*週刊障害競馬回顧 2022/03/21-2022/03/27
3/25(金)
Warrnambool (AUS) Soft5
〇 Swintons Furniture & Bedding Maiden Hurdle 3200m (Replay)
1. Hush Writer J: Steven Pateman T: Gai Waterhouse
本来この時期はOakbankの開催があるはずなのだが、今年はSA州の障害競走は中止されることが決定しており、その代替開催がVIC州で行われている。この決定を覆すための活動は依然として続けられており、その動向は注視しておいた方が良いだろう。この活動のtwitterへの露出度は高くはないようで、キャッチアップするためにはオーストラリア障害競馬関連のFacebookグループや、South Australian Jump Racingのfacebookページ等が有用である。
レースは好位から進めた日本産馬Hush Writerがそのまま抜け出すと、Dr Dependableに6馬身差をつけて快勝した。Hush Writerは元々フランスでデビューした馬で、フランスでもPrix Hocquart Longines (G2)にて3着に入っている。その後はオーストラリアに移籍し、Newcastle Gold Cup (G3)勝ちを含む複数の重賞勝利を挙げていたのだが、近走はやや頭打ち気味になっていた。これがHurdleでは初出走であったが、さすがにオーストラリア障害競馬の第一人者Steven Patemanが騎乗していたこともあって比較的安定した飛越で無難な勝利を収めた。全体的にやや行きたがって走るところが目立つのはルーラーシップ産駒らしいところで、距離がどこまで持つかは不明だが、さすがに平地で示してきた能力は桁違いのものがあり、Hurdle戦線では面白い存在になるだろう。なお、Hush Writerの半弟クリエイトザライフは今年の2月に小倉で障害未勝利勝ちを収めており、その意味でも興味深い一頭である。おそらく生粋のステイヤーというわけではないと想定されることから日本の障害競馬にも適性はありそうで、中山グランドジャンプで兄弟対決が見られるといいのだが、さすがにそれは夢を見過ぎかもしれない。
〇 McLaren Hunt Open Hurdle 3200m (Replay)
1. St Arnicca J: Will Gordon T: Paul Preusker
後方から進めたSt Arniccaが逃げたAnnunciateを捉えて勝利した。St Arniccaはまだ5歳の若馬で、昨年の段階でMaidenを勝利しており、これでHurdleは2戦2勝とした。平地ではSouth Australian Derby (G1)にまで駒を進めた素質馬で、昨シーズンの段階では平地でもそれなりにまだやれそうな感があっただけに楽しみにしておきたい。昨年Maidenを勝ったAnnunciateが2着だが、やや上のクラスでは案外だった馬だけに、レースレベルには少々疑問符がつくといったところだろう。
〇 Wilsons Real Estate Open Steeple 3450m (Replay)
1. Britannicus J: Aaron Lynch T: Symon Wilde
Rexmontが元気よく逃げるも、Briely Hillを下った辺りの障害でミスをして後退。代わってBritannicusが一気に進出すると、ついてきた同厩舎のAmerican In Parisを抑えて勝利した。Britannicusは昨年のHarry D Young Hurdleの勝ち馬で、Steeplechaseは初勝利とした。前走BM120 SteeplechaseにてRexmontの2着に入っていたが、今回はそのRexmontが凡走に終わったこともあり結果を残した。どうにも前半から行きたがって走るところが目立っており、スパートをかけてからのスピードは際立っていたのだが、やはり距離が伸びた時にこの辺りが課題だろう。昨年の時点でSteeplechaseの勝ち星のあったAmerican In Parisが2着だが、やや勝ち馬とはスピード能力の点で差がついてしまった。
3/27(日)
Limerick (IRE) Good to Yielding
〇 Hugh McMahon Memorial Novice Chase (G3) 3m120y (Replay)
1. Lifetime Ambition J: Robbie Power T: Mrs Jessica Harrington
好位から進めたLifetime AmbitionがDarrens Hopeを競り落として勝利した。Lifetime AmbitionはこれでChaseは2勝目となる。ここまでDrinmore Novice Chase (G1)など重賞戦線を使ってきたのだが、どうにも一線級相手だと厳しいような負け方を繰り返しており、今回は初の24f戦で結果を残したとはいえ、やはり相手関係という点では少し注意してみた方が良いかもしれない。前走Leinster National (Grade A)で3着に入ったDarrens Hopeが2着で、ここまでChaseは8戦して惜敗続きとどうにも良いことがないのだが、どちらかというとNoviceクラスよりもハンデ戦向きの馬なのだろう。人気のEgality Mansはどうももたもたと走るところがあり、勝負所から脱落して3着。中山グランドジャンプに登録のあったFancy Foundationも出走しており、残り4障害までは手ごたえよく進めたのだが、残り3障害でミス。そのまま脱落し4着に終わった。やはり良馬場の方がよさそうなのだが、どちらかというとスピードを生かして走った方がよさそうなタイプで、24f向きの馬ではないような印象がある。
Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)
〇 Prix Hypothese (G3)
Haies tous chevaux de 5 ans et au-dessus 3900m (Replay)
1. L'Autonomie J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle
例によって元気よく逃げたL'Autonomieがそのまま後続を突き放し5馬身差の快勝。L'Autonomieについてはもはや記載する必要はないほどの名馬で、やはり無敗馬ということもあるせいかHoneysuckleばかりが日本では知られているようだが、欧州障害競馬においてはアイルランドのHoneysuckleと並び立つ名牝である。例によって右に斜飛する癖を見せており、これはもはやいつものことだろう。5歳馬コンビとしてThelemeとHermes Baieが出走していたのだが、Thelemeは好位から進めるもPorto Polloに交わされて3着に終わった。一方のHermes Baieは後方からややペースに戸惑ったような走りを見せており、最終コーナーでは前が詰まる不利があった。6着と着順は悪いのだが、とはいえ2着のPorto Polloからはさほど離れておらず、これが初のL'Autonomieのペースに対応したということでこの能力のある5歳馬にとってはいい経験になったのではないだろうか。
Milano (ITA) Tempo Bello - Terreno Buono
〇 Paolo Solaroli Di Briona Euro 5.000 TRIO 3000m
per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country - CONDIZIONATA - G.R.-AMAZZONI-PAT. FISE/FITETREC/ANTE) (Replay)
1. Notti Magiche J: Luigi Pietro Stefani T: Josef Vana Jr
Power Zarが引っ張るも、途中からMentreがやや後続を引き離して先頭に。そのままMentoreが逃げ込みを図るが、ゴール直前で後ろから追いかけてきたNotti Magicheがこれを捉えて勝利した。
MilanoのCross Countryはどちらかというと馬術競技のようなコースを使用するもので、実に近代的なビルが聳え立つ横でこのようなレースが行われているのはなかなかに風情がある。Notti MagicheはこれがCross Countryは初参戦であったがいきなり結果を残した。昨年の段階でもGrande Steeplechase D'Europa (G1)を勝利したりとMeranoのSteeplechaseでもまだそれなりに戦えそうな雰囲気もあったのだが、12歳にもなって新天地を開拓するのだから大した馬である。Mentoreはこの路線の常連で、11歳となった今年も元気そうだ。少々鞍上が油断したような感もあるのだが、まぁこの辺りはご愛敬だろう。13歳のPower Zarはやや立ち回りをミスしたような4着で、この路線では長い馬だが少しその走りには注意した方がいいかもしれない。
Cheshire (USA) Firm
〇 Allowance
For Five Year Olds and Upward to be ridden by Apprentice Riders Three Miles on the TImber $10,000 (Replay)
1. Elusive Exclusive J: Virginia Korrell T: Leslie Young
National Steeplechase Associationで行われているアメリカ障害中継が今年から有料になったのだが、なんと1開催につき10ドル、計15開催を含むシーズンパスですら97ドルという超強気設定である。30ポンド/月のRacing TVもびっくりのお値段である。とりあえず後日レース映像だけは無料で見せてくれるようなのでそれは良いのだが。
レースは4頭密集して進行するも、最終障害を越えて抜け出したRoad to Ozをゴール直前でElusive Exclusiveが捉えて勝利した。Elusive Exclusiveは元々長くアイルランドで走っていた馬で、"Under Rules"では勝ち星を挙げることはできなかったものの、PTPで1勝を挙げている。昨年の秋からアメリカに移籍し、National Sporting Library and Museum Cupでは5着とうまくいかなかったようだが、Timber2戦目で格好をつけた。昨年のMiddleburg Hunt Cupで3着に入ったRoad to Ozが2着で、5lbの斤量差を考えれば勝ち馬とはほぼ差のない内容だろう。昨年のButtonwood/Sycamore Farm Willowdale Steeplechase Stakesの勝ち馬Renegade Riverが3着だが、やや全体的に動きが重いのが気になった。
その他
〇 Cheltenham-winning trainer David Cottin among 23 arrested in doping scandal after widespread raids by French police (The Irish Sun)
〇 Festival winner David Cottin reported to be among 23 arrests in doping probe (Racing Post)
〇 Chantilly. Nouvelles descentes de police dans le milieu hippique (Oise Hebdo)
〇 Arrests made in French doping scandal (Racing.com)
22日の朝、フランスで20名以上の競馬関係者がドーピング関連の操作のため警察に連行され、その中にはDavid Cottin調教師が含まれていたそうだ。David Cottinは元フランス障害競馬チャンピオンジョッキーで、近年特に勢いのある若手調教師である。イギリスでは2020年のGlenfarclas Cross CountryでTiger Rollを圧倒したEasyslandの調教師として有名である。
〇 Chris's Dream heads Grand National weights after 78 stand ground (Racing TV)
Grand Nationalの直近のスクラッチを反映した出走登録馬が発表され、Conflated、Galvin、Melonの他14頭がスクラッチされた。出走順40番目はPhoenix Wayで、新たに出走圏内に入った馬としてIrish Grand Nationalの勝ち馬Freewheelin Dylan、Becher Chaseの勝ち馬Snow Leopardessが挙げられる。
〇 Světlá Hora se do dostihového dění letos nevrátí. Plánovaný červencový mítink byl zrušen (Fitmin)
残念ながら予定されていた今年のチェコSvětlá Horaの開催はキャンセルになったようだ。キャンセルの理由は不明だが、同競馬場では2019年7月以来競馬開催は行われていない。
Pardubice競馬場ではトラックの安全性を向上するための改良が継続的に行われているようだ。また、Velka Pardubickaの出走条件についても議論が行われているようで、2023年以降において変更が発生する可能性がありそうだ。