にげうまメモ

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21/06/13 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/06/07-2021/06/13

6/7(月)

Auckland RC @ Ellerslie (NZ) Heavy 11

〇 Scott Electrical Steeplechase MDN STP 4150m (Replay)

1. No Tip J: Shaun Phelan T: Paul Nelson & Corrina McDougal

レースは前半こそZinzanがやや引き離し気味に逃げを打つも、途中から上がってきたNo Tip、Delegate、Pierian Springなどが先頭に接近。そこから抜け出してきたNo TipがDelegateとの叩き合いを制して勝利した。

全体的に前掛かりのレースとなった結果、大きく失速している馬が目立つ中、上位2頭のレースは内容的にも高く評価できるものであった。No TipはHDLではWellington Hurdle (PJR)の勝ち鞍のある実力馬で、昨シーズンは全体的に良馬場でレースが行われたこともあって結果を残すことはできなかったが、HDLでの実績が示す通りここでは能力が上であった。Delegateも同様に一昨年はHDLのPJRでも好勝負できたほどの馬で、この馬もまた昨シーズンは良馬場に泣かされたタイプだろう。5月のMDN STPで2着に好走したPierian Springは積極的に運ぶも、勝負所から脱落して大敗。同レース3着のZinzanも大きく失速し、当時のSlow8の馬場との違いが顕著に目立つ結果となった。

 

KS Browne Hurdle (PJR) OPN HDL 3350m (Replay)

1. Arite Guru J: Hamish McNeill T: Shaun & Emma Clotworthy

スタート直後から激しい先頭の譲り合いが発生するも、Class Above、No Change辺りが前に出てくる。しかし2周目の途中からじわじわとArite Guruが前に出ると、そのまま後続を9馬身突き放して勝利した。

最後の600メートルは41.83掛かっているが、Heavy11のHDL戦ならばこんなものだろう。Arite GuruはPJRは初勝利。昨年8月のHeavy10で行われたWaikato Hurdle (PJR)では3着に入っており、2019年においてはPJRではやや厳しい感もあったのだが、ここに来て力をつけてきたようだ。走法としてもやはり不良馬場巧者のそれだろう。昨年10月にMDN勝ちを上げたEl Luchadorが2着。MDN勝ちのみのMagic Cannonが3着だが、同馬は2019年のGreat Northern Hurdle (PJR)4着もあり、昨年はさっぱりだったのだが案外軽視はできなさそうだ。この中では比較的実績のあるTommyraが差のない4着。前走のWaikato Hurdle (PJR)でThe Cossackの3着に入ったLocharburnが人気になっていたが、やはりHeavy11の馬場に苦労したのか、離れた5着に終わった。

 

McGregor Grant Steeplechase (PJR) OPN STP 4150m (Replay)

1. Eion J: Hamish McNeill T: Ken Duncan

前半からZartanが積極的に引っ張る展開で、隊列はかなり長くなる。ZartanにはぴったりとIt's A WonderとEionがついていき、Mesmerize、Lacustreはやや離れて追走。Zartanはそのまま軽快に逃げるも、最終コーナーで内を掬ってEionが進出。そのまま追いすがるIt's A Wonder以下を抑えて勝利した。

EionのHamish McNeill騎手はこの日絶好調で、PJR2勝とした。Eionは2019年にMDN STPを勝った馬で、その後Slow8となったOPN STP SWPは4着、2020年は全休となっていた。これが久々のSTPであり、実績的には格下であるため最低人気であったが能力を見せるレースであった。実績馬It's A Wonderはトップハンデの69.5kgを背負っての2着で、やはり斤量を鑑みるとこちらを上に取る方が良いだろう。逃げたZartanが3着で、Barry Donoghue騎手は相当上手くペース配分を行った感がある。人気のMesmerizeは好位から押し上げるも4着。同様の位置取りから進めた実績馬Lacustreも5着で、この辺りは展開の綾もあるだろう。Mr Enthusiasticは後方から構えるも飛越がどうにもいまいちで大敗。実績馬Maxも例によって後方からのレースであったが、ここまで隊列が伸びてしまうとどうしようもない。

 

6/12(土)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

Haras D'Etreham Prix Sagan (G3) 3500m 

Haies Pour Pouliches de 3 ans (Replay)

1. La Boetie J: Kevin Nabet T: David Cottin

前半からやや引き離し気味に逃げたItours Brunがそのまま逃げ込みを図るも、最終障害を越えて前に出たLa Boetieが追いかけてきたMatilda Du Berlaisを抑えて勝利した。La BoetieはこれでHaiesは4戦3勝とした。前走のListedではMatilda Du Berlaisに10馬身離れた2着に敗れていたが、その借りを返したような格好となる。ただし今回は外に進路を求めたMatilda Du BerlaisがItours Brunを捌くのに苦労した面もあり、さらにMatilda Du Berlaisに対して4kgの恩恵があったことを考えると次が正念場といったところだろう。2戦2勝で挑んでいたMatilda Du Berlaisが2着で、David Cottin調教師の管理馬が上位を占める結果となった。

 

Prix Aguado (G3) 3500m

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans (Replay)

1. Paradiso J: Kevin Nabet T: David Cottin

軽快に逃げたParadisoが必死で追いかけてきたImpressiveを抑えて勝利した。Paradisoは前走のListedを含む3連勝、Haiesはこれで3戦無敗とした。ヨーロッパ障害競走において大成功を収めているKapgardeの産駒で、現時点で未去勢ということを考えると早々に種牡馬入りするオプションもあるかもしれない。走法としてはピッチで加速力に優れたタイプで、全体的に緩めずに引っ張っていること、Impressiveに対して2kgの負担があったことを考えると、豊富なスピードを有する障害馬としてのポテンシャルはかなり高いように思う。前走Paradisoの3着に入ったImpressiveが2着だが、レース振りを見ているとそれなりに力差はありそうだ。ただし、同じKapgardeの産駒ではあるが持っている能力はだいぶ異なるように感じる。

 

Prix La Barka (G2) 4300m

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en courses de haies, reçu une allocation de 150.000. (Replay)

1. Polirico J: Gaetan masure T: Francois Nicolle

Porto Pollo、Laurinaなどが前に行く展開も馬群は密集して進行。2周目の途中から先頭に立ったPoliricoが先頭に立つと、そのまま後続を突き放して勝利した。Poliricoは今年の3月のPrix Juigne (G3)ではPaul's Sagaを抑えて勝利を飾った馬だが、その後の距離延長となったPrix Leon Rambaud (G2)では5着とやや大きく敗れており、Grande Course de Haies De Auteuil (G1)はスキップしていたようだ。3000メートルクラスのHaiesであれば実績はあるのだが、やや距離延長となるとあまり良くはないようで、今回は格好はつけたがメンバー的にはやや微妙なところがあることから、内容としてはあまり強く強調しにくいところもあるだろう。前走CompiegneのPrix Romati (G3)を勝ってきたGarasilが2着。アイルランドのLaurinaも出走していたのだが、中盤で脱落すると殆ど追わずに諦めていたところがあり、内容的に本気でレースに使ってきてはいないような感じがある。

 

Prix Des Drags (G2) 4400m

Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu une allocation de 200.000. (Replay)

1. Feu Follet J: Baptiste Le Clerc T: Lageneste & Macaire

ゆるゆると逃げたPoly GrandchampをFeu Folletが抑えて勝利した。Feu Folletは有力馬の一頭として挑んだGrand Steeplechase de Paris (G1)では無念の落馬に終わったのだが、その雪辱を晴らす勝利となった。元来フランスSteeplechaseにおいてはG1においても勝ちを狙える立ち位置の有力馬として数えられる馬で、内容的には順当な勝利と言ったところだろう。比較的しなやかな筋肉の持ち主であるいっぽうで関節の可動域自体は狭いものの、やはり持っているパワーとスピードの持続性能は一級品である。単純な持久力勝負という意味では微妙にDocteur de Ballonに対して足りないところがあるのだが、乗り方一つでひっくり返すだけの可能性を秘めた馬である。ただし案外飛越にはポカがありそうで、今回も何回かミスがあった。マイペースでゆるゆると逃げた古豪Poly Grandchampが2着に入った。

 

Prix Questrabad (G3) 3900m

Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant pas, cette année, en courses de haies, reçu une allocation de 110.000.

1. Raffles Face J: Gaetan Masure T: Francois Nicolle

他馬とかなり距離を取って逃げたHurrick Des Obeauxが逃げ込みを図るも、途中からこれに並んで行ったRaffles Faceがこれを抑えて勝利した。Raffles Faceはこれで重賞は初勝利とした。ここまで8戦して一度も3着を外さないという堅実振りで、前走のPrix Alain Du Breil (G1)も勝ったHermes Baieからかなり離されたとはいえ、なんだかんだで3着を死守している。Authorizedの産駒にありがちな操縦性の難しさも特段認めなれなかった。逃げたHurrick De Obeauxは前走Prix Miror (Listed)を勝ってきたばかりの馬だが、強敵相手に頑張って3馬身差の2着に逃げ粘った。

 

その他

Jumps jockey Debbie Henderson made history before career-ending fall (stuff)

ニュージーランドにて初めて女性騎手として"Grand National"を制したDebbie Henderson騎手に関する記事。

Final-flight carnage leads to trainer enjoying first winner in a decade (Racing Post)

人生色々あるものです。