意したい。Cogryは早々に馬群がから遅れて途中棄権。さすがにお年のようで、これで引退となったようだ。

 

Kelso (UK) Good

Edinburgh Gin Chase (C2) 3m2f39y (Replay)

1. Some Chaos J: Benjamin Poste T: Michael Scudamore

早々にThe Hollow Ginge、Rocky's Treasure、Amalfi Dougの3頭が落馬。さらに途中でTruckers Lodgeも落馬。好位から進めたSome ChaosがClaud And Goldieを退けて勝利した。Some ChaosはKelsoのコースを得意としている馬で、昨年の3月にはLiz Adam Memorial Handicap Chase (C2)勝ちもある。やや重賞クラスのメンバーとなると厳しいようだが、ここでは力を見せた。昨年のNational Hunt Challenge Cup (G2)の勝ち馬Le Breuilもいたのだが、勝負所から遅れ4着に終わった。上記のレースを勝ったあとはややぱっとしない成績に終わっている。

 

Great Meadow (USA) Firm (Result)

〇 Steeplethon (Replay)

Purse $15,000. Steeplethon. Three Miles over the Steeplethon Course.

1. Invocation J: Sean McDermott T: Mark Beecher

レース映像はそのうちこちらにアップされる予定。レースは前半から元気よくPeppay Le Pughが逃げるも、Swan Lakeを渡る辺りから葦毛のMercoeurが先頭に。しかし残り2障害辺りで接近したInvocationが抜け出し勝利した。InvocationはMiddleburgのSteeplethonから連勝とした。この類のSteeplethonのコースは得意としている馬で、今年6月のGreat MeadowではMercoeurの2着に入っているが、このレースを見るとやや力量差はありそうだ。そのMercoeurが2着に入った。

 

〇 THE BALTIMORE STABLES. Ratings Handicap Hurdle. (120 or lower).  (Replay)

Purse $25,000. Two Miles and One Furlong over National Fences.

1. Galway Kid J: Darren Nagle T: Jonathan E. Sheppard

逃げるRepeat Repeatを好位から進めたGalway Kidがゴール手前でこれを捉えて勝利した。Great MeadowのHurdle競走は、Hurdle競走と言えど途中で水壕障害も使うらしい。Galway Kidは6月のMiddleburgのAllowanceに続き、National Fenceは3勝目とした。SaratogaのMichael G. Walsh Novice StakesではSnap Decisionの3着に負けていたが、やや全体的にメンバーが落ちるここにおいては力を見せた。Repeat Repeatが逃げ粘り2着。Michael G. Walsh Novice Stakesにて2着に入ったFamily Treeが3着で、この辺りはあまり力量差はなさそうだ。Zanzi Winは4着に終わったが、直線で外に出す不利があった。

 

International Gold Cup Stakes (Replay)

Purse $25,000. For Four Year Olds And Upward. Four-year-olds,155 Lbs.; older, 165 Lbs. Three And One Half Miles. 

1. Curve of Stones J: Barry Goley T: David Bourke

前半からHandsome Hoytが先頭を伺う構えを見せるも、やや行きたがったOfficer Sydneyが先頭に。しかし途中で躓いて騎手が落馬すると、変わってSatishが先頭に代わってレースを引っ張る。これにSuper Saturdayが接近。さらに進出してきたCurve of Stonesがこれを捉えると、追いかけてきたSuper Saturdayを凌いで勝利した。

Curve of Stonesは前走のMiddleburgのNational Sporting Library and Museum Cup Stakesから連勝とした。昨年のこのレースでは5着と振るわなかったのだが、経験を積んで力をつけているようで、昨年は通用しなかったメンバー相手に戦えることを楽しみにしたい。11歳のベテランSuper Saturdayは例によってじわじわと走り2着に頑張った。もう少し積極的に乗れればという感もあるのだが、現時点でこの馬が出来ることはやっているのだろう。Maiden勝ちのみのHandsome Hoytが3着に入った。前半からやや飛越が微妙でSatishに前に出られるところがあり、更なる飛越技術の向上を望みたい。未勝利馬Satishは積極的に運んだが、終盤で落馬に終わった。今年の6月にはVirginia Gold Cup StakesにてDoc Cebuの2着のあるCodrington Collegeもいたのだが、勝負に加われず途中棄権となった。

 

10/25(日)

Aintree (UK) Soft

Monet's Garden Old Roan Chase (G2) 2m3f200y (Replay)

1. Nuts Well J: Danny McMenamin T: Mrs Ann Hamilton

前半からレースは固まって進行するも、最終障害を越えて先頭に立ったClondaw Castleに対して、さらに外から追いこんできたNuts Wellがこれを捉えて勝利した。Danny McMenaminは3lbの軽量のあるConditional Jockeyで、重賞は嬉しい初勝利となった。また、調教師のAnn HamilttonはNorthumberlandの牛農家であり、たった6頭の馬のみを管理している非常に小規模な厩舎を営んでいる。もちろん重賞競走はこれが初勝利であり、このような小さな厩舎の馬の挑戦を今後も楽しみにしたい。Nuts Well自身も重賞は初勝利で、昨年の12月辺りからC3~C2のハンデ戦で合計4勝を挙げている。やや飛越にミスが見られ、最後のフラットのスピードで逆転した印象もあり、11st7lbの斤量を背負っての勝利は価値があるのだが、やや課題も残りそうだ。先に抜け出したClondaw Castleが2着。人気のItchy Feetは3着までで、やはりAintreeのような平坦なコースでは瞬間的な加速力に乏しいため仕掛け遅れになるような印象がある。元々Willie Mullins厩舎に在籍し、G1は4勝を挙げているYorkhillはこれがイギリス初戦であったが、良いところなく途中棄権に終わった。昨年の時点で既に完全にスランプに陥っており、転厩がいい方向に出て欲しかったのだが、残念ながら転厩初戦は良いところを見せられずに終わってしまった。