にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

22/05/22 Weekly National Hunt / Jump racing

5/16(月)

Killarney (IRE) Good

An Riocht Chase (G3) 2m4f (Replay)

1. Easy Game J: Brian Hayes T: Willie Mullins

好位から進めたEasy Gameが逃げたMelonとの叩き合いを制して勝利した。Easy Gameは前走の色々あったDevenish Chase (G2)から連勝とした。基本的には比較的馬場のよい20ハロン程度の距離を得意とする馬で、ここまでもほぼそのようなレースでのみ実績を残している。この路線の一線級相手には苦しいことははっきりしているが、ひとまずこの夏場はレースに使うようで、その走りには期待しておいてもよいだろう。人気を背負っていたMelonはさすがにここでは実力上位だったようだが、あまり良馬場自体が得意な馬ではなく、やや今回は勝ち馬に対して条件的に不利だったように思われる。有名どころとしてはSamcroも出走していたが、早々に苦しくなり途中棄権に終わった。

 

5/18(水)

Bro Park (SWE) god till lätt

JOCKEYKLUBBENS STORA PRIS

För 4-åriga och äldre hästar. 3500 st 80.000 kr (Replay)

1. Mutadaffeq J: Niklas Lovén T: Karen Kuszli

Luris Pegasusが逃げるも、最後の直線から抜けてきたMutadaffeqが2着に大差をつけて圧勝した。Mutadaffeqは前走のBro ParkのSteeplechaseから連勝とした。昨年はSvenskt Grand Nationalでも勝ったReinventから遅れた4着、ポーランドに遠征するも見せ場を作れず大敗などあまり良いところのなかった馬だが、今回はトップハンデの76kgを背負って圧勝と勢いに乗っている。昨年のSvenskt Grand Nationalの勝ち馬Reinventが昨年すでに亡くなっており、主役不在のスウェーデンSteeplechaseにおいて新たな主役候補として期待したい。2018年のSvenskt Champion Hurdleの勝ち馬Luris Pegasusは昨年からSteeplechaseを使っているようだが、まだ勝ち鞍はないようだ。French Warrior、Three is Company、Boss Mans Ladderといつものメンバーもいたのだが、勝ち馬から大きく離れた敗戦に終わった。

 

SWARTLINGS MEMORIAL   

För 4-åriga och äldre hästar. 3450 hä 60.000 kr (Replay)

1. Monsieur Vic J: Christopher Roberts T: Sigyn Dysell 

Sea Moonsterが逃げるも内を掬って出てきたMonsieur VicがChamseddine Badrを抑えて勝利した。Monsieur VicはHurdle戦自体は昨年のNovice戦に続き2勝目となる。フランス産馬だがスウェーデンでデビューした馬で、その後はしばらく平地を走っていたようだ。2020年にはSvenskt St Legerにも出走し5着に入っている。同じくフランス産馬のChamseddine Badrが2着。2016年から長くHurdleを走っているのだが未だに勝ち星を挙げることはできておらず、そのうちいいことがあって欲しいところである。前走Bro ParkのNovice戦を勝ってきたSea Moonsterはどうにも飛越がいまいちで3着に終わった。

 

5/20(金)

Downpatrick (NI) Soft

〇 Beginners Chase 2m3f55y (Replay)

1. Na Caith Tobac J: Keith Donoghue T: Paul Flynn

オランダ生産馬Na Caith TobacのChaseデビュー戦であり、好位から進めると残り2障害辺りから先頭に立ち、そのままMajavango以下を退けて勝利した。Na Caith TobacはHurdleではすでに16戦を消化しており、勝ち鞍としてはMaidenのみであまり目立った成績はないのだが、ひとまずChaseではいきなり結果を残した。メンバー的にはさすがにこの時期のBeginners Chaseということもあり決して強力なものではなかったのだが、まだ5歳という若齢ということもあり、Chaseでどこまでやれるかは楽しみにしたい。

 

5/21(土)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

Prix Sagan (G3)

Haies Pour pouliches de 3 ans. 3500m (Replay)

1. Villa Rica J: Jonny Charron T: Lageneste & Macaire

Just A Princessなどがふらふらと逃げる展開も、好位から抜けてきたVilla RicaがAngela Du Berlaisに7馬身差をつけて快勝した。Villa RicaはHaies4戦目で初勝利となる。全兄にはPrix La Barka (G2)等複数の重賞を勝利したPoliricoがいる良血馬で、父もAuteuilのListedを勝利したCokorikoとまさにフランス障害競走で走るための血統から生まれてきたような馬である。前走のPrix Girofla (Listed)では勝ったGala Marceauから離れた敗戦に終わっていたが、今回はいい勝ち方であった。日本でもなじみのあるIvanhoweの初年度産駒であるJust A Princessは例によって気の悪さを見せていた。Ivanhoweの産駒はまだこの馬しかフランス障害競馬での出走はないようだが、どうやらこの馬自身はAQPSのようで、今後の産駒の活躍に期待したい。

 

Grande Course De Haies D'Auteuil (G1)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5100m (Replay)


1. Hermes Baie J: Bertrand Lestrade T: Francois Nicolle

アイルランドのWillie Mullins調教師がKlassical Dream、Kemboy、Tornado Flyerの3頭を送り込んできたことで話題になっていたが、人気の中心は連覇を狙うL'Autonomie。それに対して、Hermes Baie、Thelemeの5歳馬コンビが追いかける形となっていた。

レースは例によってL'Autonomieが前に行くも、前半からRachael BlackmoreのKemboyが絡んでいく。さらに好位からHermes Baie、ThelemeもL'Autonomieを突くような動きを見せる。Klassical Dream、Tornado Flyerは後方から。中盤からKemboyは少しずつ遅れ始めると、代わって後方からKlassical Dreamが進出。L'Autonomie、Hermes Baie、Thelemeの争いになるも、ここから抜け出したHermes Baieが2着に7馬身差をつけて勝利した。2着にはKlassical Dream。L'AutonomieとThelemeの3着争いはL'Autonomieに軍配が上がったようだ。

Kemboyは基本的に自身のペースで淡々と運ぶレースを勝ちパターンとしており、今回も基本的にはそのようなレースを試みている。5100メートルというフランスHaiesにおける最長距離を誇るレースにおいて、ここに出走していたフランス調教馬はL'Autonomieを除けば距離に対する不安があり、一方でこのような距離を日常的に走っていたアイルランド調教馬は距離面では不安がないこと等も踏まえたのか、ある程度他の馬が引いてくれることを期待してKemboyのRachael Blackmoreは前に行っているのだが、L'Autonomieが引くことはなく、さらにTheleme、Hermes Baieといった5歳馬がL'Autonomieに狙いを定めて強気に出ていったことで、本来もう少しゆったりと運びたかったKemboyにとっては苦しい展開となった。Hermes Baieは前走のPrix Leon Rambaud (G2)から連勝とした。言うまでもなくこの5歳世代ではトップクラスの馬なのだが、Thelemeの勝利したPrix Cambaceres (G1)では落馬、Prix Alain Du Breil (G1)ではTheleme不在、さらに再度のThelemeとの対戦が期待されたPrix Renaud Du Vivier (G1)では落馬と、Thelemeに対してはすれ違い続けていた。ようやくこの2頭の真っ向勝負が実現するようになった今年、積極的にL'Autonomieを追いかけるという厳しい展開に置いて、最後はL'Autonomie及びThelemeを約12馬身突き放すのだから大したものだろう。5歳馬ということで2kgの恩恵はあるのだが、それでもフランスHaiesにおける新たな主役の誕生を喜ぶべきだろう。

L'Autonomieに対して真っ向勝負を挑んだThelemeは最後はL'Autonomieに屈して4着。Hermes Baieよりもより強気に立ち回ってのこの結果は誇るべきである。Hermes Baieとは引き続きよいレースを見せてくれそうだ。連覇を狙ったL'Autonomieもさすがのレースを見せており、右に斜飛する悪癖を見せたり、他馬のターゲットになったりと大きなビハインドを背負っていたにも関わらず3着に来るのだからその能力は恐るべきものがある。フランスHaiesにおいてトップクラスの実力を有することは疑いようもないのだが、7歳牝馬ということも踏まえると、どこまで現役を続行するのかは不明である。

アイルランド調教馬で最先着を果たしたのがKlassical Dreamで、後方からゆったりと運び、そこからじわじわ押し上げて2着まで来た。どうにも乗り難しいところがある馬でこのような慎重なレース運びをするのは最近のPaul Townend騎手の戦術なのだが、今回は前々で延々とフランス調教馬及びKemboyがやり合う中、これを見ながら慎重にレースを進めた利があったと思われる。フランスHaies自体にはPrix Cambaceres (G1)の4着など実績のある馬だが、フランスで走るのは2017年以来となる。アイルランドHurdleのトップホースがここでも十分に戦えることを示し、アイルランド障害競馬にとっては収穫のあるレースとなった。やはりアイルランド調教馬のTornado Flyerは前半から障害に手を焼いているところがあり、さっぱりいいところなく大敗に終わった。

 

Pardubice (CZE) stav dráhy: 3.5 (dobrá / Good)

〇 Pohár BICZ holding 2022

Steeplechase crosscountry III.kat. - 4400 m, cena, 5letí a starší 90.000 Kč (Replay)

1. Forever Dry J: ž. Josef Bartoš T: Váňa st. Josef

途中から前に絡んで行ったNew Finchを振り切ったForever Dryがそのまま勝利した。Forever Dryは2020年にPrvomájová steeplechase města Lysá nad Labem (Stcc I. kat)を勝った馬だが、その後長い休養に入りこれが約2年ぶりの復帰戦であった。Jukebox Juryの産駒だが、現時点で未去勢のようでどのような選択肢を選ぶことになるのかは不明だが、ひとまず素質馬が復帰したということを喜ぶべきだろう。昨年のVeľká starohájska steeplechase spoločnosti BRUDAの勝ち馬Fort Ryanはじわじわと足を伸ばして2着。PardubiceのCrossにもたびたび参戦しているが、ここまでの勝ち星はスロバキアで挙げたのみである。

 

〇 Cena společnosti TIPSPORT

Steeplechase crosscountry II.kat. - 3300 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Lianel J: Jakub Kocman T: Popelka Stanislav

Chrystal Crossが軽快に逃げるも、Steeplechase Courseの辺りからLad Inが先頭に。そのままLad Inが逃げ込みを図るが、最終障害を越えてLianelがこれを捉えて勝利した。

Lianelはこれで昨年10月のCena Sergeanta Thundera (Stch I. kat)から3連勝とした。前走はイタリアSteeplechaseの実績馬で当時Cross Countryデビュー戦であったNortherly Windを破る勝利を挙げており、そのレースがフロックではなかったことを示す走りであった。まだ7歳と若い馬で、Poplerův memoriál skupiny Profireal Group (Stcc NL)ではChrystal Crossから離れた4着と振るわなかったのだが、そこから進捗を見せたのは今後に向けて楽しみな内容だろう。Chrystal Cross、Lad Inといったこの路線の常連が上位に来た。

 

Cena města Pardubic – I. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 400.000 Kč (Replay)

1. Del Rey J: Jakub Kocman T: Mimra Zdeněk

前半からStrettonが淡々と逃げるも、終盤からTheophilosが先頭に立つとそのまま後続を突き放しにかかる。そのままTheophilosが逃げ切るかと思いきや、後ろからDel Reyが強襲すると、ゴール地点でTheophilosをぎりぎり差し切って勝利した。

Del Reyは今年で7歳の若馬で、昨年のCena Labe (Stcc L)の3着馬である。前走のCena města Pardubic – Úvodní cross country Koroka (Stcc I. kat)では勝負には加われず4着に終わっていたのだが、距離を伸ばしてパフォーマンスを上げてきたことは今後に向けて楽しみな内容だろう。ここまでのレース運びを踏まえると、短い距離でスピードを生かして云々というよりは距離を伸ばした方がよくなるタイプで、7歳という年齢も考えると本番に向けて楽しみな馬が出てきたと考えてよさそうだ。今年で12歳になる古豪Theophilosが前走はあまりうまくいかなかったのだが、Pardubiceに戻って結果を残した。13歳のNo Time To Loseが3着、12歳のStrettonが4着と、全体的に古豪健在ぶりを示すような結果となった。新興勢力として期待されたMr Spexはあまりいいところなく大敗。昨年も本番まではあまりぱっとしないレースを続けていただけに、こういうタイプは少し注意しておいた方が良いだろう。Starは終盤の障害で大きなミスをしたのが痛かった。Chicname De Cotteは長期休養からの復帰2戦目であったが、今回はあまり良いところなく最下位に終わった。

 

Rangitikei RC @ Trentham (NZ) Heavy10

Manawatu ITM Awapuni Hurdles OPN HDL 2900m (Replay)

1. Aigne J: Emily Farr T: Clinton Isdale

前半からEnglish Gamblerが大きなリードを取って逃げるも、直線に向いて後続が殺到。内を掬って出てきたAigneがIzymydaadを抑えて勝利した。AigneはこれでHurdleは5勝目とした。RST OPN HDLクラスであれば勝ち鞍があり、2021年のGrand National Hurdles (PJR)でも2着に入るなど、PJRクラスでも上位の活躍を見せている。今年初戦は落馬に終わったようだが、今回は結果を残した。70kgのトップハンデとあまり条件的には芳しくはなかったのだが貫禄の勝利だろう。人気薄のIzymydaadが2着に入り、人気薄の2頭で決着するという波乱の結果となった。人気のChief Sequoyahはさっぱり伸びず5着に終わった。

 

Manawatu ITM Manawatu Steeplechase OPN STP 4000m (Replay)

1. No Tip J: Hamish McNeill T: Paul Nelson & Corrina McDougal

これが2年ぶりの復帰戦となるMagic Wonderが軽快に飛ばすも、これにぴったりとついてきたNo Tipが最終コーナーからこれを捉えると、そのまま8馬身差をつけて勝利した。No Tip自身はこれがSteeplechaseは2勝目だが、昨年のGreat Northern Steeplechase (PJR)ではTe Kahuの3着などがある実績馬で、今シーズンの始動戦ということで今後に繋がるレースを見せた。2019年にはWellington Hurdle (PJR)を制した実力馬であり、Tallyho Twinkletoeが引退した現状、混戦のニュージーランドSteeplechaseにおいて新たな主役候補として期待される。2019年にGreat Northern Steeplechase (PJR)を制したMagic Wonderは昨年はどうやら故障で大事をとって休んでいたようだが、全体的にスピードに乗った飛越を見せ2着に入った。牝馬で70kgという斤量は明らかに不利であり、どちらかというと良馬場の方がいい馬だけに条件的にはいまいちだったのだが、それでもこれだけ走れるのだから大したものである。

 

5/22(日)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

Prix Aguado (G3)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans. 3500m (Replay)

1. Losange Bleau J: Jeremy Da Silva T: Dominique Bressou

好位から進めたLosange BleuがPrince Chop以下を抑えて勝利した。Losange BleauはこれでHaiesは4戦3勝、前走のListedを含む3連勝とした。黒い馬体が目立つMartalineの産駒で、この重馬場でもなかなかに力強い走りが印象的であった。前走Prix Wild Monarch (Listed)で2着のPrince Chopが最後追いこんで2着で、この馬自身Haiesでは2戦して未勝利だが、前走で負けたKaloukaに対してはきっちり先着している辺り、勝ち上がりは早いだろう。前走Losange Bleauの2着に入った牡馬Carlton Du Berlaisが僅差の3着に入った。Zarakの産駒は最近障害競馬で走り始めたばかりなのだが、なにか意図的に未去勢としているのだろうか。

 

Grand Steeplechase De Paris (G1)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 6000m (Replay)


1. Sel Jem J: Johnny Charron T: Lagenest & Macaire

フランス最高峰の障害競走で、言うまでもなく世界最難関の障害競走の一つに数えられる名誉ある競走である。その優勝賞金は約5000万円と破格のもので、Cheltenham Gold Cup (G1)の約4200万円と比べても高額である。コースとしてもAuteuilの難関障害をフルに使用したものが設定されており*1、6000メートルというフランスSteeplechaseにおける最長距離も相まって、非常にタフで美しいレースが展開される競走である。

今年はCheltenham Gold Cup (G1)を連覇したAl Boum Photoの参戦で話題が集まっていた。それ以外にも、Willie Mullins厩舎からBurrows Saint、Franco De Portの計3頭、イギリスからScreaming Colours及びLord Du Mesnilの2頭が参戦し、計16頭立てと賑やかなレースとなった。ただ、フランスのブックメーカーではイギリス・アイルランド勢は全体的に低評価で、Sel Jemをはじめとする国内勢が人気を集めていたようだ。

レースはFelix de GilesのGeneral En Chefが逃げる展開。好位からSel Jem、Feu Follet、Lord Du Mesnilなどが進み、Al Boum Photoは後方に構える。水壕障害で早々にRoad Mix Tavelが落馬。2周目からFeu Folletが逃げるGeneral En Chefに絡んでいくも、早々に苦しくなり後退。General En Chefを捕まえに行ったSel Jemが抜け出すと、Gex、Niko Hasらを振り切り、そのままGexに8馬身差をつけて勝利した。Franco De Portが3着に入った。

Sel Jemは昨年のPrix Maurice Gillois (G1)でLet Me Loveの2着に入った馬で、世代限定戦では大きな勝ち星はなかったのだが、今年に入って年上の馬に混じって重賞を連勝し、一躍ここに向けての有力馬として頭角を現してきた。若馬には仕方がないのだが、ここまで4000メートルクラスでのレースの経験しかなく、6000メートルのレースはこれが初めてだったのだが、その不安を払拭する強い競馬を見せた。2着のGexは6歳馬でHaiesでの実績はあるのだが、ここまでSteeplechaseの経験は3戦しかないという馬であり、ここでいきなり激走するというのは驚きである。さらに4着のNiko Hasも5歳馬、逃げて見せ場を作ったGeneral En Chefも6歳馬と若いメンバーが上位を占めた。上位では最高齢のHappy Monarchも7歳馬で、どちらかというとこの馬も上り馬という立ち位置の馬である。3連覇がかかるDocteur De Ballonの不在でややメンバー的には寂しいものが予想されていたのだが、この大舞台においてここまで若い馬が躍動したことは、これからのフランスSteeplechaseが楽しみになるものであった。

フランス国外勢で唯一上位に食い込んだのがFranco De Portで、どうにも飛越に苦労していたAl Boum Photo、そもそもペースに付いていけなかったLord Du MesnilやScreaming Coloursとは異なり、明らかに一頭だけスムーズな飛越を見せていた。AuteuilのSteeplechaseはこれが初だったのだが、いきなりこの舞台でこれほどの走りを見せるのは立派である。16ハロンでもある程度対応できるだけのスピードがあり、しかも距離適性もあるという馬で、このフランスSteeplechaseへの適性もあったということなのだろうか。いずれにせよ、再度のこの舞台への挑戦が期待される。どうにもイギリス・アイルランド調教馬がGrand Steeplechase de Paris (G1)で好走することはないのだが、この馬はようやくこの高く厚い壁に風穴を開ける可能性を示すことになった。

 

Prix Ferdinand Dufaure (G1)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Altesse Du Berlais J: Baptiste Le Clerc T: Lagenest & Macaire

Latino Des Islesが人気を集めていたが、どうにも行きっぷりが悪く徐々に後方に置かれる。前々で進めたAltesse Du BerlaisがImpressiveを4馬身ほど突き放して勝利した。Altesse Du BerlaisはこれでToulouseのSteeplechaseから4連勝とした。Haiesではあまり結果を残せなかったようだが、Steeplechaseに転向してから4戦4勝と波に乗っている。重賞では常連となったImpressiveは例によって惜しい2着で、こういう馬はもう少し注意して見ていた方がいいかもしれない。人気を集めていた実績馬Latino Des Islesはどうにも道中の行きっぷりが悪かったのだが、最後はもう一度盛り返して4着に来た。もしかすると距離を伸ばした方がいいのかもしれないが、今回の行きっぷりの悪さは今後に向けて少々心配な材料である。

 

Prix Alain Du Breil (G1)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3900m (Replay)

1. Hawai Du Berlais J: Pierre Dubourg T: Arnaud Chaille-Chaille

早々に人気の一角Kyrovが落馬し、逃げていたRoyale Margauxに絡んでいく。好位から進めていたHawai Du Berlaisがそのまま抜け出すと、West End Girlに6馬身半差をつけて勝利した。Hawai Du Berlaisはこれで前走のPrix Amadou (G2)から連勝とした。今年の3月に敗れていたKyrovが早々に脱落し、ここまできっちりと差をつけて勝っていたWest End Girl以下が相手と、結果としてはほぼ順当な勝利だろう。Martalineの産駒らしくパワーとスピードに秀でたところがあり、この日の馬場も向いたようだ。

 

Ladbrokes Park Lakeside (AUS) Good4

Ladbrokes Australian Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3900m (Replay)

1. Britannicus J: Arron Lynch T: Symon Wilde

”The Bool"のあとであまり目立たないのだが、オーストラリア障害競走としてはトップクラスに高い賞金額を誇る名誉ある競走である。レースは前半からBritannicusとGetting Leggieが前に行くも、Getting Leggieは競り合うのを嫌ったのか外を回して進行。そのまま逃げたBritannicusが好位にいたElvisonを振り切って勝利した。

Brottanocisは前走のBrierly Steeplechaseではゴール前でVanguardの強襲を受け手2着に終わっており、そのままGrand Annual Steeplechaseはスキップしていた。ここまでやや強引に引っ張って結果を残すレースを続けていたのだが、今回はかなり我慢して走ることに成功していたことがなによりの収穫で、今後に向けて可能性の広がるレースとなった。Castertonでいいレースを見せてきたElvisonが好位から進めるも、勝ち馬には肉薄できずの2着で、やや今回は勝ち馬に対して完敗の内容だろう。実績馬としてはBit of a Ladがいたのだが、好位から進めるも早々に脱落、そのまま大敗に終わった。

 

〇 Ladbroke It! Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim. 3400m (Replay)

1. Blandford Lad J: Steven Pateman T: Peter Gelagotis

途中から引っかかり気味にConstantinopleが大きなリードを取って逃げるも、最後の直線を向いて苦しくなる。代わって後方からBlandford Ladがこれを差し切り勝利した。Blandford LadはMaidenから2勝目とした。前走のWarrnamboolではややロスの多い競馬でEl Diezの2着に終わっていたのだが、今回はきっちりと結果を残した。69kgを背負ってのこのレースは立派だろう。平地ではメールドグラースの勝ったCaufield Cup (G1)にて4着のあるConstantinopleはこれが初のHurdleで、かなり引っかかり気味に走って2着に残るのだから大したものである。さすがに仕草としてはまだ平地馬といったところで、能力馬のHurdleでの活躍に期待したい。

 

Ladbrokes Australian Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3900m (Replay)

1. Saunter Boy J: Steven Pateman T: Ciaron Maher & David Eustace

Firefree、Brungle Bertieなどが先頭を伺うも、内を進んだSaunter Boyが先頭に。そのままSaunter Boyはするすると逃げると、Tamarack以下を9馬身突き放して快勝した。

Saunter Boyは前走のGalleywood Hurdleから3連勝とした。今回は他馬が65kgを背負う中、一頭だけ71kgと飛びぬけた厳しい斤量を背負っていたのだが、それをものともしない走りを見せた。これでこのレースは連覇、それ以外にもJJ Houlahan Hurdle等の勝利もあり、着々とオーストラリアHurdle路線のトップホースとしての地位を築き上げている。昨年のGrand National Hurdleを快勝したWil Johnが休養している現状、この馬にはこの路線の主役としての活躍を期待したい。Tamarackは本来この路線ではやや格下の馬だが、最後追いこんで2着。Zedstarは未勝利馬だがMaidenでは安定した走りを見せている馬で、今回もしぶとく頑張って3着に入った。El Diez、Devon Missなどの上り馬もいたのだが、この辺りは大敗に終わった。

 

その他

Title: SALES: Punchestown winner heading to Australia (The Irish Field)

先日のPunchestown FestivalでLouis Fitzgerald Hotel Hurdleを制したCrosshillがオーストリアに移籍するそうだ。委託先はAaron Purcell厩舎ということでオーストリア障害競馬での活躍が期待される。同馬の目立った実績としては、2021年4月にI.N.H Stallion Owners EBF Novice Handicap Hurdle Series Final (Grade B)にて11st8lbを背負って2着に入ったことがあげられる。どちらかというと2m5f以上を主戦場としてきた馬のようだが、どうだろうか。

Grand Steeple-Chase de Paris, dans la course avec Dominique Vincent, triple vainqueur de l’événement (Le Parisien)

Dominique Vincent元騎手によるGrand Steeplechase de Parisとその障害の解説。

Nová aréna pro Dynamo: pro 13,5 tisíc i špičkové zázemí. Cena? Do čtyř miliad (iSport.cz)

Naštvaný Váňa: Chtějí zničit krásu Pardubic, proti nové hale udělám vše (iSport.cz)

Proti Dědkově hale se zvedá odpor. Jednejte, vyzývá zastupitele petice (Jezdci.cz)

Pardubice bez Velké pardubické a sportovních koní? (Petice.com)

どうやらPardubice競馬場のエリア内の土地にアイスホッケー場やコンサートホール等を有する多機能アリーナを建設する計画があるようだ。一方でこれはJosef Váňaをはじめとする障害競馬コミュニティにとっては不評のようで、この建設計画に反対する署名運動も行われている。

The Bool announces record Carnival (Racing.com)

今年のWarrnamboolのMay Carnivalは売上高で6700万ドルを超え、3日間で合計約3万人が集まるなど、数字面でも大変な盛り上がりを示したようだ。

Jump racing has leapt forward. Where to now? (RSN)

VIC州の障害競走は近年好調だが、その今後の展開に関する考察記事。

Greens launch plan to shutdown horse racing (The Greens)

現在南オーストラリア州で障害競走を廃止する法案を提出している"The Greens"が昨年11月に出した声明。南オーストラリア州の動向は日本では全く報道されていないが、この声明を踏まえ、オーストラリアの障害競馬コミュニティは今般提出された法案に強い危機感を持っている。

A tale of two Steeplechasing mares (Loveracing.nz)

Magic Wonderが2年ぶりに復帰することを受けて、ニュージーランド障害競馬で過去活躍した牝馬に関する記事。1981年にMcGregor Grant Steeplechaseを勝利したAurladaと1969年にGreat Northern Steeplechaseを勝利したFaladaの母娘に関して記載されている。なお、Aurladaは複数の産駒を残したようで、そのうちAlluvialというEton Goldの産駒はニュージーランドSteeplechaseに出走したようだが、2戦していずれも途中競争中止に終わっている。おそらくこの母娘の血を引く産駒は現代には残っていないものと思われる。