にげうまメモ

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20/12/13 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/12/07-12/13

こんな辺境ブログに訪問してくださるの中にはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらのラジオで月に2回ほど(海外)障害競走の話をしています。ここのブログのような意味不明で雑多な内容と言うよりは、主要競走だけではありますが、もう少し整理して話すように心がけているつもりではあるので、宜しければご覧ください。

 

12/8(火)

Fontwell (UK) Soft (Good to Soft in places)

〇 Junevile Hurdle (C4) 2m1f162y (Replay)

1. Nassalam J: Jamie Moore T: Gary Moore

ゆったりと逃げた圧倒的人気のNassalamがそのまま49馬身差の勝利とした。これでNassalamは初戦のJuvenile Hurdleの59馬身差の圧勝に次ぎ、ここでも圧倒的なパフォーマンスを示した。昨シーズンはこの路線でGoshenを送り込んできたGary Moore厩舎ということで話題になっているようで、ここでも身体能力の高さ、スピード性能の違いは目立っており、飛越技術にも特段の問題はなかったが、メンバーとしては未勝利戦でも厳しい戦いを強いられている相手がほとんどということもあり、あまり着差に関してはアテにしない方がいいだろう。

 

12/11(金)

Cheltenham (UK) Soft (Good to Soft in places)

Peterborough Chase (G2) 2m3f168y (Replay)

1. Mister Fisher J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

本来Huntingdon競馬場で行われるこの時期の重賞競走なのだが、同開催が中止となったためやむなくCheltenhamに移された。レースは好位から抜け出したMister FisherがKalashnikovを抑えて勝利した。Mister FisherはNovice上りの馬で、昨シーズンはLightning Novices' Chase (G2)の勝ち鞍がある。シーズン初戦のPaddy Power Gold Cup (G3)では途中棄権に終わっているが、スムーズにレースを進めることが出来るこの小頭数に戻って良いところを見せた。前走はG2~G1辺りで戦ってきたNovice上りの馬がいきなりハンデ戦に対応できなかったものと思われるが、G1クラスではやや厳しい感もあり、再度ハンデ競走を試す可能性も考えられる。Wind Surgery明けのKalashnikovは叩き2戦目で見せ場を作ったが、3stのハンデ利があることを考えればここは勝ち切りたかった。

 

Unibet Handicap Chase (G3) 3m2f (Replay)

1. Storm Control J: Richard Patrick T: Miss Kerry Lee

前半から元気よく飛ばしたStorm Controlがそのまま先頭で最終障害を飛越するも、そこから謎の失速。Potters Legend、Court Maidが迫るも、ここからさらにもう一度頑張って走りはじめ、Potters Legendを1馬身ほど凌いで勝利した。Storm ControlはここまでC3のハンデ戦を使ってきた馬で、前走のConditional Jockeys及びAmateur Jockeys限定のC3競走から連勝とした。10st3lbという斤量が示す通り、あまりここまで重賞クラスの経験がなかった馬だが、調子の良さやRichard Patrick騎手の思い切った逃げが嵌った結果だろう。最後失速しているが、おそらく集中力を欠いたものであり、最後もう一度加速しているようにバテたわけではないものと思われる。Black Corton、West Approachといった実績馬もいたのだが、あまりいいところなく途中棄権に終わった。Black Cortonは今シーズンはさっぱりでやや馬の状態が心配である。また、West Approachは復帰初戦から右肩下がりでパフォーマンスを下げており、休養を挟んだ方がいいのかもしれない。

 

Glenfarclas Cross Country Handicap Chase (C2) 3m6f37y (Replay)

1. Some Neck J: Mr Ben Harvey T: John McConnell

フランスのEasysland、イギリスのPotters Cornerといった実績馬が出走を予定していたのだが、いずれも出走を取り消し。やや寂しいメンバーとなってしまった。前半からKingswell Theatre、My Hometownなどが先頭を伺う構えも、これを制してDefi Des Carresがハナに行く展開。そのまま元気よく引っ張り、そのまま最終障害を先頭で飛越して逃げ込みを図るも、最終障害を越えてこれに迫ったSome Neckがゴール直前でこれを捉えて勝利した。

Some NeckはもともとアイルランドWillie Mullins厩舎に所属し、Florida Perl Novice Chase (G2)勝ちのある馬だが、結局いわゆるG1路線には乗らず、主にハンデ重賞を戦うも良いところなく終わっていた。今シーズンからJohn McConnell厩舎に移籍しており、Cross Countryはこれが初参戦となる。途中でやや細かいミスが散見され、メンバー的にもそこまで強力なものではなかったが、上位勢の中ではそれなりに重い斤量である10st11lbを背負っていきなりここで勝利したことは楽しみな内容だろう。アマチュア騎手Mr Ben Harveyにとってはこれがイギリス初騎乗、初勝利となったそうだ。Charlie Mann厩舎のDefi Des Carresは人気薄ながら見せ場を作った。もともとはフランスのCross Countryで活躍していた馬で、Lyon ParillyのPrix Hubert Nouvelletを始め、Cross Countryでは比較的マイナーなレースではあるものの3勝を上げており、ここで10st2lbの軽ハンデ、さらに単勝17倍というのは明らかに軽視され過ぎていたものであった。飛越技術に関してもさすがはフランスのCross Country経験馬ということで危なげのないものを見せており、ほぼ勝ちに等しい内容だろう。これをいきなり差し切ったのだからSome Neckのパフォーマンスはメンバー的に微妙とはいえ軽視されるべきものではない。

フランスの障害騎手Felix De Gilesが騎乗したDe Forgotten Oneは後方からじわじわ追い上げるも3着まで。今年の秋はフランスで2戦し、CompiegneのSteeplechaseで勝利を挙げているのだが、その際に騎乗していたのがFelix De Gilesであったようだ。進路どりや脚の使い方はさすがCross Countryの一流騎手ということもあり素晴らしいものがあったが、最後はやや脚色が見劣ってしまった。Velka Pardubickaにも登録のあったOut Samは後方から追い上げ4着。ややここではスピード面で厳しい感もある。初のCross Countryながら頑張ったのがトップハンデのStep Backで、残り3障害辺りから脱落したがそこまでは頑張って前に食らいついていた。My Hometownは最後失速したが、10歳のベテランが2年近い休養を経てCross Countryの場に戻ってきたことを喜びたい。アイルランドのNeverushaconはさっぱりレースに付いて行けず途中棄権に終わった。PunchestownのCross Countryとは性質が異なる。

 

12/11(金)

Cheltenham (UK) Soft

Caspian Caviar Gold Cup (G3) 2m4f147y (Replay)

1. Chatham Street Lad J: Darragh O'Keefe T: Mick Winters

Master Tommytucker、Coole Cody辺りがハナに行く展開も、これにBenatarが絡んでいく。残り2障害辺りからBenatarが前に出るが、これについて行ったChatham Street Ladが抜け出すと、2着のMidnight Shadowに15馬身差をつけて快勝した。Chatham Street Ladはアイルランド調教馬で、現時点ではNovice馬である。いちど2018年の夏にChaseを使っているが、その時はまったく良いところなく終わっており、今シーズン再度のChase挑戦となった。Novice戦ではなぜか大敗しているが、アイルランドのHandicap競走ではいずれも勝ち星を収めており、おそらく性質的にある程度ペースが流れた方が良いタイプなのだろう。あまり実績がある馬ではないが、今回の勝ち方はなかなかに印象的であり、Noviceクラスというよりはこの路線で楽しみにしたい。Scilly Isles Novices’ Chase (G1)の2着馬Midnight Shadowはどうやらこの路線を使って行くようで、今シーズン初戦のOld Roan Chase (G2)こそ大敗したが、一度叩いてパフォーマンスの向上が見られた。2017年のJLT Novices' Chase (G1)の3着馬Benatarはこれが700日近い休養明けであったが、前半から積極的な競馬で3着に入った。

 

Albert Bartlett Novices' Hurdle (G2) 2m7f213y (Replay)

1. Make Good J: Richard Johnson T: John McConnell

例によって西日の影響でホームストレートの最終障害がオミットされた。レースはこの中から抜け出してきたMake Goodが勝利した。Make Goodはいわゆる"Dual Purpose Horse"といったところで、今シーズンはアイルランドにて平地とHurdleを混在して使っている。ここ4戦ほどはHurdleに集中しているようで、前走のNovice Handicap Hurdleでは2着に13馬身差をつけて勝利してきており、ここにきてようやくHurdleに慣れてきたようだ。おそらくHurdleに集中していくものと思われるが、レースの性質を考えると額面通りには評価できないだろう。Maiden勝ちのあるPats Fancyが2着に入った。

 

International Hurdle (G2) 2m179y (Replay)

1. Song For Someone J: Aidan Coleman T: Tom Symonds

西日が強くなり、ホームストレートの障害は全てオミットされることになり、直線はほぼ平地部分で永遠と叩き合うというレースになっている。勝ったのはSong For Someone。これでCoral Hurdle (G2)、Kingwell Hurdle (G2)と休養を挟んで3連勝。G1クラスでの実績には乏しい馬だが、ひとまず現時点での上り馬として楽しみな存在だろう。前走のFighting Fifth Hurdle (G1)では不幸な結果に終わったSilver Streakが2着。3着のBallyandyもさすがに前目で早々のペースアップができればこれくらいは走る。注目されたGoshenは前目で運ぶも、最終コーナーで早々に脱落し最下位に終わった。Juvenile Hurdleの緩い流れからいきなりBallyandyなどが引っ張るレースの流れに対応するのは厳しかったものと思われるが、どうやら馬体にトラブルがあったという噂もある。また、どうにも終始引っかかり気味で、平地を使ったせいか馬のリズムが悪化していたことが気になった。

 

Doncaster (UK) Good to Soft (Soft in places)

December Novices' Chase (G2) 2m7f214y (Replay)

1. Hurricane Harvey J: Paddy Brennan T: Fergal O'Brien

最終障害手前で前に出たHurricane Harveyが追いすがるMilanfordを抑えて勝利した。Hurricane Harvey自身はこれがChaseは3戦目で、前走のRising Star Novices’ Chase (G2)ではGa Law相手の2着に終わっているが、距離延長で結果を残した。走法的に極端にスピードがあるタイプと言うよりは渋った馬場でしぶとさを生かすようなタイプで、Wincantonの良馬場よりはこのような馬場の方が良いのだろう。もともとはPTPで走っていたMilanfordはChase2戦目だが、しぶとく頑張って2着に来た。Ofalltheginjointsは人気になっていたが、どうにも飛越時にスピードに乗せることが出来ず、勝負所から脱落して大敗に終わった。

 

Summit Juvenile Hurdle (G2) 2m128y (Replay)

1. Monmiral J: Sean Bowen T: Paul Nicholls

好位から進めたMonmiralが快勝。Monmiralはこれでフランス時代のHaiesも含めるとHurdleは3戦3勝とした。フランスのSaint Des Saints産駒らしいややしなやかなストライドで走るタイプの馬で、ここでの加速力は目立っていた。重馬場の経験が多い馬だが、ストライドを見ていると良馬場でもやれるだろう。Gold Desertはあまり人気がなかったが2着に頑張った。