にげうまメモ

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20/12/27 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/12/21-12/27

12/24(木)

Treviso (ITA) Tempo Coperto - Terreno Pesante

〇 Treviso Euro 7.700 TRIO 3000m (Replay)

per cavalli di 4 anni (Siepi - ASCENDENTE - FANTINI)

1. Prouchki J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

なかなか趣深いTrevisoのHurdle競走。レースは好位から抜け出したProuchkiが快勝した。Prouchki自身はこれがイタリアのHurdle競走は初勝利となる。もともとはフランスの平地競争を2戦した馬だが特段良いところはなく、今年の6月からチェコに移籍し、これがイタリアHurdle4戦目であった。メンバー的にもさほど強力な相手はいなかったのだが、重い馬場でこその馬として注意した方が良いかもしれない。

 

〇 Corsa Siepi Di Treviso Euro 22.000 TRIO 3500m (Replay)

per cavalli di 4 anni ed oltre (Siepi - LISTED RACE - FANTINI)

1. Cheminee J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

先に抜け出したNo PasaranをChemineeが捉えて勝利した。Chemineeは昨年AuteuilのHaiesでも勝利を挙げたチェコの実力馬だが、今年はいまいち順調さを欠き、復帰戦となった10月のPardubiceでは実績馬Aztekの2着に敗れていた。イタリアSiepiはこれが初参戦であったが、さすがにAuteuilのHaiesもこなす馬にとって障害自体は問題ではなく、重い馬場も難なくこなしていたようだ。Hurdle競走を使う上でチェコ国内よりもイタリアの方が賞金額が高く、今後のレース選択には注目したい。MeranoのPremio Corsa Siepi Dei 4 Anni (G2)にてGangster De Coddesの2着のあるNo Pasaranは強敵相手に頑張った。まだ4歳と若い馬で、この世代ではトップクラスの実力がある。来年以降の活躍を楽しみにしたい。11歳のベテランChicagoは積極的なレース運びで見せ場を作ったが、さすがに最後は瞬発力で置いて行かれ3着に終わった。

 

12/26(土)

Kempton Park (UK) Good to Soft

Kauto Star Novices' Chase (G1) 3m (Replay)

1. Shane Blue J: Harry Skelton T: Dan Skelton

前半からShane BlueとKalookiが逃げる展開も、第11障害を過ぎたあたりからKalookiはミスを連発して交代。そのまま追いかけてきたThe Big Breakawayを振り切りShane Blueが勝利した。

Shane Blue自身はこれでChaseは3戦3勝とした。Hurdleでは未勝利勝ちのみとやや振るわず、重賞戦線でも一線級相手には適わなかったのだが、Chaseではここまで3戦ともいい勝ち方を見せている。ややスピードを活かして軽快に飛ばすタイプのようで、スピードの生きるKempton Parkのコースは合っていたようだ。HurdleではBallymore Novices' Hurdle (G1)の4着のあるThe Big Breakawayは惜しい2着。残り2障害地点及び最終障害においてミスがあり、これがなければもう少し勝ち馬には迫れたはず。終始押っ付け通しで進んでいたのがIf The Cap Fitsで、一時は完全に馬群から取り残されていたのだが、最後は復活して3着まで来たようだ。HurdleではRoksanaをStayers Hurdle (G1)で下した実績のある実力馬で、Kempton Parkのスピードの生きるコースに手を焼いたようだが、レース内容から考えれば技術さえついてくればもっとやれていいだろう。

 

Christmas Hurdle (G1) 2m (Replay)

 1. Silver Streak J: Adam Wedge T: Evan Williams

2. Epatante J: Aidan Coleman T: Nicky Henderson

イギリス16f Hurdle路線における最強牝馬Epatanteの独壇場であると思われていたレースだが、前半から元気よく飛ばしたSilver Streakがそのまま勝利した。Silver Streakは16f Hurdleの重賞戦線で元気に戦ってきた馬だが、当然これが初のG1勝利となる。実績といっても2018年のオフシーズンにおけるPertemps Netwok Swinton Handicap Hurdle (G3)くらいなもので、どちらかというと重賞で惜敗を続けるタイプといった立ち位置であった。今シーズンはFighting Fifth Hurdle (G1)では空馬に絡まれてコースアウトするなどツキも微妙であったが、ここで大仕事をやってのけた。これまでは後方から突っ込んでくるタイプのレースをしていたのだが、今回は一転して前半からペースを握り、そこからロングスパートを仕掛けるようなレース運びをしている。どうやら今回はこれがうまくいったようで、このレース運びをすることでこの路線の主役級の活躍を見せてくれる可能性もあるだろう。

人気を背負ったEpatanteはまさかの敗戦に終わった。前半からやや飛越にミスが目立っていたのだが、それ以上に今回は勝ち馬がいいレースをしたということだろう。瞬間的なスピード能力の高い馬で、改めて次走期待したいところ。Ballyandyは後方からじわじわ足を伸ばそうと試みるも、さすがにスピード能力で上位勢に迫るのは厳しかったようだ。前目につければもう少し戦える余地は残っているだろう。

 

King George VI Chase (G1) 3m (Replay)

1. Frodon J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

3. Clan Des Obeaux J: Sam Twiston-Davies T: Paul Nicholls

PU Cyrname J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

Kempton ParkのBoxing Dayにおけるメインレース。前評判としてはCyrnameとClan Des Obeauxの一騎打ちムードが漂っていた。レースは前半からFrodonが元気よく飛ばす展開。これにBlack Op、Santiniなどがついて行く。Cyrname、Clan Des Obeauxは後方から。勝負所からCyrnameは進出を試みるも、そのまま後退し残り3障害辺りで途中棄権。Clan Des Obeauxも狙っていた進路にReal Steelが入ってきたことで進路どりに苦労する。苦労する人気どころを尻目にFrodonは軽快に飛ばすと、追いかけてきたWaiting Patientlyを退け勝利した。Clan Des Obeauxはようやく追いこんで3着に入った。

Bryony Frostは女性騎手としては初のKing Georgeを制したこととなる。Bryony FrostとFrodonとのコンビはイギリスでは有名で、昨年のRyanair Chase (G1)を始め多数の重賞勝ちを収めている。本来このコンビはCheltenhamのようなトリッキーなコースをBryony Frostがリズムよく運ぶことで展開を作るのが勝ちパターンで、前走のMany Clouds Chase (G2)のような純粋なフラットの瞬発力勝負となると分が悪い面があるのだが、一方でKempton Parkのようなスピードが生きる競馬場において、今回は前半からリズムよく運ぶことでこの馬の良さを最大限に生かし切ったBryony Frostのファインプレーであった。今シーズンは24fも我慢しきれるスタミナを示しており、おそらく今後はCheltenham Gold Cup (G1)に向かうものと思われる。展開的にやや注文がつくことや、おそらくアイルランドから襲来するであろう本質的な24fタイプと戦うとやや分が悪い可能性もあるのだが、歴史的な快挙を成し遂げたコンビ、Cheltenhamのコースは得意であることも踏まえて楽しみにしたい。

Waiting Patientlyは約1年ぶりのレースであったが頑張った。2018年のAscot Chase (G1)でCue Cardを下してきた名馬だが、その後はさっぱり順調に使えていない。持っている能力としてはG1級のものがあるだけに、なんとか今シーズンは順調に使えることを願いたい。人気の一角Clan Des ObeauxはBetfair Chase (G1)でBristol De Maiの2着に入り調子は良かったようなのだが、どうにも勝負どころから動ききれず3着に終わった。Kempton Parkはスムーズにスピードを活かして立ち回ることが重要であり、さすがにあそこまで馬群の中で進路どりに苦労してしまってはCourse Specialistとしても苦しいところがある。Cheltenhamは合っていないとのことでおそらくGold Cupはスキップするとのこと。

その他。Saint Calvadosは一気の距離延長であったが、途中までは勝ち馬を射程圏に入れるレースで見せ場を作った。以前は16fで暴走気味のレースを見せていた馬だが既にそのようなところは解消され、飛越もフランス出身馬特有の悪癖が抜けてイギリス障害馬らしくなっている。今年のCheltenham Gold Cup (G1)の2着馬Santiniは案外だが、Kempton Parkはあまり実績がなく、どちらかというと起伏のあるコースの方がいいのかもしれない。Cheltenhamで再度期待したい。Cyrnameの敗因は不明だが、やや行きたがる素振りを見せた前走と違って今回はさっぱり走る気を見せていなかった。Lostintranslationもさっぱりだが、この辺りはBetfair Chase (G1)の疲れもあったかもしれない。Real Steelは24fは長く、おそらく20f程度の方がいいだろう。

 

Leopardstown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

Knight Frank Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Zanahiyr J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

好位から抜け出したZanahiyrがBusselton以下を抑えて快勝。ZanahiyrはこれでHurdleは3戦3勝とした。元々は平地の未勝利戦を使っていた馬だが、Hurdleでは水を得た魚のような活躍を見せている。やはりJuvenile Hurdleということでゆったりとした展開ではあるのだが、内容的には見ての通り完勝であり、現時点のJuvenile Hurdle路線においては頭一つ抜けた存在と考えていいだろう。

 

Racing Post Novice Chase (G1) 2m1f (Replay)

1. Franco De Port J: Bryan Cooper T: Willie Mullins

3. Felix Desjy J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

前半から元気よくFelix Desjyが飛ばす展開も、どうにも飛越がいまいちで、途中から好位にいたBenruben、さらにDaver Starが接近してくる。Daver Starが途中から先頭に代わり、Felix Desjyが追いかけるも、外から進出してきたFranco De Portがこれを捉えて勝利した。

Felix DesjyはHurdleではTop Novices' Hurdle (G1)勝ちのある馬で、Chaseはこれが3戦目、前走はMongey Communications Novice Chase (G2)を勝って意気揚々とここに挑んできたのだが、どうにも全体的に飛越がいまいちで、一旦Benruben、Darver Starに前に出られたりとやや苦しい展開となった。能力的には高いものを持っているのは前半のスピードを見れば明らかであり、飛越技術の向上を期待したいところ。勝ったFranco De PortはChaseはこれが2戦目だが、飛越は安定したものを見せており、後方からゆったりと進めるBryan Cooper騎手の騎乗も当たった。今年のChampion Hurdle (G1)にてEpatanteの3着のあるDarver Starは積極的なレース運びで2着に入ったが、前走の時点でFelix Desjy相手にはやや能力的には苦しいところははっきりしており、今回は道中の諸々の事象がパフォーマンスに差をつけたと考えるべきだろう。

 

Limerick (IRE) Heavy

Faugheen Novice Chase (G1) 2m3f160y (Replay)

1. Colreevy J: Danny Mullins T: Willie Mullins

昨年このレースを制したFaugheenにちなんでレース名が変更された。人気のAsterion Forlongeがゆったり逃げるも、第11障害でまさかの落馬。ColreevyとPencilfullofleadの叩き合いはColreevyに軍配が上がった。Colreevy自身はChaseは2戦2勝としたが、HurdleではせいぜいEco Friendly Cups Solerina Mares Novice Hurdle (G3)でMinella Melodyの2着がある程度で、むしろなぜかNational Hunt Flatは2シーズンに掛けて6戦も走り、Racing Post App Champion I.N.H. Flat Race For The Conyngham Cup (G1)を勝利したりと、National Hunt Flatでの実績が目立つ馬だったりもする。Liam & Valerie Brennan Florida Pearl Novice Chase (G2)にてLatest Exhibitionを下してきたPencilfullofleadは惜しい2着で、こればかりは平地の瞬発力の違いだろう。Asterion Forlongeは人気になっていたが、着地でのミスで落馬に終わった。ゆったりと走るタイプである以上このようなミスは付きものであり、上記の落馬のシーン以外にもやや飛越にミスが目立ったのだが、とりあえず次に期待したい。

 

Nakayama (JPN) Firm

Nakayama Dai-Shogai / 中山大障害 (G1) 4100m

1. メイショウダッサイ J: 森一馬 T: 飯田祐史

前走まさかの敗戦を喫したオジュウチョウサンが前走の外傷の影響で回避し、その影響もあったのか比較的経験の浅い馬を含めて16頭の多頭数が集まった。レースは前半からストレートパンチが出てくる展開も、大竹柵の手前からシンキングダンサーがこれに絡んで行き、馬群を引っ張る。最終障害の手前から前に出たケンホファヴァルトがそのまま逃げ込みを図るも、好位から伸びてきたメイショウダッサイがこれを捉えて勝利した。3着には大外から追いこんできたタガノエスプレッソが入った。

スタート直後からハナに行ったストレートパンチは、父メジロダイボサツとやや面白い血統の持ち主だが、障害キャリアとしては未勝利勝ちがあるのみであり、中山のコース経験は未勝利の際に一度きりしかなく(大敗)、明らかに距離不安及び障害対応への不安を抱えていた。さらに鞍上の伴騎手はこれが障害重賞初騎乗ということもあり、スタート直後から非常に慎重なレース運びを試みている。好位からスローと見てか前に行ったシンキングダンサーは比較的コース経験の豊富な馬だが、特段逃げたいというタイプでもなく、結果的にかなり余力を持って勝負所まで進めることが可能な馬が多いレースとなった。メイショウダッサイはこれが悲願のG1初勝利とした。今年春の中山グランドジャンプの結果が示す通り、現時点で日本障害競馬においてはオジュウチョウサンに次ぐ二番手といったところで、内容的には盤石の勝利であった。するすると好位に取りついて行く森一馬騎手はこれがG1初勝利だが、さすがはチャンピオンジョッキーの騎乗ぶりといったところで、再度のオジュウチョウサンへの挑戦に向けて、内容的には上々の勝利であった。レースとしては今年の中山グランドジャンプほどのタフネスを問われる本質的なマラソンレースではなかったことに留意したいところが、本質的なステイヤー資質と大障害に対応可能な飛越技術を兼ね備えた馬がこの障害競走の大一番を制したことはやはり日本障害競馬の最高峰として意義深いものである。

上り馬ケンホファヴァルトは見せ場を作った。障害はここまで未勝利を勝った程度の実績しかなく、一気の距離延長もあって条件的には厳しかったのだが、かつてキングジョイ、マーベラスカイザーといった名障害馬を輩出したマーベラスサンデーの血だろうか。前述の通り展開利もあったのだが、とりあえず次に期待したい。もう少しゆったりと構えることが出来れば大仕事をやってのける可能性も秘めている。前走の京都ジャンプステークス (G3)でまさかのオジュウチョウサンを下してきたタガノエスプレッソは、ややロスの多い競馬で3着に終わった。ここまでゆったりとした展開を踏まえると前走においてある程度のロングスパート能力は見せていただけにもう少し強気に立ち回っても良かったのだが、騎手心理としてスタミナ面で不安があったのだろうか。最後はさすがのスプリント能力で追い込んではいるのだが、時既に遅しといったところ。もっとも、全体的に平地競走で実績のある馬が上位に来ているが、例によって平地力とかいうしばしば界隈で使われるいい加減な概念で片付けてはレースの本質を見失うだろう。

その他。中山の常連ブライトクォーツはちぐはぐな競馬で4着。前半から前目に取りついてみたりと、いまいち騎手がなにがやりたかったのかよくわからない。西谷騎手は騎乗技術の面では一流のものを持っているのだが、どうにもレース戦術という点では信頼しきれない部分がある。良血馬ケイブルグラムは大敗に終わったが、さすがにほぼ新潟・中京のハードルレースのみの経験からいきなり中山の大障害コースというのは無理があった。いちおう完走したということで、同馬なりに頑張ったのではないだろうか。オーストラリアでも戦った平地重賞勝ち馬9歳馬スズカデヴィアスも大敗に終わったが、本来この馬はステイヤーではなく、今回は明らかに距離が敗因だろう。また、障害3戦目で中山大障害というチャレンジも常識的には無理がある。ただし、年齢的にあまりチャンスは現役を続けることが可能な期間は長くないことも考えると、勇気ある挑戦を続けた同馬は称賛に値する。また、最終障害にてシゲルピーマン、ナリノレーヴドールの2頭の落馬が発生した。全体的に飛越は安定しており大きなミスがあった馬はいなかったのだが、やはり障害の難易度というのは障害を飛越する条件に大きく依存することを示す事象である。残念ながらナリノレーヴドールは助からなかったそうだ。

 

12/27(日)

Kempton (UK) Soft

Wayward Lad Novices' Chase (G2) 2m (Replay)

1. Shishkin J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

前半からGumballが飛ばす展開だが、残り3障害で大きなミス。並走していたShishkinがそのまま追いかけてきたTamaroc Du Mathanをあっさり突き放して勝利した。Shishkinは昨シーズンのSupreme Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬で、Chaseはこれで2戦2勝とした。前半から身体能力の高さを感じさせる飛越を見せていたが、Gumballがある程度厳しいレースを作る中、最後まで余力十分でスプリントをかけたパフォーマンスは優にG1クラスである。Arkle Challenge Trophyにおいては最有力の一頭となるだろう。前走のFrom The Horse's Mouth Podcast Novices' Chase (G2)にて抜け出したところでの落馬に終わったGumballは勝ち馬からかなり遅れた4着であったが、道中のスピード自体はいいものを見せていた。やや気性的にあっさり諦めた感もあり、飛越技術さえ安定してくればスピードのある16f Chaserとして一定の活躍が期待できるだろう。

 

Desert Orchid Chase (G2) 2m (Replay)

1. Nube Negra J: Harry Skelton T: Dan Skelton

2. Altior J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Altiorのシーズン復帰戦であったが、Duc Des Genievresが飛ばす展開を手ごたえ悪く追走し、抜け出したNube Negraから3馬身ほど遅れた2着に終わった。Altior自身は障害ではこれで昨年のChristy 1965 Chase (G2)に次ぐ敗戦となった。どうにも昨シーズンから順調に使えておらず、これが1年ぶりの復帰戦であったことを考えると体調が万全ではなかった可能性もあるのだが、一方で元来さほど加速の早い馬ではないことを考えると、10歳という年齢によりズブさが出てきた可能性もある。ひとまずすぐに引退という選択肢は陣営にはないようで、次はGame Spirit Chase (G2)を予定しているとの報道が出ている。

一方でスペイン産馬Nube Negraは驚きの勝利を挙げた。この馬自身Novice上りの馬で、Noviceの重賞競走ではやや手薄なHenry VIII Novices' Chase (G1)の2着が最高とあまり良いところはなかったのだが、クラスが上がってペースが厳しくなった展開が向いたのかもしれない。血統的には名障害種牡馬Poligloteの直仔のDinkの産駒で、Dink自身はスペインで平地競争を走ったのち、なぜかフランスの障害競走を走り(未勝利)、その後種牡馬入りしているようだ。フランスやスペインに産駒がいるようだが、どうやら現在はフランスで繋養されているようだ。Nube Negra自身はもともとスペインで平地競争を走っていた馬で、未勝利に終わったもののMadridのGran Premio Nacionalに出走経験があるようだ。血統的には障害競走を走ってもおかしくはないのだが、イギリス障害競馬では異色の出自と言えるだろう。おそらく英国の記事はほぼAltiorの敗戦に焦点が当たってしまっているので、フランスメディアの記事がこの辺りの経緯は詳しい。

 

Leopardstown (IRE) Yielding (Yielding to Soft in places)

Paddy Reward's Club Chase (G1) 2m1f (Replay)

 1. Chacun Pour Soi J: Paul Townend T: Willie Mullins

前半からAnnamixが飛ばす展開だが、好位からじわじわとChacun Pour Soi、Notebookなどが接近し、途中からChacun Pour Soiが先頭に代わる。そのままChacun Pour Soiが追いかけてきたNotebook、Put The Kettle Onなどを突き放して勝利した。

Chacun Pour Soiは昨年の同レースでA Plus Tardにまさかの敗戦を喫していたが、今年はきっちりと格好をつけた。やや前半から行きたがって走る辺りは16f Chaseで活躍する馬のそれであり、道中のペースを追走するスピード、抜け出す際の瞬発力ともに超一流馬そのものである。16f Chaseにおいてはアイルランド代表と考えてよいだろう。昨シーズンは無念の回避に終わったCheltenham Festivalでの活躍が期待される。昨シーズンの16f Novice ChaseでG1を2勝しているNotebookは2着に終わったが、これは瞬間的なスピード能力の差だろう。どちらかというとパワフルなストライドで走る馬だけに今回の微妙な重馬場は不得手であった可能性があり、重馬場になれば着差は詰めることが可能だろう。ただし、このようなスピード能力に欠ける一方でパワーのある馬はCheltenhamは不得手である可能性が高く、昨シーズンのArkle Challente Trophy (G1)でも案外な結果に終わっていることもその仮説を支持する証左である。そのArkle Challenge Trophy (G1)の勝ち馬Put The Kettle Onは好位から追いかけたが、Notebookを捕まえきれず3着に終わった。やや全体的に飛越がいまいちな場面があり、とりあえずCheltenhamに戻って期待したい。上り馬Annamixはやや道中ふらふらと飛越する場面が目立ち、途中からスピードについていけず4着に終わった。

 

Paddy Power Future Champion Novice Hurdle (G1) 2m (Replay)

 1. Appreciate It J: Paul Townend T: Willie Mullins

西日ということで最終障害がオミットされた。レースはFire Attackが逃げる展開も、好位から進めたAppreciate Itが抜け出し勝利した。Appreciate ItはMaidenを勝ったばかりの馬だが、CheltenhamのChampion Bumper (G1)にてFerny Hollowの2着があり、今シーズンのNovice Hurdleにて期待されている一頭である。全体的に飛越は安定していたが、Fire Attackがややゆったりと、さらに抜け出して逃げるところを周囲に馬を置かない番手で進めた利はあるだろう。最終障害がオミットされたこともやや経験の浅いこの馬にとっては有利であった。後方から追いこんだIrascibleが2着。Ballyadam、Call Me Lyreen、N'Goloといった実績馬は不発に終わった。