にげうまメモ

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22/05/15 Weekly National Hunt / Jump racing

5/12(木)

Wanganui JC @ Wanganui (NZ) Heavy8

〇 Ken Duncan Racing OPN STPL 3800 RST OPN STP SWP 3800m (Replay)

1. Cheif Sequoyah J: Sam O'Malley J: John Wheeler

人気のHe's Ricが逃げるも、残り3障害辺りで後方から押し上げてきたChief SequoyahがLocharburnを振り切って勝利した。Chief SequoyahはこれがSteeplechaseは初参戦となる。HurdleではOPN HDLを含む計3勝を挙げた馬で、Great Northern Hurdle (PJR)でも4着に頑張っている。昨年のニュージーランドHDL戦線はThe Cossackがあまりにも強すぎたのでそこではなにもできなかったのだが、それでも楽しみな馬がSTPにやってきたということで期待してよいだろう。WanganuiのSTPはHDLを若干難化させたのみであるのだが、とりあえず飛越自体には問題はなかった。やはりSTPはデビュー戦のLocharburnが2着。人気のHe's Ricはややスパート位置を間違えたような印象の3着。2019年のニュージーランドGrand National Hurdleの勝ち馬のAlfee DeeはニュージーランドのSteeplechaseはこれが初参戦だったのだが、どうにも飛越もいまいちでいいところなく大敗に終わった。

 

〇 Wanganui Function Centre OPN HDL 3000 RST OPN HDL SWP 3000m (Replay)

1. Izymydaad J: Stephan Kernicnik T: Ken Duncan

レースはBeau Gesteがやや後続を引き離して逃げるも、2周目から後続が接近。最終コーナーから前に出たQuaffが逃げ込みを図るも、これを追いかけてきたIzymydaadがこれとの叩き合いを制して勝利した。IzymydaadはHDLは15戦目で嬉しい初勝利とした。ここまでMDNでも勝負圏内に入るか入らないかという馬だったのだが、いきなりここでの好走は少々驚きといったところだろう。第1レースのCheif Sequoyahに騎乗していたSam O'Malley騎手は同じようなレースをしたのだが、最後Izymydaadに交わされて2着に終わった。ただ、この馬自身もHDLでは未勝利の馬で、少々RST OPN HDLとしては水準は微妙かもしれない。人気のBeau Gesteは勝負所から後続に捲られるとあっさり後退して大敗。昨年のGreat Northern Hurdle (PJR)で3着に入るなど実績のあるAigneもいたのだが、最後の直線で落馬に終わった。

 

5/15(土)

Aarau (SWI)

〇 Preis Der Stadt Aarau

CHF 7’000 - Jagdrennen - 3600 Meter (leichte Bahn) - 4jährige und ältere Pferde (Replay)

3. Al Cuarto J: Langmeier Jürg T: Langmeier Jürg

残念ながらスイス競馬はデータベースが有料でかなり高額なので、情報としてはFrance Galop頼みで断片的となることをご容赦頂きたい。元々Prix Congress (G2)でのDream Wishの2着などAuteuilの重賞戦線で活躍したAl Cuartoのスイス移籍初戦だったのだが*1、どうにも伸びを欠き3着に終わった。今年はPau及びFontainebleauのCross Countryを使っていたのだが、どうもBanquetteタイプの障害での対応に難があったようで、少なくともCross Countryよりは通常のSteeplechaseに戻る方がよさそうな印象はある。勝ったのは73kgのトップハンデを背負ったBaraclaasという馬で、これでスイス障害競走では4勝目とした。スイスでは障害初戦となるEleganzaが僅差の2着に入った。

 

〇 Preis Turf Club Aarau

CHF 7’000 - Cross-Country - 4400 Meter (Parcours Nr. 1) - 4jährige und ältere Pferde (Replay)

1. Etoile Des Vernes J: Huber Michael T: Speck Hansjörg

道中にはBankや池など非常にテクニカルな障害や大型の生垣障害が設置されたAarauのCross Country。コースの形態も急カーブが多く設定されており、Cross Country競走としては非常に見ごたえのあるものとなっている。勝ったのは勝負所から先頭に立ったEtoile Des Vernes。元々はフランスでデビューしたフランスのAQPSの牝馬だが、2019年からはスイスで走っており、Cross Countryではこれが3勝目となる。昨年のGrosser Preis Der Stadt MaienfeldのでBaraka De Thaixの2着に入っているようで、この路線では安定したレースを続けているようだ。昨年のGrosser Preis Des Cross-Club Maienfeldを含むMaienfeldで2連勝を挙げてきたBeaumerが2着だが、同2着のGordon Pymが3着に来ていたりと、この辺りのメンバーにあまり力量差はなさそうだ。

 

Percy Warner (USA) Firm

〇 Green Pastures Stakes

To be run over National Fences for Four Year Olds and Upward which have not won over Hurdles prior to March 1, 2021, or which have never won three races, other than three year old. Two and One Fourth Miles on the Hurdle. $75,000 (Replay)

1. Scorpion's Revenge J: Barry Foley T: Cyril Murphy

Bouletteが後続に大きなリードを取って逃げるも、向こう正面から一杯になって後退。代わって番手に居たDecisive Triumphが前に出て逃げ込みを図るも、後方からじわじわと忍び寄っていたScorpion's Revengeがこれを捉えて勝利した。Scorpion's RevengeはMaidenから2勝目とした。前走のMiddleburgのAllowanceではGoing Countryの2着に敗れていたが、今回はその借りを返したことになる。どうにもBouletteがオーバーペース気味に引っ張った影響で最後やや脚が上がっていたのだが、Decisive Triumphは好位で頑張った。Queen's Cup Novice Chase Stakesでも2着に惜敗しており、要するにそういう馬なのかもしれない。David Semmes Memorial (G2)では勿体ない競馬に終わったGoing Countryが3着に入り、あまり上位勢に目立った力量差はなさそうだ。

 

Calvin Houghland Iroquois Hurdle Stakes (G1)

To be run over National Fences for Four Year Olds and Upward, Three Miles on the Hurdle $150,000 (Replay)

1. Snap Decision J: Graham Watters T: Jack Fisher

イギリスからPistol Whippedを迎えて行われた一戦。そのPistol Whippedが淡々と引っ張るも、アメリカ期待のSnap Decisionがぴったりとついて行く。最終コーナーの手前からSnap Decisionが先頭に立つと、そのまま後続を振り切り勝利した。2着にはPistol Whippedが盛り返してきたようだ。

Snap Decisionは今シーズン初戦のTemple Gwathmey (G2)は2着に敗れていたのだが、ここではきっちりと結果を残した。どうも純粋なステイヤーというよりは瞬発力による決め手に優れた馬というタイプのようで、今回も前に出る際のスピードは一枚抜けていた。アメリカ調教馬でアメリカの生産馬がこうしてアメリカHurdleの大一番を勝利したということはアメリカ障害競馬にとっては良いことだろう。イギリスのPistol Whippedは見せ場を作っての2着で、どうやらNicky Henderson調教師がわざわざ良馬場を求めてここに遠征してきたようで、その期待に応える結果となった。ただ、母国ではClass2での勝ち負けが精々といった実績の持ち主で、このクラスでいきなりここまで通用するというのは少々考えものである。この路線の常連Amschelが3着。2020年にA.P. Smithwick Memorial (G1)を勝ったMoscatoは最終コーナーではPistol Whippedを交わして前に出る走りを見せたが、最後は失速して4着に終わった。

 

Willowdale Steeplechase (USA) Good

Buttonwood/Sycamore Farm Willowdale Steeplechase Stakes

For Five Year Olds and Upward, to be ridden by amateur riders. Three and One Half Miles on the Timber $35,000 (Replay)

1. Andi'amu J: Freddie Procter T: Leslie Young

途中には大型の生垣障害も使用するWillowdale Steeplechase。前半からAwesome Adrianが大きなリードを取って逃げるも、これに忍び寄ってきたAndi'amuがWithoutmoreado以下を突き放して勝利した。Andi'amuはこれでVirginia Gold Cupから連勝とした。2018~2020年の段階ではこの路線で活躍した馬だが、この馬が2年の休養を経て競走に復帰し、ここまで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのは喜ばしいことだろう。レース振りとしては盤石のもので、しばらくこの路線では主役級の一頭として頑張ってくれそうだ。前走WinterthurでAllowanceを勝ってきたWithoutmoreadoが2着。Grand Nationam Timberで2着に入ったAwesome Adrianは前半から積極的に進むも、最後力尽きて3着に終わった。

 

5/15(日)

Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Buono

〇 Sergio Giorgi Euro 11.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country -  CONDIZIONATA  - G.R.-AMAZZONI-FANTINI) 3500m (Replay)

1. Burrows Lane J: Ivan Cherchi T: Paolo Favero

Silver Tangoがゆったりと逃げるも、内から強引に前に抜けようとしたAlmost Humanと接触し、コーナーを曲がり切れず大きな不利を受ける。このアクシデントを回避して前に出たBurrows LaneがSaint Josephを抑えて勝利した。Burrows Laneは今年で11歳になるベテランでこのイタリアCross Countryでは2019年から走り続けている常連である。2020年のAscendente以来となる勝利としたが、実力的にはこの路線での順位付けというのは既にはっきりとしており、今回は真面目に走ってきたこの馬にとってはご褒美のような勝利だろう。チェコのSaint Josephは2着。イタリアのデータベースでは牡馬と記載されているが、チェコのデータベースでは既に去勢されているようだ。Silver Tangoは勿体ない不利で3着。Almost Humanは今回は後ろから行く競馬を試みたが、さすがにレース運びが強引過ぎたようで、Silver Tangoからタックルし返されてコースアウトし、競争中止に終わった。

 

〇 Lord Madonna Euro 14.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi -  DISCENDENTE  - FANTINI) 3300m (Replay)

1. Mensch J: Gabriele Agus T: Raffaele Romano

途中からSky Constellationがやや引っかかり気味に前に行くも、最後後方から伸びてきたMenschがSky Constellation以下を抑えて勝利した。Menschは元々イタリア調教馬としてSteeplechaseを走っていた馬で、昨年も上位からはるか後方に遅れるもGran Premio Merano (G1)に挑戦していた。前走からSiepiに戻していたようだが、ここではやや驚きのレースを見せた。メンバー的にはSky Constellation、Kings Rockとそれなりに力量のある馬が揃っていたのだが、68kgと斤量的には恵まれたとはいえ、これらを差し切るのだから大したものである。前半はややペースに付いていけないようなところもあり、もしかするとズブい面もあるのかもしれない。Sky Constellationは例によってやや制御が難しいような面を見せる競馬。Steeplechase Di Treviso (Listed)でBig Cityの2着に入ったオーストリア産馬のKing Rockは好位から進めるも僅差の3着に終わった。

 

Casterton (AUS) Soft5

〇 Shojun Concrete Open Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices can claim. 3480m (Replay)

1. Count Zero J:  Ronan Short T: Symon Wilde

Hush Writerがハナを伺うもこれを叩く形でRoland Garrosが先頭に。しかし最終コーナーから捲ってきたCount ZeroがRoland Garrosを競り落とすと、そのままSerenade The Starsを抑えて勝利した。Count ZeroはこれでMaidenから連勝とした。2020年のJericho Cupの勝ち馬が万を持して障害転向してきた形であり、内容としてもRoland Garros以下を抑える完勝であった。Sea The Stars産駒のアイルランド産馬Serenade the StarsはMaidenからいきなりの相手強化であったが好走した。Roland Garros、Hush Writerは積極的に前に行ったが、さすがに展開的に厳しかったものと思われる。

 

〇 Pullen & Co/Bonney Energy Two Rivers Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim.  3800m (Replay)

1. Elvision J: Aaron Kuru T: Symon Wilde

道中から引っ張ったElvisionがそのままHistoricを25馬身突き放す快勝。Elvisionは2020年のCasterton Steeplechaseの勝ち馬で、前走はBM120 Steeplechaseで2着に入っていたが、さすがにこのCastertonの特殊な障害は得意としているようで、道中から安定した飛越が目立っていた。このCastertonの生垣障害はオーストラリアVIC州でも名物となっているようで、もう少しレース数を増やしてくれると良いのだが。昨年Coleraineに舞台を移して行われたCasterton Steeplechaseを勝ったHistoricが2着だが、少々勝った馬とは大きく水を空けられてしまう2着。この馬自身も昨年6月にCastertonのSteeplechaseでは勝利しているのだが、Casterton Steeplechaseに向けてはやや苦しい展望となるレースとなってしまった。

 

その他

THE BIG INTERVIEW: Noel Meade (The Irish Field)

Noel Meade調教師のインタビュー。以前はNational Huntにおいてトップトレーナーの地位を築いていたが、近年はフラットに注力している。アイルランド競馬の現状について語られている。