にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

22/10/30 Weekly National Hunt / Jump Racing

10/28(金)

Slušovice (CZE) 4.0 (dobrá / Good)

39. Velká slušovická společnosti K-K Metal a.s. se záštitou ministra zemědělství Ing. Zdeňka Nekuly

Steeplechase crosscountry I.kat. - 5200 m, cena, 5letí a starší 150.000 Kč (Replay)

1. Sexy Lord J: ž. Jaroslav Myška T: Růžičková Martina

Capivariの参戦で注目が集まっていた。レースはそのCapivariが前に行く展開も、どうにもIrish Bankの辺りなどで飛越が安定せず、度々Sexy Lordが前に出てくる。そのままSexy Lordが前に出ると、追いこんできたParis Eiffel以下を振り切って勝利した。Capivariは3着まで。

Sexy Lordはこれが初勝利とした。ここまでCross CountryではCategory IIIでの好走が精々といったところであまり良いところはなかったのだが、Irish Bankを最もスムーズにこなせていたのはこの馬であり、距離延長で結果を残したのは興味深い材料だろう。SlušoviceのCross Countryということもあり、Pardubiceへの外挿性という意味ではやや疑問はあるのだが、とはいえCapivariがある程度ペースを作っていった展開を追走し、最後まで脚を伸ばしたのだからここまでの実績以上に面白い馬だろう。2着にはややCapivariのペースに付いていけていなかったParis Eiffelが追いこんできた。Capivariはこれが初のCross Countryであり、さすがにSteeplechase等で結果を残してきた馬だけあって体内時計がここでは違ったようだが、どうにも飛越の安定感という意味では微妙であった。今年で10歳とかなり年齢を重ねており、さすがにSteeplechaseではスピード不足が目立ってきただけに、来年以降の動向には注意したい。Aeneasは人気を背負っており、Capivariのペースを追いかけて行ったのだが、最後は完全に息切れして大敗に終わった。

 

10/29(土)

Ascot (UK) Good to Soft

〇 Novices' Limited Handicap Chase (Class 3) 2m2f175y (Replay)

1. Gowel Road J: Sam Twiston-Davies T: Nigel Twiston Davies

GoshenのChaseデビュー戦として期待されていたが、Goshenは前半こそ先頭でリズムよく進めるも、後続が接近してくると途端に後退。SamarrieveとGowel Roadのマッチレースかと思いきや、Samarrieveが残り2障害で落馬すると、そのまま残ったGowel Roadが勝利した。

Gowel Road自身はHurdleでは目立った実績はなく、Class 3を勝った程度のものである。LingfieldのSovereign Handicap Hurdle (Class 2)でMetierの2着はあるが、とはいえ内容的には人気どころが凡走した結果と考えていいだろう。注目されたGoshenは相変わらず脆いところがあるようで、今回も後続からプレッシャーがかかったところからあっさり脱落していた。飛越自体にはさほど問題はなかったようだが、促して走らせるわけにもいかず、引き続き大きな課題を抱えた馬と認識した方が良いだろう。陣営はHurdleに戻すか、より重い馬場でChaseをもう一度試すという話も出ているようだが、今日のレース振りを見ている限りではそれ以前の問題のように見える。HurdleではListed勝ちのあるSamarriveはもったいない落馬で、ひとまず次に期待したい。

 

Byrne Group Handicap Chase (Premier Handicap) 2m167y (Replay)

1. Thyme White J: Lorcan Williams T: Paul Nicholls

Gary Moore厩舎のNassalamが引っ張るも、左に斜飛する癖が目立ち、代わってFrero Banbouが引っ張る。これにGumball、Before Midnightが接近するも、最終障害の前で先頭に出てきたThyme WhiteがFrero Banbou以下を振り切り勝利した。

Thyme Whiteはこれで重賞は初勝利とした。今シーズンがNovice上りとなる馬で、Noviceの重賞戦線ではなくHandicap路線に参戦、シーズンの最後はRed Rum Handicap Chase (G3)に参戦していたが落馬に終わっていた。Premier HandicapとはいえMonsieur Lecoqの10st8lbを除けばさほどハンデ差もなく、この馬自身も11st6lbを背負っての勝利ということで楽しみ馬になりそうだ。この路線では常連となったFrero Banbouが2着。トップハンデのBefore Midnightが3着に入った。

 

London Gold Cup Handicap Chase (Premier Handicap) 2m7f180y (Replay)

1. Our Power J: Charlie Deutsch T: Sam Thomas

Annsamが序盤の連続のミスにも関わらず引っ張る展開も、馬群は密集して進行。最終コーナーから番手に居たDanny Kirwanが元気一杯抜け出してくるが、最終障害を越えて加速してきたOur PowerがDanny Kirwanを2馬身ほど振り切って勝利した。

Our Powerは今シーズンがNovice上りの馬で、Novice時代にはCoral Trophy Handicap Chase (G3)の3着などがある。元々長くハンデ戦を使っていた馬ということもあるのだが、とはいえ今回はAscotの坂をしぶとく最後まで走り切っての勝利ということもあり、24ハロン超のタフなハンデ戦において可能性のある馬と考えてよさそうだ。やはりNovice上がりのDanny Kirwanが2着。全体的に積極的なレース振りが目立ったが、ゴール前で脚が上がってしまった。11st11lbを背負っていたTea Clipperが惜しい3着。今シーズン既に一度使っている利もあったのだが、Ascotの登りにおいては勝ち馬に分があった。昨シーズンの後半にScottish Grand National (G3)の2着など結果を残したKitty's Lightもいたのだが、シーズン初戦と同様に凡走。14歳馬Regal Encoreは終始後方の追走に終わった。Ascot自体は得意な馬なのだが、さすがにそろそろ年齢的なものがあるのだろうか。

 

Wetherby (UK) Good to Soft (Good in places)

Bet365 Hurdle (G2) 3m26y (Replay)

1. Proschema J: Harry Skelton T: Dan Skelton

Threeunderthrufiveが淡々と逃げるも、残り2障害手前から好位にいたThomas Darbyが先頭に。しかしこれをProschemaが捉えると、そのまま一気に後続を突き放し、終わってみれば2着に10馬身差をつける圧勝とした。

Proschemaは重賞は初勝利とした。昨年のこのレースでIndefatigableの2着はあるのだが、とはいえ重賞クラスではいまいち足りないレースを続けているというのがこの馬の通例であり、ここまであっさりと勝ち切るというのはやや驚きである。遡ればDoncasterのSt Legerにも参戦歴のある馬なのだが、とはいえ前走のChepstowのClass 2で大敗しており、なにが良かったのかはよくわからない。Wind Surgery明けとなるThomas Darbyが2着で、まともに走ればこのくらいはやれる馬なのだが、今回はやや勝ち馬が走りすぎた。久々のHurdleとなるThreeunderthrufiveは全体的に障害に戸惑っているような印象の飛越。Novice ChaseではG1勝ちのあるSporting Johnもさっぱり走らずの4着で、勝ち馬が強かったというよりは他が凡走した可能性を考えた方がいいだろう。

 

Charlie Hall Chase (G2) 3m45y (Replay)

1. Bravemansgame J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

Ahoy SenorとBravemansgameの再戦ということで注目が集まっていた。前半からPaint the Dreamがやや主張して引っ張る展開で、Ahoy Senorがスピードの違いで前に行こうと試みるも、どうにも飛越が安定せず、結果的にPaint the Dreamが引っ張る形になる。残り3障害辺りからBravemansgameが先頭に立ち、これをEldorado Allen、Sam Brownが追いかけるが、そのままBravemansgameが押し切り勝利した。

Bravemansgameは昨シーズンはKauto Star Novices' Chase (G1)勝ちを含めて素晴らしい成績を収めた馬だが、シーズンの最終戦となったMildmay Novices' Chase (G1)ではそれまで下してきたAhoy Senorの前に大敗していた。今回はWind Surgery明けとなる一戦で、全体的に安定した飛越を見せていた。Aintreeの敗戦はノドの影響があった可能性を考えさせる内容であったが、レース内容としても盤石のもので、よいシーズンの始動戦になったものと思われる。一方のAhoy Senorはどうにも飛越にミスが目立っており、Aintreeまではどうも飛越のミスの多い馬だっただけに、今後に不安が残る内容となった。Eldorado Allen、Sam Brown、Paint The Dreamは自身のレースをしているのだが、さすがに勝った馬が強かったものと思われる。

 

Compiegne (FR) Tres Souple (4.1)

Grand Steeplechase De Compiegne (G2)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4100m (Replay)

1. Gran Diose J: James Reveley T: Louisa Carberry

CompiegneのGrand Steeple。レースは前半からHispanic MoonやDonne Le Changeなどが前に行く展開も、Donne Le Changeの単騎逃げの格好になる。そのままDonne Le Changeが後続を突き放して逃げ込みを図るも、これについてきたGran Dioseが残り2障害地点から抜け出すと、そのままGrandeur Natureに4馬身ほどの差をつけて勝利した。Feu Folletが3着。

Gran DioseはCompiegneのSteeplechaseのSpecialistで、昨年まではAuteuilのSteeplechaseを使っていたのだが、今シーズンはCompiegneに集中している。5月にはPrix Romati (G3)でKolina Has以下を下して勝利しており、やはりコースへの慣れもあるのだろう。どちらかというとコーナーが多いCompiegneとAuteuilではだいぶコースの性質に差がありそうなのだが、とはいえまだ6歳と可能性を持った馬である。2020年にPrix Morgex (G3)を勝ったGrandeur Natureは久々の好走となった。実績馬Feu Folletは中段から脚を伸ばすも勝ち馬には肉薄できず。James Reveley騎手がBertrand Lestrade騎手が騎乗したDonne Le Changeの逃げにうまく付き合った感もあり、Compiegneの直線は500メートルほどとかなり長いのだが、とはいえ展開的な部分もありそうだ。前走Grand Steeplechase Ville de Deauville (Listed)を勝ったDonne Le Changeは積極的に運んだが、最後は力尽きて4着に終わった。Haiesの実績馬Astadameは5着だが、62kgという裸同然の斤量とはいえ、Steeplechase3戦目でこれだけ走れれば頑張った方だろう。G1馬としてはLe Listracもいたのだが、こちらは後方から伸びず6着に終わった。

 

Bro Park (SWE) Häckbana god, god till mjuk på ställen

〇 NOVISFINALEN 100.000 kr

För 4-åriga och äldre hästar som deltagit i minst en Novisserielöpning. 3450m (Replay)

1. Mr Suarez J: Kevin Parkin T: Patrick Wahl

Last Referenceが軽快に逃げ込みを図るも、じわじわとこれにMr Suarezが接近。そのままMr Suarezは追いこんできたImpact of Bloomを振り切って勝利した。

今年のスウェーデン障害競馬はこのレースで幕を閉じることになる。Mr Suarezはすっかりこの路線ではお馴染みになった馬で、昨年はOrmus Memorialを、今年はCalvados Memorialを勝利している。そのCalvados Memorialのときの相手がEarly VoiceとLast Referenceということで、内容的にはほぼいつも通りのパフォーマンスを見せたと言ったところだろう。今年はこれが8戦目と大したものである。Barocciの産駒のImpact of Bloomは最後追いこんでの2着で、道中はさっぱり飛越が安定せずペースに付いていけていなかっただけに、飛越が向上すればさらにやれるだろう。67kgという軽量の恩恵もあったものと思われるが、来年が楽しみになる走りであった。前走強い競馬を見せたXitは道中落馬に終わった。どうやら特に故障等はなかったようで、この辺りの馬たちが来年力をつけてくるのであれば楽しみな存在になるだろう。

 

その他

Sales: I'm a Gambler sold for 850,000gns (The Irish Field)

2021年のIrish Derbyにて一番人気を背負ったHigh DefinitionはJoseph O'Brien厩舎にてHurdle路線を歩むそうだ。Irish DerbyはHurricane Laneから大きく離された10着に終わっており、その後はTattersalls Gold Cupの2着が最高で勝ち星を挙げることはできていない。Galileo産駒の4歳牡馬だが、現時点では未去勢のようだ。

Osmisté vítězství bylo krásné. Hlavní ale zůstává zdraví, říká Bartoš (jezdci.cz)

Josef Bartoš騎手はMeranoの勝利でキャリア通算800勝を達成したそうだ。どうやら目標として1000勝という数字を口にしているようだが、今年も大きな怪我からの復帰も経験しており、なんとかチェコの名手の騎乗を長く見ていたいものである。

Hřebčín v Mimoni se v nové aukci prodal za 17 milionů, koně tu měl i Kadyrov (iDNES.cz)

Mimoňのスタッドファームは無事に落札されたそうだ。前回のオークションにおける落札者が支払いを行わなかったことから再度オークションにかけられていたらしい。現在の所有者は昨年の春に倒産した企業であり、その歴史のある施設は残念ながら老朽化により荒れた状態にあるらしく、その再建が期待される。