にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

21/05/02 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/04/26-2021/05/02

4/27(火)

Punchestown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

eCOMM Merchant Solutions Champion Novice Hurdle (G1) 2m100y (Replay)

1. Echoes In Rain J: Mr Patrick Mullins T: Wille Mullins

G1を太字にしていたりしたのですが、見栄えが悪いので細字にします。レースは人気の一角Blue Lordが飛ばす展開も、好位から抜け出したEchoes In Rainがそのまま快勝。2着には人気薄のColonel Mustardが入った。

Echoes In RainはこれでHurdleは3連勝。特に前走のFairyhouseのPaddy Kehoe Suspended Ceilings Novice Hurdle (G2)では2着に15馬身をつける圧勝を見せている。その前のPaddy Power Betting Shop Novice Hurdle (G2)で下したBelfast Banterはその後AintreeのTop Novices' Hurdle (G1)を勝利しており、この馬自身Cheltenham Festivalへの参戦はないのだが、実力的にはこの路線ではトップクラスであることは疑いようがないだろう。Supreme Novices' Hurdle (G1)で勿体ない落馬に終わったBlue Lordは積極的に運んだが、最後は脚が上がっての3着。どうにもレース運びを見ているともう少し慎重にゆったりと進めた方が良かったように思われる。ここまでMaidenを含めHurdle未勝利のColonel Mustardが2着に入った。

 

Champion Chase (G1) 2m (Replay)

1. Chacun Pour Soi J: Paul Townend T: Willie Mullins

First Flow、Allahoなどが先手を主張するも、これをあっさり制したChacun Pour Soiが先頭に。そのまま追いかけてきたAllaho、Nube Negraなどを振り切ると、最後は余裕残しで5馬身差の圧勝。2着にはAllahoが復活してきたようだ。

Chacun Pour Soiはこれで今シーズンはG1を3勝目とした。圧倒的人気で挑んだQueen Mother Champion Chase (G1)はこの馬本来のスピードを活かす競馬というよりは内で我慢する競馬を試みており、その結果Put The Kettle Onの3着に終わっていた。今回のレースはこの馬らしい高いスピード能力を存分に生かした内容で、やはり今回のレース運びを見ると、無理に抑え込むよりは前に前にと加速を掛けていった方がこの馬の良さを生かせるだろう。このスピード能力の高さは16fの障害馬として理想的なものであり、このレースが出来ればQueen Mother Champion Chase (G1)の結果も大きく変わってきたことが容易に想像できる内容であった。

Ryanair Chase (G1)で素晴らしい勝ち方を見せたAllahoもこの馬のレースをしたのだが、さすがに16fのスピード能力という意味ではChacun Pour Soiがあまりにも強すぎた。Queen Mother Champion Chase (G1)で2着に入ったNube Negraも真っ向勝負を挑んだが、最後は脚が上がっての3着。さすがにここまで厳しいペースを作られると苦しかったか。Cilaos Emery、Castlegrace Paddyといったアイルランド重賞クラスの常連はペースに付いていけず。G1クラスのメンバーとは差がありそうだ。イギリスから挑んだFirst Flowも序盤はChacun Pour Soiに喧嘩を売る格好を見せたのだが、この良馬場のスピード勝負では厳しかった。

 

Dooley Insurance Group Novice Chase (G1) 3m120y (Replay)

1. Colreevy J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Envoi AllenとMonkfishの対決ということで注目が集まっていたのだが、するすると逃げたColreevyがMonkfishを振り切り勝利した。Envoi Allenは途中から後退し残り2障害地点で途中棄権に終わった。

ColreevyはChaseは5戦5勝とした。ここまでFaugheen Novice Chase (G1)の勝ち星はあるのだが、基本的には牝馬限定戦を走っており、今年のNovice Chaseの目玉と思われていたメンバーを相手にしてこれは驚きの勝利となる。全体的にこの馬のペースで進めた利はあったのだが、それでもMonkfish以下を振り切るのだから大したものである。Monkfishは番手で進めたが、勝ち馬には肉薄できずに終わった。Brown Advisory Novices' Chase (G1)で数々の不利を跳ね返しての6馬身差の圧勝は記憶に新しく、ここも特段の不利やミスもなかったのだが、これは勝ち馬を褒めるしかないだろう。Envoi Allenは前走の落馬の影響もあったのか飛越のリズムが悪く、レース後に故障が見つかったらしい。大事に至らなければ良いのだが。

 

〇 Irish Field - We Are All About the Horse Flat Race 2m100y (Replay)

1. Crowns Major J: Mr Pat Byrnes T: Emmet Mullins

いわゆるNational Hunt Flatで、これ自体大きなレースでもなんでもないのだが、勝ったのはまさかのダイワメジャー産駒Crowns Major。これがアイルランドではデビュー戦となる。ダイワメジャー産駒は日本の平地競争では数多くの活躍馬を輩出しているが、イギリス・アイルランド障害競馬では全く実績がなく、そもそも出走馬自体がこの馬がおそらく初といった状況で、この馬をわざわざアイルランドNational Hunt Flatでデビューさせた経緯は謎である。馬主Emmet Mullinsはこれまでにも数頭の日本産馬を連れてきているようだが、障害競走に矛先を向けてきたのは初めてである。Emmet Mullins厩舎はどちらかというと障害競走で実績のある厩舎だが、今後のレース選択には注目しておきたい。2着にはHara Kiriという馬が入ったが、こちらはフランス産馬である。

 

4/28(水)

Punchestown (IRE) Yielding

Irish Mirror Novice Hurdle (G1) 3m (Replay)

1. Galopin Des Champs J: Paul Townend T: Willie Mullins

Stattlerが逃げる展開で、好位からVanillier、Torygraphなど。謎のぶつけ合いを繰り広げる後続を尻目にStattlerは軽快に逃げるが、残り2障害辺りからGalopin Des Champsが接近。そのまま後続を12馬身突き放して勝利した。2着にはGentlemansgameが上がった。

Galopin Des ChampsはこれでCheltenhamのMartin Pipe Conditional Jockey's Handicap Hurdle (G2)から連勝とした。16fではあまり結果が出なかった馬で、いちおうフランス時代では重馬場でも勝ち星があるのだが、距離延長と馬場良化がうまくいったパターンのように見える。次のシーズンはChaseに行くとの話で、内容的には力差を感じる完勝だっただけに楽しみな馬になるだろう。FairyhouseのColm Quinn BMW Novice Hurdle (G2)でAshdale Bobの3着のあるGentlemansgameが2着だが、Ashdale Bob自身Leopardstown Dublin Festivalの名前の長いG1競走ではGaillard Du Mesnil相手に大敗しているだけに、どうにもレース全体の水準という意味では微妙かもしれない。もったいなかったのはAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)を圧勝したVanillierで、勝負所でTorygraphに進路をブロックされ、この馬本来のスピードの持続性能を生かすことが出来なかった。

 

Punchestown Gold Cup (G1) 3m120y (Replay)

1. Clan Des Obeaux J: Sam Twiston-Davies T: Paul Nicholls

Minella Indoの”Gold Cup Double"が注目されていたが、残念ながら坐石で回避。Al Boum Photo、Kemboyの強力なアイルランド2騎に加え、イギリスのClan Des Obeauxの参戦で注目が集まっていた。前半からMelonが前に行く展開も、これを追いかけてKemboy、Clan Des Obeaux。第7障害辺りからClan Des Obeauxが前に行くとMelonは後退。これをKemboyがぴったりついていくも、残り3障害辺りで脱落。後ろからAl Boum Photoが進出し、レースは2頭のマッチレースになるが、残り2障害及び最終障害でAl Boum Photoがミス。そのままClan Des ObeauxがAl Boum Photoを振り切り勝利した。

Clan Des Obeauxは2010年のPlanet of Sound以来となるイギリス勢によるPunchestown Gold Cup制覇を成し遂げた。イギリスではKing George VI Chase (G1)の連覇の実績のある馬だが、最近は年齢的にやや真面目に走らなくなってきたところがあるのか、前走のBowl Chase (G1)からチークピーシーズを着用している。どうやらこれがうまくいったようで、Bowl Chase (G1)は26馬身の圧勝、さらにここでも最後まで集中力を切らさずに走り切っている。KemptonやAintreeのような平坦な競馬場を得意とする一方で、Cheltenhamのようなレースの展開に大きな影響を与える起伏のある競馬場は苦手としており、Punchestownは起伏こそ多いものの、この馬独自のリズムでレースを運ぶことが出来るコースということで適性はあったようだ。早々からペースアップを試みる強気な競馬で後続の体力を削り切った結果、最後はこの馬自身も文字通り脚が上がっており、Sam Twiston-Davies騎手が必死で馬を動かして入線している。まさに死力を尽くした好レースであったと言えよう。

Al Boum Photoはこの馬のやることはやり切っているのだが、今回はどうにも勝負所を始めとしてミスが多かった。特に残り2障害地点でのミスは致命的であり、最後まで勝ち馬を追い詰める強さを見せているのだが、勿体ない結果となってしまった。予想外に健闘したのがFakir D'Oudaries。初の24fとなったSavills Chase (G1)では途中棄権、その後16fに戻し、Ryanair Chase (G1)、Marsh Chase (G1)と20fを連勝しているという経緯で、わざわざ24fのここに出走してくる意図は若干謎だったのだが、残り3障害辺りまでは先頭集団に頑張ってついて行く健闘ぶりを見せた。とにかく堅実に走る立派な馬だが、まだ6歳と若く、この馬の今後のレース選択に注目したい。2019年の勝ち馬Kemboyは離れた4着で、この馬にとっては今回のレースはややオーバーペースであった。できればこの馬のリズムでゆるゆると運びたい感がある。

 

4/29(木)

Punchestown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

La Touche Cup Cross Country Chase 4m2f (Good to Firm / Firm in places) (Replay)

1. Singing Banjo J: Mr B Walsh T: Philip Rothwell

Some Neck、Alpha Des Obeaux、Call it Magicなどが前に行く展開も、第10障害直後の分岐でコースミス。そのままAlpha Des Obeauxはコースアウトし途中棄権、Call It Magic、Some Neckはレースに復帰するも馬群から大きく遅れる。代わってBlue Templarなどが引っ張るが、途中から前に出たSinging BanjoがそのままMichael's Pick以下を抑えて勝利した。

第10障害の分岐のところで多くの人気馬がコースミスをしたうえに、良馬場の急カーブが存在する条件ということで、コースで曲がり切れずに転倒している馬が2頭ほど出ている。レース内容としては若干微妙な結果となってしまった。Singing Banjoは2日前のKildare Hunt Club Fr Sean Breen Memorial Chase for the Ladies Perpetual Cupから連勝とした。ここまでほぼHunter ChaseかPtPを使ってきた馬で、一度だけRisk of Thunder Chaseに出走したこともあるが大敗に終わっている。余程調子が良かったようで、11歳馬にとってはキャリアハイの忘れられないPunchestown Festivalになっただろう。同じく中2日で出走してきたMichael's Pickが2着だが、この馬はPtPのMaidenしか勝ち星がないという馬で、当然単勝80倍と低評価であった。比較的人気があったStand Up And Fightが3着。こちらは最近Hunter Chaseで好調の馬で、鞍上も実績のあるMr Derek O'Connorと布陣は強力だったのだが、前には追い付かずに終わった。14歳のベテランBallyboker Bridgeもいたのだが、こちらはコーナーで滑って転倒に終わった。Some Neckは上記のミスからなぜか競走を継続したものの、コーナーで滑って転倒、残念ながら故障で助からなかったそうだ。明らかに大きな不利を受けたにも関わらずの競争継続後の事故ということで、ややcontroversialな内容となってしまった。

 

Champion Stayers Hurdle (G1) 3m (Replay)

1. Klassical Dream J: Mr Patrick Mullins T: Willie Mullins

False Startから強引にハナに行ったFlooring Porterが逃げる展開だが、残り3障害辺りから後続が殺到。この中から一頭別次元の勢いで上がってきたKlassical Dreamが後続を突き放して圧勝した。

人気のFlooring Porterは逃げの一手でここのところ結果を残してきた馬なのだが、だいぶスタートの段階から行きたがっており、結果的にFalse Startの原因として、再スタートの際は馬が捕まっている状態からのスタートとなっている。そのためスタートの段階でかなり馬群から後れを取り、ややFrench Dynamite、Heven Help Usが先手を主張したこともあって、相当強引にハナに行くことになってしまった。いくらFlooring Porterといっても、このPunchestownの起伏の激しいコースであそこまで前半から消耗してはどうしようもないだろう。Klassical Dreamはこれが487日ぶりのレース、かつ初の24fと条件は厳しかったのだが、目が覚めるような勝利を見せた。元々Novice Hurdleでは16fで結果を残してきた馬で、やや行きたがって走るところが特徴だったのだが、今回は24fでFlooring Porterが激しいペースを作ったのもこの馬向きであった。このスピードで24fを走り切れる持久力があるのであれば、次のシーズンは非常に楽しみな存在となるだろう。

フランスからの移籍馬James Du Berlaisはイギリス・アイルランド2戦目で一気にパフォーマンスを上げてきた。前走はChampion Hurdle (G1)でさすがに大敗していたのだが、2戦目でここまで走れるとはさすがの能力馬である。もっとも、全体的にシーズンの終盤ということでレース数を使っている馬が多い中、この馬はまだ2戦目とフレッシュな状態であった利も考えられる。昨シーズンのStayers' Hurdle (G1)の2着馬Ronald Pumpは3着で、残念ながらあまり順調なシーズンとは言い難かったが、順調に使えていればG1クラスで好勝負ができたはずの馬だろう。The Storytellerはなぜかここにいたのだが、鞍上がKeith Donoghueでないので特に見せ場なく大敗に終わった。

 

Ryanair Novice Chase (G1) 2m (Replay)

1. Energumene J: Paul Townend T: Willie Mullins

圧倒的人気を背負ったEnergumeneがそのまま後続を突き放して圧勝した。EnergumeneはChaseはこれで4戦無敗とした。残念ながらCheltenhamのArkle Challenge Trophy (G1)の出走は叶わなかったのだが、LeopardstownのIrish Arkle Novice Chase (G1)では2着を10馬身千切る圧勝を見せており、ここでもその前評判通りの走りを見せたことになる。2着のJanidilはFairyhouseのUnderwriting Exchange Gold Cup Novice Chase (G1)の勝ち馬で、本来16fというよりは20f以上の距離を走るタイプということを考えると、若干メンバー的には手薄だった感もあるのだが、この良馬場において余裕残しで16馬身差という着差は素直に評価した方がいいだろう。

 

4/30(金)

Punchestown (IRE) Yielding

EMS Copiers Novice Handicap Chase (Grade A) 2m5f (Replay)

1. Asterion Forlonge J: Brian Cooper T: Willie Mullins

過去にはReal Steel、Kemboyなどが勝利しているレース。好位から進めたAsteron Forlongeがそのまま後続に14馬身差をつけて圧勝した。Asteron Forlonge自身はHurdleではChanelle Pharma Novice Hurdle (G1)の勝ち鞍がある馬だが、Chaseではやや苦戦しており、ここまでBeginners Chase1勝に留まっていた。どうにも飛越面での問題で苦しんでいたようで、今回もやや全体的に慎重な飛越が目立っていたのだが、11st10lbと一頭飛びぬけたトップハンデを背負ってのこの勝利はやはり能力は高いのだろう。本来馬場が悪くなったほうがいいタイプということも考えても、ここでは能力は飛びぬけていたものと思われる。

 

Champion Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Honeysuckle J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

Jason The MilitantとGoshenが並んで飛ばす展開も、終盤からHoneysuckleが接近。残り2障害から一気に前に出て後続を突き放すと、最終障害でミスがあるも、Honeysuckleに必死で食らいついてきたSharjahを振り切り勝利した。

Honeysuckleは連勝をこれで12と伸ばした。今シーズンはG1を4連勝と波に乗っており、前走のCheltenhamのChampion Hurdle (G1)の危なげない勝利も踏まえると、もはや16f Hurdle路線に敵はいないと言ってよさそうだ。Jason The Militantが飛ばす展開をスムーズに追走し、そこから一気に加速し後続を振り切るスピードは、イギリス・アイルランド障害競走においてトップクラスであり、最終障害でミスがあるもそこから我慢しきるだけの持久力を持ち合わせている。上記Champion Hurdle (G1)で2着のSharjahも頑張って2着に来た。どうにも信頼しきれないところがあるのだが、最近はコンスタントに好走をしているように調子は良さそうで、Jason The Militantが引っ張る展開も良かったように思える。Epatante、Abacadabrasといった実績馬もいたのだが、上位とは力差を感じさせる敗戦。GoshenはCheltenhamからの巻き返しを狙ったのだが、やはりどうにも操縦性に難があるようで、前半Aspire Towerに絡まれてそのまま馬がエキサイトするといった障害馬らしくない場面もあり、結果的に勝負所から脱落し大敗に終わった。

 

Alanna Homes Champion Novice Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. Gaillard Du Mesnil J: Paul Townend T: Willie Mullins

N'Goloが逃げるもどうにも飛越が安定せず、途中からGaillard Du Mesnilが先頭に。これをAshdale Bobが追いかけてくるも、Gaillard Du Mesnilがこれを振り切り勝利した。

Gaillard Du MesnilはLeopardstownの名前の長いG1競走に続き、G1は2勝目とした。Ballymore Novices' Hurdle (G1)ではBob Olingerに7馬身負けているが、勝負所で内に閉じ込められた不利があり、スムーズにこの馬のスピードの持続性能を生かせばこのくらいは走ることが出来る。Saint Des Saintsの産駒ということで航行能力の高さは際立っていた。逆にこのGaillard Du Mesnilに対して先にスパートを掛けざるを得なかったのがAshdale Bobで、これが最後の2馬身差に繋がった感がある。最後まで勝ち馬に食らいつく持久力は立派であったが、このパフォーマンスには良馬場の助けもあったように思われる。想定外に頑張ったのがGanapathiで、早々に脱落したN'Goloはともかく先頭集団について行ったのだが、最終障害で残念ながら落馬に終わった。

 

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

Prix Ingre (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4400m (Replay)

1. Le Berry J: Kevin Nabet T: David Cottin

Amour Du Mathanが逃げるも、Le BerryとFeu Folletが抜け出してくる。残り2障害で大きなミスがあったLe Berryだが、そこから立て直してFeu Folletを差し切り勝利した。Le Berryはこれで昨年の5月からの連勝を8に伸ばすことになった。昨年はPrix Maurice Gillois (G1)を含め4歳Steeplchaseでは無敵を誇った馬で、5歳となった今年はこれがSteeplechase初戦となる。残り2障害地点でのミスはらしくないものだが、そこからFeu Folletを差し切るのだから大したものである。Feu Folletはさすがのレース運びで2着に入った。昨年からフランスSteeplechaseのG1路線でも好走を続けており、実力的には同路線のトップクラスと考えてよいだろう。これが今年3戦目だが、いずれも崩れずに走っており、この馬も春の大一番に向けて視界良好といったところだろう。

 

Prix Amadou (G2)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3900m (Replay)

1. Hermes Baie J: Bertrand Lestrade T: Francois Nicholle

前目で進めたHermes Baieがそのまま後続に8馬身差をつける圧勝。Hermes Baieは前走のPrix D'Indy (G3)に続き連勝とした。昨年のThelemeの勝利したPrix Cambaceres (G1)では早々に落馬に終わっているのだが、雪辱に向けて着々と力をつけている。同レースで2着に入ったRaffles Faceが2着だが、着差を考えるとHermes Baieの走りは非常に楽しみになるものであった。

 

5/1(土)

Punchestown (IRE) Good to Yielding (Yielding in places)

〇 Dooley Insurance Group Cross Country Chase 3m1f (Good to Firm / Firm in places) (Replay)

1. Call It Magic J: Keith Donoghue T: Ross O'Sullivan

前半からMy Hometownが積極的に引っ張る展開だが、好位でこれにしっかりとついて行ったCall It MagicがBallyboker Bridgeとの叩き合いを制して勝利した。My Hometownが3着。

La Touche Cupで残念な結果に終わった2頭が上位に来た。Call It Magicは同レースでコースミス、そこから一応は競走を継続したが、そのまま大きく遅れ途中棄権に終わっている。今年のP.P Hogan Memorial Cross CountryではShady Operatorの4着が最高の実績だが、ここに来てだいぶCross Coutryにも慣れてきたようだ。14歳のBallyboker Bridgeが2着。この馬はこの路線では長く活躍している常連で、La Touche Cupではコーナーで滑って転倒している。14歳と高齢だが、この路線ならまだまだ頑張れそうだ。11歳のMy Hometownはこの馬の競馬で3着。どちらかというと積極的に引っ張りたい馬で、La Touche Cupには登録がなくこちらをターゲットにしてきたのだが、La Touche Cupはやや距離が長いのかもしれない。11歳のHurricane Darwinが4着、13歳のJosies Ordersが5着と、ベテランが上位を占める結果になった。もっとも、出走馬13頭中、9歳以下の馬は2頭しか出走していなかったのだが。

 

〇 Colm Quinn BMW Group Handicap Chase 3m7f (Replay)

1. Mister Fogpatches J: Danny Mullins T: Pat Fahy

Chase競走としてはPunchestown Festivalの中で最も長い距離を走る競走。Freewheelin Dylanが積極的に飛ばす展開も、ゴール直前で前に出たMister Fogpatchesが勝利した。Mister FogpatchesはChaseは初勝利だが、前走のAyrのScottish Grand National (G3)ではアイルランド調教馬として最先着の3着に頑張っている。10st7lbの軽量が恵まれた感もあるが、良馬場の超長距離戦では今後も注意すべき馬だろう。So Mo Laochが2着。ベテランAnibale Flyが3着で、Grand Nationalではなにもせずに帰っていったのだが、11st10lbを背負ってこれだけ走るのだから大したものである。Irish Grand National (Grade A)の勝ち馬Freewheelin Dylanはここでも11st10lbを背負いながらも4着に踏ん張り、好調ぶりを見せつけた。平地部分で故障を発症したMonbeg Notoriousは残念ながら助からなかったらしい。

 

Irish EBF Mares Champion Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. Stormy Ireland J: Danny Mullins T: Willie Mullins

前半から積極的に運んだStormy Irelandがそのまま勝利した。Stormy IrelandはこれでPaul Nicholls厩舎からWillie Mullins厩舎に戻って、Fairyhouse Exchange Hurdle (G2)に続く2連勝とした。イギリスではあまりいいところのなかった馬なのだが、アイルランドに戻って持ち前の軽快なスピードを活かす競馬にシフトしているせいか、ここのところは好調である。ピッチ走法で加速の早い馬で、イギリスで試してみたChaseが合わなかったのは勿論、馬場が重くなると宜しくないという面もあるのかもしれない。人気を背負ったConcertistaは前から大きく離れた3着で、この馬は逆に馬場が重くなったほうがよさそうだ。道中馬群に入れて運んでいたが、馬の性能的にはのびのび走らせた方がいいような印象もある。Laurinaは大敗に終わったが、鼻出血の持病がある上にどうやら交配しているとのことで、無事に回ってくれば十分だろう。昨年のJCB Triumph Hurdle (G1)を棚ぼたで勝利したBurning Victoryはさっぱり飛越が宜しくなく、前から大きく離れた大敗に終わった。

 

Ballymore Champion Four Year Old Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Jeff Kidder J: Sean Flanagan T: Noel Meade

Saint Sam、Haut En Couleursなどが前に行く展開。しかし最終コーナーで外から捲ってきたJeff Kidderが先頭に立つと、追いかけてきたZanahiyrを抑えて勝利した。

Jeff Kidderはこれで3連勝とした。Fred Winder Juvenile Handicap Hurdle (G3)を勝った段階ではMaiden勝ちのみという実績で大いに人気薄であり、今回も以前この馬が全く歯が立たなかったJuvenile Hurdle路線のトップクラス相手ということで低評価だったのだが、驚きの勝利を見せた。とはいえ案外だったQuilixiosを除けばHaut En Couleursはやるべきことをやっており、Zanahiyrを勝負所で捲り潰しての勝利であり、レース運びとしてはフロックでもなんでもないだろう。そのZanahiyrが2着で、最終コーナーの段階でJeff Kidderに進路をブロックされる不利はあったのだが、Jeff Kidderと比較してコーナーで加速が掛かり切らなかったのが原因の不利でもある。JCB Triumph Hurdle (G1)の3着馬Haut En Couleursが3着で、Saint Des Saints産駒らしいスピードを活かした競馬に終始したのだが、やや相手が悪かった。ここまでHurdle5戦無敗で来たQuilixiosはさっぱり走らず大敗。フランスからMica Malpicという馬も参戦していたのだが、飛越がいまいちで大敗に終わった。フランス調教馬らしく丁寧な飛越が目立っていたのだが、この時期のHurdle競走ではもう少し加速を掛けた飛越が要求されるため、さすがにペースに付いていけなかったようだ。

 

Lysá nad Labem (CZE)

Prvomájová steeplechase města Lysá nad Labem

Stcc - cena I.kat. - 5+ - 4200 m - 150 000 Kč (Replay)

1. Antalgique J: ž. Jan Kratochvíl T: Luboš Urbánek 

この時期のLysá nad Labem恒例の競争。このコースでは常連のAeneasがいたのだが、勝ったのは早々に逃げたPower Zarを捉えに行ったAntalgique。Jan Kratochvíl騎手はこのレース8連覇らしい。Antalgique自身はこのコースでは昨年にSteeplechaseで1勝を上げているが、Cross Countryは初めてとなる。途中でIrish Bankを越えるコースだが特段大きな問題はなく、全体的にSteeplechaseに近いLysá nad LabemのCross Countryには対応できたようだ。比較的小回りのLysá nad Labemのようなコースが合うように思われるが、今後のレース選択には注目しておきたい。実績馬Aeneasはやや仕掛け遅れの感がある2着だが、やや反応が悪いようなところもあり、これは一度レースを使って良くなってくることを期待したい。

 

Glenwood Park at Middleburg (USA) (Result)

Middleburg Hunt Cup Stakes

For Five Year Olds and Upwards, Three and One Fourth Miles on the Timber $25,000 (Replay)

1. Mystic Strike J: Thomas Garner T: Todd McKenna

全体的にゆったりと進めるも、前々で運んだMystic Strikeがそのまま逃げ切り勝利した。Mystic Strike自身は比較的Timberでは長い馬で、Radnor Hunt Cup、My Lady's Manor、Pennsylvania Hunt Cupなどの勝ち鞍がある。今年2戦はいずれも落馬に終わっていたが、ここでようやく結果を残した。Zanjabeelは2018年にLonesome Glory Handicap (G1)、Iroquois Hurdle (G1)を制した実績馬で、これがTimber初めてとなる。やや全体的に飛越にミスが多く、ゆったりとレースを進めた印象もあるが、いきなりこれだけ走れれば十分だろう。前走Maidenを勝ったばかりのRoad to Ozが3着に入った。

 

Temple Gwathmey Hurdle Handicap (G2)

To be run over National Fences for Four Year Olds and Upwards, Two and One Half Miles on the Hurdle $75,000 (Replay)

1. Snap Decision J: Graham Watters T: Jack Fisher

好位から抜け出したSnap Decisionが2着に9馬身差をつける圧勝。Snap Decisionはこれが今シーズン初戦だが、ここまでHurdleでの連勝は8に伸ばした。一昨年からNoviceクラスでは無敵を誇る今期最も楽しみな上り馬であり、ここでも一頭別格のレースを見せた。アイルランドからの移籍初戦となったRazoulが2着。アイルランドでは2019年にLiam Healy Memorial Lartigue Hurdle (Grade B)の勝ち鞍がある馬で、まだ6歳と若いのだが、アメリカでのレースが楽しみになる走りであった。1年ぶりのレースとなるAmschelが3着。アイルランドからの移籍初戦となったFootpadもいたのだが、後方から進めるもあまり飛越がぱっとせず、そのまま大きく離れた4着に終わった。