*2018年 Grand National Meeting 旅行記
Grand National Meetingの2日目、Ladies Day。この日は2マイル4ハロンのG1競走であるMelling Chase (G1)を含むG1競走が4レース、National Courseを使用するTopham Chase (G3)、さらに重賞競走2レースを含む計7レースが行われます。うち6レースは障害競走、National Hunt Flatが1レース。1日のうちほぼ全てが障害競走というと日本のファンには馴染みがないと思いますが、欧州の障害競馬専用競馬場の開催はこれが普通です。2日目はLadies Dayということで、例によって着飾ったマダムが...... という光景を想像していたのですが、この日は雨が降っていてとにかく寒い。おばはんのファッションを見ている余裕はありません。
寒い。
第1レースはAlder Hey Children's Charity Handicap Hurdle (G3)。これを勝ったのはJester Jet。単勝20倍と低評価でしたが、直前の牝馬限定Listed競走で2着に入っており、調子自体は良かったようです。同馬はその後2019年まで現役を続け、2019年の2月にはWarwick Mares' Hurdle (Listed)を勝利しました。Robbie Dunne騎手とのコンビで頑張っていたようですが、残念ながら同騎手は2021年にBryony Frost騎手との一件で非常に厳しい制裁を受けることになります。
続いてTop Novices' Hurdle (G1)。ここから怒涛のG1ラッシュですね。2マイルのG1競走ですが、その実同年のSupreme Novices' Hurdle (G1)の上位馬は殆ど出走しておらず、全体的に別路線組が殆どを占めるというメンバー構成でした。その中で人気になっていたのがKemptonのDovecote Novices' Hurdle (G2)を圧勝したGlobal Citizen。このレースにはアイルランドからの参戦馬も少なく、AintreeのGrand National MeetingのG1競走の立ち位置はこの辺りのメンバー構成からも想像できるのではないでしょうか。
本馬場で騎手を乗せる馬(Coolanly)。
さて、このAintree競馬場において、上位4頭以外の馬はパドックに戻らず直接厩舎へと帰ります。そのため、本馬場から出ていく通路も上位4頭の馬とは異なります。この動線をようやく把握したので、あえてこの光景を見に行ってみるテスト。この通路には馬を見たい人たちや、関係者に声を掛けたい人たちが多数が集まっていますが、負けた関係者の表情をよく見ることができるという意味ではなかなか面白い空間だったりします。
勝ったのはLalor。前走はBetfair Hurdle (G3)に挑んで大敗していましたが、Noviceクラスに戻って結果を残しました。その後はChaseに転向するもなかなか結果を残せず、素質は高く評価されてはいるものの、ノドの持病もあったりと苦労しているようです。
続いてMildmay Novices' Chase (G1)。3マイルのG1競走です。人気になっていたのがこの年のScilly Isles Novices' Chase (G1)でCyrnameを下してきたTerrefort。JLT Novices' Chase (G1)ではShattered Loveの2着に頑張っており、この年のNovice Chase路線では上位の一頭でした。
早速負けた馬シリーズ。写真はSnow Falcon。この時は振るいませんでしたが、その後はアイルランド24ハロンChase重賞戦線の常連として頑張っており、2018年にはKerry National (Grade A)を勝利するなど結果を残しています。
勝ったのは人気のTerrefort。ただしその後は故障もあって順調に使えず、2020年には腫瘍で片目の視力を失い*1、その後は2021年に一戦するも大敗、引退となったそうです。
2着のMs Perfois。直前のNational Hunt Challenge Cup (G2)でRathvindenの2着に入った馬ですね。超長距離戦における素質馬として期待されていましたが、残念ながらトラブルもあり、早々に引退となったようです。
4着のBlack Corton。2017年のKauto Star Novices' Chase (G1)の勝ち馬で、その後もBryony Frost騎手とのコンビで活躍しました。
第4レースはMelling Chase (G1)。内容的にはいちおうこの日のメインレース。20ハロンのChase競走です。人気になっていたのがアイルランドのMin。2016年にRacing Post Novice Chase (G1)を圧勝したアイルランドの強豪で、前走のCheltenhamのQueen Mother Champion Chase (G1)ではAltiorの2着に入っていました。なぜか中の人はこの馬のことを当時牝馬だと思い込んでいたようです。
いやだって可愛いし...。
はいかわいい。
Minに騎乗するPaul Townend騎手。通称タウネンドちゃん。
なんかポーズも決めてくれた図。
ここまでゴリ押ししたんだから勝つんでしょうと思いきや僅差の2着に負けました。Min自身はその後も活躍を続け、現役生活を通じてG1を計6勝するアイルランドの名馬となりました。この時は2着でしたが、Melling Chase (G1)も翌年にリベンジを果たしています。
勝ったのはイギリスのPolitologue。その名前からわかるようにPoligloteの産駒で、前走のQueen Mother Champion Chase (G1)では大敗していたことから人気を落としていましたが、ここでは結果を残しました。その後も2020年のQueen Mother Champion Chase (G1)を勝利するなど活躍を続けており、この年代の16~20ハロンChase路線では欠かせない存在となりました。
4着のBalko Des Flos。2018年のRyanair Chase (G1)では圧倒的人気を負ったUn De Sceauxを下して勝利した馬です。このシーズンはLeopardstown Christmas Chase (G1)でも2着に入ったりとキャリアハイの状態でしたが、このシーズンを最後にG1競走では頭打ち気味になります。馬主が変わって挑んだAintreeのGrand National (G3)では単勝100倍と低評価でしたが、Minella Timesを最後まで追い詰める2着に頑張りました。
第5レースはいよいよTopham Chase (G3)。年に5回のみ行われるNational Courseを使用するレースのうちの一つです。ハンデ戦で人気も割れていましたが、2017年のManifesto Novices' Chase (G1)を勝ったFlying Angelも人気の一頭として出走していました。
レースが始まります。見えない。
負けた陣営シリーズ。やはり頭数が多いとこの辺りはごった返します。
勝ったのはUltragoldという11歳馬。いわゆる"National Specialist"というやつで、Topham Chase (G3)はこれで連覇としました。Becher Chase (G3)でも着実に上位に入線していたようですが、Grand National (G3)は2019年に一度挑んだのみで、距離が長かったのか大敗に終わっています。
第6レースはDoom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)。24ハロンのHurdle競走です。ここにはAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)の上位馬が何頭か出走しており、人気を集めていました。その中でも中心的な存在だったのが、同レースで1番人気を背負うも3着に敗れたSantini。例によってNicky Henderson厩舎の所属で、鞍上にはNico de Boinville騎手を確保していました。
同厩舎のOk Corral。こちらはBarry Geraghty騎手。
ピントが合いませんでした。
勝ったのは人気のSantini。その後はChaseへと転向し、2019年のRSA Chase (G1)ではTopofthegamesの2着、2020年のCheltenham Gold Cup (G1)ではAl Boum Photoの2着に頑張ります。ただしその後はいまいち精彩を欠いており、2021年の秋からPolly Gundry厩舎に移籍。2022年の1月にはCotswold Chase (G2)で久々に好走していましたが、どうでしょうか。
2着には牝馬のRoksanaが入りました。当時は牝馬のG2競走を勝ったばかりであまり人気はありませんでしたが、その後は2019年のMares' Hurdle (G1)を勝利することになります。牡馬・セン馬相手にも頑張っており、2021年のStayers Hurdle (G1)ではThyme Hillの2着に入りました。残念ながら故障で2021年の10月に引退したようですが、その産駒の活躍を楽しみにしたいですね*2。