にげうまメモ

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22/01/16 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2022/01/10-2022/01/16

1/15(土)

Kempton (UK) Soft (Good to Soft in places)

Silviniaco Conti Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Mister Fisher J: James Bowen T: Nicky Henderson

やや引っかかり気味にRouge Vifが逃げるも、途中からEldorado Allenがこれに接近。抜け出しを図るEldorado Allenに迫ったMister Fisherがこれとの叩き合いを制して勝利した。

Mister Fisherは一昨年のPeterborough Chase (G2)の勝ち馬で、昨年4月にはOaksey Chase (G2)でFrodonに対して僅差の2着もある。今シーズン初戦はKing George VI Chase (G1)に挑戦するも、さすがに荷が重かったようで途中棄権に終わっているが、20fに戻したここでは結果を残した。おそらく成績的には20fの比較的ゆったりとしたペースで運んだ場合に力を発揮するようで、この辺りの路線であれば安定した活躍が見込めるだろう。おそらくRyanair Chase (G1)に向かうものと思われるが、相手関係が課題になるかもしれない。Eldorado Allenは今シーズンは安定した成績を残しており、ここでも十分勝負に加わる2着だが、G1クラスでは少々足りないのははっきりしているだけに、G1路線への前哨戦としての価値は微妙かもしれない。Defi Du Seuilもいたのだが、全くレースに加わることはできず、引っかかって完全に脚が上がったRouge Vifから16馬身離れた最下位に終わった。

 

Warwick (UK) Soft (Good to Soft in places)

Hampton Novices' Chase (G2) 3m (Replay)

1. Threeunderthrufive J: Adrian Heskin T: Paul Nicholls

するすると逃げたThreeunderthrufiveが頑張って食らいついてきたDoyen Breedを振り切り勝利した。ThreeunderthrufiveはChaseはこれで4勝目、重賞はDoncasterのDecember Novices' Chase (G2)に続き2勝目とした。全体的に飛越は安定しており、現時点での障害馬としての完成度は比較的高いものと思われる。イギリス24fのNovice Chase路線においてはKauto Star Novices' Chase (G1)組が基本的に有力と思われ、この馬自体に飛びぬけた運動能力の高さは感じないのだが、この馬の武器は現時点での完成度の高さだろうDoyen Breedはしぶとく走っての2着で、瞬間的な加速性能自体はさほど高くはなさそうだが、今回はThreeunderthrufiveのペースで走られたこともあり、前評判以上に注意しておいた方がいいかもしれない。

 

Leamington Novices' Hurdle (G2) 2m5f (Replay)

1. Stag Horn J: Nick Scholfield T: Archie Watson

ゆるゆると逃げたStag Hornがそのまま勝利。Stag HornはGolden Horn産駒として初の障害重賞勝ちとなった。もともとはかなり長く平地競争を走っていた馬で、平地では計5勝、AscotのSagaro Stakes (G3)への参戦歴もあるようだ。障害はHerefordのNovice戦に続き2勝目とした。今回は自身のペースで運んだ利もあったのだが、それでも障害初戦から20f戦に使ってきたことには陣営のこの馬のステイヤー資質への自信も感じられる。飛越にも特段の問題はなく、とりあえず障害でどこまでやれるか見てみたい。ただしメンバー的には前走のChallow Novices' Hurdle (G1)で一瞬見せ場を作ったParty Businessが1番人気で、2着もHuntingdonのNovice戦を勝ったばかりの平地出身馬Gentleman At Armsだったりと若干微妙なところがあることには注意したい。

 

Classic Handicap Chase (G3) 3m5f54y (Replay)

1. Eclair Surf J: Thomas Bellamy T: Miss Emma Lavelle

Warwick競馬場の伝統の一戦。前半から元気一杯引っ張ったEclair Surfがそのままリードを開くと、追いかけてきたGericault Roqueに13馬身差をつけて快勝した。

Eclair Surfは初の重賞勝利とした。前走のGrand National Trialでは10st10lbを背負ってIwilldoitの3着に入っていたようだが、今回は戦術を一転し積極的な先行策で結果を残した。成績的にはおそらく重馬場の方がいいタイプと思われるが、今回Soft (Good to Soft in places)の馬場で結果を残したことも収穫だろう。どうやら途中でミスがあったことも踏まえてGrand National (G3)に直接向かうことはないようだが、この超長距離ハンデ戦において展開のカギを握る一頭として気をつけておかなければならない存在だろう。Gericault Roqueはこれで3戦連続での2着。まだChaseは4戦目と経験自体は少ないのだが、飛越にミスもなく実に堅実に走っているあたり大したものである。まだ6歳とかなり若い馬であり、今後が楽しみな存在になるだろう。

 

1/16(日)

Punchestown (IRE) Soft

Moscow Flyer Novice Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Dysart Dynamo J: Paul Townend T: Willie Mullins

終始先頭を走ったDysart DynamoがそのままGringo D'Aubrelleに19馬身差をつけて圧勝した。Dysart DynamoはこれでNHFも含めて4戦4勝とした。明らかにここでは運動能力の面で一枚以上上手であり、終始楽に走ったことで飛越自体も安定していたが、それ以上に馬のスケールの面でモノが違いすぎた。今シーズンのNovice Hurdleの台風の目になる馬だろう。Gordon Elliott厩舎のGringo D'AubrelleはChallow Novices' Hurdle (G1)でStage Starの3着に入ったことを考えると、この馬のパフォーマンスはここでは衝撃的なものであったと言わざるを得ない。

 

Kildare Novice Chase (G3) 2m4f37y (Replay)

1. Bob Olinger J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

Lifetime Ambitionが逃げるも、残り3障害辺りから前に迫ったBob OlingerがそのままCapodannoを振り切って勝利した。Bob OlingerはこれでChaseは2戦2勝とした。昨シーズンはBallymore Novices' Hurdle (G1)を含めG1を2勝した馬で、今シーズンは期待されてChaseに転向している。ひとまず飛越は安定していたのは一番の収穫だが、メンバー的にはかなり強力なメンバーが揃っていたことを考えると、このパフォーマンスは今後に向けて重要視した方がいいものだろう。2着のCapodannoはG1戦線では無名の馬だが、その実昨シーズンはNoviceの身ながらConway Piling Handicap Hurdle (Grade B)を勝利しており、ここでもその能力の高さを見せつけた。昨シーズンChampion Novice Hurdle (G1)を含むG1を2勝したGaillard Du Mesnilもいたのだが、どうにもまだChaseの飛越に慣れていないような感があり、Capodannoから大きく離れた3着に終わった。

 

Pau (FR) Collant (4.2)

Prix John Henry Wright - Trophee National Du Cross Haras Du Lion

Cross Country Pour tous chevaux 6 ans et au-dessus. 5000m (Replay)

1. Saint Godefroy J: Felix de Giles T: Patrice Quinton

ゆったりとUniketatが逃げるも、途中からOtchoa Rougeが一気に先頭に。しかし勝負所で落馬すると、代わって先頭に立ったSaint Godefroyがそのまま勝利した。

Felix de Giles騎手は終盤のBull Finchの手前において、Saint Godefroyに騎乗したまま空馬になったOtchoa Rougeをコース外に逃避させている。Saint GodeforyはこれでPauのCross Countryは5連勝とした。昨年の段階からCross Countryに参戦した馬のようで、今回の5000メートルは初めての距離であったのだが、この路線では強力なメンバー相手にこれだけ安定したレースを見せることが出来たのは楽しみな材料だろう。まだ7歳と若く、これから面白い馬である。今年で11歳になるBlason D'Orが2着。PauのCross Countryは長い馬で、今年もおそらくGrand Crossに向かうものと思われる。2020年は2着、2021年は3着と安定した結果を残しており、今年も楽しみな一頭になりそうだ。Otchoa RougeのJames Reveley騎手はスローと見たのか途中からロングスパートをかけていく面白い騎乗を見せたのだが、残念ながら途中で落馬に終わった。

 

その他

Chasing Steeples! (Roaringwater Journal)

障害競走の起源は、アイルランドButtevantの教会とDoneraileの教会の間を結ぶコースで行われた競走という説があるが、その起源に関する記事。

Elliot Öhgren tvåa på Irland (Jockey Klubben)

スウェーデンの障害騎手Elliot Öhgrenは現在Willie Mullinsの元に滞在しており、今年はそのままアイルランドにおける騎乗をメインに活動するようだ。

Steeplechasing returns to Sunshine State with new meet, new venue (NSA)

10年ぶりにフロリダに障害競馬が戻ってくるそうだ。3月5日にOcakaのFlorida Horse ParkにてPoint-to-Pointとして行われる予定である。これが成功した場合、NSAに認可されたイベントとなる可能性がある。