にげうまメモ

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20/12/20 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/12/14-12/20

12/14(月)

Naas (IRE) Heavy

〇 Naas Nursery of Champions Handicap Chase 0-109 2m (Replay)

1. Espion Du Chenet J: Rean Treacy T: Louise Lyons

例によってスタンド前の障害がオミットされており、レースとしては微妙ではあるのだが、勝ったのは中段から徐々に位置を上げてきたEspion Du Chenet。Espion Du Chenet自身はChaseはこれでアイルランド移籍後初勝利とした。もともとはフランスでデビューしたSunday Break産駒で、Master Dinoの勝利したPrix Cambaceres (G1)にも出走している。ここまでアイルランドChaseでは箸にも棒にも掛からないようなレースを続けていたのだが、前走のThurlesのHandicap Chaseから急にパフォーマンスを上げてきたようだ。メンバー的にはさすがにレーティング条件が示す通り小粒であり、スタンド前の障害がオミットされるなど微妙ではあるのだが、どこまでやれるだろうか。

 

Cagnes-Sur-Mer (FR) Tres Souple (4.1)

〇 Prix Du Mont Vial

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, depuis le 1er février dernier inclus, en steeple-chase, reçu 8.000 (victoires et places). 3800m (Replay)

5. Piton Des Neiges J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

チェコ調教馬で、今年のGran Corsa Siepi D'Italia (G1)の勝ち馬Piton Des Neigesが出走していたが、中段から伸びを欠き5着に終わった。ここ最近のイタリアSiepiではトップクラスの活躍を見せている馬だが、12月に入ってからフランスCagnes-Sur-MerのSteeplechaseを2戦しており、3着、5着と来ている。全体的にさほど難易度が高くなく、スピードが生きるCagnes-Sur-MerのSteeplechaseは比較的対応しやすいものと思われる。レース内容としては全体的にスピードについていけない印象だったが、以前はMeranoのSteeplechaseの出走歴にある馬だけに再度のSteeplechase挑戦も視野に入れているのかもしれない。

 

12/15(火)

Wincanton (UK) Soft

〇 Novices' Limited Handicap Chase (C3) 2m4f35y (Replay)

1. Messire Des Obeaux J: Darryl Jacob T: Alan King

好位の内からするすると位置を上げたMessire Des Obeauxが快勝した。Messire Des Obeaux自身は2016年のChallow Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬で、同シーズンの20f Novice Hurdleで活躍した馬だが、その後1034日の休養を経て今年の2月のHandicap Hurdleにて復帰、さらに313日の休養を経てここに出走していた。どうやらAintreeのMersey Novices' Hurdle (G1)でFinian's Oscarの3着に入った際に大きな腱の故障があったようで、長い治療期間を経てようやく復帰したという経緯があり、陣営の喜びもひとしおだろう。レース内容としてはやや大型のストライドで走る馬だけに、飛越の際にストライドが合わないリスクを抱えているようだが、全体的に飛越は伸びやかでスムーズなものを見せていた。

 

12/16(水)

Newbury (UK) Soft (Good to Soft in places)

〇 Pertemps Network Mares' Chase (Listed) 2m7f86y (Replay)

1. Magic of Light J: Robbie Power T: Mrs Jessica Harrington

人気を背負ったMagic of Lightが快勝。Magic of Lightはこのレース3連覇とした。この馬最大の実績としては2019年のGrand National (G3)におけるTiger Rollの2着で、やや飛越が粗いところはあったものの、最後までTiger Rollに迫る走りは強烈なインパクトを残している。昨シーズンもBet365 Mares' Hurdle (G2)などを勝って調子は良かったのだが、残念ながらGrand National (G3)が中止になっていた。今シーズンはとりあえず調子はいいようで、Grand National (G3)に向けて楽しみにしたい一頭である。

 

12/18(金)

Ascot (UK) Soft (Heavy in places)

Sky Bet Supreme Trial Novices' Hurdle (G2) 1m7f152y (Replay)

1. My Drogo J: Harry Skelton T: Dan Skelton

中段からじわじわと位置を上げたMy DrogoがLlandinabo Ladを抑えて勝利した。My DrogoはこれでHurdleは2戦2勝。Milanらしい細身の馬体とやや硬めのストライドが特徴で、前走こそ良馬場での勝利であったが本来はこのような重い馬場の方が合っているのだろう。飛越は終始特段問題はなかった。人気を背負っていたLlandinabo Ladが2着で、勝ち馬と比較するとやや良馬場の方がいいようなストライドであった。5stの余計な斤量を背負っていたことも考えると、あまり勝ち馬との間に差はないと考えていいだろう。

 

Sky Bet Noel Novices' Chase (G2) 2m2f17ty (Replay)

1. Allart J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Kiltealy Briggs、Fiddlerontheroof、Pic D'Orhyの3頭が並んで引っ張るも、ここからFiddlerontheroofが抜け出しを図る。しかし最終障害でこれを捉えたAllartがFiddlerontheroofに2馬身差をつけて快勝した。Allart自身はChaseはこれがデビュー戦となる。HurdleではSupreme Novices' Hurdle (G1)にてShishkinの5着のある馬だが、それ以外の重賞成績はなく、C4にて2戦していずれも圧勝という成績であった。今回は途中で大きなミスはあったのだが、後方からかなり長い脚を使う強い競馬で、Hurdleでは16fを使っていたものの距離は伸びた方がいいだろう。人気のFiddlerontheroofは飛越自体は悪くはなかったものの2着まで。Tolworth Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬だが、Chaseではここまで4戦して1勝と、やや案外な内容に終わっている。

 

Navan (IRE) Soft to Heavy

BetVictor Make Your Best Bet Novice Hurdle (G2) 2m4f (Replay)

1. Ashdale Bob J: Paddy Kennedy T: Mrs Jessica Harrington

Fighter Allen、Holymacaponyなどの人気どころが前に行くも、最終コーナー辺りからあっさり失速。代わって内から出てきたAshdale BobがFakiera以下を6馬身ほど突き放して勝利した。Ashdale BobはこれでMaidenから連勝とした。Maidenの勝ち上がりには4戦とやや時間を要した馬だが、明らかに昨年の段階とは馬が違ってきているようで、狭いところを割って出てくる器用な競馬を見せた。終いの瞬発力でも目立ったものを見せており、単勝15倍と低評価ではあったが無視できない存在だろう。'Monksfield' Novice Hurdle (G3)勝ちのあるFakieraが2着に入った。

 

12/19(土)

Ascot (UK) Heavy

〇 Graduation Chase (C2) 2m5f8y (Replay)

2. Itchy Feet J: Gavin Sheehan T: Olly Murphy

勝負所から大きく遅れたItchy Feetが最後盛り返して2着に入った。Itchy Feet自身は昨シーズンのSandownのScilly Isles Novices' Chase (G1)勝ちのある馬だが、肝心のMarsh Novices' Chase (G1)では落馬、今シーズンは20f戦を使うもいずれも勝ち星を挙げられていない。全体的に飛越がいまいちでスピードに乗り切れないのは相変わらずで、やや踏切地点が近いのか飛越の度に減速する悪癖が目立った。最後盛り返しているのは自力としか言いようがないのだが、なんとかもう少し飛越が上手くなって欲しい。勝ったのは前半からスムーズに運んだDashel Drasher。前走Berkshire Novices' Chase (G1)をCaribean Boyは勝負所からDashel Drasherについていけず3着に終わった。

 

Long Walk Hurdle (G1) 3m97y (Replay)

1. Paisley Park J: Aidan Coleman T: Miss Emma Lavelle

2. Thyme Hill J: Richard Johnson T: Phillip Hobbs

The Worlds Endが元気よく逃げる展開も、残り2障害辺りから好位にいたYounevercallが先頭に。しかし内から抜けてきたThyme HillがRoksanaを従え先頭に立ちそのまま逃げ込みを図るが、遅れて追いこんできたPaisley Parkがゴール前でこれを捉えて勝利した。

Paisley Parkはこのレース自体は2018年に次ぐ2勝目とした。2018-19シーズンでは24f Hurdle路線で無敗を誇った馬だが、圧倒的人気を背負って挑んだ2020年のStayers' Hurdle (G1)では故障もありまさかの大敗を喫していた。今シーズンはNewburyのLong Distance Hurdle (G2)でThyme Hillの2着に入ってのこのレースということで、Thyme Hillに関しては前走の借りを返した格好となる。例によって加速の遅い馬で、勝負所で狙っていた進路をRoksanaに入られて一度外に切り替えす大きな不利もあるのだが、それでも最後まで加速し続けるのがこの馬の最大の武器であった。Newburyと比べてAscotのタフなコースもこの馬向きであったのだろう。ややAidan Coleman騎手の仕掛けが遅いような印象もあり、レース運びには気をつけた方がよさそうなのだが、ひとまず馬の状態と言う面ではStayers' Hurdle (G1)の大敗を不安視しなくてもよいだろう。

上り馬Thyme Hillは完璧なレース運びを見せた。瞬間的な脚の早さは前走でも見せた通りさすがのものを持っており、この路線では中心的な存在であることは確定的であろう。2020年のAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)の上位勢でHurdleに留まったのはこの馬くらいなもので、Stayers' Hurdle (G1)でも楽しみにしたい。やや想定外に走ったのが牝馬Roksanaで、前走のbet265 Hurdle (G2)では緩い流れの上り勝負を持ち前の瞬発力で大勝していたのだが、一気の相手強化となったここでもこれだけ走れれば十分である。この路線の常連Younevercallは前々で運び見せ場を作ったが、最後はやや上位勢から遅れた。平地競争を含む9連勝を上げてきたMain Factは大敗に終わった。さすがに一気の相手強化は苦しかったようだ。