にげうまメモ

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22/04/03 Weekly National Hunt / Jump racing

*週刊障害競馬回顧 2022/03/28-2022/04/03

4/2(土)

Ayr (UK) Good to Soft (Good in places)

Scottish Champion Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Anna Bunina J: Sean Bowen T: John McConnell

Barrichello、Alquamarなどが逃げる展開も、Onemorefortheroad、West Cork、さらにAnna Buninaの3頭の叩き合いをAnna Buninaがゴール前で1馬身ほど前に出て勝利した。Anna Buninaは昨年の2着馬で重賞は初勝利となる。2020年の段階では夏場にHurdle戦を使っているように基本的には良馬場の方が良いタイプで、Scottish County Hurdle (C2)の3着、10st4lbの軽量と条件的には向いたようだ。11st2lbのWest Corkが2着で、先月Cheltenham FestivalのCounty Hurdle (G3)の4着に引き続き見せ場を作った。それにしても相当に馬場が良いようで、6着のAlqamarまで殆ど差がなく入線している。

 

Future Champion Novice' Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Do Your Job J: Richard Patrick T: Michael Scudamore

Kiltealy Briggsが逃げるも中盤で飛越をミスして後退。代わってBryony FrostのIl Ridotoが引っ張るも、残り4障害辺りから前に出てきたDo Your JobがMinella Drama以下を振り切って勝利した。Do Your Jobは前走のC3から連勝とした。HurdleではTop Novices' Hurdle (G1)勝ちがある馬だが、Chaseではどうにも重賞戦線ではEdwardstone、Third Time Luckiなどと当たって結果を残せていなかったが、ようやくここで嬉しい重賞勝利を挙げたことになる。おそらく16fよりも20f程度の距離の方がよさそうだが、2度のWind Surgeryを行っているだけに馬場状態には少々注文がつきそうだ。HaydockのAltcar Novices' Chase (G2)の勝ち馬Minella Dramaが11st5lbを背負って2着に来た。この馬はもう少し馬場が渋った方がいいだろう。

 

Scottish Grand National Handicap Chase (G3) 3m7f176y (Replay)

1. Win My Wings J: Mr Rob James T: Christian Williams

Chirico Vallis、One More Fleurieの2頭が前に行く展開も、1周目のスタンド前からやや制御が効かなくなったのかAsk A Honey Beeがするすると前に上がってくる。そのままAsk A Honey Beeは前の2頭を制して最終周から馬群を引っ張る形になるが、残り4障害辺りからWin My Wingsが持ったままで先頭に。そのままWin My Wingsが殆ど追わずにKitty's Light以下を振り切って勝利した。

Rob Jamesは昨年の3月のスキャンダルで1年間の免許剥奪措置を受けており*1、復帰後嬉しい勝利となった。イギリスではCheltenham FestivalのMilan Nativeに次ぐ2勝目となるが、アイルランドを代表するアマチュア騎手であり、この人が減量の恩恵を受けていられるのは"like stealing"とすら表現されているようだ*2。Win My Wings自身は今シーズンはExeterのC3、さらにEinder Chase (C2)に次ぐ3連勝とかなり調子はいいようで、ここまで比較的牝馬限定戦を多く使ってきた馬だが、どちらかというとこのようなハンデ戦の流れが向くのだろう。9歳とそれなりに年齢は重ねているようだが、10st12lbと斤量も極端に楽ではなかっただけに、今後の走りは楽しみにしたい。

同厩舎のKitty's Lightは後方から足を伸ばして2着。前走のCoral Trophy (G3)に続いての好走ということで、今シーズンはなにかとコンスタントに走っている。おそらくこの馬も勝ち馬と同様にSandownのbet365 Chase (G3)を目指すことになりそうで、惜敗に終わった昨年の巻き返しを期待したい。やはり後方から足を伸ばしたNovice馬Major Dundeeが3着。11st5lbを背負ったAshtown Ladは好位から進めたが、最後はやや息切れしての5着。Novice戦の流れよりはレースはしやすそうな印象だったが、やや距離が長いかもしれない。もったいなかったのがHill Sixteenで、Ask A Honey Beeの落馬に巻き込まれる形での落馬に終わった。早々に落馬したJersey Beanは残念ながら助からなかったようだ。

 

Fontainebleau (FR) Tres Souple (4.1)

Grand Steeplechase Cross Country de Fontainebleau (Listed)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus 6000m (Replay)

1. Jocrack A La Motte J: William Menuet T: Arthur Nail

Romain JulliotのParc De Belleville、さらにFelix De GilesのChez Pedroが引っ張る展開も、好位から進めた牝馬Jacrack A La Motteが抜け出すと、後方から差を詰めてきたOtchoa Rougeを退けて勝利した。Al Cuartoは人気になっていたが5着に終わった。

Jocrack A La MotteはCross Countryは2020年から使っていた馬で、ここまでFontainebleau、Durtal、Craonで勝利を挙げている。特に昨年のCraonのPrix La Cantineでは30馬身差の圧勝劇を見せており、前走のGrand Cross de Pau Reverdyでは落馬に終わっていたようだが、どちらかというとSteeplechaseのスピードの活きるFontainebleauのようなコースは得意としているようだ。この路線の常連Otchoa Rougeは例によって後方から足を伸ばしての2着で、勝ち馬の64kgに対してこの馬は71kgを背負っていたことを考えると上出来だろう。前半はもたもたと飛越するところが目についていたのだが、さすがに加速を掛けてからの飛越は非常に安定しており、要するにこういう馬なのだと思われる。前走FotainebleauのClass3を勝ってきたAl Cuartoは期待されていたが、どうにもBanquetteタイプの障害に相変わらず苦労しているようなところがあり、好位から進めるもどうにも伸びきれずに5着に終わった。本来ある程度飛越にもたついてもSteeplechaseのスピードで一気に巻き返してくるだけの能力を持った馬なのだが、4600メートルから一気の距離延長が堪えた可能性もあり、ややこの馬の動向には注意したい。

 

Camden (USA) Good

Carolina Cup Hurdle Stakes

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD WHICH HAVE NOT WON OVER HURDLES PRIOR TO MARCH 1, 2021 OR WHICH HAVE NEVER WON THREE RACES OTHER THAN THREE YEAR OLD. (Replay)

1. Historic Heart J: Parker Hendriks T: Keri Brion

芝生があちこち切れていて土がむき出しになっているようなコースで、特に大きなスタンドも設けられていないような競馬場なのだが、見るとかなり観客が多数集まっているようだ。レースはDecisive Triumphが軽快に逃げるも、好位にいたPresence of Mindがこれに接近し抜け出しを図る。しかしその後ろから忍び寄ってきたHistoric Heartがゴール手前でこれを捉えて勝利した。

Historic Heartは元々イギリスにいた馬で、2021年にはJCB Triumph Hurdle (G1)にも挑戦している。どうやら昨年10月からアメリカに移籍しているようで、Harry E. Harris Stakesは勝利、昨年のAflac Supreme Hurdle StakesはCity Dreamerの2着と頑張っているようだ。ただし、City Dreamer自身はNovice戦線の常連で、昨年のJonathan Sheppard Handicap (G1)では完敗の内容だっただけに、とりあえずこのNovice路線では上位と思われるが、上のクラスでどうこうというのはもう少し注意してもいいだろう。やはり昨年秋にアメリカに移籍したアイルランド産馬Presence of Mindが2着。アメリカ生産馬としては逃げたDecisive Triumphが再先着の3着に入った。

 

4/3(日)

Fairyhouse (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

awardsandgifts.ie Novice Hurdle (G2) 2m4f (Replay)

1. Bronn J: Danny Mullins T: Willie Mullins

人気の一角Arctic Warriorが逃げるも、残り3障害地点で落馬。代わって先頭に立ったChurchstonewarrior、Bronn、さらにFalcon Eightの3頭の叩き合いはBronnに軍配が上がった。BronnはこれでHurdleはMaidenに続き2勝目。2戦目で挑んだLeopardstownのG1では5着に敗れていたが、そこからだいぶ進境を見せているようだ。前走はNoviceの平場戦で敗れているが、おそらく不良馬場が堪えたものだろう。平地競争では重賞戦線で活躍し、Prix Du Cadran (G1)にて5着に入っているFalcon Eightは勿体ない競馬で、直線で終始前が詰まるシーンがあった。まともなら突き抜けていたかもしれないが、平地でもまだやれるだけの素質を持った馬で、もしかすると夏場は平地競争を使ってくる可能性もある。とりあえずは次はChester Cupに登録があるようだ。Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)で4着のChurchstonewarriorが僅差の3着で、このレース自体ややスケジュール的には微妙な位置にある重賞競走だが、極端にメンバーが弱いということはなさそうだ。Arctic Warriorの情報があまりないのだが、どうやら動物愛護団体の情報によるとあまり芳しい落馬ではなかったようだ。

 

Tom Quinlan Electrical Novice Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Flame Bearer J: Jack Doyle T: Pat Doyle

Rachael BlackmoreのLargy Debutが逃げるも、最終コーナーから後続が殺到。先に抜け出したHa D'Orが逃げ込みを図るも、ゴール寸前でFlame Bearerがこれを捉えて勝利した。

Flame BeareはこれでHurdleは3連勝とした。重賞は2月のBetVictor Novice Hurdle (G2)に続く2勝目である。先に抜け出したHa D'Orが内を締めに掛かるところを強引に内をこじ開けようと試み、結果的に外に出すという進路取りは決して褒められたものではないのだが、それを勝ち切るのだから大したものである。Selle FrancaisのNidorを父に持つHa D'OrはPaul Townendが相当上手く乗ったのだが、それをこじ開けてこられるのだから力量差はやや明白だろう。勝ち馬との間に6lbの差があったことも踏まえると、これは勝ち馬を褒めなければならない。

 

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

〇 Prix Grandak

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3000m (Replay)

3. David Du Berlais J: Johnny Charron T: Lageneste & Macaire

Goliath Du Berlaisの全弟David Du Berlaisのデビュー戦ということで話題にな手いた。David Du Berlaisは中段から進めるも、前を捉えきれず3着に終わった。Goliath Du Berlaisは2019年のPrix Ferdinand Dufaure (G1)で圧巻のパフォーマンスを見せた馬で、その後は早々に種牡馬入りしている。同馬はSaint Des Saintsの後継種牡馬として大いに期待されているが、このDavid Du Berlaisも現時点で未去勢のようで、もしかするとGoliath Du Berlaisと同様に種牡馬入りを期待されているのかもしれない。レース運びとしては全体的にデビュー戦らしく動きももっさりとしていたのだが、一旦ここを使って良くなってくることを期待したい。

 

Prix Fleuret (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Latino Des Isles J: Pierre Dubourg T: Arnaud Chaille-Chaille

8頭中4頭が落馬するという波乱の展開だが、好位から進めたLatino Des IslesがPrimcoを3馬身ほど突き放して勝利した。Latino Des Islesはこれで3月のPrix Duc D'Anjou (G3)に続き今年は2戦2勝、昨年のPrix Congress (G2)を含めると3連勝とした。今回は初の4000メートルクラスへの距離延長だったのだが、飛越も問題はなく、トップハンデの70kgを背負っての勝利と言うことで今後に向けて期待が持てる結果となった。この路線でLatino Des Islesに対して後塵を拝してきたPrimco、Tonguettedが2、4着に入り、改めて勝ち馬の強さを再確認する結果となった。

 

その他

France Sire Poneys Cross Challenge 2022 : Tomy Limayrac et Pierre Remoué démarrent en trombe à Meslay-du-Maine (France Sire)

フランスMeslay-du-MaineでPoneys Cross Challengeが行われたそうだ。記事ではその映像も視聴することが出来る。

Proposed Residential Development For The Hill, Ellerslie (Racing News)

昨年売却に出されたEllerslie競馬場の一部の再開発計画が決まったようだ。ばばは"StrathAyr Surface"に変更されるとのことだが、この馬場は障害競走には適さないためEllerslie競馬場で障害競走が行われることはないということだ。残念ながら、南半球随一の美しく本格的な障害コースを有したEllerslie競馬場は過去のものとなるようだ。