*フランス障害競馬における非サラブレッド種牡馬
以下、1994年以降に産駒が障害競馬にて1勝以上を上げたその他のSelle Français(SF)及びAutre Que Pur-Sang(AQPS)種牡馬について簡単に記載する。
*Lazer (FR) (SF) 1977
産駒数:14 勝利数:3 獲得総賞金額:34,811€ (Pedigree)
Pharis (FR) 1936
|Scratch (FR) 1947
| |*ターキン (FR) 1955
| | |Laniste (FR) 1963
| | | |Lazer (FR) (SF) 1977
このシリーズではもはやお馴染みになったLanisteの産駒。例によってLazerの母Une ReussiteがSelle Françaisなのだが、このシリーズ的に面白いのはUne Reussiteの母(すなわち、Lazerの祖母)Dame De Pique(SF)で、Dame De Pique(SF)の父Tino Rossiという馬はMatchemからRattlerを経てFrench Trotterとして脈々とつながれてきた父系、Dame De Pique(SF)の母Rose De Maiは父French Trotter、母Anglo-NormanというAnglo-Normanのようだ。LazerはフランスDaxのHandicap Steeplechaseを勝ったのちに種牡馬入りし、その産駒としてはBaronne(SF)という牝馬がVichyのCross Countryを2勝したのが最高のようだ。
*Nathor (FR) (SF) 1979
産駒数:19 勝利数:13 獲得総賞金額:107,578€ (Pedigree)
Hyperion (GB) 1930
|Rockefella (GB) 1941
| |FuGaur (FR) 1955
| | |Nathor (FR) (SF) 1979
父系としてはHyperionの系統で、例によってNathorの母BethsabeeがSelle Françaisというパターンのようだ。ただ、この牝系の出自は上記のリンクを辿ってもいまいち不明である。Nathorは主にフランスSteeplechaseを主戦場とし、フランスCross CountryやベルギーSteeplechaseにも出走歴があるようだが、障害競走の勝ち鞍としてはDieppeのSteeplechaseを1勝したのみである。比較的活躍した産駒としてもCross Countryで4勝をあげたHiatus Du Geriais(SF)やフランス障害競走で4勝したFanfan La Tulipe IV(SF)といったところで、特段目立った産駒はいないようだ。ただ、いつものifceのデータベース上には164頭の産駒がいるようで、その中には馬術競技で活躍した馬も多く含まれている。
*Orival (FR) (SF) 1980
産駒数:22 勝利数:14 獲得総賞金額:275,664€ (Pedigree)
Pharos (GB) 1920
|Fastnet (FR) 1933
| |Fast Fox (FR) 1947
| | |Carnaval (FR) 1963
| | | |Orival (FR) (SF) 1980
父系としてはPhalaris - Pharosに連なるサラブレッド系統、牝系はSelle Françaisだが代々サラブレッドが交配されており、Orivalの血統表の殆どはサラブレッドが占めている。Orival自身はAQPS限定平地競争を2戦未勝利で終えたのみの馬のようだが、種牡馬としてはCross Countryを含むフランス障害競走で長らく活躍し、計6勝をあげたDerval II(SF)やGrand Steeplechase Cross Country De Printempsの勝ち馬Diamant Babiere(SF)を送り出すことに成功した。
*Sire Des Champs (FR) (SF) 1984
産駒数:2 勝利数:1 獲得総賞金額:15,064€ (Pedigree)
Harry On (GB) 1913
|Precipitation (GB) 1933
| |Furioso (GB) 1939
| | |Brilloso (FR) (SF) 1967
| | | |Livarot (FR) (SF) 1977
| | | | |Sire Des Champs (FR) (SF) 1984
障害競馬ファンの中にはPunchestown Gold Cup (G1)などアイルランドG1を通算3勝したSir Des Champsを思い出す方も多いと思われるが、当然異なる馬である。遡ればMatchemに辿り着くHurry Onの系統の出身で、それだけでもなかなかに渋い血統なのだが、どうやらPrecipitationの産駒であるFurioso(Furioso (JPN)とは異なる馬である)は乗馬用種牡馬として成功し、東京オリンピックにはFuriosoの子孫が10頭も出場したとの情報もあるようで*1、このHurry On - PrecipitationからサラブレッドではなくあえてFuriosoを経て繋がってきた血統というのが輪をかけて味わい深さを醸し出している。Sire Des ChampsはそのFuriosoの産駒Brilloso(SF)から続いたSelle Françaisの三代目である。Sire Des Champsの父Livarot(SF)はSelle FrançaisであるBrilloso(SF)とCorina I(SF)の産駒であり、Sire Des Champsの母Jaffa Des Champs(SF)もまたUkase(SF)とUne Belle(SF)の産駒と、Sire Des Champsの血統表にはSelle Françaisが数多く存在している。Sire Des Champsの母父Ukase(SF)もまたサラブレッドであるOrange Peelを最後にThe Last Orange(SF)- Ibrahim(SF)- Ukase(SF)と3代続いたSelle Françaisの父系で、もはやこのような馬の産駒が競馬を走っていたこと自体が驚きである。Sire Des Champsの産駒であるFury Blonde(SF)は母La Caudebecaiseがサラブレッドというパターンだが、Cross Countryを中心に計30戦を戦い、Le Pin Au HarasのCross Countryを勝利したようだ。Sire Des Champsの産駒はいつものifceによれば179頭が存在するようで、やはり馬術競技用の馬が数多く含まれており、乗用馬の中には種牡馬として繋養された馬もいるようだ。
*Ubu Roi III (FR) (SF) 1986
産駒数:1 勝利数:3 獲得総賞金額:22,150€ (Pedigree)
Blandford (IRE) 1919
|Bahram (GB) 1932
| |Persian Gulf (GB) 1940
| | |Rustam (GB) 1953
| | | |Double Jump (IRE) 1962
| | | | |Benroy (GB) 1971
| | | | | |Ubu Roi III (FR) (SF) 1986
遡れば父系としてはSwinford - Blandfordに辿り着くのだが、そこから近年Monsun及びその子孫の活躍で好調のTamerlaneを経ない系統である。Ubu Roi IIIの父Benroyはサラブレッドで、母Isis De letoilleがSelle Françaisというパターンのようだ。Isis De Letoille(SF)の牝系は上記のデータベースでも不明なのだが、けっこう面白いのがUnu Roi IIIの母父Mersebourg(SF)で、こちらはいつものBlandfordからUltimateを経るSelle Françaisの種牡馬の2代目、Mersebourg(SF)の母Baillante(SF)はAnglo NormanとSelle Françaisの産駒ということで、Ubu Roi IIIの母方はなかなかに異彩を放っている。Ubu Roi IIIのFrance Galopに登録されている唯一の産駒であるJeza Des Marins(SF)は例によって母Jezaがサラブレッドというパターンだが、フランス障害競走を16戦して3勝という成績を残したようだ。例によってUbu Roi IIIの産駒の多くは乗用馬というケースだろう。