にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

21/06/27 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/06/21-2021/06/27

6/21(月)

Compiegne (FR) Collant (4.5)

〇 Prix Revenge

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus, en steeple-chase, reçu une allocation de 13.500. 3900m (Replay)

5. One Way Ticket J: Tomas Henderson T: Michal Borkowski

ポーランドからOne Way Ticket、チェコからShent、Kapjahr、イギリスからTwo Taffsが参戦するというなかなかに国際的なレースであったのだが、国外勢は3着のTwo Taffsが最高と振るわなかった。特に国外勢として実績があるOne Way Ticketは非常に珍しいセルビア産馬で、現時点でポーランドSteeplechaseではトップクラスの一頭だが、やや全体的に引っかかり気味に走るところが目立ち、直線に向いてからは加速を掛ける余力が残っておらず、前からは大きく離れた5着に終わった。ポーランドSteeplechaseは比較的スピードを要さないコース形態であり、ポーランドであればこの追走でもスタミナを消費しきらないのだが、やはりCompiegneのSteeplechaseのペースとなると同様には行かないように感じる。勝ったのはReliable Sonという馬で、これがSteeplechaseは初参戦だったのだが、終始ハナに立ち、リズムよくレースを進めることができた。

 

6/23(水)

Auteuil (FR) Collant (4.4)

Prix Christian De Tredern (G3)

Haies Pour pouliches et juments de 4 et 5 ans, n'ayant pas, cette année, en course de haies, reçu une allocation de 100.000. 3600m (Replay)

1. Belle Promesse J: Pierre Dubourg T: Isabelle Gallorini

途中からハナに行ったRaffles Sainteが逃げ込みを図るも、最終障害を越えてこれを捉えたBelle Promesseが2着に5馬身差をつけて勝利した。Belle PromesseはこれでListed勝ちを含む3連勝とした。昨年の段階ではSteeplechaseに転向するも落馬に終わり、その後Haiesに戻すも重賞クラスでいまいちな競馬が続いていたのだが、ここに来てだいぶ調子を上げてきたようだ。父FuisseはGreen Dancerの父系に連なる平地競走馬で、障害種牡馬としてはこのBelle Promesseが代表産駒になる。この馬自身は牝馬なのだが、さてどこまでやれるだろうか。

 

Prix La Perichole (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu une allocation de 100.000. 4400m (Replay)

1. Bimbo Has J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

逃げ込みを図るYoutwo GlassをBimbo Hasが捉えて勝利した。Bimbo Hasは前走のDieppeのSteeplechaseに続き連勝とした。Haiesではあまり見せ場のなかった馬なのだが、Steeplechaseに転向して比較的うまくいっているようだ。Tiger RollやNo Time To Loseなど、欧州障害競馬において成功を収めているAuthorizedの産駒ということで、フランスSteeplechaseにおけるAuthorizedの例として注目に値する一頭である。ほぼ勝ちに等しい内容だったのが2着のYoutwo Glass。こちらもSteeplechaseは2戦目と比較的経験は浅いのだが、内容としては勝ち馬と同格のレースを見せた。良血馬Apple's Pierroもいたのだが、こちらは伸びきれず5着に終わった。

 

Murray Bridge (AUS) Soft 6

〇 FibreTrack Benchmark 120 Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim. 3360m (Replay)

1. Pentelligentsia J: Darren McLeod T: Grant Young

Searavenが引っ張る展開も、勝負所から一気に馬群が凝縮。道中はやや後方に位置取っていたPentelligentsiaがHistoric以下を抑えて勝利した。騎乗していたDarren McLeod騎手はこれが初騎乗であったが、まさかの初勝利を成し遂げた。もともと騎手になりないという希望は持っていたそうだが、身長の問題で一度は諦め、その後は"Plumber"(配管工・水道業者という訳)として働いていたらしい。そこからの騎手転身という異色のキャリアを経てきた人だが、ここで大変嬉しい初勝利を挙げることとなった。Pentelligentsia自身はもともとこのクラスでは比較的力上位の馬だが、その後のOakbankのGreat Eastern Steeplechase等では3着が最高とあまり振るわず、格としてはあくまでこのクラスならではということで理解しておいた方がいいだろう。遡ればColeraineのGreat Western Steeplechase勝ちのあるHistoricは久々の好走。さらに前回の記事で取り上げたUndergroundfighterが3着に入り、ほぼ道中の隊列がそのまま入れ替わるような格好での入線となった。

 

〇 Festival Hire Benchmark 120 Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim. 3360m (Replay)

1. Buckeye Nation J: Bradley Thomas Rantall T: Barry Brook

ゆるゆると逃げたBuckeye Nationがそのまま逃げ切り勝ち。Buckeye NationはHurdleはこれで2勝目で、4月もこのコースで逃げ切り勝ちを収めているように、おそらくこれがこの馬の形なのだと思われる。Bradley Thomas Rantall騎手との手も合っているようだ。ただし全体的なメンバーとしては若干微妙なところもあり、比較的人気を集めていたLooking Aroundは前走のHamiltonの0-114 Hurdleを勝ってきた程度の馬であることを考えると、やや全体的なレース水準という意味では微妙なところがあるだろう。

 

6/25(土)

Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Buono

Criterium Di Primavera Euro 50.050 TRIO

per cavalli di 4 anni (Siepi - GRUPPO II - FANTINI) 3500m (Replay)

1. Roncal J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

地元のNo Profitがペースを作るも、これを捉えてRoncalが勝利した。Roncalはこれで5連勝とした。その中にはMilanoのCorsa Siepi Dei 4 Anni (G2)、PisaCriterium D'Inverno (G2)などG2が4戦含まれており、昨年Meranoで行われたEttore Tagliabue (G3)こそNo Profitの2着に敗れているが、内容的にはこの世代ではトップの馬と考えてよいだろう。昨年のGran Criterium D'Autunno (G1)を勝ったLemhi Passがその後のMilanoでRoncal相手に大敗していたことも考えると、現時点でイタリアSiepiにおいて敵はいないようだ。地元のNo Profitはペースを握るも2着。勝ち馬に対して1kgの斤量の有利があり、この2着は言い訳が出来ないだろう。地元のBig Cityが2着に迫る3着。ドイツから元フランス調教馬のCanford Wineが参戦していたが、さっぱりペースに付いていけず途中棄権に終わった。

 

Gran Corsa Siepi D'Italia Euro 60.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - GRUPPO I - FANTINI) 4000m (Replay)

1. Live Your Life J: Raffaele Romano T: Raffaele Romano

上半期のMerano開催のSiepi路線を締めくくる一戦。上り馬Dominiqueを中心に、チェコ調教馬Stuke、地元のLive Your Life、Sky Constellationなどが人気を集めていた。レースは序盤からPiton Des Neigesがペースを作りに行くも、明らかに引っかかったGrand Sudが先頭に立ち逃げる展開。しかしこれに絡んで行ったLive Your Lifeが途中でこれを競り潰すと、そのまま後続を突き放して勝利した。

Live Your LifeはこれでG1は3勝目とした。若いころから長くイタリアSiepiで活躍していた馬で、昨年から今年の春にかけてはいまいちぱっとしなかったのだが、前走のListedにてCandalex以下を10馬身突き放して快勝し、調子を上げてきたようだ。しかしそれ以上に、今回は明らかに引っかかってややオーバーペース気味に引っ張ったGrand Sudを競り潰しに行く強気な騎乗が印象的であり、2着以下を大きく引き離したこのパフォーマンスは、この馬にとってこれが単なるG1の3勝目という数字以上に価値を持つものであろう。この馬の新しい可能性を引き出したMerano地元のRaffaele Romano騎手渾身の騎乗であった。

人気薄ながら2着に突っ込んできたのがチェコのSkins Rock。昨年のGran Corsa Siepi Di Milano (G1)の勝ち馬だが、今年に入ってからはいまいちで、前走のGran Corsa Siepi Di Mlano (G1)でもDominique相手に大敗していた。上述の昨年のレースも全体的にメンバーとしては手薄だったのだが、展開が大きく変わって浮上する結果となった。昨年のGran Corsa Siepi Di Merano (G1)の勝ち馬で、昨年の段階でイタリアSiepiのチャンピオンホースと考えられたStukeは3着で、今回はややペースに戸惑った感がある。もう少しゆったりとしたペースでの瞬発力勝負では非常に高い能力を持っている馬で、展開が変わって見直したいところだが、今回のように前半から飛ばす馬がいてはどうしようもないところ。地元のSky Constellationは後方から足を伸ばすも、最後止まって4着。能力は高い馬だが、どうにも乗り難しいところがあるような感がある。昨年のこのレースの勝ち馬Piton Des Neigesは見せ場なく大敗。前半からこの馬にとってはオーバーペースだったのだが、以前は安定した成績を残していた馬が、最近はどうにもめっきり着順を落としているのは気がかりである。チェコのGrand Sudは前半から前に行くも、苦しくなってそのまま大失速。2019年のEttore Tagliabue (G3)の勝ち馬で、元々持っている能力は高いようなのだが、2020年末に復帰してからはどうにもいまいちである。人気を集めた上り馬Dominiqueは良いところなく大敗。平地ではVeľká cena Slovenska (G3)の4着のあるKihnuは障害2戦目で、常識的にここは厳しかった。

 

Pardubice (CZE) stav dráhy: 3.4 (dobrá / Good)

Zlatý pohár - Cena předsedy Poslanecké sněmovny Parlamentu ČR

Steeplechase NL - 4400 m, cena, 5letí a starší 200.000 Kč (Replay)

1. Dusigrosz J: ž. Ondřej Velek T: Váňa st. Josef

スロバキアのStarが淡々と引っ張る展開。勝負所から人気のFirst of Allがこれに迫るが、追い出すと案外。代わって頑張って追走していたDusigroszが伸びると、そのままStarに13馬身差をつけて快勝した。

DusigroszはチェコSteeplechaseではかなり長い馬で、Meranoでは2017年にCriterium Di Primavera (G2)勝ちがあるのだがその後はあまり良績はなく、近年は専らチェコのSteeplechaseを専門に使っている。この路線では力量上位であり、かつ障害馬としての安定感はここでは上であった。一度Cross Countryも試しているのだがあまりうまくいかなかったようで、8歳という年齢も考えるとこのままSteeplechaseでのレースを続ける可能性もありそうだ。スロバキアのStarは淡々と走ってそのまま2着。人気のFirst of Allはやはりここに入ると能力的には高いものがあるのだが、どうにも追い出してから案外であったり、苦しくなってからあっさり失速したりと、少々障害馬としての完成度の点で問題がありそうだ。

 

〇 Cena společnosti Tipsport Červnová cross country Válečníka

Steeplechase crosscountry I.kat. - 3300 m, cena, 5letí a starší 150.000 Kč (Replay)

1. Dajuka J: ž. Jan Odložil T: Holčák Radek

Chrystal Cross、Tiara Manなどが引っ張るも馬群は密集して進行。そのままChrystal Crossが逃げ込みを図るが、最終障害を越えて外から伸びてきたDajukaが2着以下を差し切り勝利した。

Dajukaは昨年のPoplerův memoriál – Cena Radiožurnálu – Cena Nadace pro rozvoj města Pardubic (Stcc NL)の勝ち馬で、当時は2着のLad Inに8馬身差をつける強い競馬を見せ3000メートルクラスのCross Countryの世代交代を感じさせる走りを見せていた。今シーズンはSteeplechaseから始動し、Steeplechaseではいまいちだったのだが、Cross Countryに戻って良い勝ち方を見せてくれた。全体に馬群が密集していたとはいえ、ここでのスピード能力の高さは際立っており、このロングスパート能力がこの馬の武器になるのだろう。このクラスの常連Chrystal Cross、Mdedicimanも頑張って2、3着。72kgのトップハンデを背負っていたKaiserwalzerは僅差の4着で、この馬にとっては初めての3000メートルクラスのCross Countryであったことを考えると、収穫のあるレースであった。Tiara Man、Medic、Usockemといった常連もいたのだが、これらは上位には加われず。長らくMeranoのCross Countryを使ってきたPower Zarは久々のPardubice参戦であったが、最後まで馬群について行くレースを見せた。さすがに12歳馬ということで瞬間的なスピード能力の点では微妙なのだが、2017年時点ではEURO EQUUS IV. kvalifikace na 127. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou (Stcc NL)を勝つ程の馬。能力的にはまだまだやれるだろう。kat. IVを2連勝して挑んできた上り馬Golemもいたのだが、やや全体的に追走に苦労し、残り2障害地点で落馬に終わった。

 

Cena města Pardubic-II. kvalifikace na 131 Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Mjr M.Svobody

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 200.000 Kč (Replay)

1. Evžen J: ž. Jaroslav Myška T: Myšková Štěpánka

昨年のVelká Pardubickáの勝ち馬Hegnusの復帰戦であったが、上り馬Evženが人気になっていたようだ。レースは前半からStretton、Evženが引っ張る展開。Irish Bankにて早々にSaint Josephが落馬。そのままレースは淡々と流れると、少しずつ加速したEvženがMazhilis以下を振り切り勝利した。

Evženは今年5月のI. kvalifikaceではどうにも飛越が安定せず、そのままリズムを崩し最下位に沈んでいたのだが、巻き返しを図ったここでは結果を残した。前半かなりゆったりと運んだことで大きな飛越のミスもなく、そのまま後半もリズムよく運んだことがこのパフォーマンスに繋がったといった内容だろう。Velká Pardubickáに向けて最有力候補となる一頭であるが、どこかで飛越のミスが発生した際の立て直しという意味ではまだ不安もぬぐい切れないところがある。古豪Mazhilisは安定したレース運びで2着。Cross Countryは未勝利だが、Cross Country転向以降はどうにも瞬発力勝負で負けるようなレースばかりであり、要するにそういう馬なのだろう。Velká Pardubickáの舞台も2回経験しており、2019年はややレース運びを失敗しての4着。近年は冴えないレースが多かったのだが、能力のある実力馬が戻ってくるのであれば今年も楽しみにしたい。2019年のVelká Pardubickáの2着馬Strettonが3着。HegnusはVelký anglický skokでミスをしての5着で、そこまでのレース運びを見るとこの馬自身今年も頑張れそうだ。Steeplechaseで実績のあるMustamirは期待されていたが、どうにも飛越が安定せず大敗。チェコダービー馬Gontcharはやや驚きの参戦だったのだが、こちらも飛越が安定せず、勝ち馬からは30秒以上離れた最下位に終わった。

 

Pervy Warner (USA) (Result)

Calvin Houghland Iroquois Hurdle Stakes (G1)

To be run over National Fences for Four Year Olds and Upward. Two and Three Fourth Miles on the Hurdle $100,000 (Replay)

1. Snap Decision J: Graham Watters T: Jack Fisher

レースはNew Menberが例によって逃げる展開だが、勝負どころからSnap Decisionが進出。そのまま先頭に立つと、食い下がるAmschel以下をあっさり突き放して勝利した。

Snap Decisionは昨年のNovice Championで、これで9連勝とした。前走のGwathmey Hurdle (G2)でも危なげない勝ち方を見せており、さらに今回はTrack Recordのおまけつきと、現時点のアメリカHurdle路線における新たなチャンピオンと言ってよいだろう。これから夏場にかけてアメリカではSaratogaのG1競走が続くことになるが、そこでも中心視される馬である。ただし、メンバー的には2018年のNew York Turf Writers Cup (G1)で2着のあるNew Memberくらいで、さほどここまでG1路線で活躍してきた馬ばかりではないことに留意したい。2着のAmschelは前走のGwathmey Hurdle (G2)では3着であったが、今回もSnap Decisionには肉薄できず2着。アイルランドからの移籍馬で、母国では相当の実績を積んできたFootpadもいたのだが、途中で落馬に終わった。

 

Tokyo / 東京 (JPN) Good to Firm

Tokyo Jump Stakes / 東京ジャンプステークス (G3) 3110m

1. スマートアペックス J: 中村将之 T: 浅見秀一

スタート直後からホッコーメヴィウスが先頭を伺うも、かなり主張してグローブシアターが先頭に。そのままグローブシアターはペースを落として引っ張るも、2周目に入ったあたりでヒロシゲセブンが後方から一気に捲ってきて先頭に代わる。そのままヒロシゲセブンは後続を突き放して逃げ込みを図るも、最終障害を越えて後続が殺到。内から抜けてきたホッコーメヴィウスを抑えてスマートアペックスが勝利した。

スマートアペックスは人気に応える走りを見せた。実績的には中山グランドジャンプ (G1)にてメイショウダッサイの4着がある馬で、前走の中京で行われた京都ハイジャンプ (G2)では三津谷隼人騎手一世一代の騎乗に屈して3着に敗れているが、ここでは貫禄の勝利を見せた。2周目からヒロシゲセブンが勝負を掛ける展開を、好位からじわじわと前を射程圏内に入れつつ捉えきるレースは余力残しのものであり、おそらくより強気に動いっていっても勝ち切れたものと思われる。内で脚を溜める競馬で浮上してきたのが2着のホッコーメヴィウス。グローブシアターがかなりハナを主張したため逃げることはできなかったのだが、そこから切り替えて馬群の中で我慢をさせる競馬に終始し、最終コーナー手前に入ってもビッグスモーキーが前にいたことで、そのまま内をすり抜けた上にこの馬の爆発力を直線のみに集中することが出来た。黒岩騎手の好騎乗であった。レースを動かしたのが西谷騎手のヒロシゲセブンで、ゴール前で捕まるもしぶとく頑張って4着に入った。明らかにペースが緩んだところを狙ってペースを作りに行くのまでは良かったのだが、最後まで我慢させ切れないのは騎手の腕もあり、これはどうしようもないだろう。2番人気に推されていたグローブシアターは、前半こそハナに行くも、2周目に捲られると抵抗しきれずそのまま大敗。直前に出ていた高田騎手のインタビューはなかなか興味深い内容だったのだが、そこでの考察をレースに反映することはできなかった。この馬自身生粋のステイヤーではないため、ハナに行くのであればペースを緩めて息を入れなければいけないのだが、あそこまで一気にペースを落としてしまうと誰かが捲ってくるのは目に見えている。

 

6/26(日)

Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Buono

Grande Steeplechase Di Roma Euro 30.000

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country - GRUPPO III - G.R.-AMAZZONI-FANTINI) 5000m (Replay)

1. Almost Human J: Pavel Slozil Jr T: Josef Vana

2018年から昨年までは4100メートルで行われていたレースなのだが、どうやら今年は距離を延長して5000メートルとなったらしい。従ってMeranoの5000メートルのCross Country Courseを使用して行われるのは2017年以来となる。MeranoのCross Country Courseは短い距離と長距離では大きく性質が異なっており、比較的短い距離であればそれなりに出走馬は集まる一方で、この距離のCross Countryに対応できる馬の数は現状のイタリア障害競走においては決して多くはなく、メンバーも4頭立てとやや寂しい頭数となった。しかし、やはりCross Country競走として高い水準を保とうとするのであればこのくらいの距離を設定するのはやむを得ないだろう。

レースは前半からAlmost Humanが元気に引っ張る展開。Doppia Gabbia di SiepiにてまさかのBroughtonが落馬したり、途中で全馬コースを間違えたりとアクシデントが連続。さらに途中でAll About Cossioが躓いて落馬すると、そのままするすると逃げたAlmost HumanがBurrows Laneを退けて勝利した。

Almost Humanはこの中では比較的Cross Countryの経験の少ない馬で、このコースも初めての経験であったがいきなり結果を残した。ある程度Pavel Slozil Jr騎手が勢いをつけて走らせたのはおそらく飛越のリズムを作りだすためのもので、実績馬2頭が落馬に終わったレース内容はともかく、結果的にはこれがうまくいったような感もある。ただしBurrows Laneはここまでこの路線で頑張ってきてはいるものの、決して結果を残せた馬ではないことを考えると、レースの水準としては少々微妙かもしれない。来年もこの条件で行われること、このコースに対応できるだけの技術を持った馬が多数出走してくることを楽しみにしたいところである。

 

Premio Ezio Vanoni Euro 40.000 TRIO

per cavalli di 4 e 5 anni (Steeple-Chase - GRUPPO II - FANTINI) 3800m (Replay)

1. Gangster De Coddes J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

前半から元気よく逃げたGangster De CoddesがそのままついてきたTancarville以下を振り切り勝利した。Gangster De Coddesは昨年のCorsa Siepi Dei 4 Anni (G2)の勝ち馬で、今年の5月にはフランスのDieppeに遠征し2着に頑張っていた。レース内容としてはほぼスピードの違いにより押し切ったといったもので、もしかするとフランス障害競走を使ったことの利点かもしれない。Josef Vana厩舎を始め、チェコの有力厩舎は比較的積極的にフランスへの遠征を行っており、もしかするとこのような狙いがあるのかもしれない。前走のNovice競走にて落馬に終わっていたTancarvilleはあまり人気はなかったものの、勝ち馬に唯一頑張ってついて行き2着。対抗角と思われていたHoney Sexyはどうにも飛越が安定せず落馬に終わった。

 

Grande Steeplechase D'Europa Euro 65.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeple-Chase - GRUPPO I - FANTINI) 4600m (Replay)

1. Notti Magiche J: Ondrej Velek T: Josef Vana Jr

上半期のイタリアSteeplechaseを締めくくるレースなのだが、人気を背負うと思われたL'Estran、Northerly Windが揃って出走取消。レースはフランスのMinella For Meが引っ張るも早々に落馬、さらにOxer GrandeにてAl Bustan、Lodgian Whistleの2頭が落馬。そのまま淡々と逃げたNotti MagicheがBugsie Malone以下をあっさり突き放して勝利した。

Notti Magicheは2019年からこのレースは3連覇、さらに2019年のGrande Steeplechase Di Milano (G1)を含めG1は4勝目とした。今年で11歳になるベテランだが、この馬のペースで走らせた時の安定感は抜群で、飛越においてもミスがなく、なにかとミスを連発していた他馬とは一線を画していた。長年MeranoのSteeplechaseで活躍してきた馬が11歳と年齢を重ねたことでその技術はもはや円熟の域に達しており、このような技術を持った馬の走りを見ることはそれ自体が楽しいものである。

Bugsie Maloneも同じく11歳のベテランだが、基本的にこの馬はイギリスで走ってきた馬で、あまりMeranoでの実績はないものの2着に頑張った。やはりスピード能力と言う点ではやや微妙なところがあり、それは近年のPardubiceやMeranoの走りを見ればわかることである。ポーランドSteeplechaseで実績のあるチェコRekiもなんとか完走を果たしたが、もともとこの馬自身もスピード能力という意味ではそろそろ怪しくなっており、Cross Countryを試したりと若干レース選択には苦労している感がある。ベテランのAl Bustan、Lodgian Whistleは前走に引き続き落馬。フランスのMinella For Meも落馬に終わったが、内容としては踏み切り位置が遠すぎたもので、イタリアSteeplechaseではしばしば見られるタイプの落馬である。

 

Casterton (AUS) Soft 6

〇 Davis Blinds BM120 Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim. 3480m (Replay)

1. Eckhart J: Aaron Mitchell T: Patrick Payne

好位から抜けてきたEckhartが後続に3馬身差をつけて勝利した。EchhartはHurdleはこれでMDNに続く2勝目とした。5月末の同クラスでOut And Dreamingの2着に頑張っていた馬で、メンバー的にもここでは実績上位といったところであった。後方から足を伸ばしたBakery Hill、Mr One Elevenが2、3着に入った。Bakery HillがEckhartの66kgに対して68kg、Mr One Elevenが72kgのトップハンデを背負っていたことを考えると、あまり上位に力量差はなさそうだ。逃げたDuke of Boneoはよく抵抗したが、最後はやや力尽きて4着に終わった。

 

〇 WC & AC Miller Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3800m (Replay)

1. Historic J: Aaron Mitchell T: Steven Pateman

前半からPolice Champ、Georgethefifthの2頭が後続を突き放して逃げるも、2周目に入ると後続が殺到。スムーズに抜けてきたHistoricが余力残しで2着以下を完封する勝利を上げた。Historic自身はこのCastertonのコースはさほど実績はないながらも比較的経験はある馬で、2019年にはColeraineのGreat Western Steeplechase勝ちもある。今年5月のCastertonでは途中棄権に終わっているのだが、前走のMurray BridgeのBM120 Steeplechaseでは2着と、今のところ調子はいいようだ。ただしどうにも戦績的に信用が出来ないところがあり、今回のレースは見事であったが少し注意をしておきたいところ。74.5kgのトップハンデながら人気を背負っていたPolice Campは4着に頑張った。Grand Annual Steeplechaseで3着に入っていたGeorgethefifthもいたのだが、こちらは前半からPolice Campに絡んでいくも早々に失速し途中棄権に終わった。

 

Racing Te Aroha @ Te Aroha (NZ) Heavy11

〇 Happy 5th Birthday Lucas Brosnan RST OPN HDL SWP 3100m (Replay)

1. Richard of Yorke J: Michael Roustoby T: Jamie Richards

Lucas Brosnanという人が誰なのかは知らないがとりあえず誕生日はめでたいことである。レースはゆるゆるとElusive Aceが逃げるも最終コーナー手前から失速。代わって抜けてきたRichard of Yorkeが後続を突き放して勝利した。Richard of YorkeはHDLは6戦目で初勝利とした。比較的ニュージーランド障害競走では珍しいイギリス生産馬で、Oasis Dreamの産駒となる。平地競争ではここまで56戦を消化して6勝を上げたタフな馬で、いちおう重賞競走への出走歴もあるようだ。ここまでHDLではコンスタントに走るも勝ち切れないといった内容だが、非常にパワフルな走りは重馬場巧者のそれであり、この条件であれば今後も楽しみな馬だろう。人気を背負っていたDr Hankは2着だが、どうにも飛越にミスが目立った。

 

〇 Naturphos Liquid Fertiliser Hurdle RST OPN HDL SWP 3100m (Replay)

1. Raucous J: Dean Parker T: Paul Nelson & Corrina McDougal

逃げるRaucousにMagic Cannonが絡んでいくも、最終コーナー手前からRaucousが後続を振り切りにかかる。残り3障害地点でRaucousに大きなミスがあるもなんとか立て直し、そのまま2着に14馬身半をつけて快勝した。RaucousはHDLはこれで初勝利とした。MDNではここまでやや一歩足りないというレースを続けてきた馬だが、今回は先手を取ってある程度のペースで引っ張るのがうまくいったような感もある。残り3障害地点のミス以降はなんとか障害を越えているといったところで、飛越技術としてはもう少し改善が欲しいところ。後方から押し上げたOur CraftsmanはEmily Farrらしい思い切った騎乗であったが、最後は脚が上がっての2着。初障害ながらこれは上出来だろう。KS Browne Hurdle (PJR)の3着のあるMagic Cannonは終盤勝ち馬に振り切られて3着と、メンバー構成を考えるとここは勝ちたかった。HDLは10戦目となる葦毛のSummer Warriorはどうにも馬が走ったり走らなかったりしているように見えるが、Stewards Reportを読むともしかすると呼吸器系に問題があるかもしれない。

 

〇 Piako Rural Services Steeplechase RST OPN STP SWP 3500m (Replay)

1. Eion J: Dean Parker T: Ken Duncan

第1障害から人気のNo Tipが落馬するアクシデント。豪雨の中Zartanが軽快に逃げ隊列がかなり長くなる展開も、最終障害を越えて差し込んできたLeica Warrior、逃げ込みを図るZartanを抑えてEionが勝利した。

Eionは前走のMcGregor Grant Steeplechase (PJR)に続き連勝とした。元々2019年のHeavy11で行われたMDN STPを勝ってきたように不良馬場に対する耐性は高く、そこから約2年近い休養を経て復帰しているように馬は比較的フレッシュである。やや今回は使い詰めのような感もあったのだが、前走の実績が示す通りの実力を見せた。距離的にはもっとあってもいいような感もあり、今後が楽しみな一頭である。今年11歳となるZartanは逃げて見せ場を作った。ここまでSTPはMDNのみだが、前走にMcGregor Grant Steeplechase (PJR)では3着に入っており、この馬もどこかで大仕事をやってのける可能性のある馬だろう。全くのノーマークながら頑張ったのがLeica Warroirで、ここまでSTPは2戦のみ、前走のMDNでは落馬という実績ながらも、65kgという斤量を差し引いても勝ちに等しい3着というのは驚きのレースであった。実績馬Lacustreは前には肉薄できず3着。Te Kahuは一頭だけはるか後方から捲り上げるレースに賭けたが、前には追い付かず5着に終わった。