にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

22/11/13 Weekly National Hunt / Jump Racing

11/11(金)

Cheltenham (UK) Good

Ballymore Novices' Hurdle (G2) 2m5f (Replay)

1. Hermes Allen J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

CheltenhamのNovember Meetingだが、極端な良馬場により恒例のCross Country競走はVeterans' Chaseに代替されるなど、それなりの影響があったようだ。レースは序盤からHermes Allenが積極的に逃げ、Gordon Elliott厩舎のMusic DriveとWillie Mullin厩舎のHubriskoがついて行くも、逃げ足を伸ばしたHermes Allenはそのまま後続を振り切って勝利した。

Hermes AllenはこれでHurdleは2戦2勝とした。フランス生産馬だがいわゆるEx-Pointerという経歴を持つ馬で、前走もこのように良馬場を逃げ切ってきている。先頭に立って気分よく運んだ利はあったものの、とはいえ飛越は終始安定しており、極端な良馬場におけるスピードタイプという印象もなく、なかなか将来性のありそうな馬のようだ。Gordon Elliott厩舎のMusic DriveはHermes Allenを追いかけたが、最終障害から一気に突き放されての2着。Weveallbeencaughtはこれが初障害であり、スタート直後はかなり飛越に難を見せていたのだが、最後は盛り返して3着まで来た。

 

Compiegne (FR) Tres Souple (4.1)

Grand Steeplechase Cross Country De Compiegne (Listed)

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5400m (Replay)

1. Grandgador J: Baptiste Le Clerc T: Lageneste & Macaire

Crystal Cupも残りはこのCompiegneとCheltenhamのみとなった。レースは前半からGrandgadorが淡々と逃げる展開。好位からDrop D'Estruvalなどが進め、後方から気が付いたらRoi Mageが上がってくる。そのRoi Mageはするすると前に出てくると、最後の直線に入るタイミングでは先頭に立つも、再度盛り返してきたGrandgadorがEtonnantとの叩き合いを制して勝利した。

この日の出走馬11頭中AQPSは4頭、残りはサラブレッドであったのだが、上位5頭中Roi Mageを除くとAQPSが上位を独占する結果となった。GrandgadorはわずかにArabianの血を有するAQPSで、4代母Faleneの父Urtoisが遡るとTeddyに辿り着くAnglo-Arabianのようだ。Cross Countryは今年から参戦した馬のようで、前走のCompiegneから連勝とした。Cross Country参戦後はほぼCompiegneの4700メートルのコースを走っていたようで、だいぶ慣れもあったのだろう。68kgという斤量も楽であったものと思われる。2020年のこのレースの2着馬Etonnantが2着で、今年の10月に2年ぶりに復帰してこれが3戦目となる。休養前はCraonやLyon Parillyでいいレースを見せていた馬で、今回は65kgという軽量もあったようだがこれから頑張って欲しい。驚いたのが現在はアイルランドにいるRoi Mageで、これが初のCross Countryであるにも関わらず安定したレースで3着に来た。遡れば2019年のGrand Steeplechase De Paris (G1)で3着もあるAuteuilの重賞戦線の常連で、アイルランドにはGrand Nationalへの出走を目的として移籍したものと思われるが、初のCross Countryでこれだけの可能性を示すのだから大したものである。今年好調のDrop D'Estruvalは最後盛り返してきたが4着まで。Chez Pedro、Polinuitといった実績馬は良いところなく大敗に終わった。

 

Wroclaw (POL) płotowy - mocno elastyczny (4.2); przeszkodowy - mocno elastyczny (4.3); 

Nagroda Zamknięcia Sezonu 24000 zł

Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 4200m (Replay)

1. Nick J: Pavel Peprna T: Elwira Porębna

Wroclawの競馬開催としてはこれが今年最後のものとなる。レースはチェコのMolly Powerがゆったりとしたペースで逃げるも、Laverno、Minister Wojnyなどが絡んで行く。そのままHurdleコースまで先頭で進めたMolly Powerだが、最終コーナーで内をすくって出てきたNickが後続を振り切って勝利した。

Nickは今年のWielka WrocławskaでLarizanoを下して勝利した11歳馬で、このポーランドのSteeplechaseでは常連となる。ただしさすがにWielka Wrocławskaも色々とアクシデントがあった結果といったところで、その後のCrystal Cupでは大敗していた。今回はメンバーがぐっと楽になっての勝利だが、とはいえこの馬自身いつも通りの走りを見せたといったところだろう。真面目に走ってきたこのようなベテランが報われるのはいいことである。前走WroclawのSteeplechaseを勝ったMolly Powerが2着。今年はフランスのClass3あたりを走っていた馬で、この馬は今後に期待したい。チェコの実績馬としてはLad Inもいたのだが、どうにも勝負所で後手後手に回るようなところがあり、じわじわと差を詰めるも3着に終わった。

 

11/12(土)

Cheltenham (UK) Good

JCB Triumph Trial Juvenile Hurdle (G2) 2m87y (Replay)

1. Scriptwriter J: Paddy Brennan T: Milton Harris

Paul Nicholls厩舎のBlueking D'Orouxが引っ張る展開も、坂を下る辺りから後続が接近、そのまま馬群に 飲み込まれ途中棄権。最終障害手前で前に出てきたScriptwriterがPerseus Wayを振り切って勝利した。

ScriptwriterはこれでHurdleは2戦2勝とした。元々Aindan O'Brien厩舎にいた馬で、Newmarket及びLeopardstownで平地重賞への出走歴もあるようだ。今回は良馬場でのスピード勝負ということで結果を残したが、そもそもがいまのところ今年のJuvenile Hurdle路線も平地実績のある馬が結果を残している感がある。Churchill産駒ということであまり障害では馴染みがないのだが、引き続き注目しておきたい。Sea The Stars産駒のex-flat horseであるPerseus Wayが2着。War Correspondentもex-flat horseということで、平地で長く走ってきた馬が上位を独占する結果となった。

 

Arkle Challenge Trophy Trial Novices' Chase (G2) 1m7f199y (Replay)

1. Banbridge J: J J Slevin T: Joseph O'Brien

"J J Slevin"で馴染んでしまっているので表記はあえてこちらで。レースは積極的にSole Pretenderが引っ張る展開。これに外からBanbridge、さらにGlory And Fortuneが接近するも、最終障害でGlory And Fortuneが落馬。そのままBanbridgeがTommy's Oscarを振り切って勝利した。

BanbridgeはこれでChaseは2戦2勝とした。HurdleではMartin Pipe Conditional Jockey's Handicapを勝った馬で、Novice馬といえどCheltenhamのHandicap Hurdleを勝利するのは大したものなのだが、その後のSefton Novices' Hurdle (G1)では大敗している。Cheltenhamが合うという可能性もあるのだが、とはいえ全体的に飛越にミスを連発する馬が多い中、この馬は安定した飛越を見せていた点は考慮すべきだろう。Tommy's Oscarはどうにも勝負所で行き場を無くす場面が目立った。The New One Hurdle (G2)を勝った馬で、これから期待したい。Sole Pretenderはいつも通り頑張って逃げて3着。復帰戦はWalkoverであったPentland Hillsは途中で大きなミスもあり、離れた4着に終わった。

 

Paddy Power Gold Cup Handicap Chase (Premier Handicap) 2m4f44y (Replay)

1. Ga Law J: Jonathan Burke T: Jamie Snowden

常連のCoole Codyが逃げると思いきや中段から。レースはStorm Controlが積極的に引っ張る展開も、残り2障害からFrench Dynamiteが前に出る。しかしさらに追いこんできたGa LawがFrench Dynamiteとの叩き合いを制して勝利した。

Ga Lawはこれが2020年の11月以来の勝利とした。WincantonのRising Sun Novices' Chase (G2)では2着を22馬身千切り捨てるレースを見せていたのだが、2020-21シーズンの2月から603日の休養を経て今年の5月に復帰していた。基本的には20f程度の距離の良馬場でいいスピードを持っているというタイプで、シンプルに平坦なコースではなくCheltenhamのような起伏のあるコースでスピードを生かすことが出来たというのは収穫だろう。11st0lbと斤量は楽であったが、たのしみな馬が戻ってきたと考えてよさそうだ。French Dynamiteは11st6lbを背負っての2着。この路線の常連の11歳馬Coole Codyは今回は逃げることが出来ず、第5障害で大きなミスをしたのちに途中棄権に終わった。どうにもこの日のCheltenhamは馬場が早すぎる感があり、このようなミスをする馬が目立っていた。

 

Naas (IRE) Yeilding to Soft (Soft in places)

Fishery Lane Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Brazil J: Mark Walsh T: Padraig Roche

Prairie Dancerが逃げるも勝負所から人気のFil Dorが先頭に。しかしながら残り2障害地点で大きなミスをすると、そのままBrazilが抜け出して勝利した。

Brazilは昨シーズンのFred Winter Juvenile Hurdle (G3)の勝ち馬で、昨シーズンのJuvenile Hurdleではトップクラスの活躍を見せた馬である。ただし今回はFil Dorの大きなミスに助けられた感も大きく、斤量的にもかなり楽であったことを踏まえると、あまり今後に繋がるレースとは考えにくいだろう。レースとしてもほぼFil Dorとの一騎打ちといった印象である。昨シーズンのはG1で3戦連続2着という結果を残したFil Dorはまたもや2着で、昨シーズンのJuvenile Hurdle路線の筆頭格として今シーズンは頑張って欲しいところではあるのだが、ややほろ苦い今シーズンの始動戦となった。

 

Poplar Square Chase (G3) 2m (Replay)

1. Jeremys Flame J: Luke Dempsey T: Gavin Cromwell

圧倒的な人気を背負ったGentleman De Meeが逃げるも、残り2障害からCoeur Sublimeが先頭に。しかしCoeur Sublimeは最終障害で落馬すると、それに躓いたGentleman De Meeも落馬。残ったJeremys Flameがそのまま勝利した。

Gentleman De Meeのペースに付いていけていたのがCoeur SublimeとJeremys Flameの2頭なのだが、やや残念なレースとなった。Jeremys FlameはこれでGalwayのハンデ戦から連勝としたが、昨シーズンは牝馬限定戦を勝ったのみで重賞戦線でどうこうという結果は残していない。Gentleman De Meeのペースに付いて行ったのは良いことなのだが、とはいえ色々とアクシデントに助けられた結果と考えた方が自然だろう。昨シーズンはMaghull Novices' Chase (G1)を圧勝したGentleman De Meeは案外なレース結果で、一度レースを使って変わってくれば良いのだが。

 

Auteuil (FR) Collant (4.2)

Haras D'Etreham - Prix Magalen Bryant (G2)

Haies pour pouliches de 3 ans 3600m (Replay)

1. Garde De Burge J: Theo Chevillard T: Joël Boisnard

My Kalissyが前に行く展開も、向こう正面の辺りからJazzy Senamが先頭に。残り2障害辺りからJupe Sacreeを制して前に出てきたGarde De BurgeがPolitha以下を振り切って勝利した。

Garde De BurgeはこれでHaiesは2勝目とした。前走はAuteuilのClasse 2にてJazzy Senamの2着に終わっていたのだが、今回はその借りを返したことになる。3歳牝馬限定戦らしい慎重なレースの上り勝負を制した格好になるが、とはいえ終いの伸び脚の面では目立っていた。もう一頭目立っていたといえばPrix Magne (G3)を勝ったAngela Du Berlaisなのだが、当時の相手のVilla Rica、My Kalissyらはいずれもここでは大敗しており、レースレベルに疑問符がつかないといえば嘘になるというのが現状だろう。

 

Prix Congress (G2)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 3 ans, ayant reçu une allocation en courses à obstacles. 3600m (Replay)

1. Juntos Ganamos J: Felix De Giles T: David Cottin

Prince Chopが逃げるかと思いきや序盤のBull Finchで早々に落馬。Riviereの辺りから前に出てきたCastelletが逃げるも、残り2障害のDouble Barrierから後続が殺到。ここから抜けてきたJuntos GanamosがGoliath Du Rheuとの叩き合いを制して勝利した。

Juntos GanamosはSteeplechaseを含め障害は初勝利とした。Japonの勝ったPrix Isopaniで2着に入った馬で、実績的には微妙なところではあるのだが、とはいえ飛越自体には問題はなく、レース運びとしてもいいものを見せていた。Castle Du Berlais産駒のGoliath Du Rheuは惜しい2着で、勝ち馬とは殆ど差はないだろう。Estejo産駒のSpeed Emileは最後の叩き合いから脱落しての3着。Martaline産駒の牡馬Okkidoも出走していたが、どうにも飛越に細かいミスが多く、早々に脱落して7着に終わった。

 

Prix Serge Landon - Grand Prix D'Automne (G1)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4800m (Replay)

1. Theleme J: Pierre Dubourg T: Arnaud Chaille-Chaille

L'Autonomie、Hermes Baie、Thelemeの三強対決ということで注目が集まっていた。レースは前半からL'Autonomieが前に行く展開も、これにHermes Baieがついて行く。Thelemeはやや後ろから。2周目に入る辺りからHermes Baieは早々にL'Autonomieに絡んで行き、2周目に入る位置では先頭に。最終コーナーでは再度L'Autonomieが前に出て逃げ込みを図るも、残り2障害で大きなミス。内から抜けてきたHermes Baieが前に出るが、最終障害でこれに並んでいったThelemeがHermes Baie以下を退けて勝利した。

Thelemeは今年はPrix Carmarthen (G3)から連勝とした。同レースではHermes Baie、L'Autonomieを下して勝利しており、その勢いを維持したことになる。春のGrande Course De Haies D'Auteuil (G1)ではL'Autonomieと3着争いを繰り広げていたのだが、秋になって逆転に成功したのは来年以降に向けて楽しみな材料だろう。その春のチャンピオンであるHermes Baieが2着に入った。L'Autonomieに対して真っ向勝負を挑んでここまで粘り込むのだからその実力は疑いようがなく、やや後ろから進めたThelemeと比べると展開面での不利はあった。上位2頭はまだ5歳であり、これから長くフランスHaies路線を引っ張って行って欲しい。L'Autonomieはなぜかこのレースには縁がないのだが、今回は残り2障害での大きなミスにより完全に脱落した。右へと斜飛する癖はいつものものであり、左回りを走る以上この癖は付いて回るのだが、残念ながらフランスAuteuilを走る以上はこの癖と向き合っていくしかないだろう。イギリスに目を向けてもCheltenhamやAintreeは左回りで、AscotのLong Walk Hurdle (G1)が右回りであるくらいだろうか。

この路線の常連で、昨年は3着に入ったFolsom Prisonが4着。僅かにアラブ血統の入ったAQPSで、頑張って最終コーナーくらいまでは上位争いに加わっていたのだが、そこから苦しくなったようだ。Henri Le Farceur、Golden Witchはさらに遅れ、上位3頭が抜きんでていることを示す結果となった。アイルランドからはWillie Mullins厩舎のStratumが遠征していたのだが、さっぱりレースには加われず最下位に終わった。平地との兼用で走っている"Dual Purpose Horse"で、2020年にはMelbourne Cup、昨年もPrix Du Cadranへの参戦歴はあるのだが、障害での実績はさっぱりで、2017年にFor Auction Novice Hurdle (G3)にて2着に入った実績が目立つ程度である。ここでも明らかに障害飛越技術の面で後れを取っており、このクラスの馬が通用するはずもないというのが正直なところだろう。

 

Hanshin / 阪神 (JPN) Good to Firm

The Kyoto Jump Stakes / 京都ジャンプステークス (G3) 3140m (Replay)

1. ホッコーメヴィウス J: 黒岩悠 T: 清水久詞

前半からじわっとホッコーメヴィウスが逃げる展開も、これにぴったりとスマートアペックス、ヴァーダイトなどがついて行き、馬群は比較的固まって進行する。しかしホッコーメヴィウスがそこからじわじわとペースを上げると、そのまま最終コーナーを回る頃には後続を振り切り、2着のマサハヤドリームに7馬身差をつけて勝利した。

ホッコーメヴィウスは今年に入ってこれで障害重賞は3勝目となる。前走の東京ハイジャンプ (G2)ではゼノヴァースの2着に終わっていたが、今回はきっちりと結果を残した。重賞自体は新潟及び京都で勝ってきた馬なのだが、昨年の阪神競馬場で行われた京都ジャンプステークス (G3)でもケンホファヴァルトから差のない3着に入っているように、単なるハードラーと考えなくてもよさそうなのは興味深い内容だろう。中山は2021年のオープン戦で走ったきりであり、今年はすでに7戦目と若干使いすぎな感もあるのだが、暮れの大一番に出てくるのであれば期待しておきたい。10歳のベテランであるマサハヤドリームが2着。スマートアペックスはこれが復帰後3戦目であるが、ようやく3着と結果を残した。エイシンクリックは例によって出遅れてからの4着で、このようなレース運びは西谷騎手にはありがちなのだが、なんとも乗り難しそうな馬ではある。小牧騎手のヴァーダイトは人気になっていたが、飛越にミスも多く大敗に終わった。

 

11/13(日)

Cheltenham (UK) Good

Shloer Chase (G2) 1m7f199y (Replay)

1. Nube Negra J: Harry Skelton T: Dan Skelton

ゆるゆると引っ張ったNube Negraがそのまま勝利した。このレースには元々昨シーズンの16f Novice Chaseでトップクラスの結果を残したEdwardstoneが出走を予定していたが、どうやら馬場を嫌って回避したらしい。Sizing Pottesieも回避したことで結果的に3頭立てとなり、ここまでG1戦線でも好勝負を続けていたNube Negraは明らかに格上の存在であった。これが今シーズンの始動戦ということで、実績のあるCheltenhamで結果を残した。元々Willie Mullins厩舎の所属で、これが転厩初戦となるGanapathiが2着だが、元厩舎の所属の際も重賞クラスのChase競走でどうこうといったことはなく、転厩によりいい方向に出て欲しいところではあるのだが、ex-Willie Mullins horseの一般的な傾向を踏まえると厳しい戦いになりそうだ。

 

Jewson Handicap Chase (Premier Handicap) 3m3f71y (Replay)

1. Does He Know J: David Bass T: Kim Bailey

レースはBack On The Lashがゆったりと引っ張る展開で、3マイル戦らしく馬群は固まって進行。少しずつペースが上がるも、残り3障害辺りから12歳のIndy Fiveが先頭に。しかし最終コーナーで外からDoes He Knowが捲ってくると、そのまま馬群を縫って追いこんできたEva's Oskarを凌いで勝利した。

Does He KnowはこれがNovice上がり、Wind Surgery明けの2戦目となる。Novice時代はAscotのReynoldstown Novices' Chase (G2)を圧勝した馬で、どちらかというとパワーと持久力を生かして戦うハンデ戦向きのタイプである。今回は12st0lbのトップハンデを背負って結果を残した。ここまでの実績的にはGood~Softの馬場には対応できそうで、AscotやCheltenhamのような起伏のあるコースの方がよさそうだ。7歳とまだ若いだけに今後が楽しみな馬だが、Aintreeのような平坦なコースへの適性は若干微妙である。ややロスの多い競馬になってしまったのがEva's Oskar。Back on the Lashも逃げて結果を残した。12歳のIndy Fiveは10st8lbの恩恵もあったが、積極的な競馬で見せ場を作った。

 

Greatwood Handicap Hurdle (Premier Handicap) 2m87y (Replay)

1. I Like To Move It J: Sam Twiston-Davies T: Nigel Twiston-Davies

前に行ったI Like To Move Itがそのまま後続を突き放して勝利した。I Like To Move ItはNovice上りの馬で、Novice時代はBetfair Hurdle (G3)にてGlory And Fortuneの2着もある。基本的には前に行ってペースを握る戦法を得意とする馬で、今回もそのようなレース運びであったが、12st0lbを背負ってこれだけ後続を突き放すというのは大したものだろう。5月のSwinton Handicap Hurdle (G3)を勝ったN'goloが11st9lb、前走Classe 3を勝ったHarbour Lakeが11st7lbということを考えると若干メンバー的にどうかという感もあるのだが、とはいえまだ5歳と将来性のありそうな馬である。今年の5月からHurdleを使っているNovice馬Gin Cocoが2着に来た。

 

Supreme Trial Novices' Hurdle (G2) 2m87y (Replay)

1. Fennor Cross J: Simon Torrens T: John McConnell

前半から7歳牝馬She Is Electricがやや引っかかり気味に後続を大きく引き離して逃げる展開も、坂を下る辺りから一気に後続が殺到。一旦はUkantangoが前に出るも、内から出てきたFennor CrossがUkantangoとの叩き合いを制して勝利した。

直線の障害が全てオミットされており、ほぼ坂を下ったあたりからのスプリント勝負となっている。Fennor CrossはこれでHurdleは3戦2勝としたが、アイルランドの平地で4勝をあげているex-flat horseといったところで、さすがにこの展開ではといったところである。UkantangoもやはりSummer Horseといった実績を有する馬。前走牝馬限定のListed競走を勝ったShe Is Electricは最後力尽きての4着で、もう少し落ち着いて走ることができればといった印象である。NHFばかりを7戦もしていた馬で、なにかしら背景がありそうな感じである。

 

Navan (IRE) Yielding

Gibney's For Auction Novice Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Hercule Du Seuil J: Mark Walsh T: Willie Mullins

ゆるゆると逃げたHercule Du SeuilがImagine、Three Card BradのGordon Elliott厩舎の2頭の追い上げを凌いで勝利した。

Hercule Du SeuilはこれでHurdleは4戦2勝とした。元々はフランスでデビューした馬で、父Saddler Maker、母父Saint des Des Saintsと、実にフランス障害馬らしい血統である。全体的にスピードの持続性能の高さを感じさせるような走りを見せており、馬場としても極端に重いものではなかったことを考えるとこれから楽しみになりそうだろう。前走Maidenを勝ってきたImagineは最後勝ち馬に迫るも、勝ち馬は手綱を緩める余裕を見せており、着差よりも2頭の差はあったものと考えた方がいいかもしれない。

 

Lismullen Hurdle (G2) 2m4f (Replay)

1. Home By The Lee J: JJ Slevin T: Joseph O'Brien

Flooring Porter、Sire Du Belais、Bob Olinger、Zanahiyrと実績馬が多数揃ったレース。そのFlooring Porterがゆったりと逃げる展開で、残り3障害辺りから元気一杯Bob Olingerが前に出てくるも、しかしこれに外からえっちらおっちらとHome By The Leeが接近。そのままBob Olingerは追い出すも案外伸びず、Home By The Leeが外からBob Olingerを振り切って勝利した。

Home By The LeeはHurdleでのキャリアはそこそこに早々にChaseに転向した馬だが、どうやら昨シーズンからHurdleに戻っていた。しかしJohn Mulhern Galmoy Hurdle (G2)の2着が最高で、今年の夏の平場戦でもRun Outと、実績的には明らかに格下の馬であった。全体的に実績馬が始動戦ということもあって動かなかった可能性はあるのだが、それにしてもこのクラスの馬でも一発穴を開けるのだから面白いものである。昨シーズンのNovice ChaseではTurners Novices' Chase (G1)を勝利しているBob Olingerは仕切り直しのシーズン始動戦であったが、まさかの相手に足元をすくわれることになった。Ashdale Bob、Flooring Porter、Sire DU Berlais、Commander of Fleet、Zanahiyrと、実績馬は悉く凡走に終わった。

 

Sean P. Muldoon & Patrick F. Gormley Fortria Chase (G2) 2m (Replay)

1. Captain Guinness J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

Riviere D'Etelが逃げるかと思いきや、第1障害をややゆったりと飛んだことでCaptain Guinnessが前に出る。そのままCaptain Guinnessは追いかけてきたRiviere D'Etelを振り切って勝利した。

Captain Guinnessはこの路線の常連で、昨シーズンは重賞を2勝している。とはいえG1クラスではやや足りないことは既にはっきりしており、今回はこれまでとは打って変わって逃げる競馬を試したことで良くなってくることを期待したい。Novice上がりの牝馬Riviere D'Etelはまたもや得意の惜敗で、例によって最終障害で大きなミスがあったことが悔やまれる。レース振りを見ているとやはり20fよりは16fの方がよさそうで、そのうちいいことがあって欲しいところである。

 

Auteuil (FR) Collant (4.2)

〇 Prix Fondeur (Listed)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans. 4400m (Replay)

1. Spes Militurf J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire

Homme De Coeurが逃げる展開も、途中からSpes Militurfがハナに行く。全体的にペースが早かったのか早々に隊列は長くなる。Brook、Gros Open Ditchでミスを下Spes Militurfを制してHomme De Coeurが前に行くも、再度並んでいったSpes MiliturfがHomme De Coeurを振り切って勝利した。

Spes MiliturfはこれでSteeplechaseは3戦無敗とした。障害戦は7戦無敗と立派な成績を収めている馬で、Haies無敗のまま今年の秋はAuteuilのSteeplechaseに参戦して結果を残している。途中で大きなミスがあったのが気がかりだが、ここでは完全に力量としては抜けていたというのが現状で、来年以降の活躍を楽しみにしたい。前走AuteuilのClasse 2を勝ったHomme De Coeurが唯一Spes Militurfについて行っての2着。3月にはAuteuilのListed戦を勝っているHano De Loi、5月のPrix Ferdinand Dufaure (G1)にも参戦したHeloy Delabarriereもいたのだが、いずれも前からは大きく離れた敗戦に終わった。

 

Prix Cambaceres - Grande Course De Haies Des 3 Ans (G1)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans. 3600m (Replay)

1. St Donats J: James Reveley T: Hugo Merienne

前半からSt Donatsが積極的に引っ張る展開で、これにMctigueがついて行く。しかし最終コーナーから後続を振り切ったSt Donatsがそのままリードを開き、Not Too Badに11馬身差をつけて勝利した。

St DonatsはこれでHaiesは4勝目とした。前走はアイルランドのMctigueとの叩き合いに敗れて2着に終わっていたが、今回はそのMctigue以下をスピードで圧倒したことになる。Saint Des Saintsらしい軽快なスピードが持ち味の馬で、3歳馬ということである程度行きたがって走るところも見せていたが、コントロールは効いており距離への対応力という面では比較的前向きに捉えてよさそうだ。この路線では入着を繰り返しているNot Too Badが2着。アイルランドのMctigueはSt Donatsを積極的に追いかけて行ったが、最後は息切れして大敗に終わった。前走Classe 2を勝ったMartaline産駒の牡馬Libuenoも大敗。アイルランドからはAghaboyというWillie Mullins厩舎のProtectionist産駒も来ていたが、こちらは途中で落馬に終わった。

 

Prix Maurice Gillois - Grand Steeplechase Des 4 Ans (G1)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Gessy Raiselle J: James Reveley T: David Cottin

Iceo MadrikとInedit De Cierguesが元気一杯前に行くも、途中のHaiesでIceo Madrikは落馬。そのままInedit De Cierguesが後続にリードを取って引っ張るも、後半の石垣障害で落馬。Diamond Carlが前に出て逃げ込みを図るも、外に切り替えして伸びてきたGessy RaiselleがDiamond Carlに8馬身差をつけて勝利した。

Gessy RaiselleはこれでListedから連勝とした。Haiesを含めてここまで重賞戦線への参戦歴はなかったのだが、Iceo MadrikとInedit De Cierguesがかなり早いペースで引っ張り、人気を背負っていたDiamond Carlも苦しくなるところ、最後まで元気一杯スプリントを掛けることが出来た走りは印象的であった。Gemix産駒の牝馬ということでなかなかこのフランス障害競馬では味わい深い馬で、どこまで現役生活を続けるのかは不明だが頑張って欲しい。早逝した天才種牡馬の忘れ形見からこのような才能のある牝馬が現れてくることは喜ばしいことである。

ここまでSteeplechaseでは無敗で来ていたDiamond Carlは2着まで。好位から進めるも最後は苦しくなって脱落しており、勝ち馬に対しては完敗の内容だろう。春のPrix Ferdinand Dufaure (G1)では勝負にならなかったIn Loveが3着に入り、少しレース水準としては注意した方がいいかもしれない。一方で、当時の2着馬Impressiveはここでは大敗に終わっており、来年以降における4歳Steeplechase路線の解釈というのは少々難しくなりそうだ。

 

Prix La Haye Jousselin (G1)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5500m (Replay)

1. Figuero J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

連覇を狙うPoly GrandchampとEnjeu D'Arthelが淡々と逃げる展開で、好位からFiguero、中段からFranco De PortやNiko Hasなどが進める。最終周の入り口のHaieにてミスをしたEnjeu D'Arthelはやや後退し、代わって外からFigueroが進出。そのままFigueroは残り2障害辺りでPoly Grandchampに並びかけると、Grandeur Natureに3馬身差をつけて勝利した。Poly Grandchampが3着に終わった。

Figueroは前走のPrix Heros XII (G3)から連勝とした。遡ればPrix Maurice Gillois (G1)を30馬身差で圧勝した馬なのだが、2020年のGrand Steeplechase De Paris (G1)は2着、2020年のPrix La Haye Jousselin (G1)は3着、2021年の同レースは4着と、上位争いを繰り広げながらなかなか勝ち星に恵まれていなかった。今年の秋になって一気の連勝とようやく一皮むけてきた印象もあり、今年で7歳と障害馬としては円熟期に入ってくる頃合いだけに、これからが非常に楽しみになるレースであった。ただし、一方でGrand Steeplechase De Paris (G1)の上位馬Sel JemやGexは不在であり、来年以降の比較においてはやや難しいところがありそうだ。驚きの好走を見せたのがGrandeur Natureで、ここまで重賞では2020年のPrix Morgex (G3)勝ちのみに留まっていたのだが、最後は外に出すと勝ち馬を猛追する伸び脚を見せていた。距離延長がいい方向に出たのであれば面白いかもしれない。

連覇を狙ったPoly Grandchampは3着まで。この馬のやるべきことはやり切っており、これは勝ち馬を褒めるしかないだろう。5歳牝馬Starlet Du Mesnilは一頭離れた最後方から進めるというFelix De Giles騎手らしい面白いレース運びで、最終コーナーでは一気に先頭争いまで食い込むスパートを見せていたのだが、そこからどうにも飛越が微妙なところがあり、結果としては4着に終わった。アイルランドからはFranco De Portが参戦していたが、勝ち馬には肉薄できず5着に終わった。やや力負けの感もあるのだが、とはいえフランスSteeplechaseにここまで対応できるアイルランド障害馬というのも珍しく、またこのフランスAuteuilのSteeplechaseで見てみたいものである。

 

その他

Cheltenham, Aintree and Punchestown winner Tiutchev dies at 29 (Racing Post)

2003年の中山グランドジャンプに参戦したTiutchevが29歳で亡くなったそうだ。残念ながら中山ではうまくいかなかったが、Ascot Chase (G1)の連覇やArkle Challenge Trophy (G1)の勝利など、実に長きに渡って幅広い舞台で活躍を続けた名馬である。

'They aren't just trials' - Geraghty calls for introduction of jumps Classics (Racing Post)

Barry Geraghty元騎手の提言。Cheltenham Festivalの重要性が増す一方でそれ以外のCheltenhamに向けた競走の重要性が相対的に低下していることを問題視しており、その解決策として"Classics over Jumps"を提案している。

Complacent, un fils d'Authorized importé de Nouvelle-Zélande pour faire la monte au Mont Goubert (France Sire)

Authorizedの後継種牡馬としてオーストラリア生産馬であるComplacentがフランスで種牡馬生活を送っているそうだ。ComplacentはどうやらFrançois Nicolle及びYannick Fouinと提携して導入されたようで、その障害種牡馬としての活躍を期待したい。成功した障害種牡馬であるAuthorizedはなぜかトルコへ輸出されており、その後継種牡馬としては日本で不遇の生活を送っていたBande、Soft Light、そしてこのComplacentが挙げられている。

Dostihové sázky u Tipsportu výrazně rostou. Náběr se meziročně zvýšil o 57% a dosáhl 82 miliónů korun! (Fitmin & Turf Magazin)

Tipsportsにおける馬券売り上げが急速に増加しているそうだ。総額で2022年は2019年の約2倍近い売り上げを達成しており、COVID-19の影響もあるとはいえ、この変化が競馬界にとっていい方向に向かうことを願いたい。

Z Partynic do Cheltenham (Wyscigi konne. Wroclaw)

今年のWroclawのCrystal Cupを勝利したHaad RinはCheltenhamのGlenfarclas Cross Countryに参戦するそうだ。同レースには頻繁にフランスからCross Country Horseが参戦しているが、チェコからの参戦馬はDelight My Fire以降例がない。ましてやポーランドからの参戦馬は近年例がなく、興味深い試みになりそうだ。