10/20(木)
Auteuil (FR) Collant (4.3)
〇 Prix Ferdinand Riant (Classe 2)
Steeplechase Pour chevaux entiers, hongres et juments de 5 ans, n'étant pas de race Pur Sang, n'ayant pas, en steeple-chase, reçu une allocation de 17.000. 4400m (Replay)
1. Homme De Coeur J: Lucas Zualiani T: Augustin de Boisbrunet
じわじわとペースを上げて逃げたHomme De Coeurが2周目早々に後続を振り切ると、そのまま2着に30馬身差をつけて圧勝した。Homme De CoeurはBalko産駒のAQPSで、わずかにArabianの血が入っているようだ。Steeplechaseは今年の4月のNantes以来の参戦であったが結果を残した。ここのところはHaiesで安定した結果を残していたようで、秋の上り馬としては楽しみだろう。ただし、基本的にはこのCollantの馬場をまともに走る馬がいなかったという印象のレースで、この馬も最後はかなり苦しくなっていたあたり、上のクラスでどこまで通用するかは未知数である。ちなみにnetkeibaのアカウントがこのレースをいい加減に紹介していたようだが、このブログを見に来ているような皆様にとっては例によって大喜利状態である。
〇 Prix Noiro (Listed)
Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 3 ans. 3500m (Replay)
1. Jereviendrai J: Alejandro Ruiz Gonzalez T: Davide Satalia
Okkidoが前に行く展開もPrince Chopがハナに行く。しかし途中で大きなミスをして後退、代わってOkkidoがそのまま逃げ込みを図るも、残り2障害で並んでいったJereviendraiがこれを突き放して勝利した。
重馬場の3歳限定Steeplechaseということで色々とアクシデントが起きている。Jereviendraiは5月にはMilanにも遠征していた馬で、これでSteeplechaseは初勝利とした。レースとしては完全に重馬場でのパワー比べといった印象だが、伸び脚を見ているとやはり重馬場巧者のそれであろう。Martaline産駒の牡馬Okkidoが2着で、どうにも道中気性の難しそうな仕草を見せていたのだが、ようやくここにきてまともに走って結果を残したことは喜ばしい内容だろう。
〇 Prix Magne (G3)
Haies Pour pouliches de 3 ans. 3600m (Replay)
1. Angela Du Berlais J: Baptiste Le Clerc T: David Cottin
My Kalissyが元気一杯引っ張るも残り2障害を飛んで一杯に。代わって後ろから追い上げてきたAngela Du BerlaisがVilla Ricaを振り切って勝利した。
Angela Du BerlaisはこれがHaies初勝利とした。姉にはListed勝ちのあるMatilda Du Berlaisがいる良血で、初は重賞競走にて惜しいレースを続けていただけに嬉しい勝利だろう。春にはPirx Sagan (G3)勝ちのあるVilla Ricaが2着に来た。Villa Ricaも重馬場巧者だが、3kgの恩恵があったとはいえこのVilla Ricaに6馬身差というのは明るい材料である。My Kalissyは軽快に引っ張ったが、最後一杯になっての3着。Villa Ricaから2馬身半とさほど負けてはおらず、これを好位で追いかけていたEtoile Du Berlaisが大きく負けていることを考えると、展開次第では逆転もあってもよさそうだ。
10/22(土)
Cheltenham (UK) Good
〇 Masterson Holdings Hurdle (Class 2) 2m87y (Replay)
1. Pied Piper J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott
Knight SaluteとPied Piperの再戦で注目が集まっていたが、好位から進めたPied Piperが最終障害を越えて抜け出すと、そのままKnight Saluteに2馬身差をつけて勝利した。Pied PiperはJCB Triumph Hurdle (G1)の3着馬で、その後のAintreeの4YO Hurdle (G1)ではKnight Saluteと同時に入線するも、その後2着に降着になっていた。今回はKnight Saluteにその借りを返したことになる。Knight Saluteに対してスムーズに立ち回ったという利はあるのだが、とはいえ最終障害を越えてからの伸び脚は目立っており、良馬場で比較的緩いペースでレースが進行した中での2馬身差ということを考えれば上出来だろう。Knight SaluteよりもCheltenham向きのタイプで、メンバー的にどうかという懸念はさすがにあるのだが、とはいえ上々の始動戦となった。Knight Saluteはどうにも行き場を探しながら騎乗しているようなところがあったのだが、完全にエンジンを吹かして最終障害を越えたにも関わらずそこからPied Piperに突き放されてしまった。Triumph Hurdle (G1)でも良いところはなかったように、どうやら平坦なコースでスピードを生かすタイプのようで、AintreeのようなコースであればPied Piper相手にもやれるのだが、Cheltenhamというコースは本質的には少々微妙な可能性もありそうだ。
Pardubice (CZE) 3.2 (dobrá až pevná / Good to Firm)
〇 Cena města Pardubic
Steeplechase crosscountry II.kat. - 4200 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)
1. Imphal J: ž. Jaroslav Myška T: Popelka Stanislav
今年最後のPardubice開催となる。途中でDusigroszとČáryjapeが落馬するアクシデント。レースはそのままImphalがKaiserwalzer以下を振り切って勝利した。ImphalはVelká cena města Pardubic – EURO EQUUS - IV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)の勝ち馬だが、Velká PardubickáはTaixs Ditchにて早々に落馬に終わっていた。Velká Pardubickáでは穴人気のような雰囲気もあったのだが、Taxis Ditchの飛越を見る限りではTaxis Ditchを飛越するための準備ができていなかったという印象で、落馬もやむなしといったところだろう。さすがに今回は格下のメンバー相手に貫禄の勝利を見せたが、とはいえ全体的にTaxisでの落馬を飛越を引きずっているような内容に飛越で、来年は少し立て直しが必要そうだ。Kaiserwalzerは3kgの恩恵を貰っていたが8馬身差の2着。DisigroszはVelká Pardubickáに引き続いての落馬だが、今回は故障があり、残念ながら助からなかったそうだ。
Great Meadow (USA) Firm
〇 Steeplethon Stakes
FOR FIVE YEAR OLDS AND UPWARD. Three Miles On The Timber (Replay)
1. Bodes Well J: Thomas Garner T: Leslie Young
equibaseにはTimberと記載されているが、道中には生垣障害やBank、さらには池も設置されたCross Countryタイプに近い競走である。レースは池の辺りからペースを上げたBodes Wellがそのまま追いかけてきたDuc De Meranを振り切って勝利した。Bodes Wellは昨年に引き続きこのレースは連覇とした。MiddleburgではDuc De Meranに僅差で敗れていたが、今回はその借りを返したことになる。とはいえ内容としては殆ど差はないようで、あくまで展開次第といったところだろう。そのDuc De Meranが僅差の2着に入った。
〇 David L. (Zeke) Ferguson Memorial Hurdle Handicap Stakes (G2)
TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES For Four Year Olds and Upward. Two And One Eighth Miles On The Hurdle $75,000 (Replay)
1. Down Royal J: Bernard Dalton T: Kate Dalton
Soviet Pimpernelが逃げるもどうにも手応えが悪く早々に後退。代わって出てきたCity Dreamerが逃げ込みを図るも、最終障害を越えて前に出てきたDown Royalがそのまま差し切り勝利した。
Down Royalは今年のA. P. Smithwick Memorial (G1)の勝ち馬だが、その後のJonathan Sheppard Handicap (G1)では大敗を喫しており、その後はGrand National (G1)には向かわずにこちらに出走してきたことになる。A. P. Smithwick Memorial (G1)はその後のG1戦線を見る限りでは若干メンバー的には疑問符がつくのが現状で、ひとまず今回は実績馬としての面目を保ったというところだろう。Jonathan Sheppard (G1)では2着に入ったNovice馬Going Countryが2着。元々はアイルランドGordon Elliott厩舎の所属で、4歳時にはIrish Independent Hurdle (G3)も勝っているSoviet Pimpernelはこれがアメリカ移籍後2戦目であったが、どうにもズブいところを見せており、勝負所から脱落して最下位に終わった。Juvenile Hurdle路線ではそれなりに結果を残していた馬なのだが、とはいえその後はどうにもさっぱりな成績で、今年の夏もアイルランドHurdleの平場戦であまり良いところもなかったようで、アメリカ移籍でなんとか進境が欲しいところなのだが、今回のレースを見る限りではどうにも先行きは微妙なようだ。
〇 International Gold Cup Timber Stakes
FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD. Three And One Half Miles On The Timber $75,000 (Replay)
1. Andi'amu J: Freddie Procter T: Leslie Young
equibaseにTimberと書いてあり、こちらはシンプルにTimberのみを使用する競走である。レースは軽快に逃げたAndi'amuがそのままリードを開くと、追いかけてきた後続に影をも踏ませぬ逃走劇でそのまま逃げ切った。
Andi'amuは今年で12歳になるベテランで、今年はVirginia Gold Cup、Willowdale Steeplechase、Genesee Valley Hunt Cupと、Timberの主要競走で大活躍を見せている。12歳にもなってここまで積極的なレースを見せるというのはやはり驚きであり、Timberという飛越技術が大きく影響するレースの性質もあるのだろう。前走National Sporting Library and Museum Cupを勝った上り馬Cracker Factoryが頑張って2着に来た。
10/23(日)
Aintree (UK) Good to Soft (Good in places)
〇 Old Roan Limited Handicap Chase (G2) 2m3f200y (Replay)
1. Riders onthe Storm J: Brian Hughes T: Richard Hobson
早々にMillers Bankが落馬するアクシデント。Captain Tom Catが引っ張る展開も、先に抜け出したRiders onthe StormがHitmanを抑えて勝利した。
Riders onthe Stormは2020年のAscot Chase (G1)の勝ち馬だが、同レース自体は人気を背負っていたCyrnameが派手に凡走した結果による完全な空き巣レースといったところで、それ以降はClass2のHandicap Chaseの2着が最高とさっぱり良いところはなかった。Aintreeのコースは比較的合うようで結果を残したが、とはいえHitmanの11st12lbに対してこの馬は10st6lbとかなり恵まれた内容で、この良馬場という条件を考えるとあまり高く評価できる勝利ではないだろう。Marsh Chase (G1)で2着などのある実績馬Hitmanが2着で、斤量的なところを考えれば取りこぼしたとはいえ上々の内容だろう。
Limerick (IRE) Soft (Yielding to Soft in places)
〇 Munster National Handicap Chase (Grade A) 3m (Replay)
1. The Big Dog J: Keith Donoghue T: Peter Fahey
Death Duty、Floueur、Ain't That A Shameなどが前に行くも馬群は密集して進行。残り2障害辺りから前に出たAin't That A Shameをゴール手前でThe Big Dogが捉えて勝利した。
The Big Dogは昨年のGrand National Trial (Grade B)の勝ち馬で、2021-22シーズンはどうにもあまり良いところはなかったのだが、今シーズンの初戦は結果を残した。今回はKeith Donoghue騎手との初コンビということもあったのだが、いまいちなにがこの馬にとっていい方向に出たのかは不明である。とはいえ11st4lbと斤量的には極端に楽であったものではなく、9歳という年齢も考えればおそらくGrand Nationalという選択肢が上がってくるだろう。11st1lbのAin't That A Shameが2着に入った。Coko Beach、Death Dutyなどもいたのだが、やはり馬場が早いのが堪えたようで、いずれも勝負どころから脱落して大敗に終わった。
Saumur (FR) Tres Souple (3.9)
〇 Grand Cross De Saumur #14 TNC Haras Du Lion
Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 5300m (Replay)
1. Gamsoul J: Yohann Plumas T: Eric Leray
France Galopの映像は例によって美しい風景をお楽しみ状態からのスタートで、しかも実況の音質もいまいちである。また、TNCはいつもおっさんがカメラを持って走りまわるか、ドローンを使ったFacebook Liveがあるのだが、この日に関しては特段に実況がなかったようで、この辺りもなんとも手作り感が漂っており、2022年の競馬中継とは思えない雰囲気である。レースは前半からDiva De Maiが引っ張る展開も、馬群はさほど広がらずに進行。VolpoomでミスをしたChez Pedroに代わってGamsoulが前に出てくると、さらにミスをしたDiva De Maiを交わして先頭に立ち、そのまま追いかけてきたGalcoflaurを凌いで勝利した。
Eric Leray調教師はどうやらトロットのトレーナー兼アマチュア騎手らしい*1。一時は健康上の問題で活動を縮小していたようだが、最近調教師としての活動を再開しているそうで、今回のGrand Crossは嬉しい勝利になっただろう*2。Gamsoul自身はこれでCross CountryはMont-De-MarsanのClasse 2に続き3勝目で、Grand Cross Du PinではDrop D'Estruvalからかなり離れた敗戦に終わっていたのだが、とはいえ6歳とまだ若い馬でこれからの上がり目に期待したい。同じく6歳のGalcoflaurが2着で、やや勝ち馬とは立ち回りの面で差があった。Chez Pedroはリズムよく運んだが、やはりVolpoomでのミスが痛かったようで、そこから追い上げて3着まで来たものの、やや悔いが残る結果となった。
その他
〇 'It's a great thing' - Walsh leads joyous reaction as Cheltenham sticks at four (Racing Post)
5日間への延長が検討されていたCheltenham Festivalだが、ひとまず2023年は4日間となるそうだ。この延長案には業界も多くの反対もあり、Ruby Walsh、Pual Nichollsなどはこの決定を支持するコメントを出している。
〇 Racing’s leaders confirm series of measures to improve race competitiveness in 2023 (British Horseracing Authority)
2023年の夏場の競馬開催が一部削減され、10月及び11月に移行されるようだ。この措置は平地競争及び障害競走の両方に適用される。
〇 Bourton Vale Equine Clinic (Facebook)
珍しく獣医学的な話題でも。The Giant BolsterはCheltenhamで活躍した元障害馬だが、おそらく蹴傷によるものと思われる肘頭の転位骨折を発症し、それに対して立位鎮静下で骨断片を除去する手術が行われたそうだ。通常はプレートを利用した手術が行われるそうだが、この手法は獣医学的にも非常に例の少ないものらしい。The Giant Bolster自身は現在は無事に回復したそうだ。なお、リンク先には摘出された骨の断片の写真もあるため閲覧注意である。
〇 Martinborough rejoint le haras de la Baie en 2023 (France Sire)
Martinboroughは2023年からHaras de la Baieに移動するようだ。ディープインパクト産駒ということで日本でもお馴染みだが、その産駒はどちらかというと障害競走の方で頑張っているようで、最近その産駒の活躍で好評らしい。
〇 障害の絶対王者オジュウチョウサンが引退決定 12・24中山大障害でラストラン (日刊スポーツ)
秋の始動戦となった東京ハイジャンプで9着に敗れたオジュウチョウサンは年末の中山大障害がラストランになるそうだ。ともかく、この稀代の名馬が無事にラストランを走り切ってくれることを願いたい。