にげうまメモ

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22/05/29 Weekly National Hunt / Jump racing

5/26(木)

Le Lion D'Angers (FR) Tres Souple (3.9)

France Sire Prix Anjou-Loire Challenge (Listed)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus, ayant été classés dans les trois premiers d'un steeple-chase de dotation totale de 16.000 depuis le 1er septembre 2020 inclus. 7300m (Replay)

1. Debut De Printemps J: Romain Julliot T: E&G Leenders

世界最長距離を誇る競走。前半からButterfly Du MouとBlason D'Orが並んで引っ張る展開も、途中からBlason D'Orは脱落。そのままButterfly Du Mouが引っ張るが、途中からDebut De Printempsがこれに絡んでいく。終盤にButterfly Du Mouを振り切ったDebut De Printempsがそのまま後続に10馬身差をつけて勝利した。

Debut De Printempsは2019年からCross Countryを使っている馬で、ここまでLion D'Angersでは4勝を挙げた。前走のLion D'AngersのClasse 2ではBomari、Blason D'Orから遅れた3着といまいちこのメンバーに入ると格下感は否めなかったのだが、実績どころがやや良いところがなかったここでは安定した飛越で結果を残した。昨年の2着馬で、2019年はこのレースで3着に入っているButterfly Du Mouは積極的に運ぶも勝ち馬から遅れての2着で、最後は一杯にはなったがこの条件というのは合うのだろう。ここまでGrand Steeplechase Cross Country de Compiegne (Listed)でEasyslandの2着等があるChez Pedroは途中で大きなミスがあったが最後は立て直して3着まで来た。今年に入って好調のBomariは前半早々に落馬。やはりCrystal Cupで連続して2着に入ってきたOtchoa Rougeも勿体ない落馬と、ここに向けて好調さをアピールしてきた組はいずれも落馬に終わった。

 

5/28(土)

Wroclaw (POL) płotowy - lekko elastyczny (3.0); przeszkodowy - lekko elastyczny (3.1); 

〇 Nagroda 24000 zł

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych Cykl gonitw z przeszkodami dla 4-letnich koni Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 4-letnich koni. 3600m (Replay)

1. French Chardonnay J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

レースは先に抜け出したKontrargumentをFrench Chardonnayが捉えて勝利した。French Chardonnay自身はSteeplechaseは初参戦となる。イタリア及びチェコのProutkyを使っており、Pardubiceの下級条件戦で1勝を挙げているのだが、Steeplechaseはいきなり結果を残した。昨年Wrocławのpłotyで1勝を挙げているKontrargumentが2着。この馬もSteeplechaseは初めての参戦であったが、積極的に乗って見せ場を作った。スペイン産馬のNotoriousは前半から飛越がいまいちで、最後盛り返してくるも4着に終わった。

 

Nagroda Tiumena 24000 zł

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 4400m (Replay)

1. Haad Rin J: Pavel Složil ml. T: Robert Świątek

ポーランドSteeplechaseとしては比較的重要な競走で、今回も今シーズンのポーランドSteeplechaseの中核を担うことが期待される主要なメンバーが揃った。早々にLarizanoが2連続障害で落馬。途中で何度か空馬に絡まれるも、Haad RinがNick、Cosmic Magic以下を抑えて勝利した。Haad Rinは前走のNagroda Otwarcia Sezonu Przeszkodowegoから連勝として。ポーランドSteeplechaseでは持っている能力としては上の馬で、なかなか近年は順調に使えなかったりうまくいかなかったりする部分もあるのだが、とはいえ今シーズンは非常に好調なスタートを切っており、この路線で期待したい。この路線では常連のNickが安定したレースで2着。Cosmic Magicは落馬に終わったNagroda Otwarcia Sezonu Przeszkodowegoからは巻き返してきたが、以前のような勢いはいまいちなさそうだ。Minister Wojnyはどうにもここでは力差を感じられる敗戦に終わった。

 

Wellington RC @ Trentham (NZ) Heavy8

〇 Equivets NZ Hurdle RST OPN HDL SWP 2500m (Replay)

1. Fantasy Flight J: Dean Parker T: Kevin Myers

なんか距離の千の位が間違っているような気がするがどうやらこれで合っているらしい。おそらく世界的に見ても障害競馬としては最短距離に近いだろう。レースは後方から進めたFantasy FlightがMr Fahrenheit以下を抑えて勝利した。Fantasy Flight自身はこれでHurdleは2勝目となる。基本的には3000メートル前後の短い距離のHurdleで結果を残してきた馬で、今回も条件的にはこの馬向きだったと思われる。未勝利馬Mr Fahrenheitが2着で、これがどうやら久々のHurdle戦だったようだが、この馬なりに進境を見せる2着に来た。3着のRaucous、4着のTrisha Leaまで差がない入線で、RST OPN HDLとはいえ所詮は2500メートルのレースという感がある。

 

〇 Pete's Joinery Steeplechase RST OPN STP SWP 4000m (Replay)

1. Locharburn J: Shaun Fannin T: Kevin Myers

Zinzanが軽快に逃げるも途中からTell Me Moreが絡んでいく。2回目の2連続障害を越えたあたりから後続が接近し、ここから抜けてきたLocharburnがそのままArgyllを振り切って勝利した。LocharburnはこれでSteeplechaseはMaidenから連勝とした。HurdleではWaikato Hurdle (PJR)の3着など実績を残した馬で、ひとまずここは人気に応えた形となる。まだSteeplechaseの経験は多くはないのだが、飛越には特に問題はなかった。やや踏み遅れた形の2着となったのがArgyllだが、昨年の時点でNo Tipを初めPJRクラスの馬には大敗していた馬で、どこまで昨年と比較して力をつけているかが焦点になりそうだ。

 

5/29(日)

Merano (ITA) Tempo Piovoso - Terreno Pesante

Val Martello Euro 18,000 TRIO

per cavalli di 4 e 5 anni (Steeple-Chase -  NOVICES  - FANTINI) 3550m (Replay)

1. Roncal J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

ゆったりと逃げたRoncalがPalm Springsを抑えて勝利した。Roncal自身は昨年の4歳Siepi路線では強い競馬を続けていた馬で、Corsa Siepi Dei 4 Anni (G1)でも人気になるかと思いきや出走取消の憂き目にあっていた。Steepelchaseは前走のBratislavaから2連勝となる。ひとまず初のMeranoのSteeplechaseではあったが飛越自体は問題はなく、ゆるゆると進めた利もあったが楽しみな馬がSteeplechaseにやってきたと考えていいだろう。前走フランスStrasbourgのHaiesを勝ったPalm Springsが2着で、この馬自身イタリアでの経験は多くはないのだが、いきなりRoncal相手にここまで戦えるのは大したものだろう。SiepiではEttore Tagliabue (G3)の勝ち星があるポーランド生産馬Ocean Lifeが3着に入った。SteeplechaseはStaffe D'Oro (G3)に続き2戦目だが、やや前2頭からは力量差を感じる結果となった。

 

Chivas Regal Euro 22,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi -  LISTED RACE  - FANTINI) 3500m (Replay)

1. Skins Rock J: Lukas Matusky T: Zdenek Semenka

Prince D'Orageが軽快に引っ張るも早々に後続が接近。残り3障害辺りから前に出たSkins RockがLive Your Lifeとの叩き合いを制して勝利した。Skins Rockは今年もGran Corsa Siepi Nazionale (G1)の3着などコンスタントに頑張っているのだが、どうにも例によってあまり人気はなかったようだ。案外早々に苦しくなったPrince D'Orageを制して前に出たレース運びの妙はあったのだが、やはりこのクラスでも堅実に走る辺り軽視できない馬だろう。イタリアのLive Your Lifeは最後追いこんできたのだが、どうにも反応の悪さが気になった。Prince D'Orage、Zaniniといった実績馬もいたのだが、これらはいずれも案外な結果に終わった。

 

Lunedi' Di Pentecoste - Memorial Ludovica Albertoni Euro 25,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeple-Chase -  LISTED RACE  - FANTINI) 3900m (Replay)

1. L'Estran J: Josef Barts T: Josef Vana Jr

Piton Des Neigesが前に行くも早々にL'Estranが先頭に。そのままL'Estranは後続を振り切ると、Peace Gardenに15馬身差をつけて圧勝した。L'Estranは今年Gran Premio Merano (G1)4連覇を狙う馬で、これが今シーズンの復帰戦となる。Meranoの難易度の高いSteeplechaseにも関わらず一頭安定した飛越を見せており、ここは盤石の勝利であった。前走Steeplechase D'Italia (G2)を勝ってきたPeace Gardenが2着だが、さすがに現時点では大きな能力差を感じる敗戦で、もう少し飛越が向上しないと厳しいだろう。とはいえまだ5歳馬と可能性のある馬で、ここからの成長に期待したい。2020年のGran Corsa Siepi D'Italia (G1)などの勝ち馬で、これがMeranoのSteeplechase初戦となるPiton Des Neigesはよく頑張って3着に来た。

 

その他

A Plus Tard heads Anglo-Irish Jumps Classifications for 2021/22 (BHA)

2021/2022シーズンのイギリス・アイルランド障害競馬におけるレーティングが発表された。Chase路線ではA Plus Tardが180で最高、Allahoが177、EnergumeneとShishkinが176と算出されている。この180という数値は近年では珍しいほどに高く、2012/2013のBobs Worth、2011/2012のKauto Star以来となる180台の評価となる*1。Sprinter Sacre、Kauto Starといったスターホースが存在した時代の水準にはやや及ばないのだが、近年はやや全体的に低めに算出されていたのが全体的に戻り気味のような傾向を示している印象がある。

特に話題になっていることとしては、Novice馬のConstitution HillがHoneysuckleの165を凌ぐ170という評価を与えられたことだろう。この数値はNovice馬としては稀に見る高さで、どうやら1999/2000まで遡ってもここまでの高評価を与えられた馬はいないようだ。個人的にはやや期待値込みの過大評価となっているような気もするのだが、その真贋の判断は2022/2023シーズンの楽しみにしたい。