Aintree競馬場のGrand National (G3)では、4m2f74y(4マイル2ハロン74ヤード)のコースに設置された障害を原則計30回飛越します。Aintree競馬場には、通常の競争で使用されるHurdle及びChaseコース(Hurdles' Course及びMildmay Steeplechase Course)とは別に、全体として概ね三角形状の"National Course"が存在します。年に5回のみしか使われないこのNational Courseには、通常のChase競走で使用される障害とは異なる障害である"National Fence"が設置されており、Grand NationalはこのNational Courseのうち、スタンド前に設置された"The Chair"及び"Water Jump"を各1回、それ以外の障害を計2回飛越するコースが設定されています。このNational Course自体はAintree競馬場全体と同様に平坦な、1周2m2fのコースですが、とにかくこの"National Fence"の難易度が桁違いに高いこと、さらに障害競走としては世界最長距離に近い超長距離、さらに40頭という多頭数による高い重複落馬のリスク等により、Grand National (G3)を世界一難易度の高い障害競走と言わしめる所以となっています。
National Courseにおける障害(National Fence)は比較的柔軟な素材で出来たFenceに最低14インチ(約35cm)の高さでトウヒの枝が積み重なっており、馬はトウヒの枝の部分を搔き分けて飛越することが可能になっています。上の写真はAintree競馬場の場内にある障害のレプリカ。
さらに寄ると写真の通り。触るとちくちくと刺さってちょっと痛いです。このトウヒの枝の山に踏み切ってジャンプしたくなるものではありません。
*参考映像
*コースマップ
〇 Grand National Course Map (The Jockey Club)
Grand National (G3)はNational Courseの中央を横切るように走るMelling Roadの手前からスタートします。ちょうどスタンドからはスタート地点に横に並んだ人馬の背中が見えるような格好ですね。この写真は通常のChase競走の直前ですので内側の柵が設置されていますが、本番は撤去され、左側の芝生が切れて土がむき出しになっているエリアまで馬が並びます。
スタート直後のMelling Roadから第1障害方向を見たもの。
手前の障害がWater Jump、その奥がThe Chair。"Randox"のロゴが見えるのが通常のChase障害。正面中央奥から向かって右側に走るChase Courseと、向かって右奥から正面中央に走るNational CourseはThe Chairの手前で交差します。スタンド側(向かって左側)に存在するのはHurdle Courseですね。
National Courseを1周して戻ってきた人馬はスタンド前に設置されたThe ChairとWater Jumpを飛越し、再度Melling Roadを横切ってNational Courseの2周目に入ります。
上の写真をより引きで見た図。
2周目では最終障害を飛越したのちはThe Chair及びWater Jumpを飛越せず、そのままHurdle Courseに入るような経路でゴール地点へと向かいます。ゴールポストはHurdle Courseと共通で、スタンドに隣接する位置に存在します。写真はGrand Nationalのゴール地点。赤と白の円形のポールがゴール板です。
*障害
・Fence 1st and 17th(高さ 4ft 6in = 137cm)
スタート直後にある障害。1886年にWilliam Gladstoneによって導入され、その後何度かの変更を経て1924年から現在の高さとなっています*1。高さとしてはWaterを除き最低ですが、第一障害ともあってスピードも出ており、かつ馬群も密集しているため落馬を引き起こしやすいことで知られています。特にこの障害が最も猛威を振るったのは1951年のGrand Nationalで、実に36頭の出走馬のうち12頭もの落馬を引き起こしていますし*2、それ以外にもGolden Miller、Poethlyn、Russian Hero、AldanitiといったGrand National2勝目を目指した馬や、1999年のNorsk Grand National等を制した当時の北欧Steeplechaseの最強馬で、2000年のGrand Nationalに挑んだノルウェーのTrinitroもこの障害で落馬しています*3*4*5。1999年には第1障害の落馬を減らすべくコースが約2メートル程度広げられ、この工夫がある程度奏功したようですが*6、現在でも依然として高い落馬率を誇ります。なお、英国のブックメーカーでは全馬が第一障害を突破できるかというBettingも行っています。
・Fence 2nd and 18th(高さ 4ft 7in = 139.7cm)
かつては1868年から1870年にかけてこの障害を3年連続で飛越拒否した"The Fan"という牝馬に因み、"The Fan"とも呼ばれていた障害です。ただし当時とは設置場所が異なっており*7、すでにその名前は失われています。また、現在の障害の設置場所を踏まえると、The Fanが飛越拒否したのは現在の第1障害であるという説もあり、当時のコースが現在のものとは大きく異なっていたことを踏まえるとこの辺りの障害の変遷はどうにも通説よりも複雑なようで、歴史的な経緯は明らかではありません*8。1914年から現在の高さ(4フィート7インチ)に設定されています。
・Fence 3rd and 19th(高さ 5ft = 152cm、障害の前に 7ft = 213cmの空壕)
- Open Ditch / The Westhead
Grand Nationalにおいて最初に対面するOpen Ditchです。この障害のように、障害の前に空壕が存在する障害は一般的に"Open Ditch"と呼ばれています。通常の障害に比べよりスピードを持って飛距離を伸ばして飛越する必要があり、難易度は高くなっています。障害全体の幅は10フィート6インチ(約3メートルちょっと)で、この障害の高さは1924年から5フィートと言われていますが、1930年に若干の変更が加わったという説もあるようです*9。1889年のGrand Nationalには前年のVelka Pardubicka勝ち馬で、障害競馬では一度も落馬したことがないという評判を引っ提げてきたEt Caeteraが参戦していますが*10、残念ながらこの障害で落馬しています*11。1981年にこの障害はAintree競馬場の障害設置を1960年台から70年台にかけて監督してきたSteve Westheadに因んで"The Westhead"と名前が付けられました*12。なお、通常のChase Courseにも同様に空壕が設置されている障害が存在し、そのようなタイプの障害も"Open Ditch"と呼ばれています。"Open Ditch"としては、フランスAuteuil競馬場に存在する高さ150センチ、幅370センチの"Gros Open Ditch"が難所として有名でしょうか*13。
・Fence 4th and 20th(高さ 4ft 10in = 147cm)
第3障害と異なり障害直前の空壕は存在しません。第20障害は2011年にGrand Nationalの歴史上初めて迂回された障害として有名であり、2011年におけるこの障害及びBecher's Brookでの死亡事故(Ornais及びDooneys Gate)はGrand National全体の安全対策及び動物福祉の見直しと、2013年における新しい障害設計の導入に繋がりました*14。 また、2011年の事故を受けてGrand Nationalの各障害における落馬率が調査された結果、この障害における落馬率及び死亡事故の発生率が高いことが問題視され*15、もともと5フィートであったこの障害は2012年から4フィート10インチに変更されたそうです*16*17。
・Fence 5th and 21st(高さ 5ft = 152cm)
第1障害及び第10障害と同様に1886年にWilliam Gladstoneにより導入された比較的新しい障害で*18、Becher's Brookの直前の障害としてアナウンスされます。どうしてもBecher's Brookの難易度が高いため直後の障害に関心が向くのですが、この障害自体も非常に高さのある難易度が高い障害です。ただし障害の流れの関係上、あまりこの障害での落馬は多くはないようで、ニュージーランド生産馬であるMoifaaが勝利した1904年にこの障害で5頭の落馬が発生したのが主なアクシデントと言われています*19。ちなみに、母国では1901年のGreat Northern Steeplechase等を勝利したニュージーランドの名馬で、ラクダのようなとも形容されるその独特の容姿がしばしば話題になるMoifaa*20には奇妙なストーリーがあり、この馬をイギリスに輸送していた船が難破する事故を生き延びたというものですが、どうやらこのストーリーに該当するのは同レースにも出走していた"Kiora"という異なる馬のようで、Moifaa自身は安全に英国に航海していたようです*21*22*23。1924年にこの障害は5フィートの高さに設定され、その後変更は行われていません*24。
・Fence 6th and 22nd(高さ 4ft 10in = 147cm、着地側が 15~20cmほど飛越側よりも低い)
- Becher's Brook
Grand Nationalの数ある障害の中でも最も難易度が高いとされる障害です。着地側が飛越側よりも低くなっており、着地時に人馬がバランスをとるのが非常に難しく、毎年数多くの落馬を引き起こします*25。この障害は1839年にMartin Becher大佐の騎乗した馬(Conrad)がこの障害にて落馬し、大佐が怪我を防ぐために小川の中に避難したことから名づけられています。"Brook"とはすなわち小川のことで、1939年当時はこの障害の後ろに幅8フィートの小川が流れていたようです*26*27。ただし、当時の障害は現在よりも遥かに小型の木製の柵が使われており、その高さは3フィートであったと言われています*28。現在、障害の着地側は水路となっていますが、写真の通り蓋がされています。
この障害は古くから非常に多くの落馬事故を発生させており、著名なところでは1930年のVelka Pardubickaの勝ち馬Gyi Lovam!は1932年のVelka Pardubickaでの落馬で亡くなったRudolf Popler*29とともに1931年のGrand Nationalに挑んでいますが、2周目のBecher's Brookで落馬に終わっています。この障害が重大な事故を引き起こした例は稀ではなく、そのためその形態は頻繁に議論及び変更の対象となってきました。もともとこの障害の直後には深さのある小川が流れており、かつ着地地点も小川方向に向かって下るスロープ状になっていたようですが、1954年のGrand Nationalにおける4頭の死亡事故を受けて、落馬した人馬が小川から脱出することを容易にすることを目的として、障害直後の小川は18インチ埋め立てられました*30。特に大きな変更が加えられたのが1990年で、これは1989年のSeeandem及びBrown Trixの死亡事故を受けたものですが*31、馬が障害を真っ直ぐに飛越することが出来るようコースを広げ、着地側の小川に向かって下るスロープを平坦にし、さらに小川自体も30インチ埋め立てられました*32。加えて2004年における計9頭もの落馬を受け、レース中は小川部分がプラスチックマットに覆われることになり、過去の障害と比べてその外観を大きく変貌させることになりました*33。さらに2011年のDooneys Gateの死亡を受け、着地側が4~5インチほど高くなるよう変更された他、コース内外における飛越地点と着地地点の高低差が修正されました。特に後者の修正により、馬群がコース全体に広がるようになったと言われています*34。このような度重なる障害の修正を経た現在の障害は、1900年台のBecher's Brookを知る往年の競馬ファンからはあまり評判の良くないものですが*35、それでもやはりこの障害は過去の面影を残しつつ、今でもGrand Nationalにおける最難関障害として勇気ある挑戦者たちを待ち構えています。
・Fence 7th and 23rd(高さ 4ft 6in = 137cm)
- Foinavon
障害としてはWaterを除いてNational Course最低の高さであるものの、コーナーの途中に設置されていることで難易度は高さよりも上がっている障害です。この障害は元々"Beechtree fence"と呼ばれていましたが*36、1967年のGrand Nationalにおいて衝撃的な勝利を収めたFoinavonにちなんで現在の名称で呼ばれています。1967年のこの障害におけるアクシデントは想像を絶するもので、先頭を走っていた空馬(Popham Down)がこの障害の前で立ち往生し、先頭集団を含めほとんどの馬がこの障害の前で大渋滞とそれに続く多重落馬を起こしたというものです。その時点で競走を継続していた27頭の出走馬のうち26頭もがこの障害で落馬するという甚大なアクシデントで、これに対して集団のはるか後方を走っていた人気薄のFoinavonだけがこの渋滞を回避して飛越することができ、このアドバンテージを生かして見事勝利したという、歴史のあるGrand Nationalの中でも最も有名なエピソードの一つです*37*38。
この障害は1900年時点では5フィートの高さを誇っていたようですが、1900~1910年頃に何度かの細かい高さの変更が発生しており、特に隻眼のGlensideという馬が勝利した1911年に多数の落馬を引き起こしたことを受け*39、一旦はNational Course中最も低い高さまで引き下げられたそうです*40。その後、再度4フィート11インチの高さまで引き上げられますが、1954年にGrand National全体で4頭の死亡が発生したことを受け、同年においてこの障害自体での死亡事故は発生していなかったものの、当時National Courseの中でも最高水準の高さを誇っていたこの障害は現在の高さまで引き下げられたようです*41。
・Fence 8th and 24th(高さ 5ft = 152cm)
- Canal Turn
National Courseの中でも有名な障害の1つです。障害としての高さはもちろんのこと、障害の直後に直角のカーブが設置されていることが最大の特徴です。1836年にこのコースが設定された際の地形がこのような特殊なコース形態を作り出したそうですが*42、そのため馬群が内に密集しやすく、多重落馬のリスクが非常に高くなっています。近年でも2012年にはここで5頭の重複落馬が発生しました*43。なお、イギリスCheltenham競馬場のCross Country Courseにはこの障害のレプリカが存在しており、Aintree競馬場以外の競馬場に存在する唯一のNational Fenceとなっています。元々は飛越側に空壕を有していたようですが、1928年に人気を背負っていたEaster Heroがこの障害で立ち往生し*44、結果的に20頭以上の落馬を引き起こしたことを受けて*45、そのようなアクシデントで勝者が決まるのは宜しくないといったメディアからのバッシングがあり、結果的に飛越側の空壕が撤去されたそうです*46。
・Fence 9th and 25th(高さ 5ft = 152cm、障害の後に 5ft 6in =167cm の空壕あり)
- Valentine's Brook
National Courseの中でも最も有名な障害の1つ。1840年のGrand Nationalで3着に入ったアイルランドのValentineに因んで名前が付けられているというのが通説ですが*47、どうにもBecher's Brookと異なり、この名前の所以には明確な出典がないようです*48。障害の後に水路が設けられており、飛越の高さはもちろんのこと、飛越の幅が求められる非常の難易度の高い障害となっています。Becher's Brookの水路は蓋がしてありますが、Valentine's Brookの水路はむき出しになっています。もっとも、写真の通り非常に幅の狭い水路ですが。 この障害はなにかと動物愛護運動の標的となってきたBecher's Brookとは異なり、あまり大きな事故を引き起こさなかったためか障害の変更に関する議論の対象となってこなかったようで、現在でも古い時代の面影を色濃く残すものとなっています。この障害は1927年に今の高さ(5フィート)及び障害の直後の5フィート6インチの水路という条件が設定され、それ以降変更は行われていません*49。
・Fence 10th and 26th(高さ 5ft = 152cm)
1886年にWilliam Gladstoneにより導入された比較的新しい障害で*50、高さとしては最高レベルであるものの特に空壕などは設けられていません。このように何も付属物のない障害はPlain Fenceと呼ばれています 。元々の高さは4フィート6インチだったようですが、そこから少しずつ引き上げられ、1919年以降は現在の高さ(5フィート)となっています*51。なお、この障害は2006年以降、Aintree競馬場で毎年12月にNational Courseを使用する名物レースとして行われるBecher Chase (G3)の第1障害として使用されています*52。
・Fence 13th and 29th(高さ 4ft 7in = 140cm)
・Fence 14th and 30th(高さ 4ft 6in = 137cm)
・Fence 15th(高さ 5ft 2in = 157cm、飛越側に幅 6ft = 183cmの空壕)
*障害の迂回
*障害の落馬率
*1:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*3:Trinitro (GB) (Engelsk fullblod)
*4:Norway raider aimed at Grand National.
*5:Øvrevoll Galoppbane 1932–2012 - Norsk Rikstoto (pdf)
*6:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*7:Grand National Fences and Course
*8:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*9:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*12:Grand National fence names: The stories behind every Aintree jump
*13:48h de l’obstacle : du beau sport et de gros obstacles !
*15:Jason Maguire unhappy with Grand National fence changes
*16:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*18:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*20:Dannevirke: Galloping into hall of fame
*21:Moifaa: Tall Tale Winner of the Grand National
*22:Featured Legends, Grand National History Moiffa
*23:Seachange has some hard acts to follow
*24:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*27:1839 Grand National – the story of Becher’s Brook
*28:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*30:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*32:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*33:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*34:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*36:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*37:The BBC Grand National 1967 - Foinavon (Full Race)
*38:Foinavon’s sensational Grand National win 50 years on: 'It was like a battlefield’
*40:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*41:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*42:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*46:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*48:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*49:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*50:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*51:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*53:Grand National fence names: The stories behind every Aintree jump
*54:Aintree競馬場のホームページによると第12障害を"The Booth"と呼ぶそうですが、成書を含む複数の媒体で"The Booth"とは第11障害のことを指しており、同じく"Open Ditch"である第3障害との対比を踏まえると、第11障害を指す方が自然であると判断しました。ただし、いずれにせよあまり有名な名称ではありません。
*55:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*58:21/12/30 2017年 Cheltenham Festival 旅行記 ③ - 競馬場 設備編 -
*60:The first woman to ever ride in the Grand National now lives in Somerset
*61:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*62:The most fearsome fence in the world? How famous Pardubice hedge rivals Becher’s Brook
*64:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*65:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*66:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*67:Anthony Bingham Mildmay, 2nd Baron Mildmay of Flete
*69:元々は石造りだったようですが、現在は安全性を理由にプラスチックのレプリカに交換されています
*70:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*73:秋のSeptember Steeplechaseでの落馬が原因とする説もあるようで、この記事で度々引用しているJohn Pinfold氏の成書では前述の記載となっています
*74:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*76:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*77:Aintree, The History of the Racecourse. John Pinfold
*78:Auteuil, terre de legendes
*79:48h de l’obstacle : du beau sport et de gros obstacles !