8/27(土)
Most (CZE) Stav dráhy: 3.7 (dobrá)
〇 Velká mostecká steeplechase 2022
Steeplechase NL - 4400 m, cena, 4letí a starší 200.000 Kč (Replay)
1. Swinging Thomas J: ž. Jan Faltejsek T: Pavel Tůma
非常に生垣の多い緑豊かなMost競馬場だが、PardubiceのようなCross Country Courseというよりはむしろ生垣障害を主体としたSteeplechase Courseが設定されている。イメージ的にはMeranoに近いが、設置されている障害ははるかにシンプルなものとなっている。このレースはCOVID-19に影響で昨年まではCategory Iで行われたのだが、今年は賞金額も増額され、格付けも一段階上がっての実施となった。元々現条件で行われていた2019年の状況に戻ったことは喜ばしいことである。
レースはKing Heartを追いかけたSwinging Thomasが最終コーナーから先頭に立つと、そのまま後続を突き放して勝利した。Swinging Thomas自身はこれで前走のBratislavaのSteeplechaseから連勝とした。2020年のチェコダービーにも参戦した馬だが、どうにもイタリアのSiepiでは結果を残せなかったようで、ようやくここにきて結果を残し始めている。この勝負服にこの厩舎ということで競合馬も多く、どこをどのように使って行くかは不明なのだが、とはいえまだ5歳と若い馬で今後に期待したい。今年6月の同コースで勝利した5歳馬Giorgioneが2着。実績的にはCena ČASCHにてGatsbyの2着もある馬だが、どうにもその後がいまいちなのは気がかりで、今回も勝ち馬に競り潰されたKing Heartを交わしたのみという内容は少々微妙かもしれない。2018年にはGran Criterium D'Autunno (G1)で2着に入った実績もあるKing Heartもいたのだが、どうも2020年以降はいまいちのようだ。
Kokura / 小倉 (JPN) Good to Firm
〇 The Kokura Summer Jump / 小倉サマージャンプ (G3) 3390m
平沢騎手のシャイニーズランが前に行くも、途中から外からマサハヤドリーム、さらにはメイショウウチデが前に出てきて先頭に代わる。そのままメイショウウチデ、マサハヤドリームがゴール前まで叩き合いを続けるも、内から出てきたアサクサゲンキがゴール手前でメイショウウチデを捉えて勝利した。
アサクサゲンキの石神騎手はこれで障害重賞全10競走完全制覇という歴史的な偉業を達成したそうだ*1。アサクサゲンキ自身とはこれで2回目のコンビとなるのだが、前で運んだ昨年のこのレースとは異なり、好位からじわじわと加速して前を捉えるというレース振りで、レースの進め方にも進境が見られた。前半から入れ替わりの激しい展開ではあったが、途中で強引に動くわけでもなくしっかりとこの馬のレースに徹しつつ、元々芝の短距離戦で結果を残してきた馬らしく小回りの利く加速を武器に効率的なコースを通ってきたことが勝因だろう。メイショウウチデが2着で、約1年ぶりの休養明けで2着に入った前走から良いところを見せてくれた。このクラスでも楽しみになりそうな馬で引き続き期待したい。昨年2着のマサハヤドリームは今年も好走した。10歳馬だがどちらかというとスピードが生きるコースの方が良いのだろうか。良血馬ポルトラーノも4着と結果を残した。既に去勢されているようでこの路線で頑張って欲しい。クライムメジャーは後半派手に落馬していたが、幸い特に故障はなかったようだ。
8/28(日)
Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Buono
〇 ASSOCIAZIONE ARMA DI CAVALLERIA Euro 14.000
per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country - CONDIZIONATA - G.R.-AMAZZONI-FANTINI) 5000m (Replay)
1. Santa Klara J: Pavel Slozil Jr T: Josef Vana Jr
実質的にはPremio Delle Nazioniに向けた前哨戦となる。レースはゆるゆると逃げたIl SuperstiteをSanta Klaraが振り切って勝利した。Santa Klaraはこれで6月のGrande Steeplechase Di Roma (G3)から連勝とした。当時はBroughtonの落馬を初め色々とアクシデントの多いレースで、やや恵まれた勝利であった感もあったのだが、ひとまず今回は本番に向けて収穫の多いレースとなったようだ。Banquetteにて後ろ足をぶつける場面もあったりと細かいミスは多いのだが許容範囲だろう。今年で12歳になるベテランIl SuperstiteはあまりCross Countryの経験は多くはないのだが、それでもいきなりこれだけやれるのは大したものである。遡れば2019年のGrande Steeplechase Di Milano (G1)の2着や2015年のGrande Steeplechase D'Europa (G1)の2着などの実績がある馬で、さすがに近年はSteeplechaseの一線級では苦しい感があったのだが、なんとかもう一花咲かせて欲しいところである。Saint Josephはやや遅れた3着。King Arturは水壕で滑って騎手が落馬した格好で、4頭立てとはいえ全馬が難関障害をクリアするという今後に向けて収穫のあるレースとなった。
〇 PIERO E FRANCO RICHARD Euro 30.000 TRIO
per cavalli di 4 e 5 anni (Steeple-Chase - GRUPPO III - FANTINI) 3800m (Replay)
1. Roncal J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma
ゆるゆると逃げたRoncalがそのままZio Reginaldoを振り切って勝利した。RoncalはkろえでPremio Ezio Vanoni (G2)から連勝、Steeplechaseはスロバキアの競争も含めて4連勝とした。内容的には流石にSiepiで高いパフォーマンスを発揮してきた馬ということもあり、ほぼ馬の能力自体がここでは違ったというもので、この路線では明らかに頭一つ抜けた馬といったところだろう。前走SteeplechaseのNovice戦を勝ってきたZio Reginaldoは大健闘の2着で、あまり障害経験のある馬ではないのだが引き続き期待できそうだ。唯一のイタリア調教馬Lucechericamaは3着で、最終障害までは前について行ったことは褒めるべきだろう。Vinci Per Noiは途中で大きなミス、フランスからの移籍馬で、Auteuilでも勝ち星のあるGracieux Du Logisも途中で落馬寸前のミスがあり、どちらも前からはかなり離された入線となった。
Ballarat (AUS) Heavy10
〇 Ian Larkin Memorial Maiden Hurdle
Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3250m (Replay)
1. Port Guillaume J: Steven Pateman T: Ben & JD Hayes
Cotton Eye Joeがある程度引き離して逃げる展開も、先に抜け出して押し切りを測ったFuriosoをPort Guillaumeが捉えて勝利した。Port Guillaumeは元々はフランス調教馬で、2020年のフランスダービーにて5着、同年8月のPrix Hocquart Longines (G2)ではCristian Demuroを背に勝利した実績もある。その後はオーストラリアに移籍、2021年のMelbourne Cup (G1)にも参加していたようだがさっぱり良いところはなく、これがHurdleデビュー戦であった。全体的に飛越はまだいまいちで、レース振りとしてもかなり慎重なものではあったのだが、シンプルに馬の身体能力自体がここでは上といった印象で、来年楽しみな存在になりそうだ。遡ればHobart Cup (G3)勝ちのあるDouble You Teeは、直線前が狭くなったりとどうにもちぐはぐな競馬で2着。ニュージーランド産馬Furiosoはかなりうまく立ち回ったのだが、さすがに前の2頭が強かったようだ。Maiden Hurdleではお馴染みのBuffalo Billは後方から進めたが、今回は前からはやや離れた4着に終わった。こういうタイプはSteeplechaseで期待したい。
〇 Henry Dwyer Racing Maiden Hurdle
Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3400m (Replay)
1. Fabalot J: Aaron Kuru T: Symon Wilde
終始先頭を走ったFabalotがそのまま後続に25馬身差をつけて勝利した。Fabalotはドイツ生産馬だが、オーストラリアでデビューした馬のようで、Hurdle自体はこれが2戦目であった。その初戦はCastrofrancaruが勝ったMaiden Hurdleで、さすがに当時はメンバーがかなり強かったようだが、2戦目となるここできっちりと結果を残した。ただし今回はその対抗角と思われていたMont Agelも今年のHurdle3戦はいまいちな結果に終わっており、やたらと平地での実績馬が揃っていた第1レースと異なり、こちらはややレース水準には注意した方がいいかもしれない。
〇 Marshman Painting Gotta Take Care Hurdle
Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices can claim. 3600m (Replay)
1. Castrofrancaru J: Aaron Lynch T: John Leek
途中から抜け出してそのまま押し切りを測ったChains of Honourが直線の障害で落馬、さらにそのあおりを食ってYulong Risingも落馬。このChains of Honourを追いかけていたCastrofrancaruがそのままFort Charlesを振り切って勝利した。
CastrofrancaruはこれでMaidenから連勝とした。Maiden Hurdleでは比較的実績上位のBuffalo Billやこの日の第2レースで圧倒したFabalot以下を軽く振り切るといういいレースを見せており、平地競争ではMullins Grand Prix Stakes (G3)勝ちのあるChains of Honourとの対決が期待されたのだが、ややもったいないレースとなってしまった。いずれにせよ今シーズン終盤の上り馬ということで、来年に期待したいところである。期待されてHurdleデビュー戦を飾ったChains of Honourは前走のBM120 Hurdleはまさかの3着に敗れているのだが、とはいえ勝ったHeir to the Throneはその後のColeraine Hurdleも勝利している馬で、前走はメンバー的にもかなり強力だったのだろう。ともかく、このレースは3600メートルとオーストラリアHurdle競走の中では比較的長距離が設定されているレースで、今回落馬したChains of Honour、Yulong Rising含め、このレースの上位馬は来年期待したいところである。
〇 Ecycle Solutions JJ Houlahan Hurdle
Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3250m (Replay)
1. Bell Ex One J: Steven Pateman T: Steven Pateman
例によってStern Idolが前に行くと思いきや、今回は後方に控えるレースで、替わりにEmily Farr騎手のCemanが前に行く展開。そのStern Idolは流石に2周目から先頭に立ってレースを引っ張るも、ぴったりと付いてきたBell Ex OneがStern Idolを振り切って勝利した。
Bell Ex Oneは今年のCheltenham FestivalのBoodles Juvenile Hurdle (G3)にてBrazilの3着に入った馬で、これがオーストラリアHurdleデビュー戦であった。オーストラリア障害競馬はニュージーランド障害競馬からの移籍馬や欧州・オセアニアを含め平地競争からの転向馬が多いのだが、アイルランドの障害馬が移籍することはやや珍しい。全体的に平地からの転向馬が多かった昨シーズンのイギリス・アイルランドJuvenile Hurdleがどこまでイギリス・アイルランド障害競馬の傾向に合致していたかは不明だが、いずれにせよCheltenham Festivalでの実績馬がいきなりここで結果を残したことは興味深い内容だろう。さすがに飛越は本場仕込みのもので、低く抑えられた効率的なものを見せていた。これまで圧倒的なスピード能力で結果を出していたStern Idolは今回は抑える競馬を試みており、瞬間的な加速性能ではBell Ex Oneに見劣ったものの、とはいえ途中までは少なくとも馬群の中で我慢していたことは収穫だろう。来年はSteeplechaseを試みるという話もあるようで、来年に向けて得るものがあるレースとなったようだ。この馬は過去フランスではHaiesを走っていた馬で、AuteuilのListedにも出走歴がある。このようにイギリス・アイルランド・フランスの障害馬がオーストラリア障害でどこまでやれるかというのは障害競馬の性質の比較という見地においてなかなか興味深いものがある。
〇 Ciaron Maher Racing Steeplechase
Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim. 3400m (Replay)
1. Brungle Bertie J: Lee Horner T: Henry Dwyer
要するにBM120 Steeplechase。そのCiaron Maher厩舎のRoland Garrosが元気よく引っ張るも、早々にBrungle Bertieに競り潰されて後退。Mighty Oasis、Not Usual Dreamなどが好位から追いかけるも、前に行ったBrungle Bertieを捕まえきれずむしろ苦しくなる。そのままBrungle Bertieは後方から押し上げてきたLayliteを振り切って勝利した。
Brungle BertieはSteeplechase3戦目で初勝利とした。さすがに前走のCrisp Steeplechaseは相手が強かったようだが、とはいえRoland Garrosを競り潰し、かつこれを追いかけたMighty Oasisなど好位組も苦しくなるところを振り切るのだから大したものである。メンバー的にどうしても強力な馬はGrand National Steeplechaseに向かうというところはあるのだが、それでもSteeplechase3戦目でこれだけ戦えるのだから大したものだろう。前走Great Western SteeplechaseでBee Tee Juniorを振り切ったRoland Garrosは流石にここまで競られると苦しかったようで、早々に捕まり途中棄権に終わった。
〇 Ecycle Solutions Grand National Steeplechase
Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 4500m (Replay)
1. St Arnicca J: William McCarthy T: Paul Preusker
VIC州のGrand National Steeplechase。過去障害競馬を開催していたSA州やTAS州にも"Grand National Steeplechase"は存在したのだが、SA州の"Grand National"の直近の状況はともかくとしても今年から障害競馬の開催があるのはVIC州のみとなっており、実質的にはこの競走がオーストラリアの"Grand National Steeplechase"となる。ニュージーランドHurdleの最強馬The Cossackをはじめ、Crisp Steeplechaseを快勝したFlying Agent、2020年のこのレースの勝ち馬Bee Tee Junior、上り馬St ArniccaやValacなど、なかなかに豪華なメンバーが集まった。
レースはThe Cossackがゆったりと引っ張る展開で、馬群は全体的に凝縮して進行する。St Arnicca、Flying Agentが好位、Bee Tee JuniorやValacなどは後方から。2周目の途中からFlying Agentが前に出てペースを上げる。そのままFlying Agentは逃げ込みを図るも、好位にいたSt Arniccaが最終コーナーで先頭に。Flying Agent、さらに外から一度は後退していたThe Cossackがこれを追いかけるも、St Arniccaがこれらをぎりぎり振り切って勝利した。4着以下は大きく遅れた。
St Arniccaは2020年のSA Derbyにも参戦した馬で、昨年からHurdleに参戦していた。今シーズンはGrand National HurdleにてSaunter Boyの2着もあったが、今回はSteeplechase初参戦で結果を残したことになる。64kgという好条件やHeavy10ながらも極端な不良馬場ではなかったことに加え、Flying Agentがだいぶ前掛かりにペースを作る中、仕掛けのタイミングをきっちりと計ったWilliam McCarthy騎手の騎乗は見事であった。今回はかなり条件的には恵まれた感もあり、ひとまず来年どこまでこのパフォーマンスを継続できるかは注目すべきだろう。ニュージーランドのThe Cossackはさっぱり走らなかったVIC Grand National Hurdleから巻き返しての2着。Shaun Phelan騎手が入線後誤ってガッツポーズをしているように非常に惜しいレース結果で、馬場の悪化と距離の延長、さらにHurdleからSteeplechaseへの変更と、前走から条件がかなり上向いたこともあった。今回はスピードのある軽量馬に敗れたが、さすがにニュージーランドのHurdleチャンピオンであるところを見せてくれた。本来重馬場は得意ではないという話なのだが、一方で純粋なスピード性能で圧倒するタイプではないことを踏まえると、前走のSoft6から今回のHeavy10への変更はこの馬にとってプラスであったと考えられる。なお、Flying Agentのペースに強引について行かなかったことについては、これが正解かどうかはいまいちわからない。今シーズン好調のFlying Agentは積極的な競馬ながらも、最後はSt Arniccaを捉えきれず、かつThe Cossackにも差し返されての3着で、結果的にはやや早仕掛けに過ぎたかもしれない。この馬に取っては馬場も本来はもう少し悪くなったほうが良かったかもしれない。このレースの翌日の月曜日のBallaratは雨予報だったのだが。
上り馬のValacは4着まで。後方からかなり仕掛けのタイミングを遅らせての進出だったのだが、それでも最後は苦しくなるのだから前の3頭を褒めるべきだろう。Yulong Placeも2週目から進出するタイミングを計りたかったようだが、今回はそこまで楽な相手ではなかったようだ。2020年のチャンピオンであるBee Tee Juniorも途中から進出を試みたのだが、最後は苦しくなって後退。結果的にはFlying Agentの仕掛けに付き合うことになってしまい、あのタイミングで仕掛けるのは流石に無理があっただろう。極端な重馬場になればまだチャンスはありそうだが、そろそろ年齢的な部分もだいぶありそうだ。
その他
〇 Explainer: why are field sizes in British racing so low? (Racing Post)
英国における出走頭数の減少は近年問題になっているが、その原因と対策に関する論考。
〇 Increases to minimum race values agreed for 2023 as British racing’s Fixture List is published (British Horseracing Authority)
2023年からイギリス競馬の賞金額の全体が引き上げられるそうだ。これは周辺諸国への馬資源等の流出を防ぐとともに、英国競馬の活性化を目的としたもののようだ。上記のとおり英国においては出走頭数の減少をはじめ複数の問題点が指摘されており、近年はCheltenham Festivalにおいてアイルランド調教馬がイギリス調教馬を圧倒しているように、必ずしもその状況は芳しいものではない。この改革が英国競馬の競争力の向上に資することを期待したい。
〇 Racing SA chief Nick Redin pleads: 'We need more government support to thrive' (Punters)
もはや当ブログでは今更感のある話題だが、まもなく辞任することを発表したRacing SAのCEOであるNick Redinが南オーストラリア州政府によるRacing SAへの援助の必要性について述べているそうだ。The Greensにでも援助を求めてはどうだろうか。
〇 Ken Browne MBE - Racing Hall of Fame (Youtube)
ニュージーランド障害競馬において多大な功績を残した騎手及び調教師であるKen Browneに関する動画。過去のニュージーランド障害競馬のレース映像も使われており、非常に迫力のある巨大な生垣障害が認められる。