にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

21/04/11 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/04/05-2021/04/11

4/5(月)

Fairyhouse (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

Rathbarry & Glenview Studs Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Jeff Kidder J: Sean Flanagan T: Noel Meade

好位からあっさりと抜けてきたJeff KidderがそのままTeahupooに3馬身差をつける勝利。Jeff KidderはCheltenhamのBoodles Juvenile Hurdle (G3)にて単勝80倍ながら強い勝ち方を見せた馬。それまではHurdleではMaidenを勝ったのみで、Knight Frank Juvenile Hurdle (G2)でも最下位に敗れていた。そんなわけでCheltenhamでは低評価であったのだが、今回の勝ち方を見るとCheltenhamの勝利は決してフロックでもなんでもないのだろう。Norman Colfer Winning Fair Juvenile Hurdle (G3)を勝って3戦3勝で挑んできたTeahupooが2着だが、さすがにYieldingの馬場で3馬身の差がつけば決定的だろう。

 

Underwriting Exchange Hurdle (G2) 2m4f (Replay)

1. Stormy Ireland J: Danny Mullins T: Willie Mullins

前半から元気一杯飛ばしたStormy IrelandがそのままFrench Dynamiteを抑えて勝利した。Stormy IrelandはもともとWillie Mullins厩舎の所属で、Limestone Lad Hurdle (G3)などの勝ち星があるのだが、2020年の秋から馬主とWillie Mullinsが揉めた関係でPaul Nicholls厩舎に移籍していた。イギリスではChaseを2回使うも勝ち星は上げられず、その後Hurdleに戻すも勝ち星を上げられずに終わっていた。今回は馬主が変わり、Willie Mullins厩舎に戻っての初戦となるが、いきなり結果を残した。ピッチ走法でやや前向きな気性なため、イギリスでの重馬場が良くなかった可能性もあるのだが、それでも久しぶりにこの馬らしいスピードを活かしたレースを見ることが出来たのは嬉しい結果だろう。初重賞制覇を目指したFrench Dynamiteは最後まで粘り強く詰め寄ってきたが、1馬身差の2着に終わった。

 

Devenish Chase (G2) 2m4f (Replay)

1. Easy Game J: Brian Hayes T: Willie Mullins

例によってOrnuaが飛ばす展開も、残り3障害辺りから後退。代わって出てきたEasy GameがCastlegrace Paddyを抑えて勝利した。Easy Gameは昨シーズンはNovice ChaseのG1戦線にて頑張ってきた馬で、今シーズンはPWC Champion Chase (G2)の勝ち星もあるのだが、距離延長を試みたSavills Chase (G1)では良いところなく大敗し、その後のHorse & Jockey Hotel Chase (G2)でも落馬に終わっていた。もともと鋭い決め手を持った馬だけにこのような展開はこの馬向きであり、20fのG1クラスでのメンバー相手にどこまでやれるか楽しみにしたいところ。10歳のベテランCastlegrace Paddyはしぶとく2着まで来た。もともとは16fを使っていた馬だが最近は20fでも対応しており、10歳にして元気一杯といったところのようだ。

 

Irish Grand National Handicap Chase (Grade A) 3m5f50y (Replay)

1. Freewheelin Dylan J: Ricky Doyle T: Dermot McLoughlin

前半から積極的に逃げたFreewheelin Dylanがそのまま追いかけてきたRun Wild Fred以下を抑えて勝利した。

単勝150倍というオッズはIrish Grand Nationalが1870年に行われるようになって以来最大の倍率となる。Freewheelin DylanはChaseでは比較的長い馬で、2020年にはMidlands Nationalの勝ち星もあるのだが、その後はさっぱりと言う成績で今回は人気を落としていた。ただしここまで比較的夏場のスピード勝負に強く、かつ積極的にハナに立って進めるレースを得意としていたようで、チークピーシーズの着用に加え、Ricky Doyle渾身の騎乗がハマった内容と言えるだろう。どうにも信用しにくいところもあるのだが、このようなパターンを得意とする馬として記憶しておいた方がいいかもしれない。Goffs Thyestes handicap Chase (Grades A)の2着馬Run Wild Fredは僅差の2着。ここまでHeavyの馬場を得意とするようなイメージもあったのだが、この良馬場に対応したことは収穫だろう。まさかのここへの参戦ということで注目されたLatest Exhibitionも惜しい4着で、11st10lbという斤量を考えれば勝ちに等しい内容であった。スタンド前での故障で途中棄権したRobin De Carlowは心配されたが、どうやら大事には至らなかったとのことで何よりである。

 

4/8(木)

Aintree (UK) Good to Soft

Manifest Novices' Chase (G1) 2m3f200y (Replay)

1. Protektorat J: Harry Skelton T: Dan Skelton

人気のFusil Rafflesがゆったりと逃げるも、途中でミスをしてそのまま後退。代わってHitmanが先頭に立つも、最終障害を越えて抜け出したProtektratが2着に3馬身差をつけ勝利した。

Protektratは重賞は初勝利となる。1月のDipper Novices’ Chase (G2)にてMessire Des Obeauxの2着はあるのだが、どうにもノドの持病があるらしくWind Surgeryを繰り返している。とりあえず今回は2度目のWind Surger明け、さらには良馬場が向いたようだが、馬場とノドの状態には今後も課題が付きまとうかもしれない。Paddy Power Plate Handicap Chase (G3)を勝ってきたThe Shunterは2着まで。やや飛越ミスを繰り返しており、Aintreeのスピードの生きるコースでスピードをに乗り切れなかった印象もある。Henry VIII Novices' Chase (G1)にてAllmankindの2着の実績のあるHitmanも飛越が微妙であった。前走のArkle Challenge Trophy (G1)にてShishkinの2着に追いこんできたEldorado Allenはいいところなく5着に敗れたが、前走はShishkinに真っ向から喧嘩を売った組を最後捉えての2着で、Aintreeのスピードが生きるコースで浮上するタイプではないように思われる。Fusil Rafflesは飛越をミスしたあとにあっさり後退し、そのまま騎手が大事を取って馬を止めたもので、特段故障等の問題があったわけではないようだ。

 

Doom Bar Anniversary 4-Y-O Juvenile Hurdle (G1) 2m209y (Replay)

1. Monmiral J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

Fiveandtwentyが逃げる展開も、残り2障害辺りからMonmiral、Adagioの2頭が抜け出してくる。最終障害でミスをしたAdagioを尻目にMonmiralが7馬身差の圧勝。

Monmiralはこれで5戦5勝とした。Cheltenham Festivalはスキップしており、2着のAdagioがJCB Triumph Hurdle (G1)にてQuilixiosの2着馬であることを踏まえると、おそらく今シーズンの4歳戦線という意味ではQuilixiosと肩を並べる存在と考えてよさそうだ。Saint Des Saintsの産駒らしいスピードのある航行能力の高さが際立っていた。Adagioは最終障害でのミスで惜しい2着。7馬身と差はつけられたが、最終障害のミスのあとに加速しきれなかった分で、スムーズであればもう少しいい勝負はしていたものと考えられる。

 

Bowl Chase (G1) 3m210y (Replay)

1. Clan Des Obeaux J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

4. Tiger Roll J: Jack Kennedy T: Mrs Denise Foster

Tiger Rollの参戦で話題になっていたが、早々に後退するもマイペースで走り続け、勝ち馬から大きく離れた4着に終わった。Mister Fisherが淡々と逃げるも第11障害で落馬、そこから先頭に立ったClan Des Obeauxが悠々と後続を突き放すと、最後はClondaw Castleに26馬身差をつける大楽勝。3着にはNative Riverが入った。

レースとしては見ての通りClan Des Obeauxの独り舞台となった。もともとKemptonのKing George VI Chase (G1)の連覇の実績がある馬で、その後Wind Surgeryがあったようだが、それよりも年齢的に真面目に走らなくなってきた感もあり、今回は初のチークピーシーズの着用が効果的であったようだ。Cheltenhamの舞台はあまり合わないのでCheltenham Gold Cup (G1)はスキップしたのだが、元々KemptonやAintreeのようなスピードの生きる平坦な競馬場でのスピードの持続性能は文句なしに一流のものがあり、相手関係を考えればこのパフォーマンスは全く不思議でもなんでもないだろう。

Close Brothers Handicap Chase (G3)を勝ってきたClondaw Castleは調子の良さもあり2着に頑張った。良馬場でしぶとく走るタイプで、馬の性質的に24f超の距離はあっているようで、もしかすると来年はGrand Nationalという選択肢もあるかもしれない。さすがにClan Des Obeauxのスピードに対抗するのは難しかったようだが、今後も注意した方がいい馬である。古豪Native Riverはやはりバテずに走ってはいるのだが、このようなスピードが生きる良馬場ではどうしようもない。対抗角として期待されたWaiting Patientlyは頑張ってClan Des Obeauxを突か前に行くも最後脚が上がっての途中棄権で、この辺りはあまり順調に使っていないところもあるのかもしれない。話題を集めたTiger RollはChaseのG1クラスとなるとこんなものだろう。加えて、鞍上も本来の主戦Keith Donoghueを確保せずにこれまでに一度しかコンビを組んでいないJack Kennedyであり、早々に遅れるも大して馬を急かさずにマイペースでのんびり回ってくるというレース運びで、事前にオーナーが勝てるわけがない旨のコメントを出していたように、そもそも全く勝負気配はなかったように思われる。Irish Grand Nationalとの2択だったようだが、おそらく多頭数で負担の大きいIrish Grand Nationalよりものんびり回ってくることが出来るこちらを選択したというところだろう。

 

Aintree Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. Abacadabras J: Jack Kennedy T: Mrs Denise Foster

人気のJason The Militantがじわじわといいペースで逃げる展開も、まさかの第7障害で落馬。代わってBuver D'airが先頭に立ち押し切りを図るも、最終障害の辺りから内を抜けてきたAbacadabrasがBuzz以下を抑えて勝利した。

空馬のJason The Militantがそのまま先頭に残っている上に、Buver D'airに横からアタックしてきたりとなかなかに迷惑をかけている。Abacadabrasは今シーズンはMorgiana Hurdle (G1)を勝利していたが、その後のMatheson Hurdle (G1)は大敗、Honeysuckle相手にも離れた敗戦を喫していた。今回は相手関係がぐっと楽になった上に、空馬を上手いこと避けて抜けてきたJack Kennedy騎手の好騎乗が光った。Buzzはクラス2の勝ち鞍がある程度の馬で、今シーズンはBetfair Exchange Trophy (G3)にてNot So Sleepyの2着があるのだが、さすがにいきなりのG1クラスではということで人気を落としていた。この馬も空馬に苦労しているのだが、最後までじわじわと脚を伸ばしているのだから大したものである。3着のMillers Bankに至っては前走クラス3を勝ったばかりの馬で、重賞クラスではさっぱり実績がなく、むしろここに出てくるのが不思議なくらいの馬なのだが、これは調子の良さと条件が向いたということだろうか。Buveur D'airは4着で、本来馬の後ろで抑えて運びたかったという不利もあり、空馬に迷惑をかけられるシーンもあったのだが、得意の良馬場で最後失速する辺り、この馬本来の姿というわけではなさそうだ。Silver Streak、McFabulous、Song For Someoneといった今シーズンの上り馬もいたのだが、良馬場という条件が合わなかったのかいずれも大敗に終わった。

 

〇 Randox Foxhunters' Open Hunters' Chase (C2) 2m5f19y (National) (Replay)

1. Cousin Pascal J: Mr James King T: John O'Shea

National Courseを使用する伝統の一戦。今年のCheltenham Festivalと異なり、アマチュア騎手の参戦も可能ということで、多数のアマチュア騎手を迎えて行われた。勝利したのは単勝67倍のCousin Pascalで、前走CatterickのMaiden Hunters' Chaseを勝ったばかりの馬の激走ということで、馬券は大波乱となった。いちおうPoint-to-PointのMaidenで勝ち星があるほか、Maiden Hurdleでの2着もあるのだが、それ以降はさっぱりいいところがなく、現厩舎に移籍してからクラス5のNovice Chaseで2着に入ってからの前走ということで、転厩により馬が変わったということかもしれない。比較的人気を集めたLatenightpass、Cat Tigerが2、3着に入った。4着には単勝200倍のClondaw Westieが入ったようだ。これが"under rules"としては3戦目のMr Ben Bromleyを鞍上に古豪Ucello Contiも出走していたのだが、レースにはついていけず残り4障害で落馬に終わった。

 

Close Brothers Red Rum Handicap Chase (G3) 1m7f176y (Replay)

1. Editeur Du Gite J: Joshua Moore T: Gary Moore

前半から積極的に逃げたEditeur Du GiteがSully D'Oc AA以下を抑えて勝利した。Editeur Du GiteはこれでNewburyのクラス3から連勝とした。元々逃げの一手で戦ってきた馬だが、どうやらこのような積極的に運ぶことに長けたJoshua Mooreとの手が合っているようで、今回も随所に前向きな飛越が目立っていた。前走クラス2のハンデ戦を制し、今回は11st12lbを背負って挑んだGataway Trumpは良いところにつけて進めていたが残り2障害で落馬。幸い人馬ともに無事だったようだが、もったいない落馬となってしまった。

 

4/9(金)

Aintree (UK) Good to Soft (Good in places)

Top Novices' Hurdle (G1) 2m103y (Replay)

1. Belfast Banter J: Kevin Sexton T: Peter Fahey

例によってFor Pleasureが積極的に逃げる展開だが、残り3障害辺りからじわじわと進出したBelfast BanterがDo Your Job以下を抑えて勝利した。Belfast Banterはこの中で唯一のアイルランド調教馬で、鞍上のKevin Sexton、調教師のPeter FaheyともにG1は嬉しい初勝利となった。Belfast Banter自身は前走のCheltenhamのCounty Hurdle (G3)を勝ってきた馬だが、元々アイルランドの重賞戦線ではどちらかというと足りない感があり、2月のNaasのPaddy Power Betting Shop Novice Hurdle (G2)でもEchoes In Rainから大きく遅れた2着に敗れている。長くHurdleを使っていた馬だけに上がり目という点で微妙な感もあるのだが、ここに来て馬が変わってきているのかもしれない。この路線はAppriciate Itという馬が異様に強いのだが、アイルランドの重賞戦線でどこまでやれるか見てみたいところ。イギリス勢再先着が前走Premier Novices' Hurdle (G2)にてMy Drogaの2着に入ったDo Your Jobで、人気を背負ったDusartは3着に終わった。GoodwoodのCross Counterの勝利したQatar Gordon Stakes (G3)にも出走していたBombyxもいたのだが、全体的に飛越が拙く途中棄権に終わった。

 

Mildmay Novices' Chase (G1) 3m210y (Replay)

1. Chantry House J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

ハナに行ったDavid BassのEspoir De Romayがじわじわとペースを上げて逃げ込みを図るが、残り2障害でまさかの落馬。これについて行ったChantry Houseがそのまま2着のShan Blueに32馬身差をつける勝利を上げた。

Chantry Houseは前走のMarsh Novices' Chase (G1)から連勝とした。Marsh Novices' Chase (G1)では下馬評として抜けた評価を受けていたEnvoi Allenが落馬した棚ぼたといった感もあるのだが、今回もまたもやライバルが落馬に終わったことになる。ただしレースとしてはEspoir De RomayのDavid Bassが強気に出していくことでかなり厳しいペースが刻まれており、このペースに付いて行ったのはChantry House一頭だけであったことを踏まえると、内容的にはそんなに悪くはないものだろう。むしろ24f戦に高い適性を持つことが想定され、単なる棚ぼたG1馬というわけではなく、次のシーズンに向けて楽しみが広がったものと言えよう。前走クラス3を勝利して挑んできたEspoir De Romayは勿体ない落馬で、内容的には勝ち馬に匹敵するものであっただけに、Chantry House相手に最後までどこまで戦えるか見てみたかった。前走のMarsh Chase (G1)では2周目から猛然とスパートを掛けて最後失速したShan Blueは、Espoir De Romayのペースに付いていけず。Brown Advisory Novices' Chase (G1)にてMonkfishの2着のあるFiddlerontheroofもペースに付いていけず大敗に終わった。

 

Marsh Chase (G1) 2m3f200y (Replay)

1. Fakir D'Oudaries J: Mark Walsh T: Joseph O'Brien

Politologue、Duc Des Genievresなど逃げたい馬はいたのだが、これらを制してハナに行ったのがMaster Tommytucker。どうにも飛越にミスは目立っていたものの頑張って先頭で引っ張るも、残り3障害辺りからFakir D'Oudariesが接近。そのまま謎のぶつけ合いをしている後続を突き放すと、Nuts Wellに11馬身差をつける圧勝。Itchy Feetが3着に入った。

Fakir D'Oudariesは実に2019年12月のDrinmore Novices' Chase (G1)から久しぶりの勝利なのだが、それ以降の成績は6戦して2着5回と、実に惜しいレースを続けている。しかもその内容としても、Racing Post Novice Chase (G1)、Arkle Challenge Trophy (G1)、Dublin Chase (G1)、Ryanair Chase (G1)と錚々たるレースばかりで、その鬱憤を晴らすような見事な走りであった。元々小柄な馬体を一杯に使った運動神経の良さを武器とする馬で、良馬場でのスピード能力という意味では素晴らしいものを持っているのだが、それ以上に卓越した能力を持った馬がごろごろいるということだろう。Old Roan Chase (G2)を勝ってきた上り馬Nuts Wellは途中でPaul Nicholls厩舎の2頭に挟まれる不利もあったのだが、最後は頑張って2着に来た。G2クラスなら普通に上位争いできる馬で、今回は少々相手が悪かったということだろう。Itchy Feetは例によって大勢が決してから追いこんできての3着。飛越がいまいちなのはいつものことである。Politologue、Notebookといった実績馬もいたのだが、これらはやはり重馬場でやりたかったように思う。それにしてもPolitologue、Master TommytuckerのイギリスPaul Nicholls勢二頭で頑張ってNuts Wellをブロックしているのだが、その外を悠々とアイルランドのFakir D'Oudariesが抜けていく光景はなんとも形容しがたい気持ちになる。

 

Topham Handicap Chase (G3) 2m5f19y (National) (Replay)

1. Livelovelaugh J: Mr Patrick Mullins T: Willie Mullins

前半から元気一杯引っ張ったLivelovelaughが迫りくるPink Eyed Pedroを最後再び突き放して快勝。Livelovelaughは11歳馬で、National Courseへの参戦は2回目となる。2019年のGrand National (G3)は距離的な問題があったのか大敗しているものの、今回は見事な競馬を見せた。特にNational Fenceにおける飛越のスムーズさはこの中でも際立っており、余程このNational Fenceが合うのだろうと思わせるレース振りであった。やや年齢を重ねているが、来年もこの舞台で見てみたい。Pink Eyed Pedroは昨年のGrand Sefton Chaseでは大敗していた馬だが、今回はきっちりと修正してきて2着に頑張った。Grand Nationalの補欠馬Kauto Rikoもいたのだが、こちらは前半から明らかにNational Fenceに戸惑っているようなところがあり、早々に途中棄権に終わった。

 

Doom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1) 3m149y (Replay)

1. Ahoy Senor J: Derek Fox T: Miss Lucinda Russell

前半からレースを引っ張ったAhoy SenorがそのままBravemansgameを7馬身突き放して勝利した。Ahoy SenorはHurdleは2戦目、前走AyrのMaidenを勝ったばかりという馬で、当然人気もなく大荒れの内容となった。メンバー的にどうしてもこの24f戦というのは微妙なところもあるのだが、それでも特に飛越にミスもなく堂々たるレースぶりを見せるのだから大したものである。CheltenhamのBallymore Novices' Hurdle (G1)でBob Olingerの3着に入ったBravemansgameは初の24戦であったが、最後勝ち馬から突き放されての2着。その前はChallow Novices' Hurdle (G1)の勝ち鞍もある馬で、距離的に不安があったとはいえこれらを寄せ付けないのだから勝ち馬を褒めなくてはいけないのだろう。Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1)の2着馬Oscar Eliteは3着に終わったが、どちらかというとこの馬は重馬場で見てみたいタイプのように思われる。

 

Wexford (IRE) Good to Yielding (Good in places)

〇 Maiden Hurdle 2m4f50y (Replay)

1. The Mean Queen J: Mr John O'Neill T: Keri Brion

好位から抜け出したThe Mean Queenがそのまま快勝。アメリカの調教師Keri Brionはこの週末にアメリカに帰国することになっており、これがアイルランドでの最後のレースであったのだが、見事そのレースを勝利で飾ることとなった。アメリカ調教馬として、アイルランド障害競走においてCorkのNational Hunt FlatでもScorpion's Revengeで初めての勝利を挙げているのだが、実際に障害を飛越する競走としての勝利はこれが初めてとなる。The Mean Queen自身はこれがHurdleは初参戦で、前走牝馬限定のNational Hunt Flatにて2着に入っていた。

 

4/10(土)

Aintree (UK) Good to Soft (Good in places)

Mersey Novices' Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. My Drago J: Harry Skelton T: Dan Skelton

Llandinabo Ladがするすると逃げる展開。好位にいたLucky Oneが残り4障害地点で落馬すると、これに釣られてStriking A Poseも落馬。早々に手ごたえが悪くなったLlandinabo Ladは後退し代わってBallyadamが引っ張るも、スムーズに進出してきたMy DragoがMinella Drama以下を大きく突き放して勝利した。

My DragoはHurdleはこれで4戦4勝とした。前走はKelsoのPremier Novices’ Hurdle (G2)を快勝していた馬だが、ローテーションの関係でCheltenham Festivalはスキップしており、アイルランド勢にほぼしてやられたCheltenham Festivalを踏まえて若干期待値込みのような感もあったのだが、非常に強い競馬を見せた。次のシーズンはChaseという話も出ているようで、既にArkleやJLT Novices' Chaseに向けて高い評価を受けている。Supreme Novices’ Hurdle (G1)にてAppreciate Itの2着に入ったBallyadamは最後失速し4着で、今回は初の20f戦ということで距離的な問題が出てしまったか。初のRachael Blackmoreとのコンビで、Rachael Blackmore自身最近は好位でスムーズに運ぶレースが目立つのだが、その反面逃げたLlandinabo Ladが早々に失速したことで先頭に立たざるを得なくなったという問題があったかもしれない。

 

Maghull Novices' Chase (G1) 1m7f176y (Replay)

1. Shishkin J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Gumballが例によって逃げるかと思いきや、途中からやや気合をつけてスピードに乗せていったShishkinがハナに。残り4障害辺りからFunambule Sivolaがこれに迫ってくるも、抵抗したShishkinがFunambule Sivolaを3馬身ほど突き放して勝利した。

Shishkinは言うまでもなく今シーズンの16f Novice Chaseの目玉で、ここでも圧倒的な評価を受けていた。ここまで圧勝に次ぐ圧勝を続けていたのだが、今回はその中では比較的苦労したなという印象。Gumballは比較的スピードに優れた前向きな気性の持ち主で、それをそのまま行かせることもできたのだが、あえてこれを制して前に行ったというのは、来シーズンに向けて緩い競馬をさせないという意図の表れか、もしくは良馬場のミドルペースにより瞬間的なスピード勝負となることを嫌って前に行ったものか、いずれにせよ何かしら意図があったと考えるのが妥当だろう。2着のFunambule Sivolaは走法から見てわかるように良馬場において高いスピード能力を示す馬で、前走のAscotのNovices' Chase (C2)は3頭立てだったとはいえ、11st12lbというきつい斤量を背負って23馬身差の圧勝を決めている。どちらかというとShishkinはパワーのある走法で重馬場の方が走りやすそうなのだが、これを最後まで寄せ付けない走りはやはり圧倒的な能力の高さを示すものであった。

 

Stayers Hurdle (Liverpool Hurdle) (G1) 3m149y (Replay)

1. Thyme Hill J: Tom O'Brien T: Phillip Hobbs

なにやらStayers Hurdleとかいう名前が付いているのだが、もともとはLiverpool Hurdleとも呼ばれるレースで、Cheltenhamの元World Hurdleも現在Stayers’ Hurdleと呼ばれており、ややこしいのでLiverpool Hurdleとして欲しい。レースはDavid Bassが強気に出していったは良い物の、明らかにブリンカーが効きすぎたVinndicationが絡んで行ったEmitonを制して大逃げを打つ展開だが、案の定残り3障害辺りから後退。代わってOn The Blind Side、Lisnagar Oscar辺りも出てくるが、これらを制して出てきたThyme Hillが内から抜けてきたRoksanaを最後捉えて勝利した。

Vinndicationは明らかにオーバーペースで、前半これに絡まれたEmitonも結果的にオーバーペースとなっている。Thyme Hillは今シーズンのLong Walk Hurdle (G1)の2着馬で、HeavyでのPaisley Parkの驚異的な粘り腰に屈しての2着ではあったのだが、Novice上りの馬のパフォーマンスとしては高く評価されていた。残念ながら一頓挫あってCheltenham Festivalはスキップしたのだが、ここでも前評判通りの強い競馬を見せた。牝馬RoksanaはHarry Skelton騎手の完璧な騎乗での2着で、この馬の瞬間的なスピード能力はやはり24fでこそ際立ってくる。前走は20fのMares' Hurdle (G1)に挑戦し、期待外れの3着に終わっていたものの、本来24fの方がこの馬のパフォーマンスとしてはよいものを見せることが出来るのだろう。

3着以下には人気薄の馬が入った。Thomas Darbyはこれが初めての24f戦だが、比較的ハンデ戦で長くしぶとい脚を使える馬だけに、このような乱戦になって浮上した感がある。アイルランドのDecor Irlandaisも同様で、さすがに瞬間的なスピードという意味ではかなり厳しいものがあるのだが、最後までばてずに前を追いかけている辺り大したものである。このような馬はChaseで見てみたいのだが、飛越面での問題があるのだろうか。人気を背負ったPaisley Parkはさっぱりペースに付いてけず途中棄権で、今回のような良馬場のスピード勝負は厳しかったかもしれない。9歳とあまり老け込むような年齢でもないのだが。

 

Grand National Handicap Chase (G3) 4m2f74y (Replay)

長くなるので別記事とします。

 

Auteuil (FR) Collant (4.3)

Prix De Pepinvast (G3)

Haies Pour tous poulains et Pouliches de 4 ans 3600m (Replay)

1. Haut Les Coeurs J: Lucas Zuliani T: Francois Nicolle

Illiciteが大きく後続を引き離して逃げる展開も、最終コーナーの辺りで後続が殺到。ここから抜けてきたHaut Les CoeursがそのままRiver Flightに7馬身差をつけ快勝した。Haut Les Coeursはこれで重賞は初勝利とした。前走はPrix D'Indy (G3)にてHermes Baiesの僅差の2着に終わっているが、そのHermes Baiesが抜けたここでは貫禄の勝利を上げた。Camelotの産駒で未去勢の牡馬River Flightが2着で、ややHaut Les Coeursと比較すると力量麺んで見劣るものの、ここまでAuteuilのListed勝ちがあることを考えると、どこかのタイミングで種牡馬入りする可能性もあるだろう。

 

Prix Murat (G2)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4400m (Replay)

1. Ajas J: Kevin Nabet T: David Cottin

例によってPoly Grandchampがゆるゆると逃げる展開も、好位からAjasが接近。最後差し込んできたDocteur De Ballonを抑えて勝利した。Ajasはこれで前走のPrix Troytown (G3)から連勝とした。今年はGrand Prix De Pau (G3)を快勝する等目下絶好調で、元々はGrand Nationalに挑戦するプランもあったようだが、どちらかというとフランスSteeplchaseにおいて適性のある高く前向きな飛越を武器としたパフォーマンスを示している。一時期はスウェーデンで走っていた馬がAuteuilのこの重賞でここまで素晴らしいレースをするようになるとは驚きだろう。去年の10月から毎月出走しているのはやや気がかりなところがあるが、Grand Steeplechase de Paris (G1)でも楽しみにしたい。Docteur De Ballonはほぼ勝ちに等しいレースで、Ajasに対して1kgの不利があったことを考えるとこのレースは立派なものだろう。昨年のGrand Steeplechase de Paris (G1)などを考えれば距離が伸びた方が良いタイプで、これが休み明けであることを踏まえると次走はさらに伸び代がありそうだ。Eddy De Balme、Feu Follet、Poly Grandchampなど3着以下は大きく離れた。

 

Monkton (USA) Good (Result)

My Lady's Manor Timber Stakes 

For Five Years Olds And Upward, Three Miles On The Timber $30,000 (Replay)

1. Vintage Vinnie J: Chris Gracie T: Joseph Davies

わりとNational Steeplechase Associationのレース映像のアップロードが遅かったり、Equibaseが仕事しなかったりするので、アメリカ障害競走の反映が遅いのは勘弁してください。レースは元気一杯Vintage Vinnieが逃げる展開。これを途中から物凄い勢いでSchoodicが追いかけるも、残り2障害地点手前のコーナーでまさかの馬が滑って転倒。そのまま残ったVintage VinnieがPreseli Rockを抑えて勝利した。Drift Societyが3着。

Vintage Vinnieは比較的長くイギリスRebecca Curtis厩舎で走っていた馬。遡ればMarket RasenのPrelude Handicap Chase (Listed)勝ちもあり、2017年にはTopham Chase (G3)に参戦した経歴もある。2018年からアメリカに移籍し、TimberではGreat MeadowのAllowanceで1勝を上げているようだ。若干全体的に行きたがる面が目立ったのだが、とりあえず飛越に特段のミスは見られなかったので問題はないだろう。むしろ12歳馬でここまでレースに前向きなのは喜ばしいことである。2017年のSteeplethon Stakes以来となるPreseli Rockが2着。長らくHurdleで活躍し、近年は2019年のInternational Gold Cup、Genessee Valley Hunt Cupなどでも勝ち星を上げたSchoodicは勿体ないことにコーナーで滑って転倒に終わった。2019年のこのレースの勝ち馬Mystic Strikeも同じくコーナーで落馬に終わった。

 

〇 Allowance

For Five Year Olds And Upward to be ridden by apprentice riders, Three Miles on the Timber $10,000 (Replay)

1. Super Saturday J: Skylar McKenna T: Katherine Neilson

実況がアツい。レースは好位から進めたSuper SaturdayがFlash Jackson以下を抑えて勝利した。Super Saturdayはこの路線では非常に長い馬で、遡れば2018年のMiddleburg Hunt Cupの勝ち星のあるベテランである。Allowanceということでメンバー的にはさほど強力ではなかったのだが、高齢馬がここをきっちり勝ち切ったことは今後に向けても楽しみなレースだろう。

 

4/11(日)

Bratislava (SVK) 4.1 (Good)

〇 Memoriál Jindřicha Němčanského

Proutky - - 3600 m, cena, 4letí a starší 2.600 EUR (Replay)

1. Royal Gino J: ž. Lukáš Matuský T: Štangel Marián

終始先頭を走ったRoyal Ginoがそのまま快勝。Hurdleの経験が浅い馬ばかりということでレースは全体的にお行儀の悪い馬が多く、この馬自身もスタート直後からやや行きたがって前に行ったり、飛越のミスがあったりといまいちなのだが、平地競争での実績が示す通りの高い能力を見せた。遡ればハンガリーの重賞競走での好走歴やSlovenské derbyでの4着もある馬で、昨年まで大きな成績の下降があるわけでもなく頑張ってきただけあって、8歳と年齢は重ねているが障害競走でどこまで戦えるか楽しみにしたいところである。

 

〇 48. Jarná cena Petržalky

Steeplechase - - 3800 m, cena, 5letí a starší 2.800 EUR (Replay)

1. Shent J: ž. Jan Kratochvíl T: Urbánek Luboš

Kaiserwalzerがやや後続を引き離して逃げる展開も、途中からRubychopが抜け出しを図る。しかしこれに迫ったShentが最終障害でこれを捉えると、内から迫ったStarを退けて勝利した。Shentは2019年のCena Kudy z nudy – Cena ČASCH (Stcc NL)を最低人気で逃げ切った馬だが、その後はどうにもぱっとしない成績に終わり、これが今年の初戦であった。Bratislavaの開幕戦伝統のこのレースではさすがに能力的には上だったようだが、PardubiceのCross Countryに入ればkat. III程度のメンバーであり、ここからどうこうという強調材料には薄いところ。6歳とまだ若い馬だが、No Risk At Allの産駒ということもあって距離延長には若干の不安がある。ベテランStarが2着に入った。この中ではPardubiceにて牝馬限定kat. IIの勝ち鞍のあるAlegoriaもいたのだが、あまりぱっとせず大きく離れた6着に終わった。

 

Hamilton (AUS) Soft6

〇 Phillips Farm Machinery Maiden Hurdle 3200m

Set Weights. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. (Replay)

1. Valac J: Tom Ryan T: Tom Daberning & Ben Hayes

好位から抜け出した葦毛のValacがそのまま3馬身半差をつけ勝利した。ValacはこれがHurdle初参戦となる。2019年の5月にはQueen's Cup (G3)というMorphettvilleの2500メートルの重賞競走の勝ち星があるのだが、最近は平地競争ではいまいちでこちらに回ってきたようだ。飛越自体は若干怪しいところはあったが許容範囲だろう。それにしてもOakbankからこちらTom Ryan騎手は絶好調である。

 

〇 Hygain BM120 Hurdle 3200m

Handicap. No age restriction, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim (Replay)

1. Flying Agent J: Darryl Horner Jnr T: Amy McDonald

好位から進めたFlying AgentがBritannicusを捉えて勝利した。Flying Agentは昨シーズンのGotta Take Care Hurdleの勝ち馬で、基本的には不良馬場を得意としている馬なのだが、今回はSoft6と特段馬場も悪くなかったにもかかわらず結果を残した。73kgを背負ってのこの走りは立派であり、おそらく今シーズンはSteeplechaseかと思われるが、今後が楽しみになる走りであった。人気を背負ったBritannicusは案外な2着で、適性を考えればここは勝ちたかったというのが正直なところだろう。