にげうまメモ

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20/11/22 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/11/16-11/22

11/19(木)

Thurles (IRE) Soft (Yielding in places)

〇 Boomerang.ie Chase (Listed) 2m6f (Replay)

1. Presenting Percy J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

好位から抜け出したPresenting Percyがそのまま勝利した。Presenting Percy自身は2018年のRSA Chase (G1)の勝ち馬なのだが、その後は順調さを欠いており、John Mulhern Galmoy Hurdle (G2)の勝利のみに留まっていた。Gordon Elliott厩舎への移籍後2戦目で久々の勝利を挙げた。前走のLadbrokes Champion Chase (G1)は4着とは言え展開の不利もあった結果であり、ここのところの成績を踏まえると復調を期待してよさそうだろう。本来はこの路線ではトップクラスの評判を受けていた馬で、今シーズンの活躍が大いに期待される。2018-19のアイルランド24f Chase路線ではトップクラスの活躍を見せたKemboyが2着まで。昨シーズンの段階でやや力落ちの印象があり、とりあえず格好はつけたものの、やや全盛期の勢いを期待するとなると微妙なところがある。MonaleeはKemboyに次ぐ3着で、どうにも勝負弱いところがあるのは相変わらずのようだ。

 

11/21(土)

Ascot (UK) Soft

Chanelle Pharma 1965 Chase (G2) 2m5f8y (Replay)

1. Imperial Aura J: David Bass T: Kim Bailey

AscotはSky Sports Racingの管轄なので仕方なくITV Racingを使うのだが、とにかくこの中継はレース中に解説者が喋りだすスタイルが宜しくない。Facebookの障害競馬グループでもこの中継の評判はあまり宜しくないような印象もある。レースは前半からBlack Cortonが逃げるも第10障害で落馬。好位から抜け出したImperial Auraがそのまま勝利した。Imperial AuraはこれでListed競走を含め3連勝とした。Novice上りの馬で、昨シーズンのNovice ChaseではCheltenhamのNorthern Trust Company Novice' Chase (Listed)という裏番組的なレースの勝ち鞍が目立つ程度だが、ここまでのChaseでの安定感は特筆すべきものがある。ここを勝っておそらくAscot Chase (G1)に向かうことになると思われるが、比較的手薄なこの路線では面白い存在になるだろう。Itchy Feetは例によって飛越がスムーズではなく、最後加速が掛かった頃にはレースが終わっていた。アイルランドWillie Mullins厩舎からの移籍馬Real Steelは最後脚が上がっての3着。アイルランドでは複数の重賞勝ちのある馬で、レース振りを見ていると極端にパフォーマンスを落としているということはなさそうだ。やや乗り難しいところがある馬だけに、その戦術と騎手には注意しておきたい。

 

Coral Hurdle (Ascot Hurdle) (G2) 2m3f58y (Replay)

1. Song For Someone J: Nico De Boinville T: Tom Symonds

アイルランドからの移籍初戦となるLaurinaが人気になっていたが、残り2障害辺りから手ごたえが悪くなり失速。レースは逃げたSong For Someoneがそのまま勝利した。Song For SomeoneはKingwell Hurdle (G2)から連勝とした。この手の逃げの形で結果を残してきた馬で、3頭立てということもあり完全にマイペースで運んだ利も大きかった。16fから19fで結果を残してきているようだが、5歳と若齢であることを考えると今後距離延長の選択肢もあるだろう。昨年のInternational Hurdle (G2)勝ちのあるCall Me LordはSong For Someoneに肉薄できずの2着。24fはやや長いような印象もあり、16fを勝ち切る程の決め手はないようで、レース選択が難しいところである。Willie Mullins厩舎からの移籍初戦となったLaurinaはWind Surgery明けでもあったようだが、さっぱり走らず大敗に終わった。昨シーズンの途中からもめっきりパフォーマンスを落としており、7歳という年齢を考えると2018-19シーズンの状態にはなさそうだ。

 

Haydock (UK) Soft (Heavy in places) → Heavy

Stayers' Handicap Hurdle (G3) 3m58y (Replay)

1. Main Fact J: Fergus Gillard T: David Pipe

この日のHaydock競馬場は強い雨が降り続いており、Soft程度の馬場から始まったものの、馬場は凄い勢いで悪化し、Betfair Chaseの頃にはHeavyと化していた。レースは最後の直線部分で追いこんできたMain FactがThird Wind以下を抑えて勝利した。Main Factはアメリカ産馬で、これで平地も合わせると9連勝とした。Hurdle競走での連勝は主に今年の1月から5月にかけてのもので、どちらかというと下級条件戦やシーズンオフでのものであっただけにややレースレベルには疑問があったのだが、内容的にはどれも強いものであり、連勝はフロックではなかったのだろう。重馬場となったこの条件も向いたようで、いきなりの24fへの距離延長で結果を残すのだから大したものである。実績どころでは2019年のDevenish Manifesto Novices' Chase (G1)の勝ち馬Kalashnikovもいたのだが、途中凄い勢いで上がってくる場面はあったものの、最後失速して7着に終わった。いきなりの24f戦ということでやや苦しかったかもしれない。

 

Betfair Chase (G1) 3m1f125y (Replay)

1. Bristol De Mai J: Darryl Jacob T: Nigel Twiston-Davies

2. Clan Des Obeaux J: Sam Twiston-Davies T: Paul Nicholls

イギリス障害競走としては今シーズン初のG1競走だが、メンバー的には5頭立てとやや寂しいメンバーとなった。とはいえここ5年ほどはせいぜい6頭立てとかその程度であり、頭数としては例年通りともいえる。とはいえ定量のG1競走はなにかとレーティングが高く出ることで、次走以降のハンディキャップ競走では斤量を背負うことになるため、もともとレーティングを持っているとか、ある程度勝負になる見込みがあるとか、そういう馬でないと使いにくい部分もあるようだ。レースはするすると逃げたBristol De MaiにClan Des Obeaux、Lostintranslationが追いかけていくも、Bristol De MaiがそのままClan Des Obeauxを振り切り勝利した。Lostintranslationは残り3障害辺りから失速し、大きく離れた3着に終わった。

Bristol De Maiはこのレースは3勝目とした。3連覇を狙った昨年はGood to Softの条件もありLostintranslationに捕まっていたのだが、その借りを返した格好になる。Haydock競馬場でのこの馬の強さは特筆すべきものがあり、おそらくパワーのある持続性能の高いストライドを持っているこの馬にとって、なにかと不良馬場になりやすいこの競馬場の傾向や、とにかく横長であるためにタフな持久戦になりやすいこの競馬場の性質は向いている。KemptonやAintreeのようなスピード能力を問われるレースになるとなにかと分が悪かったり、Cheltenhamのような下り坂での加速等のトリッキーなレースを要求されるとレースの流れに参加しきれなかったり、そういった弱点を抱えていることはもはや明確ではあるのだが、"King of Haydock"の別名にふさわしいレースを9歳となった今年も見せてくれたことは純粋に喜ぶべきことだろう。

King Goerge VI Chase (G1)の3連覇を目指すClan Des Obeauxはこのコースの王者相手に大健闘の2着。この馬自身、ある程度平坦でスピードを活かすようなレースの方が向くようだが、それでもHaydockのタフなコースでこれだけ抵抗できるのだから大したものである。Wind Surgeryもあったようだが、King George3連覇に向けて視界良好といったところだろう。連覇がかかるLostintranslationは前半からややミスがあったが、さすがに今回は馬場が厳しかったようだ。Kemptonのコースは決して合わないとは思わないので、次走以降期待したい。Willie Mullins厩舎からの移籍初戦となるBellshillは前半は好位から進めたが、早々に脚が上がって大敗に終わった。アイルランドではG1を5勝している名馬だが、Willie Mullins厩舎からの転出馬というのはその後活躍した例は数少ない。この馬に関しては状態がどこまで戻っているかが課題となるだろう。

 

〇 Handicap Chase (C3) 3m4f97y (Replay)

1. Perfect Candidate J: Paddy Brennan T: Fergal O'Brien

不良馬場での3m4f戦ということで、完走馬は3頭と非常にタフなレースになっている。後続に45馬身差をつけて勝ったのは13歳のPerfect Candidate。2017年にはCheltenhamのハンデG3競走の勝利もあるのだが、現在はC2からC3辺りの超長距離戦を主に使っている。11st11lbを背負っての勝利は大したもので、13歳とかなり年齢は重ねているが、この路線での活躍をまだまだ見てみたい。もっとも、レーティング的には現時点でGrand National出走はやや厳しそうで、どこか重賞クラスでの好走が必要となるだろう。

 

Naas (IRE) Soft to Heavy

Old Persian At Glenview Stud Fishery Lane Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Call Me Lyreen J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

人気のGars En Noirが引っ張るも、好位から抜け出したCall Me LyreenがWolf Princeを凌いで勝利した。Call Me LyreenはこれでHurdleは3連勝とした。4歳馬限定戦ということであまり実績のない馬が揃った中ではあったが、ひとまずスムーズな競馬ができた利もあっただろう。Wolf Princeはこの中では経験のある馬だが、昨シーズンの段階でAspire Towerなどのトップクラスにはやや分が悪いことははっきりしている。

 

Poplar Square Chase (G2) 2m (Replay)

1. Notebook J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

第1障害で人気のCash Backが落馬するアクシデント。レースは残り2障害辺りから抜け出したNotebookがそのまま勝利した。Notebookは昨シーズンの16f Novice Chaseではトップクラスの活躍を見せた馬で、LeopardstownのRacing Post Novice Chase (G1)、Arkle Novice Chase (G1)とG1は2勝している。Arkle Challenge Trophy (G1)ではまさかの大敗に終わっているが、どうにもこの馬にとってCheltenhamはあまり相性がよくないらしく、アイルランドに戻ってきっちり結果を残した。そのNotebookとしのぎを削ってきたFakir D'Oudariesが2着。Noviceクラスでは身体の使い方の上手さで抜きんでてきた印象もあるのだが、クラスが上がってどうだろうか。

 

11/22(日)

Navan (IRE) Soft (Soft to Heavy in places)

Betvictor Make Your Best Bet Chase (G2) 3m (Replay)

1. Minella Indo J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

どうやら今年から新しく創設された重賞らしいが、いまいち風情に欠けるレース名なのはなんというかアイルランドらしい。レースは好位から進めたMinella Indoがそのまま勝利した。Minella Indoは昨シーズンの24f Novice Chaseでトップクラスの活躍を見せた馬で、今シーズンはこれでM.W. Hickey Memorial Chase (G3)から連勝とした。とはいえメンバー的にはかなり楽な相手であり、頭数も実質3頭と、ほぼ調教のような内容で、スムーズに周ってきたことを評価すべきだろう。Brahma BullもNovice上りの馬で、いちおうPaddy Power Home of the Money Back Special Irish EBF Novice Chase (G3)というよくわからない名前のレースの勝ち鞍はあるのだが、さすがに今回は相手が悪かった。National Hunt Challenge Cup (G2)の勝ち馬Ravenhillもとりあえずは回ってきたという印象で、どちらかというとこの馬はGrand Nationalに向かうことになりそうだ。