*週刊障害競馬回顧 2022/05/02~2022/05/08
5/3(火)
Ballinrobe (IRE) Good
〇 Beginners Chase 2m1f (Replay)
1. L'Impertinent J: Simon Torrens T: Enda Bolger
Gran Premio Merano (G1)を3連覇した近年のイタリアSteeplechaseを代表する障害馬であるL'Estranの半弟L'ImpertinentのChaseデビュー戦。前半からやや大きくリードを取ってレースを運ぶとそのまま追いかけてきたJacksons Gold以下を抑えて勝利した。L'ImpertinentはHurdleでは前走Maidenを勝ったのみだが、これでこの春は2戦2勝とした。おそらく良馬場の方がいいタイプで馬場が重い冬場にはさっぱり結果を残せなかったのだが、ここにきていいレースを見せている。メンバー的に目立つのは2020年の11月にFishery Lane Hurdle (G2)を勝ったCall Me Lyreenくらいと、さすがに夏場のBeginners Chaseなだけあって強力なものではなかったのだが、やはりこのような血統の馬がアイルランド障害競走にいるのは興味深いことである。
Wroclaw (POL) płotowy - lekko elastyczny (2.9); przeszkodowy - lekko elastyczny (2.7);
〇 Nagroda 20000 zł
Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych Międzynarodowa gonitwa z płotami dla 4-letnich i starszych koni (Replay)
1. Dominique J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma
この日から始まったWroclawの2022シーズン。レースは後方から追い上げたDominiqueが先に出てきたArlingtonを抑えて勝利した。Dominiqueは昨年のGran Corsa Siepi Di Milano (G1)の勝ち馬だが、どうにもその後はぱっとせず、今年2月のGran Corsa Siepi Nazionale (G1)では最下位に敗れていた。能力のある馬であることは間違いないのだが、どうにも順調に使えていないような感もあり、先週のMilanoではなくあえてこちらに回ってくる辺り、どこまで馬の状態が戻っているのかよくわからない。少なくともポーランドHurdle路線であれば明らかに力量上位の馬で、その走りには期待しておきたい。昨年のWielka Partynickaの2着馬Arlingtonが2着に入った。そのWielka Partynickaを勝ったAztekが3着だが、どうにも年齢的なものもあるのかズブいようなところがあった。平地では2021年のČESKÉ DERBY (G3)にも出走した牡馬Locomotiveが4着。地元勢として2019年のWestminster Derby (G1A)で4着に入ったSalasamanの5着が最先着で、強力なチェコ調教馬を多数迎えたここではやや厳しい結果となった。
〇 Nagroda 24000 zł
Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych Cykl gonitw z przeszkodami dla 4-letnich koni Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 4-letnich koni. (Replay)
1. Greek Dessert J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma
途中からSpeedy Girlが前に行くもどうやらアブミを落としていたのかHurdle Courseで落馬。代わって前に出たGreek DessertがNotoriousを抑えて勝利した。Greek Dessertは昨年のポーランドHurdleで2勝を挙げた馬で、これで障害では3戦3勝とした。どうやら初のSteeplechaseだったようだが飛越に関しては特に問題はなく、4歳世代の代表格として頑張ってくれそうだ。地元のスペイン産馬Notoriousが2着。Steeplechaseも含めて障害戦は初参戦だったようだが、Greek Dessertにこれだけ戦えれば十分だろう。3着以下は大きく遅れた。
〇 Nagroda Otwarcia Sezonu Przeszkodowego 24000 zł
Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. (Replay)
1. Haad Rin J: Pavel ml. Složil T: Robert Świątek
早々にNeboとCosmic Magicの2頭が落馬して残った馬群に絡んでくる。この煽りを食らってHaad Rinが水壕で水飛沫を上げたり、Nickが空馬に釣り出されて競走中止するなどのアクシデント。レースは途中から先頭に立ったHaad RinがKing Arturを抑えて勝利した。Her Himが3着。Haad RinはポーランドSteeplechaseを代表する馬で、2019年にはCrystal Cupを勝利している。昨年のCrystal Cupでは後続を大きく引き離すも最終障害にで落馬に終わり、勿体ない結果に終わっていた。どうにもここ数年は順調にレースに使えていないようなところがあるのだが、本来であれば持っている能力はここではトップクラスである。ここでは色々とトラブルの多いレースではあったが順調な滑り出しを見せた。どうやら未去勢の牡馬のようで、その動向には注意しておきたい。イタリアを転戦してきたポーランド生産馬King Arturが2着。昨年のWroclawska Trialを勝ったHer Himが3着に入った。
〇 Nagroda 20000 zł
Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. (Replay)
1. Minister Wojny J: Niklas Loven T: Michał Borkowski
Green Rocks、Babiloniaの2頭が引っ張るも、好位から忍び寄ったMinister WojnyがGreen Rocksとの叩き合いを制して勝利した。Minister Wojnyは今年5歳となる馬でSteeplechaseは初勝利とした。昨年までは4歳世代のSteeplechaseを戦っていたようだが勝ち星はなく、ここでいきなり年上のメンバーを相手に結果を残したことは興味深い結果である。10歳のGreen Rocksが2着。2016~2019年辺りはこの路線の常連だったようだが、その後はフランスを主戦場としており、昨年からまたポーランドに戻っている。ポーランドの一線級の競争への出走歴はあまりなく実力的には未知数なのだが、10歳となった今年も馬は元気なようだ。
Warrnambool (AUS) Soft 6
〇 Cally Hotel Maiden Hurdle
Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. 3200m (Replay)
1. Count Zero J: Will Gordon T: Symon Wilde
好位で進めたCount Zeroが内から忍び寄ってきたMight Oasisを抑えて勝利した。Count ZeroはHurdleはこれが初勝利となる。遡れば2020年に4600メートルのJericho Cupの勝ち星がある馬で、それ以外に重賞クラスでどうこうということはなさそうなのだが、ようやくここにきて待望の障害デビュー戦といったところだろう。障害飛越の内容としてもそれなりに安定していたようで、今後が楽しみな一頭になりそうだ。
〇 3YB FM Scotty Stewart Brierly Steeplechase
Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3450m (Replay)
1. Vanguard J: Will Gordon T: Symon Wilde
"The Bool"初日のメインレース。出遅れたBit of a Ladがやや引っかかり気味に前に行くも、ハナに行ったBritannicusが後続を大きく引き離す逃げを打つ。これにVanguard、Valacが追いかけていくも、残り2障害でValacは落馬。そのままBritannicusとVanguardの叩き合いは内のVanguardがゴール手前でBritannicusを捉えて勝利した。
この日絶好調のSymon Wilde厩舎とWill Gordon騎手のコンビである。Vanguardは昨年の9月にニュージーランドで頭角を現してきた馬で、今シーズンからオーストラリアで走っている。今年の4月のニュージーランド初戦となったHarvey Norman Steeplechaseを快勝してここに挑んでいた。やはり今年の"The Bool"のSteeplechaseは実績馬が相次いで離脱したこともあり、Briely Steeplechaseもいまいちメンバーとしては微妙だったのだが、それでもBritannicusの技ありの大逃げを最後捉えたことは今後が楽しみになる内容だろう。主役不在のオーストラリアSteeplechaseでの活躍を期待したい。今年3月のWarrnamboolでOpen Steeplechaseを勝ったBritannicusは思い切った騎乗で見せ場を作った。どうしても引っかかる馬だけに仕方がないもので、距離的にはやはりこれ以上伸びると苦しそうな印象もあるが、それでもこの馬の新たな可能性を感じるレースであった。実績馬としてはBit of a Ladもいたのだが、いまいちちぐはぐなレース振りで大敗に終わった。Valacは勿体ないところで落馬に終わったが、幸い特に故障等はなかったそうだ。
5/4(水)
Fontwell (UK) Good
〇 Conditional Jockeys' Handicap Hurdle (C4) 2m3f49y (Replay)
2. Touchthesoul J: Tabitha Worsley T: Miss Jo Devis
珍しいイタリア産馬Touchthesoulが出走しており、好位から進めたが最終障害でミス、先頭のCoal Stockを捉え切れず2着に終わった。Touchthesoulはもともとフランスで走っていた馬で、2019年のAuteuilでHurdleデビュー、その後はイギリスに移籍していた。Auteuilでデビューした際は未去勢だったようだが、イギリス移籍時に去勢されているようで、元々はGary Moore厩舎にいたものの現在はJo Devis厩舎に所属している。フランスでの走りから考えればもう少し走ってもよさそうな感もあるのだが、何度もWind Surgeryを繰り返しており、健康面で問題があるのだろう。父Red RocksはGalileoの産駒だが、Grosses Heinrich Vetter-Badenia-Jagdrennen勝ちやポーランドで実績のあるGreen Rocks、2016年のSteeplechase D'Italia (G2)を勝ったSbarazzinoを送り出している。
Warrnambool (AUS) Heavy9
〇 Sovereign Resort Galleywood Hurdle
Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3200m (Replay)
1. Saunter Boy J: Steven Pateman T: Ciaron Maher & David Eustace
Annunciateが前に行くも途中からOut And Dreaming、さらにSt Arniccaが接近。その2頭の叩き合いになるかと思いきや、一旦は遅れていたSaunter Boyが盛り返してくると、ゴール直前で前の2頭を交わして勝利した。
Saunter Boyは昨年のAustralian Hurdleの勝ち馬。今シーズンは前走のMJ Bourke Hurdleから連勝とした。前走から1kg増となる70kgを背負っておりあまり条件的には良くはなかったのだが、それでも最後盛り返してくるしぶとさを見せた。フランス産馬だが父Myboycharlieは*デインヒル系の種牡馬で、元々は重賞戦線を戦っていたようにおそらく平地馬としてオーストラリアに導入されたものと思われる。好調のWill Gordon騎手が騎乗したSt Arniccaが2着。今年の3月にWarrnamboolのMcLaren Hunt Open Hurdleを勝った馬で、まだ5歳と若い馬だけに今後に期待したい。MJ Bourke Hurdleで2着に入ったOut And DreamingはまたもやSaunter Boyの後塵を拝す結果となった。
5/5(木)
Warrnambool (AUS) Heavy10
〇 Hammonds Paints Champion Novice Hurdle
Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3200m (Replay)
1. El Diez J: Darryl Horner T: Eric Musgrove
ルーラーシップ産駒のHush Writerが逃げるも最終コーナーから後続が殺到。Onsetが内に切れ込みながらも先頭に立つが、外から伸びてきたEl DiezがBlandford Ladを凌いで勝利した。El Diezは昨年Maiden勝ちがある馬だが、それ以降はあまり実績がなく、Gotta Take Care HurdleではLight Pillarからはるか離れた3着に終わっていた。今回も単勝21倍と人気がなかったようだが、おそらくHeavy10の不良馬場が味方したものだろう。最近Maidenを勝ったBlandford Ladが2着で、この辺りは立ち回りの違いによるものかもしれない。人気を背負っていたBrungle Bertieが3着で、この辺りは立ち回り一つで着順が変わりそうだ。Hush Writerは軽快に逃げるも最終コーナーで捕まってから脱落しての6着で、少々メンバー的にも揃っていたのと、この不良馬場はあまり宜しくはなかったようだ。初のチークピーシーズ着用はある程度効果はあったようで、ひとまず次に期待したい。
〇 Waterfront living by Lyndoch living Grand Annual Steeplechase
Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 5500m (Replay)
1. Heberite J: William McCarthy T: Ciaron Maher & David Eustace
"The Bool"のメインレース。5500メートルというオーストラリア障害競走としては最長距離が設定され、かつ計33とあのAintreeのGrand Nationalをも上回る障害数が設定された、オセアニア随一の本格的な障害競走である。オーストラリアのSteeplechaseで使用される障害の難易度は比較的控えめで、おそらく日本の障害馬でも対応は可能なように思うが、日本から遠征するとなるとその障害数が最大の懸念材料となるだろう。優勝賞金としては約1800万円程度ではあるのだが、その歴史の重みやレース当日の熱狂、スポーツとしての価値の高さはオーストラリア競馬においても随一のものである。
レースは人気の一角Heberiteが逃げる展開。出走が想定されたBritannicusがBriely Steeplechaseで見せたような大逃げは打たずに馬群は比較的密集して進行。途中で人気のVanguard、San Remoが落馬。Heberiteは軽快に逃げると、そのまま追いこんできたPolice Camp、Eyes Are Blue以下を抑えて勝利した。
Heberiteが昨年のBarallatでMaiden Hurdleを勝ったばかりの馬で、SteeplechaseはこれがBM125 Steeplechaseの3着に続き2戦目であった。全体的に今年は有力馬の離脱が相次ぎ、このレースにおいても人気を背負っていた馬が途中で脱落したということはあるが、ひとまずSteeplechase2戦目でいきなり結果を出したというのは大したものだろう。Jericho Cupでも3着のある能力馬であり、今後の走りには期待しておきたい。古豪Police Campは惜しい2着で、最後までHeberiteを追い上げる走りを見せてくれた。ただしこの馬自身、このクラスの一線級相手には厳しいレースを続けており、ややレースレベルには疑問が残る。3着に入ったEyes Are Blueもここでは格下の馬で、この開催150周年の節目の年ということもありレースの盛り上がりとしては素晴らしいものだったのだが、レースの内容としては若干疑問符がつくものとなった。
5/6(金)
Vichy (FR) Souple (3.7)
〇 Grand Cross de Vichy #5 TNC Haras du Lion
Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus 5000m (Replay)
1. Black'N Roses J: Benjamin Gelhay T: Hubert Despont
11歳のBucefalが逃げるも途中で落馬。代わってNuits Premierが前に行くも、じわじわと進出してきたBlack'N Rosesがこれを抑えて勝利した。Black'N Rosesはそのキャリアの大半をCross Countryで過ごしている馬で、このレースは昨年の4着から3年連続の出走となる。2020年のこのレースはCOVID-19のため9月に行われているが、そこではVol Noir De Kerserを下して勝利しており、このコースはお手の物なのだろう。まだ8歳と若く、更なるCross Country Specialistとしての活躍が期待される。10歳のNuits Premier Cruが2着で、この馬はCrossの経験こそ少ないものの、ここ4戦は非常に安定したレースを続けているようだ。SteeplechaseではListedクラスでの入着もあるようだ。Cooper Des Ongraisが最後追いこんで3着。チェコのBrunch Royalは例によってじわじわと後方から進出するも、コーナーで滑っての転倒で、前走に引き続き不幸な落馬に終わってしまった。
5/7(土)
Waikato RC @ Te Rapa (NZ) Soft5
〇 SVS Starting Gates Hurdle RST OPN HDL SWP 2800m (Replay)
1. Ginger Too J: Gary Walsh T: Dean Wiles
この日から始まったニュージーランド障害競馬シーズン。この日のTe Rapaは本来Steeplechaseも予定されていたのだが、異常に馬場が硬いということを理由に残念ながら中止になった。近年はなかなか明るい話題の少ないニュージーランド障害競馬だが、地味に今年から賞金額が増額されており、なんとかオーストラリアVIC州のようにいい方向に向かって欲しい。レースは人気のHe's Ricが逃げるも、最終コーナーからこれに並んでいったGinger TooがHe's Ricとの叩き合いを制して勝利した。Ginger Tooは今年で5歳の若馬で、平地では24戦して1勝を挙げている。どうにもHDL初戦ということもあって仕草には怪しいところもあったが、とはいえHDL初戦の馬としては及第点だろう。人気のHe's Ricは昨年の7月にMaidenを勝った馬だが、こちらもどうにも飛越に怪しいところがあった。勝ち馬に対して1.5kgの不利があった分か。昨年PJRを2勝したEionも出走していたが、こちらは中段からじわじわと差を詰めて3着に入った。このスピードの活きるレースは明らかにこの馬向きの条件ではなく、シーズン初戦でこれだけ走れたのは上出来である。
Great Meadow (USA) Soft
〇 Steeplethon Stakes
For Five Year Olds and Upwards, Three Miles on the Timber $30,000 (Replay)
1. Bodes Well J: Thomas Garner T: Leslie Young
"Timber"と記載されているが実質的にはStone Wallや生垣障害といった多様な障害を使用する競走である。どちらかというと欧州の大陸系のSteeplechase~Cross Countryのような性質の競走だが、いまいちEquibaseではこの類の競争の記載がはっきりしないので注意する必要がある。一部の競馬場における名物競走のような位置づけで行われているようだが、あまりレース数は多くはない。レースはゆるゆると逃げたBodes Wellがそのまま後続に大差をつけて勝利した。Bodes Wellは昨年からこの路線を使っている馬で、先月のMiddleburgの類似の競争から連勝とした。もともとはJonathan Kiser Novice Stakesを勝利した実績などがあるように能力は高い馬で、これほどの馬が比較的マイナーなこの路線に来るというのは楽しみがある。しばらくはこの路線の主役として楽しみにしたい。
〇 David Semmes Memorial Stakes (G2)
To be run over National Fences for Four Year Olds and Upward, Two and One Eighth Milds on the Hurdle $75,000 (Replay)
1. Redicean J: Thomas Garner T: Leslie Young
City DreamerとBelfast Banterが逃げるも、残り2障害辺りからCity DreamerとGoing Countryが抜け出す。しかしここでなぜか前2頭がそのまま途中棄権、残ったRediceanが後方でレースを継続していたBelfast Banterに54馬身差をつけて勝利した。どうにもこのCity DreamerとGoing Countryが競争中止した理由はよくわからない。Rediceanはアメリカ移籍後、2019年のJonathan Kiser Novice Stakes以来の勝利とした。2020年のNew York Turf Writers Cup (G1)の2着はあるのだが、少々重賞クラスでは格下感があるというのが現状の立ち位置だろう。2021年のTop Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬Belfast Banterはこれがアメリカ移籍後初のレースであったが、残念ながらあまり良いところはなく大敗に終わった。アメリカにしては極端な重馬場でこれに苦労した可能性もある。Festival WinnerでかつG1競走のタイトルを持っているこれほどの馬がアメリカに行くのは珍しいことで、その動向には注目しておきたい。2021年にFoxbrook Champion Hurdle、Aflac Supreme Hurdleを勝利したCity Dreamerはよくわからない敗戦で、とりあず次に期待しておきたい。
〇 Virginia Gold Cup Stakes
For Five Year Olds and Upward Four Miles on the Timber $100,000 (Replay)
1. Andi'amu J: Freddie Procter T: Leslie Young
Andi'amu、Storm Team、First Fridayなどが代わる代わる引っ張る展開も、途中から後方から押し上げてきたSchoodicが先頭を伺う構えを見せる。しかしここから抜けてきたAndi'amuがSchoodicを振り切ると、そのまま後続に大差をつけて勝利した。Schoodic、Flaming Swordが完走を果たした。
重馬場の4マイルのTimber競走ということで非常にゆったりとしたペースで進行している。Andi'amuは今年で12歳となるベテランだが、2020年のVirginia Gold Cupに続き、このレースは2勝目とした。前走のMiddleburg Hunt Cupで約2年ぶりの復帰を遂げており、陣営にとっては非常に嬉しい勝利だろう。この馬場で終始安定していた飛越を繰り出し、そこからスパートをかけるのだから大したものである。やはり12歳で連覇を狙ったSchoodicが2着で、この馬もまた飛越の面では安定していた。今年は勝ち切れないレースを続けているが、この馬もまだこの路線で頑張ってくれるだろう。昨年のInternational Gold Cupの勝ち馬で、今年はMy Lady's Monorを勝って勢いに乗って挑んでいたTomgarrowは途中でミスをし、そこから挽回できずに途中棄権に終わった。前走Middleburg Hunt Cupを勝ったStorm Teamも早々に脱落して途中棄権となった。
5/8(日)
Merano (ITA) Tempo Coperto - Terreno Morbido
〇 Cogne Euro 23.000 TRIO - IPP. NAZ 1284
per cavalli di 4 anni ed oltre (Siepi - DEBUTTANTI - FANTINI) 3000m (Replay)
1. O'Juke J: Gaetano Volpe T: Raffaele Romano
この日から始まった2022年のMerano開催。レースは後方からじわじわと進出したO'JukeがZio Reginaldo、Phuket Paradiseを退けて勝利した。O'JukeはこれがSiepiではデビュー戦となる。平地競争では2018年のSt Leger Italiano (G3)を制した実績馬であるが、2019年5月のPremio Carlo D'Alessio (G3)を最後に約3年ほどの休養を経ていたようで、2022年に復帰するも大敗続きに終わっていた。ひとまずSiepiデビュー戦ということだが、イタリア名門のRaffaele Romano厩舎の馬ということで飛越技術自体はしっかりしていた。ただし全体的にやはり平地馬らしい仕草が目立っており、やはりもう少し落ち着いて走って欲しいところではある。どこまでかつてのような走りを見せることが出来るかは不明だが、いずれにせよここでは平地部分でのスピードは目立っており、なんとかもう一花咲かせてほしいところである。
Pardubice (CZE) Stav dráhy: 3.6 (dobrá)
〇 Cena Jockey Clubu ČR
Proutky IV.kat. - 3200 m, cena, 4letí a starší 60.000 Kč (Replay)
1. Svenson J: Daniel Vyhnálek T: Török Dalibor
この日から始まった2022年のPardubice開催。このレースはProutkyの下級戦なのだが、勝ったのは2019年のチェコSt Legerの2着馬Svenson。2020年からHurdleに参戦しており昨年のIV. kat.の2着が最高と振るわなかったのだが、ようやく結果を残した。まだ6歳と若い馬だがすでに去勢されており、今後は障害馬としてのキャリアを期待したい。ここでやはり着目すべきは2018年のチェコ・スロバキアオークスを制したDylankaで、ここまで障害は下級戦のみとはいえ4戦4勝で来ていたのだが、今回は僅差の4着に敗れた。7歳牝馬ということを考えるとどこまで現役を続けるかは不明である。これが障害デビュー戦となる2018年のスロバキアSt Leger勝ち馬Darkolvaもいたが、こちらは最下位の6着に敗れた。こちらも去勢されているようで、今後は障害馬としてのキャリアを期待したいが、やや残念なデビュー戦となってしまった。
〇 Pohár BICZ holding 2022
Steeplechase crosscountry III.kat. - 3500 m, cena, 5letí a starší 90.000 Kč (Replay)
1. Lianel J: Jakub Kocman T: Popelka Stanislav
レースはゆるゆるとNortherly Wind等が固まって引っ張るも、好位から抜けてきたLianelがNortherly Windを抑えて勝利した。Lianelは昨年のSlušoviceのCena Sergeanta Thundera (Stch. I. kat)を勝った馬だが、Cross Countryはこれで3戦目で初勝利とした。昨年はCross Country2戦目でPoplerův memoriál skupiny Profireal Group (Stcc NL)に挑戦していた馬で、さすがに勝ったChrystal Crossからは離れた4着と荷が重かったようだが、今回のレースを見る限りでは当時よりも進捗が見込まれるだろう。2020年及び2021年のGrande Steeplechase Di Milano (G1)を連覇したNortherly Windはこれが初のCross Countryであり、元々やや行きたがって走る馬だけに全体的にのんびりとレースを教えるような動き方であった。Lianelの瞬発力には屈したが、とはいえこれほどの馬がCross Countryでどこまでやれるかは期待したい。
〇 Cena města Pardubic – Úvodní cross country Koroka
Steeplechase crosscountry I.kat. - 4500 m, cena, 5letí a starší 150.000 Kč (Replay)
1. Night Moon J: ž. Jan Faltejsek T: Tůma Pavel
Night Moon、Chelmsford、Dajuka、Aeneasといった今年期待の新星が一堂に会したレースであったが、ゆるゆると逃げたNight MoonがChelmsford及びDajukaを振り切って勝利した。
Night Moonは2019年のGran Criterium D'Autunno (G1)の勝ち馬で、昨年のGran Corsa Siepi Nazionale (G1)でもフランスのEdinsonを相手に僅差の2着に入っている。昨年からCross Countryに参戦しており、これでCross Countryは3戦3勝とした。残り2障害地点で大きなミスはあったがCross Countryでの飛越は安定しており、マイページで逃げたとはいえChelmsford及びDajuka以下を完封するのだから大したものである。ここまでCross CountryはCena Vltavyを含む4戦4勝と破竹の勢いで挑んできたChelmsfordが惜しい2着で、この6歳馬コンビは今後チェコCross Countryを大いに盛り上げてくれることを期待したいところである。そのCena VltavyでChelmsfordの2着に入ったDajukaが3着。元々3000メートルクラスではトップクラスのスピードを持った馬だが、8歳となった今年においてどのような路線を歩むかは注目しておきたい。いまいち振るわなかったのが昨年のCena Labe組で、同レース勝ち馬のAeneasは良いところなく7着、同3着のDel Reyが大きく離れた4着に入ったのが最高であった。この辺りは距離を伸ばしてもう一度期待したいところだが、前3頭を追いかけていったZataroが息切れして5着に後退していることは少々心配な材料である。
〇 Cena Dostihového spolku a.s.
Steeplechase crosscountry IV.kat. - 4300 m, cena, 5letí a starší 60.000 Kč (Replay)
4. Bridgeur J: ž. Jaroslav Myška T: Myšková Štěpánka
今年で11歳となるベテランBridgeurが出走しており、例によって元気よく先頭に立って進めたが、今回も例によって最終障害を越えて交わされ4着に終わった。ここまでCross Countryでは31戦して未勝利の馬だが、2017年、2018年、2019年のVelka Pardubickaでは積極的な先行策で見せ場を作っていた。どうにも平地の脚が遅いだけに最後の最後で捕まるのはいつものことだが、11歳となった今年も元気なようで、この馬の綺麗な飛越と積極的な先行策を見ることを楽しみにしたい。勝ったのはポップロック産駒のAlegoriaで、昨年のCena Laty BrandisoveではZtracenkaの3着に入っていたチェコCross Country路線では能力上位の牝馬である。
その他
〇 'Nashville seems more exciting than Uttoxeter' - Henderson runner primed for US (Racing Post)
Nicky Henderson厩舎のPistol WhippedはIroquois Steeplechaseを目指すそうだ。同馬は昨年4月のPerth及びPlumptonのC2を勝っているようで、おそらく良馬場に適性があるようだ。イギリス調教馬が日本に来なくなって久しいが、アメリカのG1競走というのは良馬場に適性のあるイギリス調教馬にとっては良い選択肢となっているようだ。
〇 Dunseath makes history at the 'Bool (Racing.com)
Warrnambool May Racing Carnival初日のMaiden Hurdleを勝ったMegan Dunseath騎手は女性騎手として"The Bool"の障害競走で勝利した初の騎手となった。元々は北アイルランドで生まれた人のようで、オーストラリアで騎手として活動しているそうだ。これがオーストラリアでの初勝利ということで、本人にとっても嬉しい勝利になったようだ。
〇 SA Jump Racing v The Greens - AGAIN! (SAJR Newsletter)
昨年来議論が続けられているSA州の障害競走について、新たな展開があったようだ。どうやら"Australian Greens"と呼ばれる政党が障害競走を禁止する法案を州議会に提出しているらしい。記事中にもあるようにこの政党の目的は競馬産業そのものを潰すことであり、この活動は競馬産業全体にとっても対岸の火事ではないことは大いに認識される必要がある。