*障害競馬回顧 2021/01/11-2021/01/17
1/13(水)
Plumpton (UK) Soft
〇 Conditional Jockeys' Veterans' Chase (C3) 3m1f152y (Replay)
1. Cyclop J: Lilly Pinchin T: Tom Symonds
好位から抜け出したCyclopがそのまま後続に20馬身差をつける快勝。同馬は今年の春までDavid Dennis厩舎に所属していた馬だが、今年の春からはTom Symonds厩舎に移籍している。C3辺りのハンデ戦で戦ってきた馬だが、移籍後は好調のようで、ここまで5戦3勝。Lincolnshire National (C3)でもWho's In The Boxに対して僅差の2着に入っている。2着には圧倒的人気薄のYoung Turkが入った。元々はJoseph O'Brien厩舎に所属し重賞にも挑戦した経歴もあるのだが、ここ数戦はさっぱり冴えず途中棄権に終わっていた。
Naas (IRE) Heavy
〇 Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1) 2m4f (Replay)
1. Bob Olinger J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead
好位から抜け出したBob Olingerがそのまま後続を突き放し快勝。Bob Olinger自身はこれでMaidenから連勝とした。Hurdle初戦こそFerny Hollowに敗れているが、Ferny Hollowは昨シーズンのChampion Bumper (G1)の勝ち馬で、今シーズン非常に楽しみな一頭である。そのHurdle初戦でも2着とはいえど3着以下ははるか後方に離れており、この馬もまた今シーズンのNovice Hurdleにおいて中心的な存在になる馬だろう。対抗角と思われていたBlue Lordが2着に入った。
1/16(土)
Market Rasen (UK) Heavy
〇 ManshionBet's Bet 10 Get 20 Hurdle (C2) 2m7f16y (Replay)
1. On The Blind Side J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson
Lil Rockerfellerと並んで先頭を走ったOn The Blind SideがLil Rockerfellerとの叩き合いを制して勝利した。On The Blind Side自身は遡ればBallymore Novices' Hurdle (G2)勝ちもあり、素質を高く評価されていた馬ではあるのだが、その後Chase転向も含めては案外ぱっとしない成績に終わっている。ただし今シーズンは11月にPaddy Power Games Handicap Hurdle (Listed)を勝ったりと、9歳にしてようやくキャリアハイの活躍を見せているようだ。2017年のStayers' Hurdle (G1)の2着など、長きに渡ってこの路線で活躍を続けるLil Rockerfellerが2着に入った。さすがにG1路線で好勝負を続けた当時のスピードはないようだが、10歳となった今年も馬は元気なようだ。第5障害で躓いて落馬したMohaayedは残念ながら助からなかったそうだ。2018年のCountry Handicap Hurdle (G3)の勝ち馬だが、近年は重賞戦線では少々分が悪くクラス2のHurdleを主に使っていた。
Warwick (UK) Soft (Heavy in places)
〇 McCoy Contractors Civils And Infrastructure Hampton Novices' Chase (G2) 3m (Replay)
1. Next Destination J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls
Golan Fortuneが逃げる展開も、残り3障害地点でミス。これを交わして前に出たNext Destinationが食い下がるGolan Fortune、さらにFiddlerontheroofらを退けて勝利した。Next DestinationはこれでChaseはJohn Francome Novices' Chase (G2)から連勝とした。Hurdleでは複数のアイルランドでG1勝ちがある馬だが、その後故障もあり長期の休養を挟んだのち、今シーズンからイギリスに移籍している。トップスピードの速さは魅力的だが、最後他馬が根負けするのに対して、きっちり脚を伸ばし切ったパフォーマンスは高いステイヤー資質を感じさせるものであった。Fiddlerontheroofは3戦連続の2着。Golan Fortuneは途中でミスがあるも、そこから再度盛り返す根性を見せたが、最後はやや脚が上がってしまった。
〇 Ballymore Leamington Novices' Hurdle (G2) 2m5f (Replay)
1. Adrimel J: Richard Johnson T: Tom Lacey
固まった馬群をゆるゆると引っ張ったAdrimelが迫りくる後続を退け勝利した。Adrimel自身はこれでHurdleは3戦3勝とした。CheltenhamのChampion Bumper (G1)で大敗しているのはやや気がかりな材料だが、初の距離延長となったここでもきっちり格好をつけた。特に他馬と比べて3lbの斤量差がありながらも、最後一気に差し込んできたMint Conditionに対して再加速を掛けた走りはこの馬の底力を感じさせるものである。前走C3のハンデ戦を勝ってきたMint Conditionが2着。平地部分の加速力は目立っていたのだが、Novice戦よりもハンデ戦で頭角を現してきた馬はやはり注意しなければならない。
〇 Classic Handicap Chase (G3) 3m5f54y (Replay)
1. Notachance J: Tom Cannon T: Alan King
この時期のWarwickの名物レース。3マイル5ハロンという超長距離を走るハンデ戦であり、記憶に新しいところだと2017年にはその後Grand Nationalを制するOne For Arthurがこのレースを勝っている。季節柄何かと重馬場になりやすいことが多く、例年タフなレースが展開される。今年も例によってCaptain Chaosが注文を付けて逃げる展開で、道中からHarry Skelton騎手が気合をつけて馬群を引っ張る。しかし残り2障害辺りから後続が殺到すると、そこから抜け出してきたNotachanceがAchilleを凌いで勝利した。Le Breuilが3着に入った。
Captain Chaosはかなり積極的に飛ばすタイプの逃げ馬で、集中力を維持するためにある程度押っ付けながら走らせることを戦術としている。そのため今回も道中でペースが緩むことなく、最後は全体的の脚が上がる消耗戦となっている。13頭出走していたのだが、うち7頭は途中棄権になっている。NotachanceはC2から連勝とした。ここまで重賞クラスの経験はないのだが、今シーズンはBangorのC2を勝って調子もよかったようで、今回は10st5lbと斤量は楽ではあったのだが、今後も期待したい。11歳のAchilleが驚きの2着だが、休養前はBetVictor Smartcards Handicap Chase (G3)にてWest Approachの2着もあった実力馬で、案外その実力は侮れないのだろう。2019年のNational Hunt Challenge Cup (G2)の勝ち馬Le Breuilが3着に入った。持っている実力を考えればこれくらい走ってもおかしくはなく、一頭後方から足を伸ばしていたことを考えれば、Wind Surgeryの効果があったと考えてもいいだろう。逃げたCaptain Chaosは最後まで頑張って4着に入った。
Fairyhouse (IRE) Heavy
〇 Dan & John Moore Memorial Handicap Chase (Grade A) 2m1f (Replay)
1. Daly Tiger J: Sean Flanagan T: Noel Meade
人気のChatham Street Ladが押し出されるように先頭に立つ流れも、残り2障害辺りから前に出たDaly Tigerが押し切り勝利した。Daly Tigerはここまで重賞勝ちはAlanna Homes Handicap Chase (Grade B)がある程度なのだが、元々Noviceの重賞競走を走っていた経緯があるため、やや今回も11st2lbと斤量は背負っている。やや20fでは長いようで、16fのハンデ戦が主戦場となるだろう。10st3lbの軽量馬Pont Avenが2着に入った。人気のChatham Street Ladは3着まで。トップハンデはCheltenhamのJohnny Henderson Grand Annual Challenge Cup (G3)勝ちのあるChosen Mateであったが、良いところなく6着に終わった。
1/17(日)
Punchestown (IRE) Heavy
〇 Killiney Novice Chase (G3) 2m4f (Replay)
1. Envoi Allen J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott
Asterion ForlongeとEnvoi Allenの対決ということで注目されたレースだが、第1障害で早々にAsterion Forlongeが落馬。残ったEnvoi Allenがそのまま軽くFils D'Oudairiesを突き放して勝利した。Envoi AllenにとってはAsterion Forlongeが不在となったことで、ほぼ内容としては試走といったところで、内容的には前評判通りのものだろう。一方のAsterion Forlongeは前走に続く落馬に終わった。騎手と息が合わなかったようにも見えるのだが、一方でその後空馬が徹底して障害を迂回して走っており、馬が障害飛越に対して苦手意識を持っていないか心配である。
〇 Moscow Flyer Novice Hurdle (G2) 2m30y (Replay)
1. Dream Deal J: Dennis O'Regan T: Ronan McNally
前半からEchoes In Rainがやや引っかかり気味に飛ばす展開。これにじわじわと好位にいたGua Du Largeなどが迫るが、直線を向いて外から力強く伸びてきたDreal Dealが前を差し切り勝利した。Dreal Dealは単勝最低人気と全く評価されていなかった馬だが、昨年の9月から平地を挟みつつ6連勝とした。そこまで平地・障害ともにさっぱり良いところがなかった馬がいきなり覚醒した理由は不明だが、いずれにせよ、一昨年の11月の段階で、Envoi Allenから75馬身後ろにいた馬がこうして重賞を取るのだから競馬と言うのは面白いものである。レースとしては全体的に引っかかる馬が多く、前掛かりになった結果後方にいたこの馬に順番が回ってきたものと解釈すべきだろう。未勝利を勝ったばかりのGanapathiが2着。爆走していたEchoes In Rainも頑張って4着に残った。人気のMagic Tricksは大敗に終わったが、勝負所で前が詰まり、行き場をなくしているうちに脚をなくすという悲しいレースであった。
Pau (FR) Lourd (4.7)
〇 Prix John Henry Wright
Cross Country Pour tous chevaux 6 ans et au-dessus 5000m (Replay)
1. Bomari J: Jean-Stephane Lebrun T: William Menuet
人気を背負ったBlason D'orがハナに行く展開も、途中で外側に馬が逃避し競争中止。代わってレースを引っ張ったNetcamが逃げ込みを図るも、ゴール前で差しこんできたBomariがLucky Net Loveを抑えて勝利した。Bomariは昨年のPrix Super U Craon (Listed)の勝ち馬で、今年のPauのシーズンはこれで3走目となる。初戦こそ落馬に終わっていたようだが、Pauの障害にもきっちり対応できており、Grand Cross de Pauに向けて有力な一頭になるだろう。Lucky Net Loveもあまり差はなさそうだ。2連勝で挑んできたNetcamは惜しい3着で、これはあくまで平地の瞬発力の差といったところか。昨年のGrand Cross de PauでEasyslandの2着に入ったBlason D'orは勿体ないレースであった。
その他
〇 RV finalises jumps program for 2021 (Racing.com)
Victoria州障害競馬開催日程が決定された。安全性に配慮された"One Fit Hurdle"の導入や、障害で初勝利を収めた馬に対するボーナス制度の継続が特記されている。
〇 With Sheppard retirement, Brion officially takes over Irish string (National Steeplechase Association)
先日引退を発表したJonathan Sheppard調教師のアイルランド遠征組について、Assistant TrainerのKeri Brionが調教師として管理を引き継ぐようだ。遠征組のうち、Winston CはChampion Hurdleにも登録がある。
〇 Amateur jockeys barred in Britain from Saturday as BHA reveals rule changes (Racing Post)
新型コロナウイルス感染症対策の一環として、今週の土曜日からアマチュア騎手のレース参加は不可となった。イギリス障害競馬では数多くのHunter Chaseを始め、アマチュア騎手の活躍が目立っているのだが、感染症の拡大を受けての措置となる。
〇 INHSC announces suspension of point-to-point season (Irish Point to Point)
無観客下で継続されるプロスポーツに含まれないことから、アイルランドPtP競馬はコロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止となった。