にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

22/10/02 Weekly National Hunt / Jump racing

9/29(木)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

Prix De Chambly (G3)

Haies Pour pouliches de 3 ans. 3600m (Replay)

1. Dreammy Bell J: Felix De Giles T: Patrice Quinton

最終コーナーから外を回って出てきたDreammy BellがIsaline De Chandouとの叩き合いを制して勝利した。Dreammy BellはこれでHaiesにおいて2戦2勝とした。父MasterstrokeはMonsunの産駒で、ここまでAuteuilの重賞戦線で好勝負を演じているHadesを送り出すなど、それなりに順調な種牡馬スタートを切っているようだ。母父Poligloteとフランス障害競馬ならではの血統のようで、これから楽しみな馬だろう。1kg多く背負っていたIsaline De Chandouは僅差の2着。半姉にMatilda Du BerlaisがいるAngela Du Berlaisは前からやや離れた3着で、ここまで4戦するもいずれも勝利を挙げられずにいる。とりあえずレースには参加しているようで、ここからもう少しステップアップしてくることに期待したい。

 

9/30(金)

Honzrath (GER) Boden: nass

Hindernispreis des Saarlandes sponsored by Finanzagentur Annen, Engel Apotheke Beckingen

Jagdrennen Für 4-jährige und ältere Pferde. 6.000 € 3400m (Replay)

1. Wutzelmann J: Pavel Slozil Jun T: Anna Schleusner-Fruhriep

Honzrathの"All Weather Steeplechase"。トラックがダートコースの障害競走は過去イギリスやロシア等で行われていたが、イギリスでは安全性上の問題でかなり前に廃止になっているほか、今年はロシアにおいては障害競走自体の開催がないようで、現在このレースは世界的にも非常に貴重な競走となっている。前半から引っ張ったWutzelmannがそのまま逃げ切り勝利した。Wutzelmannはこのレースは4連覇で、74kgのトップハンデを背負いながらさすがの安定した飛越を見せていた。この馬自身、ドイツ障害競馬ではかなり経歴の長い馬で、すでにかなり年齢を重ねてはいるものの、COVID-19以前のそれなりの競争数が存在した時代を知る馬である。ドイツ調教馬ながらフランス及びスイスでキャリアを重ねてきたFabulous Valleyが2着に入った。2017年及び2018年のGrosser Preis de Schweizに勝利した馬だが、とはいえ2018年のCompiegneのListed競走以降は2021年にAix-Les-Bainsで1走したのみであり、その間いまいちなにをやっていたのかはよくわからない。調教師のWaldermar HimmelはIffezheimに拠点を置く人で、おそらくドイツよりもフランスやスイスの方がアクセスは良いのだろう。これが初のドイツ障害競走への出走で、やや長期休養のブランクもあったようだが飛越自体は安定しており、この馬もそれなりに高齢のようだがWutzelmannとともに頑張って欲しいところである。Zenithは今回はレースに参加して3着。Metal Manも完走を果たし、出走馬4頭中4頭をドイツ調教馬が占めるという状況下において、全馬がレースにきちんと参加するという意味でも喜ばしい結果となった。

 

10/1(土)

Gowran Park (IRE) Good

〇 3YO Maiden Hurdle 2m (Replay)

1. Cougar J: Mark Walsh T: Padraig Roche

中団の外からじわじわと進出したCougarが前に行ったCharlie Lucianoを捉えて勝利した。Cougarはディープインパクト産駒で、ディープインパクト産駒としてアイルランド障害競馬への出走はおそらく初、当然アイルランド障害競馬では初勝利である。Cougar自身は元々Aidan O'Brien厩舎にいた馬で、これがPadraig Roche厩舎への移籍初戦であった。JP McManusの持ち馬で、同じような移籍経緯を辿った馬として2022年のFred Winter Juvenile Hurdleを勝ったBrazilが挙げられるが、Brazilと同様のルートをとるのであればおそらくJuvenile Hurdleへと駒を進めることになるだろう。今回は良馬場の未勝利戦ということもあり平地の能力が生きる条件であったが、とりあえずは飛越は問題なくこなしていた。2着のCharlie Lucianoはそれなりに障害経験のある馬で、シンプルなフラットでのスプリント能力だけではなく最終障害ではいい飛越を見せたことでこの馬を差し切ったことは評価していいだろう。Cougarは現時点では未去勢の牡馬ということもあり、その動向には注目した方がよさそうだ。

 

PWC Champion Chase (G2) 2m4f (Replay)

1. Easy Game J: Brian Hayes T: Willie Mullins

途中から前に出たEasy Gameが同厩舎のKemboyとの叩き合いを制して勝利した。Easy Gameはもはやこの夏場ではお馴染みとなった馬で、今年は4月のDevenish Chase (G2)から6勝目、重賞は実に4勝と荒稼ぎをしている。一方でGalway Plate (Grade A)では大敗していたり、昨シーズンも有力馬が出走してきたClonmel Oil Chase (G2)では大敗していたりと、あくまで空き巣ののんびりとした重賞戦線で稼ぐタイプといったところで、ここまであまり休みなく使っていることを考えるとここからどうこうということはないだろう。Kemboyもかつてはアイルランド24ハロンChase路線で活躍した馬だが、近年はだいぶ力落ちがあるようで、2021年2月のIrish Gold Cup (G1)を最後に勝ち星からは遠ざかっている。距離延長でもう少しよくなる可能性はあるのだが。Battleoverdoyenは馬主が変わったようだが相変わらずGordon Elliot厩舎所属のようで、今回はゆったりとしたレースということもあってあまり差のない3着まで来た。

 

Göteborg (SWE) Häckbana god till mjuk

BERTHRAM-HÄCKLÖPNING 60.000 kr

häck För 4-åriga och äldre hästar. 4800m (Replay)

1. Monsieur Vic J: Christopher Roberts T: Sigyn Dysell

Berthramとはどうやら2000年頃に活躍した障害馬のようだ。4800メートルという距離はスウェーデンのHurdle競走としてはかなりの長距離である。レース映像が最後まで収録されていないのだが、徐々にペースを上げながらThree Is Companyが引っ張るも、最終周から先頭に立ったMonsieur Vicがそのまま勝利したようだ。Monsieur Vicは今年のSvenskt Champion Hurdleの勝ち馬で、前走のH.M. Drottingens Prisは強力なイギリスからの遠征馬であるAl Zaraqaanに屈したのだが、地元勢相手となった今回は流石に力を見せた。Svenskt Champion Hurdleと比べると1000メートル近くも長いのだが、一気の距離延長をこなしたことは大したものだろう。Three Is Company、French Warriorが2、3着に入った。Brights Parkは約1年以上の休養明けであったが途中棄権に終わった。2019年頃には勢いのあった馬だが、2020年以降はいまいちである。

 

〇 NOVISSERIEN 50.000 kr

häck För 4-åriga och äldre hästar som ej segrat mer än en gång. 3400m (Replay)

1. Xit J: Christopher Roberts T: Sigyn Dysell

Galopptips.seのレース映像と称した映像にはレース直前の光景しか映っていない。レースはXitという馬が後続に4秒近い大差をつけて勝利したようだ。Xitはどうやら平地競争ではかなり頑張ってきた馬のようで、2019年にはSvenskt Derbyにも参戦している。これがHurdle初戦であったがいい勝ち方だったようで、今後に期待が持てそうだ。Deep Impactを祖父に持つBarocci産駒のImpact of Bloomが2着に入ったようだ。Gordon Elliott厩舎に所属していたDon Diaboloはこれが移籍初戦であったようだが、5着と冴えない結果に終わった。

 

10/2(日)

Tipperary (IRE) Good to Yielding

Fitzgerald's Woodlands House Hotel Novice Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Champ Kiely J: Danny Mullins T: Willie Mullins

この日はArc Dayであったが、Tipperaryでは重賞3競走が行われ、障害競馬シーズンの本格化を感じさせる日であった。それにしても、ペネトロメーター3.9という数値はフランス障害競馬ではごく日常的に見かけるもので、この程度の馬場でなに言ってんの? というのは正直な感想ではある。常識はずれなのは自覚しているが......。レースは残り2障害から後続を振り切ったChamp Kielyがそのまま勝利した。Champ KielyはこれでGalwayのMaiden Hurdleから連勝とした。Maidenもかなりいい勝ち方で勝ってきた馬のようで、今回はBrazilをはじめとする実績馬が揃っていたが、今後が楽しみになる勝ち方であった。ただ、走法としては基本的に良馬場のスピードタイプといったところで、どのような条件が守備範囲であるかはもう少し見定めた方がいいだろう。Brazilは好位から進めたが前を捉えきれずに2着。どうやら昨シーズンに引き続き未去勢のままのようで、その動向には引き続き注意したい。

 

Horse & Jockey Hotel Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Jesse Evans J: Bryan Cooper T: Noel Meade

Effernock Fizzが大きなリードを取って逃げるも、残り4障害辺りから後続が殺到。最終障害手前で前に出たJesse EvansがEffernock Fizzを振り切って勝利した。Jesse Evansは2021年のHandicap Hurdle (Grade B)以来の重賞勝利とした。Galway Hurdle (Grade A)でも僅差の2着に入るように良馬場でのスピード能力に優れた馬で、ここのところは平地と兼用で走っているようだ。ただ、今年のCounty Hurdle (G3)では大敗していたりとやや条件的には注文がつくようで、今回はこの馬なりにステップアップを感じさせるレースではあったが、やはり馬場状態には注目したい。思い切った逃げを打ったEffernock Fizzが2着。実績馬としてはAbacadabrasもいたのだが、どうにも良いところがなく離れた3着に終わった。

 

O'Dwyer Steel Dundrum Novice Chase (G3) 2m3f150y (Replay)

1. Authorized Art J: Danny Mullins T: Willie Mullins

レースは軽快に逃げたAuthorized Artがそのまま逃げ切り勝利した。Authorized Artはこれで3連勝。Hurdleでは大して結果を残せなかった馬だが、一方で今年の5月にはRated Hurdleを勝利しており、ここにきて馬が変わってきている可能性もなくはなさそうだ。とはいえその全てが良馬場かつ夏場の競争ということもあり、どこまで通用するかはもう少し慎重に見極める必要があるだろう。Galway Plate (Grade A)でHewickの4着に入ったAsh Tree Meadowが2着で、最終障害ではほぼ落馬寸前のミスもあった。

 

Maienfeld (SWI)

Grosser Preis Der Stadt Maienfeld

CHF 25'000 - Cross-Country - 5400 Meter (Parcours Nr. 3) - 4jährige und ältere Pferde (Replay)

1. Al Cuarto J: Jürg Langmeier T: Jürg Langmeier

Contre Tousがほぼ歩くようなペースで前に行くも途中で飛越拒否。無事に越えたのはDaniarとEtoile Des Vernesの2頭だが、騎手が落馬したContre Tous以外は再度飛越を試みたようですぐに追いついてくる。引き続きDaniar、Al Cuartoがかなりゆったりとしたペースで引っ張り、レースは特段のアクシデントはなく無事に進行。途中からDaniarが思い切って前に行きペースは上がるも、このDaniarがやや外に膨らんだところを利して前に出てきたAl Cuartoが後続を振り切って勝利した。

Al CuartoはGrosser Preis der Schweizから連勝とした。かなりテクニカルなMaienfeldのコースなのだが、立ち回りの上手さは目立っており、かつてフランスでは手を焼いていたBanquetteタイプの障害にも対応できていた。スイスはどうしても非常にテクニカルなコースということもありゆったりとしたペースで進むことが多いのだが、能力的にはイタリアなどでもまだやれるだけのものは持っている。フランスのDaniarは勿体ない2着。Romain Julliot騎手の仕掛けは面白いものがあったのだが、わずかにコース取りで隙を見せたのが痛かった。地元のBeaumar、Etoile Des Verと続いた。

 

Øvrevoll (NOR) Baneforhold: Myk

〇 HEKKELØP 3450m (Replay)

1. Last Reference J: Anna Pilroth T: Madeleine Wittgren

ØvrevollのHurdle戦。過去にはØvrevollでSteeplechase競走も行われていたようだが、既に廃止されて久しい。Hurdle競走は長らく行われていたのだが、少しずつその数を減らしていき、今年は元々3レースが予定されていたのだが出走頭数が揃わないことからうち2レースは既に中止となっており、ようやくこれが今年初めてのØvrevollにおけるHurdle競走である。レースはTwistedが逃げるも、好位から追いかけたLast ReferenceがRoxie Roseを抑えて勝利した。Last Referanceはスウェーデン調教馬で、先月のGöteborgのNovice競走を勝った馬だが、その後のH.M. Drittingens Prisではイギリスからかなり強力な馬がいたこともあり大敗に終わっていた。ひとまず今回はメンバーが弱化したということもあって結果を残したが、来年以降は引き続き相手関係に注意したい。Lars-Åke Enstrøm厩舎への移籍2戦目となるRoxie Roseが2着に入り、来年以降に望みをつなげた。元々はチェコで走っていた馬で、チェコではあまり良いところはなかったのだが、Lars-Åke Enstrøm厩舎は今年その代表としてThree Is CompanyをVelka PardubickaのQualification Raceに送り込んでいる。デンマーク産馬で、地元のTwistedが僅差の3着に入り、この相手にも戦えることを示した。Hurdle初戦でこれだけやれれば立派な内容だろう。

 

Woodville-Pahiatua RC @ Woodville (NZ) Heavy10

〇 Property Brokers Steeplechase OPN STP 4000m (Replay)

1. Interllectus J: Shaun Fannin T: Kevin Myers

今年のニュージーランド障害競馬のラストとなる開催。WoodvilleにはフランスのBull Finchをやや全体的に小型にしたような障害が設置されている。前半からTell Me More、Raucousなどがゆったりと引っ張るも、2周目からCarnabyが前に出る。勝負どころから前に行ったRaucouがそのまま逃げ込みを図るも、最終コーナーから捲ってきたInterllectusがRaucousを振り切って勝利した。

InterllectusはこれでSteeplechase自体は初勝利とした。前走はGreat Northern Hurdleに挑戦し5着に終わっていたのだが、今回は全体的に難易度の低い障害ということもあり、きっちりとSteeplechaseに対応できていたことは来年に向けての収穫だろう。RST OPN STPでは結果を残しているRaucous、Carnabyが2、3着に入り、さすがにこのクラスであればやれることを示した。つい先日Great Northern Steeplechaseを勝ったKiddoも出ており、特に良いところはなく4着に終わったのだが、レース後に大動脈破裂で亡くなったとのことで、故障による長いリハビリを経て頑張ってきた馬なのだが、気の毒な最期となってしまった。

 

その他

Tisková konference Praha: 132. Velká pardubická se Slavia pojišťovnou (Dostihový spolek)

10月上旬にVelká Pardubickáが行われるPardubice競馬場の記者会見。COVID-19による影響を経て、COVID-19以前の観客数や馬券の売り上げ、賞金額を確保することに成功した旨が説明されている。非常に興味深い内容が記事の後半に記載されており、よりチェコ障害競馬のCrystal Cup等の欧州障害競走への参入を計画しているようで、Crystal CupにVelká PardubickáのQualification Raceの一部を参画させる計画もあるようだ。

Patnáct koní míří na start 132. Velké pardubické se Slavia pojišťovnou (Jezdci.cz)

Velká Pardubickáの馬番抽選会が行われ、今年は15頭の馬が出走することになった。どうやら15頭という頭数は比較的近年の中では少数のようだが、Josef Bartošはこの頭数を好意的に捉えているようだ。