にげうまメモ

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21/12/25 第11回(2009)中山グランドジャンプ 海外からの参戦馬

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*第11回(2009)中山グランドジャンプ (Result)

〇 優勝馬:Spring Ghent / スプリングゲント (JPN) (Pedigree)

スプリングゲントの父*オペラハウスはSadler's Wellsの産駒で、1994年から日本で繋養されるとテイエムオペラオーニホンピロジュピタといった活躍馬を送り出していますが、障害競馬においても多数の活躍馬を送り出しており、その代表産駒としてはこのスプリングゲントの他、マジェスティバイオコウエイトライ、スリーオペレータ―といった重賞勝ち馬が存在します。*オペラハウスの全弟Kayf Taraは言わずと知れた大種牡馬で、2016年King George VI Chase (G1)勝ち馬Thistleckrack、2010年Punchestown Gold Cup (G1)勝ち馬Planet of Sound、2017年Queen Mother Champion Chase (G1)の勝ち馬Special Tiaraといった数々の活躍馬を送り出しています。そもそもSadler's Wellsの子孫はヨーロッパのみならず世界中の現代障害競馬で大成功を収めており、その中でも*オペラハウスというトップクラスの活躍を示した競走馬、しかもSadler's Wells産駒の中でも大成功した偉大な障害種牡馬Kayf Taraの全兄の産駒を、こうして日本障害競馬で見ることができることは大変に喜ばしいことです。*オペラハウス産駒として、シングンオペラは2019年の中山大障害 (G1)の勝ち馬シングンマイケルを、メイショウサムソンは2018年京都ハイジャンプ (G2)勝ち馬アスターサムソンを、テイエムオペラオーは2017年の京都ハイジャンプ (G2)の2着馬テイエムオペラドンを送り出しており、なんとか日本でも父系が繋がって欲しいところです。

 

〇 6着 Ginolad / ジノラッド (AUS) (Pedigree) (Racing.com) (Racing Post)

騎手:Craig Durden 調教師:Aaron Purcell

オーストラリア調教馬。2007年からHurdleに参戦、Hurdle2戦目で勝ちあがると、2007年はLadbrokes Park HillsideのGrand National Hurdleで2着、さらにSteeplechase初戦にも関わらずLadbrokes Park LakesideのGrand National Steeplechaseで3着、Hiskens Steeplechaseで5着と頭角を現します。そして迎えた2008年、Grand Annual Steeplechase、Flemington競馬場のGrand National Steeplechaseと、オーストラリアSteeplechaseにおける主要競走を勝利しました。このGrand Annual Steeplechase、Grand National Steeplechaseのダブル制覇を成し遂げたのはこの馬が歴史上4頭目だったそうで*1、このように、2008年のオーストラリアSteeplechaseでは頂点に君臨していた馬です。2009年は平地を使ってここに挑んできましたが、残念ながら結果は伴いませんでした。ちなみにこの馬のHurdle Trialはオーストラリアビクトリア州障害競馬で活躍していた日本人ジョッキーである川上元騎手が騎乗していたようです。2009年の中山遠征後にはイギリスのVenetia Williams厩舎に移籍する旨の報道があり*2、そこから2012年になるまでイギリスで障害馬として現役生活を送ったようです。ただし、イギリス初戦となったFontwellのBeginners' Chaseを勝利したのみで、重賞クラスへの参戦はなく、出走レースとしてもクラス4~クラス2のみと、やはりオーストラリアでの華々しい成績から考えると全体的に残念な内容に終わったようです。Craig Durden騎手は2006年、2007年に続き3度目の中山グランドジャンプへの参戦。Aaron PurcellはWarrnamboolの拠点を置くオーストラリアの調教師で、このGinoladでのGrand Annual Steeplechaseの他、Two HatsでGalleywood Hurdleを制しています。近年のオーストラリア障害競馬でも頻繁に名前を見る調教師ですが、近年設立された唯一の日本人により運営されている競走馬シンジゲートであるRising Sun SyndicateがAaron Purcell調教師と協力体制にあるようで、オーストラリアで競走馬の所有を希望する日本人にとっても比較的身近な存在と言えるかもしれません。Ginoladの父*ペルジノはDanzigの産駒で、どうやら半兄にSadler's Wellsがいるという良血馬で、日本でも1年間のみのリース種牡馬として繋養されたようですが、ノボアイルランドという馬が2004年の障害未勝利戦を勝ったのみで、日本での産駒はさっぱり走らなかったようです。しかしその海外での成績は非常に優秀で、2012、2013、2015年のオーストラリアビクトリア州Grand National Steeplechaseを制したBashboyが代表産駒として挙げられるほか、その後継種牡馬BanyumanikがチェコVelka PardubickaのQualification Raceで多数の勝ち星を挙げたAnge Guardianを出していたり、It's A Ginoが2018年Top Novices' Chase (G1)を勝利したLalorを送り出すなど、日本における産駒成績とは裏腹になかなかの存在感を放っています。