にげうまメモ

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22/05/02 Aintree競馬場の"National Fence"の性質 ① - 導入編 -

*Aintree競馬場の"National Fence"の性質

イギリスLiverpool近郊に位置するAintree競馬場はイギリス"Grand National"が行われる競馬場として有名ですが、このAintree競馬場には、Grand Nationalを含め年に5回*1しか使用されない特殊な"National Course"が存在しています。このNational Courseにはイギリス・アイルランドの通常のChase障害と異なる"National Fence"が設置されておりますが、この"National Fence"は"Becher's Brook"や"Canal Turn"といった名物障害に代表されるように一つ一つ形状が異なっており、それぞれが異なる性質を有しています。ここではその落馬率に基づき、各障害の性質を考察することを試みました。

各National Fenceの概説は以下の記事を参照してください。

22/04/03 Grand National ③ - 障害 - (にげうまメモ)

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このブログについて (にげうまメモ)

 

・データソース

全てRacing Postのレース結果における各馬の短評を参照しました。Grand Nationalは2000~2022年、その他のNational Fenceを使用する競走(Becher Chase、Grand Sefton Chase、Topham Chase、Foxhunters' Chase)は2010~2021年又は2022年までのデータを集計しています。なお、2020年はCOVID-19の影響でGrand National Meetingが中止になったため、当該開催で予定されていた競走(Grand National、Topham Chase、Foxhunters' Chase)における2020年の競争は集計していません。

なお、参考までに集計したチェコVelka PardubickaのTaxis DitchはチェコJockey Club、中山グランドジャンプ及び中山大障害における大竹柵及び大生垣はJRAホームページのデータを使用しましたが、いずれも中の人がレース映像と照らし合わせつつ確認しています。Velka Pardubicka及び中山グランドジャンプ並びに中山大障害は2000~2022年(中山大障害は調査時期の関連で2021年まで)のデータを集計しています。

 

・集計方法

出走馬の競争中止地点をRacing Postのレース結果における短評から判別し、各障害の飛越を試みた頭数(Challenger)及び当該障害地点において落馬(Fall又はUnseated Rider)した頭数(Faller)、並びに当該障害を飛越後、次の障害までに途中棄権等により競争中止した頭数を集計しました。障害手前で途中棄権した場合や飛越を拒否した場合は、当該障害への飛越は試みなかったものと判断しました。

 

対象競走

以下の競争を対象としました。

【イギリス】

Grand National (G3) 4m2f74y 障害飛越数:30

Grand Nationalに関する詳細については以下のカテゴリーの記事を参照してください。

トップ > イギリス・アイルランド競馬 >Grand National (にげうまメモ)

Becher Chase (G3) 3m1f188y 障害飛越数:21

12月のAintree競馬場で行われる名物競走。Aintree競馬場のGrand Nationalに色気を持った多数の"National Specialist"が集まります。

Grand Sefton Chase 2m5f19y 障害飛越数:18

こちらはClass2の競争。元々Becher Chaseと同じ開催で行われていましたが、2021年からは11月の開催に移動になりました。

Topham Chase (G3) 2m5f19y 障害飛越数:18

Grand National Meetingの2日目に行われる競走。距離的には2マイル5ハロンと短いものの、このNational Fenceを得意とする馬も出走し、白熱した競走が展開されます。

Foxhunters' Chase 2m5f19y 障害飛越数:18

こちらはGrand National Meetingの初日に行われるアマチュア騎手限定競走。アマチュア騎手たちがここに賭けてくる意気込みは凄まじく、毎年並のG1競走を遥かに凌駕する激しいレースが展開されます。

 

チェコ

Velká Pardubická

いわゆるチェコのアレ。日本人には名前が覚えにくいアレですが、ヴェルカー・パルドゥビツカー、みたいな読み方です。第4障害のVelký Taxisův příkop(Taxis Ditch)は世界最難関クラスの障害。Velká Pardubickáに関する詳細については以下のカテゴリーの記事を参照してください。

〇  トップ > チェコ競馬 >Velka Pardubicka (にげうまメモ)

 

【日本】

中山グランドジャンプ

中山大障害

お馴染みの中山のJG1競走です。中山の大障害コースは日本の障害コースの中でもひときわタフなコースとなっていますが、その中でもひときわハードな条件が設定されています。急な下り坂と上り坂が連続する谷のようなコース形態は、2022年現在世界中においても中山競馬場にしか存在しません。歴代の中山グランドジャンプにおける海外からの参戦馬に関しては以下のカテゴリーの記事を参照してください。

トップ > 日本競馬 >中山グランドジャンプ  (にげうまメモ)

*1:その他、Becher Chase、Grand Sefton Chase、Topham Chase、Foxhunters' Chase