にげうまメモ

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21/04/25 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/04/19-2021/04/25

4/24(土)

Sandown (UK) Good (Good to Firm in places)

Oaksey Chase (G2) 2m6f164y (Replay)

1. Frodon J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

スムーズに逃げたFrodonに勝負所からMister Fisherが並びかけるも、ゴール直前でFrodonがこれを差し返して勝利した。Frodonは今シーズンのKing George VI Chase (G1)の勝ち馬。イギリス国内ではBryony Frost騎手とのコンビで非常に人気のある馬である。Nicknameの産駒らしくしなやかな馬体を生かしてマイペースで運んだときのしぶとさは高いものがあり、比較的良馬場も得意としている。ただ、やはりCheltenham Gold Cup (G1)ではあっさりなにもできず敗れていたように能力的に上の相手にはなにもできないところがあり、アイルランドの一流どころを相手にすると分が悪いところがあるといった立ち位置だろう。Mister Fisherはまともに24fを走ったのは初めてだが、いきなり見せ場を作った。Ryanair Chase (G1)はややオーバーペースだったようで良いところがなかったのだが、もともとは20fで実績を残してきた馬であり、来シーズンに向けて楽しみが広がる内容となった。

 

Celebration Chase (G1) 1m7f119y (Replay)

1. Greaneteen J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

2. Altior J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

初のチークピーシーズをつけたAltiorが前半から積極的に引っ張るも、好位から進めたGreaneteenがこれを最終障害手前で捉えると、そのまま突き放して勝利した。Greaneteenは今シーズンのExeterのHaldon Gold Cup (G2)の勝ち馬で、やや当時はメンバー的に手薄だった感はあるものの、その後のTingle Creek Chase (G1)では重馬場のSandownという最高の舞台であったPolitologue相手の2着、Queen Mother Champion Chase (G1)では僅差の4着に頑張っている。どうやら良馬場でスピードを活かして走る方がいいタイプのようで、今回は後方待機策ではあったもののAltiorがある程度引っ張ったこと、さらにリズムよく運ぶことに長けたBryony Frostとの手も合っていたようだ。内容としては完勝といったところで、まだ7歳と若い馬、来シーズンはイギリス16fの代表格として頑張ってくれることを期待したい。11歳のAlitorはやや馬がズブくなっていたことを気にしたのか、チークピーシーズを着用の上、Nico de Boinville騎手がかなり思い切った逃げを打つ騎乗を見せたのだが、勝負所でGreaneteenに捕まり2着に終わった。今回は純粋に勝ち馬がこの馬を上回るパフォーマンスを見せたといったところで、Altior自身は現時点でこの馬が出来ることはやり切っている内容だろう。Put The Kettle Onは中段から進めるも、さっぱりいいところなく4着に敗れた。Cheltenhamとそれ以外だとどうも馬のパフォーマンスに一段差があるような印象がある。

 

bet365 Gold Cup (G3) 3m4f166y (Replay)

1. Potterman J: Tom Cannon T: Alan King

2. Kitty's Light J: Jack Tudor T: Christian Williams

DQ Enrilo J: Harry Skelton T: Paul Nicholls

The Young Master、Bob Mahlerなどが前に行く展開も、残り4障害辺りからEnriloが先頭に。El Presente、Cap Du Nord、さらにPottermanなどが追撃するも、最終障害を越えてKitty's Lightが差し込んでくる。しかしEnriloが外にヨレた影響でKitty's Lightが大きく不利をうけると、そのままEnriloが先頭でゴールした。Pottermanが2位入線。Kitty's Lightは3位入線となった。

Enriloはその後Kitty’s Lightの進路を妨害したとして3着に降着となり、繰り上がりでPottermanが勝ったことになったようだ。Potterman自身は昨年夏にMarket RasenのC2勝ちがある馬で、おそらく良馬場の24f戦で力を発揮するタイプのようだ。今回はこの馬にとっては理想的な条件だったように思われる。自分たちが一番いいレースを見せたと調教師が主張するのがKitty's Lightで、まだ5歳と若い馬だが、最後の伸び脚はそのままであれば勝ちに等しいものであった。やや前半もたもたと飛ぶところがあり、このようなタフな競馬ならではの馬かもしれない。馬場は良馬場の方が良いだろう。一方のEnriloのPaul Nicholls師もこの裁定には納得がいっていないようだが、ひとまずNovice馬で11st5lbを背負ってのこの走りは立派だろう。

 

Select Hurdle (G2) 2m5f110y (Replay)

1. Younevercall J: David Bass T: Kim Bailey

Captain Zeboがゆるゆると逃げるも、残り3障害辺りから早々に脱落。先に抜け出したIndefatigableとの叩き合いをYounevercallがゴール前で前に出て勝利した。Call Me Lordが3着。Younevercallはこのレースは2019年に勝利しており、それ以来の勝利となる。どうにもWind Surgeryが多く順調に使えていないようで、おそらく良馬場のレースでないと苦しいというところがあるようだ。今回も途中でDavid Bassが押して前に行っている場面もあり、持っている能力は高そうだがそれを生かし切れていないというのが現状だろう。Indefatigableは惜しい2着。Call Me Lordは最終障害で大きなミスがあり、そこから立て直せず3着に終わった。

 

Charlotte (USA) Good (Result)

Queen's Cup MPC Chase Stakes

To be Run over National Fence for four year olds and upward which have not won over hurdles prior to March 1, 2020 or which have never won three races., other than three-year-old. Two Miles and Three Furlongs over EASYFIX fences. $35,000 (Replay)

1. Brianbakescookies J: Graham Watters T: Jack Fisher

前半からSportswearがやや引っかかり気味に逃げるも、残り2障害手前で先頭に立ったBrianbakescookiesが後続を突き放し快勝した。BrianbakescookiesはこれでHurdleは3勝目となる。最終障害で逃げ粘っていたSportswearが落馬したため着差は開いているが、そこまでのSportswearとの着差を考えるとこの差は決定的だろう。昨年のMichael G. Walsh Novice StakesでSnap Decisionの2着のあるFamily Treeが2着に入った。

 

Glyndon (USA) Good (Result)

Maryland Hunt Cup Timber Stakes

For Five Year Olds And Upward. For Miles on the Timber. $60,000 (Replay)

1. Vintage Vinnie J: Dan Nevin T: Joseph Davies

もはや笑うしかない。2着にPreseli Rock以下につけた着差は112馬身と1/2。Vintage VinnieはMy Lady's Manorから連勝とした。8:22 3/5はコースレコード。Joseph DaviesにとってはMaryland Hunt Cupはこれで5連勝らしい。Dan Nevin騎手はこれが初のアメリカ障害競馬での騎乗とのこと。Willie Mullins厩舎で働いていた人らしいが、今年の4月にアメリカKeri Brion厩舎のScorpion's Revengeに騎乗し、アイルランドCork競馬場で勝利を上げている。どうやらその縁あってか、Keri Brion厩舎を中心に今年はアメリカで活動することを予定しているそうだ。

 

4/26(日)

Auteuil (FR) Tres Souple (3.9)

Prix Jean Stern (G2)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans 4400m (Replay)

1. Le Listrac J: Lucas Zuliani T: Francois Nicolle

Queen Du Berlaisが人気になっていたが、レースは先に抜け出したLe Listracが勝利した。Le ListracはSteeplechaseは3戦目で、前走のCompiegneから連勝とした。HaiesではPrix Cambaceres (G1)にてThelemeの4着のある馬で、上記勢あまり差がないとはいえ今後を楽しみにしてよさそうだ。L'aubonniereが2着。人気のQueen Du Berlaisは飛越がいまいちで、最後エンジンが掛かってからの伸び脚は目立っていたが、前を捉えきれずに4着に終わった。

 

Prix Leon Rambaud (G2)

Haies Pour tous chevaux 5 ans et au-dessu 4300m (Replay)

1. L'Autonomie J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

Galop Marinが例によって前に行く展開だが、途中から先頭に立ったL'autonomieがそのままPaul’s Saga以下を突き放して勝利した。L'autonomieは今シーズンはこれで連勝とした。昨シーズンの段階では右への斜飛する悪癖を見せていたが、今回のレースではそのような悪癖は目立たず、またもともとスピードを活かして押し切るレース運びを得意としていた馬が、おそらく本番でもレースを引っ張ると思われるGalop Marinの後ろで極端に行きたがる仕草を見せなかったことは本番に向けて楽しみな材料だろう。Paul's Sagaが2着で、イギリス遠征のあとは少し調子が悪いようなところもあったのだが、ここに来て調子を上げてきたような感がある。Galop Marinが3着。イギリスからはEspoir De Teillee、Top Ville Benの2頭がいたのだが、いずれも良いところなく大敗した。

 

Milano (ITA) Terreno Buono

〇 Gian Giacomo Durini Euro 18.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeple-Chase - CONDIZIONATA - FANTINI) 4000m (Replay)

1. Quinze De La Rose J: Jan Faltejsek T: Zdenek Semenka

前半から積極的に飛ばしたチェコのQuinze De La Roseがそのまま14馬身差の圧勝。Quinze De La Rose自身、ここまで重賞競走での実績は昨年のMemorial Massimo Caimi (G3)での2着の身なのだが、当時の勝ち馬はL'Estranということもあり、さすがにここに入ると能力は上であったようだ。9歳と年齢は重ねているが、重賞の舞台での活躍を期待したい。5歳のSilver Seamが2着。イタリア調教馬Purple Lightは勝ち馬からは大きく遅れたものの、頑張って3着に入った。

 

Giulio Berlingieri Euro 44.000 TRIO

per cavalli di 3 anni (Siepi - GRUPPO II - FANTINI) 3200m (Replay)

1. Sopran Spencer J: Alessio Pollioni T: Raffaele Romano

フランスのGildaがやや飛ばす展開も、勝ったのはイタリアのSopran Spencer。Sopran Spencerはこれが初めての実戦だったようだが、経験馬相手にやや驚きの勝利を上げた。2着にもイタリアのCallistemonが入り、珍しくイタリア勢が上位を占める結果となった。フランスのGildaが3着。人気になっていたチェコのOcean Lifeは5着に敗れた。

 

Corsa Siepi Dei 4 Anni Euro 50.050 TRIO

per cavalli di 4 anni (Siepi - GRUPPO II - FANTINI) 3600m (Replay)

1. Roncal J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

前半からポーランドのEver Soleadoなどが前に行くも、途中から前に出たRoncalがそのままBig City以下を抑えて勝利した。Roncalはこれで昨年10月のPardubiceから4連勝。前々走のGiulio Berlingieri (G2)、Criterium D'Inverno (G2)と強い勝ち方を見せており、一躍この路線のトップクラスへと躍り出てきた。これがSiepi3戦目とやや経験の浅いBig Cityが2着。昨年のGran Criterium D'Autunno (G1)の勝ち馬Lemhi Passもいたのだが、さっぱりペースに付いていけず6着に大敗した。当時は重馬場だったことも考えると、今回の良馬場におけるスピード勝負は合わなかった感もあるが、それ以上にお行儀の悪さが目立っていた。ポーランド調教馬Ever Soleadoは積極的に運ぶも、途中から遅れ終盤で落馬に終わった。

 

Gran Corsa Siepi Di Milano (G1) Euro 60.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - GRUPPO I - FANTINI) 4000m (Replay)

1. Dominique J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

前半からイタリアのDunque、フランスのEdinson、さらにチェコのDominiqueが競り合う展開だが、途中からDunqueは脱落。そのまま競り合うEdinsonとDominiqueだが、ゴール前でDominiqueが前に出て勝利した。3着以下は大きく遅れた。

DominiqueはこれでGran Corsa Siepi Di Pisa (G2)を含む3連勝とした。昨年まではチェコで走っていた馬で、ここにきてイタリアSiepiに参戦、その実力を見せている。今回はGran Corsa Siepi Nazionale (G1)の勝ち馬Edinsonが相手であったが、その実力を見せることが出来た。今後Merano開催に向けて非常に楽しみな馬となるだろう。一方のフランスのEdionsonも力を見せた。Dominique相手に真っ向勝負を挑んでの2着であり、この馬もまたイタリアに遠征して欲しいところである。

 

その他

'She was so passionate' - amateur jockey Lorna Brooke dies after fall (Racing Post)

'Our hearts are broken in the amateur ranks' - colleagues remember Lorna Brooke (Racing Post)

4月8日のTaunton競馬場で落馬したアマチュア騎手Lorna Brookeが残念ながら月曜日に亡くなったそうだ。自身の母Susan Brookeの調教馬Orchestratedとのコンビだったそうで、その後先週の金曜日の時点で危篤状態であることが報じられていたが、最悪の結末となってしまった。