にげうまメモ

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20/11/29 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/11/23-11/29

11/23(月)

Kempton (UK) Good (Good to Soft in places)

〇 Beginners Chase (C4) 2m2f (Replay)

1. Shishkin J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

途中から先頭に立ったShishkinがそのまま楽勝。Shishkin自身は昨シーズンのSupreme Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬で、これがChaseはデビュー戦となる。Hurdleではデビュー戦で落馬に終わっているが、ここでは終始綺麗な飛越を見せていた。さすがに身体能力の高さはここでは抜けており、現時点でArkle Challenge Trophyでは一番人気と、非常に高い評価を受けているようだ。相手は全体的に格下であったが、とりあえずはいい勝ち方であったと言えるだろう。Mick Pastorが対抗角と考えられていたが、Shishkinには肉薄できず離れた2着に終わった。この馬に関しては、落馬に終わったChaseデビュー戦と比べればとりあえずの進境はあるようだ。

 

11/24(火)

Punchestown (IRE) Heavy (Soft to Heavy in Places) 

〇 Risk of Thunder Chase 3m (Replay)

1. Neverushacon J: Paddy Kennedy T: Mrs Jessica Harrington

前半から好位で進めたNeverushaconがついてきたBallyboker Bridgeを突き放し勝利した。NeverushaconはこのコースのSpecialistで、今年の2月には同じくP.P. Hogan Memorial Cross CountryにてBallyboker Bridgeを下して勝利している。ややスピード面で怪しいところがありCheltenhamのCross Countryだとやや分が悪いところもあるのだが、とりあえず今シーズンはPunchestown FestivalのCross Countryが中止になった今年の鬱憤を晴らすような活躍を見せて欲しいところである。13歳のBallyboker Bridgeも見せ場を作った。このコースは遡れば2015年から使っているベテランで、年齢的にはかなり高齢の類だが、今回のレースを見る限りではまだやれるだろう。同じくベテランのJosies Ordersもいたのだが、後方から差を詰めるもやや離れた4着に終わった。

 

Compiegne (FR) Tres Lourd (5.3)

Prix General De Saint-Didier (G3)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans 3400m (Replay)

1. Hotesse Du Chenet J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland

好位から抜け出したHotesse Du ChenetがMartatorを凌いで勝利した。Hotesse Du ChenetはこれでHaiesは4連勝で、現時点では3歳牝馬Haiesにおいては明らかに筆頭格といっていいだろう。人気以上に頑張ったのがMartatorで、ここまでHaiesは1勝のみ、前走のPrix Georges De Talhouet (G2)ではThelemeからだいぶ離れた最下位であったのだが、いきなりここで頑張っての2着に入った。全体的に実績馬が出ておらずHotesse Du Chenetの一強と思われたレースであったのだが、予想外に最後までHotesse Du Chenetに食い下がる健闘を見せた。

 

Prix Leopold D'Orsetti - Grande Course De Haies De Compiegne (G3)

Haies Pour tous chevaux de 4 ans et au-dessus 3800m (Replay)

1. Flying Startandco J: Bertrand Lestrade T: Francois Nicholle

好位から抜け出したFlying StartandcoがGrasilを凌いで勝利した。Flying StartandcoはここまでCompiegneのコースを中心に使っているようで、昨年はPrix Dominique Sartini (Listed)の勝ち鞍もある。当時の馬場もLourd (4.9)であり、おそらく極端な不良馬場を得意としているタイプのようだ。走法もどちらかというと完歩が小さく地を這うようなタイプであり、このような馬場に対する適性は高いものと思われる。人気のGarasilが2着に入った。こちらはとにかく入着が多いものの勝ち切れない馬のようだ。

 

11/27(金)

Newbury (UK) Good (Good to Soft in places)

Ladbrokes Committed To Safer Gambling Novices' Chase (G2) 2m3f187y (Replay)

1. Caribean Boy J: Darryl Jacob T: Nickey Henderson

するすると逃げたCaribean Boyがそのまま勝利した。Caribean Boy自身は元々はフランス調教馬で、今年の1月からイギリスChaseに参戦していた。Chaseはこれが2勝目となる。フランスではListedでLou Buck'sの2着に入った素質馬で、2018年から2年近い休養を経ているのだが、今回のレースでは特段飛越にミスはなく、終始綺麗なものを見せていた。レースとしてはかなり楽ではあったのだが、ここでFiddlerontheroofを抑えきったパフォーマンスは注意しなければいけないものだろう。Fiddlerontheroofは2着だが、やや飛越のスムーズさの面で勝ち馬と比べると見劣った。Gataway Trumpもいたのだが、上位勢の加速についていけない形での3着に終わった。

 

Ladbrokes Long Distance Hurdle (G2) 3m52y (Replay)

1. Thyme Hill J: Richard Johnson T: Phillip Hobbs

全体的にゆったりとしたスタートから始まったレースは、スタンド前で抑えきれなくなったVision Des Flosが大きく引き離して逃げる展開。しかし残り3障害辺りであっさり捕まると、代わって抜け出してきたThyme HillがPaisley Parkを抑えて勝利した。

前半は全体的に行きたがって走る馬が多く、明らかにスローペースで進行しているのだが、2周目からVision Des Flosがやや引っかかり気味に引っ張ったためレースとしてはそれなりに面白くなった。Thyme Hillは昨シーズンのNovice Hurdleで活躍してきた馬で、NewburyのChallow Novices' Hurdle (G1)勝ちがある実績馬だが、Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1)では明らかに行き場をなくしての4着に終わっていた。今シーズンはこれが初戦となる。やや後半から締まった流れを追走し、24f Hurdle路線の強豪を抑えきったパフォーマンスは今シーズンの活躍が楽しみになるものだろう。実績馬Paisley Parkはやはり見せ場を作った。やや全体的にズブいところがあるのはいつものことで、昨シーズンのStayers' Hurdle (G1)では乱ペースに対応しきれなかったのか大敗していたが、常識的なレースであればこのくらい走って当然である。ロングスパート能力に長けたタイプで、道中押っ付けながら走るのはいつものことである。10月のPersian War Novices' Hurdle (G2)で強い勝ち方を見せたMcfabulousは最後根負けしての3着。昨シーズンのStayers' Hurdle (G1)の勝ち馬Lisnagar Oscarはさっぱり走らず大敗に終わったが、上記のレース自体やや事故みたいなものであり、元々の戦績を考えればこんなものだろう。Sam Spinnerは久々のHurdleであったが、どうにも飛越がいまいちで大敗に終わった。

 

11/28(土)

Newbury (UK) Good (Good to Soft in places)

Ladbrokes John Francome Novices' Chase (G2) 2m7f86y (Replay)

1. Next Destination J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

好位から進めたNext DestinationがOne For The Teamを抑えて勝利した。Next DestinationアイルランドではHurdleのG1を2勝している馬だが、今シーズンからWillie Mullins厩舎からPaul Nicholls厩舎に移籍していた。Chaseはこれが初戦となるが、全体的に飛距離のある綺麗な飛越を見せており、同馬の運動神経の高さを感じさせる走りであった。途中で長い休養があった馬だが、状態さえ戻っていればChaseでの活躍は楽しみにしていいだろう。HurdleではC2勝ちのあるOne For The TeamはChase2戦目で進境を伺わせる走りを見せた。身体能力の面ではNext Destinationと比べるとだいぶ差があるのだが、それでもこれだけ食い下がったことは評価すべきだろう。前半からハナを切って進めたKalookiは最後失速した。飛越は局所では良いものを見せていたのだが、途中で何回かミスがあった。

 

Ladbrokes Trophy (G3) 3m1f214y (Replay)

1. Cloth Cap J: Tom Scudamore T: Jonjo O'Neill

この時期のNewbury競馬場における名物レースだが、今年のトップハンデはVinndicationと、さほど全体的に実績のあるメンバーは出走していなかった。レースは前半から軽快に逃げたCloth Capが後続を突き放し勝利した。Cloth CapはこれまでC2のハンデ戦辺りで良績を収めてきた馬で、前走はC2のハンデ戦にてFrodonの3着もある。実績的にはScottish Grand National (G3)の3着が最高だが、今回は積極策で一変を見せた。走法的には良馬場の方が合っているスピードに勝ったタイプで、これまでやや行きたがって走るところがあり騎手が操縦に苦労していたことを考えると、今回はTom Scudamore騎手の会心の騎乗といっていいだろう。ただし斤量的には10st0lbと最軽量の部類であり、上記の上のクラスでの良績も全体的に軽量でのものであるため、今後の斤量増には気をつけた方がいいだろう。Charlie Hall Chase (G2)で3着のあるAye Rightが2着で、昨シーズンのRSA Chase (G1)の段階では単勝100倍と圧倒的に低評価ではあったものの、このクラスでも展開次第でチャンスを作れる余地はあるようだ。3月のUltima Handicap Chase (G3)の勝ち馬The Conditionalが3着。人気のVinndicationは好位から進めるも、残り5障害でもったいない落馬に終わった。おそらくこの路線を使うものと考えられ、距離延長等で改めて期待したい。

 

Newcastle (UK) Good

Fighting Fifth Hurdle (G1) 2m46y (Replay)

1. Epatante J: Aidan Coleman T: Nicky Henderson

レースはスタート直後の第1障害にてNot So Sleepyが飛越拒否する形で騎手が落馬し競争中止。さらに第2障害にてSilver Streakが空馬に釣りだされる形で競争中止。そのままゆったりとSceau Royalが逃げる展開となるも、好位から進めたEpatanteがこれをゴール前にてきっちり捉えて勝利した。

Epatante自身は昨シーズンのChampion Hurdle (G1)、Christmas Hurdle (G1)の勝ち馬で、これが今シーズンの初戦となる。さすがにメンバー的にはだいぶ楽な相手ではあったが、さすがに瞬発力の違いを見せてきっちり結果を残した。昨シーズンまで主戦であったBarry Geraghty騎手が引退したためAindan Coleman騎手とは初コンビであったが、特に問題は見られなかった。展開的にもかなり楽な部類ではあったが、とりあえず結果を残したことを喜ぶべきだろう。Sceau Royalは強敵相手に食い下がっての2着。2017-18シーズンのNovice Chaseでの勢いは素晴らしかったのだが、その後はぱっとせず、Wind Surgeryを経て今シーズンはHurdleに戻していた。WincantonのElite Hurdle (G2)では格下相手にかなり強い競馬を見せていたが、もしWind Surgeryが効いているのであれば再度Chaseで見てみたい気持ちもある。

 

〇 Rehearsal Handicap Chase (Listed) 2m7f91y (Replay)

1. Yorkhill J: Ryan Mania T: Sandy Thomson

途中からハナに行ったYorkhillがWhatmoreなどの追い上げを凌いで勝利した。YorkhillはTolworth Hurdle (G1)、Neptune Investment Management Novices' Hurdle (G1)、Mersey Novices' Hurdle (G1)、さらにJLT Novices' Chase (G1)とG1を4勝したアイルランドの名馬だが、2017-18シーズン以降はすっかりスランプに陥っており、今年の夏にイギリスSandy Thomson厩舎に移籍していた。初戦のOld Roan Chase (G2)ではさっぱり良いところなく終わっていたのだが、ここでは単勝67倍の低評価ながら結果を残した。10歳と年齢を重ねており、やはり全盛期のようなレースとなると厳しい可能性もあるのだが、それでもかつてNoviceクラスで素晴らしい活躍を見せた名馬が10歳になって新天地で結果を残したことは喜ぶべきことであろう。今後はGrand Nationalを目指すとのことで、なにかと乗りにくい馬ではあるのだが、名手Ryan Maniaの騎乗ぶりには期待したい。

 

Fairyhouse (IRE) Soft (Yielding to Soft in places)

Irish Stallion Farms EBF Mares Hurdle (G2) 2m3f110y (Replay)

1. Concertista J: Paul Townend T: Willie Mullins

好位で進めたConcertistaがほぼ持ったままで先に抜け出したMinella Melodyを交わして勝利した。Concertistaはもともとフランス調教馬で、CheltenhamのNational Hunt Breeders Supported By Tattersalls Mares' Novices' Hurdle (G2)にてEglantine Du Seuilの2着の実績がある。その後はどうにも勝ち切れないレースを続けていたのだが、ようやくここで嬉しい勝利を挙げた。道中はどちらかというと行きたがって走るようなところもあり、ここでは能力の違いを感じさせる勝利であった。アイルランドでNovice Mares HurdleのG3勝ちのあるMinella Melodyが2着だが、このレースを見る限りではやや力量差はあると考えてよいだろう。

 

11/29(日)

Fairyhouse (IRE) Soft

Bar One Racing Price Boost Juvenile Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Zanahiyr J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

前半から元気よくDruid’s Altarが逃げるも、残り2障害辺りから失速。代わって出てきたZanahiyrがSaint Samを振り落として勝利した。Zanahiyr自身はHurdleはMaidenに続く2勝目とした。全体的に飛越は安定したものを見せており、やや大柄で筋肉量の多い馬体はこのクラスの路線における適性を感じさせる内容である。フランスで勝利のあるSaint Samは最後遅れて2着。道中の飛越技術と航行能力は高いタイプだが、加速を掛けてからは勝ち馬にだいぶ見劣る内容であった。

 

Royal Bond Novice Hurdle (G1) 2m (Replay)

www.youtube.com1. Ballyadam J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

好位の外から進めたBallyadamがCask Mate以下を抑えて勝利した。BallyadamはDownpatrickのMaidenにて後続に18馬身差をつける快勝を見せてきた馬で、これでHurdleは2戦2勝とした。この中では比較的Hurdleの経験のあるCask Mateが2着。この馬自身、2017年にデビューし、Felix Desjy、Us And Themといった既にChaseで活躍している馬とともにNational Hunt FlatやHurdleを戦ってきた経緯があるのだが、その後1000日近い休養を経て、今年の10月に復帰、Hurdleで2連勝を上げていた。長期休養を余儀なくされた経緯は不明だが、さほど勝ち馬とは差がなく、7歳とやや年齢は重ねているが今後が楽しみな馬だろう。Ballyadamともども今後を楽しみにしたい。NavanのFor Auction Novice Hurdle (G3)勝ちのあるN'Goloはやや仕掛け遅れの印象のある3着に終わった。ただしこの組はAnnexation、One Downも出ていたのだが、いずれもあまり良いところなく終わった。

 

Drinmore Novice Chase (G1) 2m4f (Replay)

www.youtube.com1. Envoi Allen J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

ハナを切って進めたEnvoi Allenがそのままあっさり勝利した。Envoi Allenはもはや語りつくされたほどに今シーズンNovice Chaseの台風の目で、ここでも期待に違わぬ素晴らしいレースを見せた。Jack Kennedyが非常にのんびり進めているため途中でAssembleに並ばれているのだが、そこから少し気合をつけただけで後続を千切るスピードは素晴らしいものがある。Assemble自身もHurdleでは重賞クラスで戦える力を持った馬なのだが、今回はいくらなんでも相手が悪かった。

 

Hatton's Grace Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

www.youtube.com1. Honeysuckle J: Henry de Bromhead T: Rachael Blackmore

かなりゆったりとしたペースでCracking Smartが逃げる展開。残り2障害辺りから一気にペースが上がると、抜け出してきたHoneysuckleがRonald Pumpを抑えて勝利した。HoneysuckleはこれでPTPも入れると障害は10戦無敗とした。このレースは昨年に引き続き連覇となる。ややピッチ走法で加速力に優れた馬で、どちらかというと20f程度のややゆったりとしたレースが合っているようで、おそらく今年のこの路線においても最有力の一頭となるだろう。ただし、レースとしてはほぼ残り2障害辺りからの瞬発力勝負といったところで、どちらかというと前哨戦的な内容であった。この馬の能力的には間違いないだけに結果としては順当なものだが、内容としてはいまいち評価が難しいものである。昨シーズンのStayers' Hurdle (G1)の2着馬Ronald Pumpは今シーズン初戦のLismullen Hurdle (G2)こそ落馬に終わっていたが、今回は最後鋭い末脚で追いこみ見せ場を作った。番手で運んだ勝ち馬とはややレース運びの差もあり、次に期待したい。昨年の2着馬Bacardysは伸びきれず4着に終わった。

 

Auteuil (FR) Collant (4.4)

Prix Morgex (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Grandeur Nature J: Thomas Coutant T: Arnaud Chaille-Chaille

残り2障害地点から抜け出したGrandeur Natureが6馬身差の快勝。Grandeur NatureはSteeplechaseはこれでCompiegneのPrix Roger Saint (Listed)から連勝とした。当時の馬場はLourd (5.2)であり、走法的にはこのような馬場が向くのだろう。道中狭いところに入ったためやや操縦が難しくなった場面もあり、飛越においてもミスが目立っていたのだが、これを勝ち切るのだから大したものである。Pacha Senamはどうにもこのような惜敗が多い馬で、今回もスムーズに運ぶも最後は勝ち馬の伸び脚に屈して2着に終わった。Prix Maurice Gillois (G1)にてLe Berryの3着のあるMagrudyが人気になっていたが、残り3障害を越えてから失速し途中棄権に終わった。

 

Grand Prix D'Automne (G1)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4800m (Replay)

www.youtube.com1. Galop Marin J: Morgan Regairaz T: Dominique Bressou

2. Paul's Saga J: Kevin Nabet T: David Cottin

3. L'Autonomie J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

例によってL'Autonomieが逃げるかと思いきや、まさかの最後方ポツンという意外な展開。代わってゆったりとGalop Marinが逃げるも、例によって我慢しきれなくなったのかL'Autonomieがじわじわ上がっていき先頭に代わる。しかし勝負どころからGalop Marinが再度前に出ると、追いかけてきたPaul's Sagaを凌いで勝利した。

Galop Marinはまさかのこのレース3連覇を達成した。2018年の秋季にやたらと調子を上げていたようにこの時期には強い馬なのだが、ここのところはややL'Autonomie等には及ばず惜敗を繰り返しており、やや今回も人気を落としていた。今回はL'Autonomieが控える競馬を試みたことで、前半からこの馬のペースでゆったりと進むことが出来たのが何よりのプラス材料であった。昨年の2着馬で、Grande Course De Haies D'Auteuil (G1)にてL'Autonomieを下して一躍一流馬への仲間入りをしたPaul's Sagaはさすがの2着に入った。調子が良かったのか11月の上旬にはPrix Carmarthen (G3)を一度使っており、他馬に比べるとややローテーション的にはきついものがあった。L'Autonomieはさすがに行きたがって走ってしまうといくら4000メートルクラスの競争とはいえ厳しくなる。がえって3000メートルクラスの競争としてイギリス遠征など検討してもらえると面白いのだが。

 

Prix La Haye Jousselin (G1)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 5500m (Replay)

www.youtube.com1. Docteur De Ballon J: Bertrand Lestrade T: Louisa Carberry

前半から後続に大きなリードを取ってCobra De Larreが逃げる展開。Cobra De Larreのリードはだんだんなくなり、残り3障害地点で大きなミス、最終コーナーでは代わってFeu Folletが抜け出しを図る。しかし馬群を縫って忍び寄ってきたDocteur De Ballonが最終障害を越えてFeu Follet、Figueroとの叩き合いを制して勝利した。

Docteur De Ballonはこれで史上26頭目のGrand Steepelchase de Paris (G1)とPrix La Haye Jousselin (G1)の双方を制した馬となった。後方から捲り上げていくレース運びはこの馬のスタイルなのだが、逃げて徐々にペースアップを図るCobra De Larreを捉えに全体がロングスパートをかける中、後方から押し上げた上に最後の直線でスプリントを掛ける余力が残っているロングスパート能力は驚異的なものがある。故障や落馬で苦労をした馬だが、なんとか長くこの馬の活躍は見てみたい。2~4着は5歳馬が独占した。Feu Folletは2019年のPrix Alain Du Breil (G1)の勝ち馬だが、それ以降は勝ち星がなく、どうにも惜敗を続けている。どちらかというと航行能力に長けたタイプで、一瞬のスピードという面では苦しいところがあるのだが、昨年後半のスランプからは完全に脱したと考えていいだろう。Prix Maurice Gillois (G1)の勝ち馬Fugueroも惜しい3着で、この辺りは展開次第で逆転はあるだろう。Bebe D'Orは5歳馬としてはやや格下の存在で、やや前とは離されたものの4着まで頑張った。大逃げを打ったCobra De Larreはさすがに最後脚が上がったでの5着だが、ここまでHaiesのListedクラスでしか実績がなく、当然距離不安のあるこの馬を、いきなりここで一世一代の大逃げでこれだけ見せ場を作るのだから、David Cottinという調教師とKevin Nabetという騎手は恐ろしいのである。