にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/01/01 Weekly National Hunt / Jump Racing

12/26(月)

Kempton (UK) Soft

Long Walk Hurdle (G1) 3m121y (Replay)

1. Paisley Park J: Aidan Coleman T: Miss Emma Lavelle

本来はAscotで開催される年末恒例の24f戦なのだが、Ascot開催が降雪のため中止となり、結果的にこのBoxing DayのKemptonにて行われることになった。とはいえ元々出走を予定していたChampやPaisley Parkといった有力馬はそのまま出走することになり、メンバー的にはAscot開催と遜色ないものとなった。レースは前半からChampが引っ張る展開で、その後ろからGoshen、Paisley Parkなどが構える。徐々に失速したNot So Sleepyを交わしてGoshenが前に迫るも、一時は手ごたえが悪くなって後退していたPaisley Parkが直線に入って復活してくると、最終障害で前に出てそのまま勝利した。2着にはGoshenが上がった。

Champは瞬間的なスピード性能と加速力、それから坂を駆け上がるパワーに優れたタイプだが、一方でスピードの持続性能という点ではやや微妙なところがある。今回はJonjo O'Neill Jrがやや強気に早めに仕掛けていったことで早々にNot So Sleepyなどを振り切り、さらにはPaisley Parkが一見苦しくなるように見える展開を作り出しているのだが、とはいえこのスパートは最後までは持たなかったようで、結果的にロングスパート性能に優れたPaisley Parkの台頭を許すことになった。Ascotと異なりKemptonは平坦でスピードが生きるコースで、騎手としてはKemptonならこれでも持つ可能性を考えていたのかもしれないが、結果的にはAscotで直線の強烈な登り坂を考慮しつつ慎重にレースを進めた方がこの馬にとってはやりやすかったかもしれない。Paisley Parkは上記のとおり結果的には得意のロングスパート戦となったことでレースはやりやすくなった。最終コーナーで一見手ごたえは悪いのだがこの馬にとってはいつもの光景であり、むしろこのような場面では前がどこまで苦しくなるかを考えておいた方がいいのだろう。Goshenは24fにも関わらず結果を残したが、この馬の場合は気性的な問題が大きく最後までどれだけ気持ちを切らすことなく走ることができるかという点に全てがかかっている。能力的には24fだろうが16fだろうがあまり変わらないということだと思われる。Miranda、Not So Sleepyの2頭はさっぱり勝負に参加することなく離れた大敗に終わった。

 

Kauto Star Novices' Chase (G1) 3m (Replay)

1. Thyme Hill J: Tom O'Brien T: Phillip Hobbs

前半からMcFabulousがゆったりと逃げる展開。後半になってGelino Bello、さらにGalia Des Liteauxの対抗角の2頭が競争中止になり、人気を背負ったMcFabulousがそのままレースを引っ張るが、後方からじわじわと出てきたThyme Hillが残り2障害あたりで前に出ると、そのままMcFabulousを突き放して勝利した。

Thyme HillはHurdleではLiverpool Hurdle (G1)などG1を2勝している馬で、Chaseではこれが2勝目とした。NewburyのJohn Francome Novices' Chase (G2)では飛越がいまいちでMcFabulousに敗戦を喫していたが、今回は結果を残した。前走のNewburyから比べるとだいぶ飛越は安定しており、内容的には11/2というオッズが嘘のような勝ち方であった。Kemptonでの勝利ではあるもののHurdle時代の走りを踏まえるとCheltenhamのような起伏のあるコースへの対応力もある馬で、能力のある馬がChaseでの可能性を大きく広げたという意味でも今後が楽しみな勝利となった。前走はそのThyme Hillに快勝したMcFabulousは15馬身差の2着で、前走は完成度の高さでThyme Hillを圧倒したものの、さすがに今回は相手が強かったと言わざるを得ない。2022年のSefton Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬で、Chaseでは2戦2勝で挑んできたGelino Belloは終盤で落馬。前走は牝馬限定のNovice Listed競走を快勝したGalia Des Liteauxは前半から飛越がいまいちで、残り4障害手前で途中棄権に終わった。

 

Christmas Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Constitution Hill J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Constitution Hillの参戦で話題になっていた。レースはJamie MooreのHighway One O Twoが前に出てくるも、これにConstitution Hillがプレッシャーをかけていく。残り4障害あたりからHighway One O Twoはこらえ切れずConstitution Hillが前に出ると、そのままConstitution Hillが残り2障害地点で後続を振り切り、そのままあっさりとEpatanteに17馬身差をつけて圧勝した。

Constitution HillはこれでHurdleは5戦5勝とした。直線に坂のあるNewcastleから今回はKemptonに代わっていたが、今回も前評判通りの走りを見せたことになる。Nico De Boinville騎手がHighway One O Twoに前半からプレッシャーをかけていくことで、強力な馬が存在する小頭数のレースにも関わらずそれなりに締まったペースが作り出されており、結果的にはこの馬のスピードの持続性能だけが目立ったレースとなった。トップスピードに優れ、このKemptonのコースを得意とするEpatanteですら残り2障害までついていくのが精一杯というのはやはり驚くべきことであろう。HoneysuckleがMares' Hurdle路線ということが発表されている現状や、この馬としてはKemptonよりもCheltenhamの方を得意とすると想定されること等を踏まえると、この馬がChampion Hurdle (G1)にて負けるパターンが現状では思いつかないというのが正直なところである。

 

King George VI Chase (G1) 3m (Replay)

1. Bravemansgame J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

アイルランドからはEnvio Allenの参戦があった。レースは例によってFrodonが前に行く展開で、好位からL'Homme Presse、Bravemansgame、Ahoy Senorなど。Frodonは積極果敢に引っ張るも、最終コーナーからL'Homme Presse、Bravemansgameなどが先頭に。この2頭の叩き合いになるも、L'Homme Presseは最終障害で落馬。残ったBravemansgameがそのまま後続に14馬身差をつけて勝利した。

Bravemansgameはこれで今シーズンはCharlie Hall chase (G2)から連勝とした。昨シーズンのNovice ChaseではKauto Star Novices' Chase (G1)の圧勝など結果を残しており、Kempton自体も得意としている。基本的にはフランス血統らしいしなやかな馬体から繰り出される身体能力の高さを武器とした馬で、今回も逃げたのは極端なペースを作り出すことがなく、フランス産馬らしいスピードの持続性能で勝負をかけるNickname産駒のFrodonであったというのはこの馬にとって有利な材料であった。Wind Surgeryを2度行っているようにノドには問題がありそうで、とりあえずは現在の状態を維持できることを願いたい。もったいなかったのがL'Homme Presseで、最終障害の地点ではBravemansgameに前には出られていたものの、この2頭で後続を完全に千切り捨てていた。おそらくこの馬としてはCheltenhamのような坂のあるコースの方がレースはしやすいはずで、引き続きこの2頭は24f Chaseの中心的な存在として考えておいた方がよいだろう。

Royale Pagailleは離れた2着に入った。この路線ではだいぶ長くなった馬だが、G1クラスで勝ち切るだけの決め手はないというのが現状で、だらだらと走ってそのままなだれ込むというのがいつものパターンとなっている。古豪FrodonはBryony Frost騎手と得意のKemptonで積極的にレースを作りに行ったが、さすがに勝負に加わることはできずの敗戦で、結果的に3着に粘っているとはいえ10歳という年齢的な部分もありそうだ。Ahoy Senorは例によって道中のリズムがいまいちで、今回はFrodonの後ろのポケットに入るようなレースとなったのだが、道中も行きたがっているうえに飛越もいまいちと、さすがにこれではどうしようもないだろう。春のAintreeではいいレースをしたのだが、それ以降はどうにもぱっとしないのが現状である。アイルランドのChampion Chase (G1)を勝ってきたEnvoi Allenもいたのだが、後方から進めるもさっぱりレースには参加できずの敗戦となった。Down Royalでは勝ったとはいえメンバー的にはやや落ち目の印象のある相手で、今回もイギリス24f Chaseの有力馬が勢ぞろいしたわけではないことを考えると、さすがに寂しいレース結果となった。

 

Wetherby (UK) Good to Soft (Soft in places)

Rowland Meyrick Handicap Chase (Premier Handicap) 3m45f (Replay)

1. Into Overdrive J: Jamie Hamilton T: Mr Mark Walford

恒例のWetherbyのハンデ戦。レースはAye Rightなどが前に行くも馬群は密集して進行。途中から先頭に立ったInto Overdriveが追い込んできたSound Russianを退けて勝利した。Into Overdriveは今年はWetherbyのbet365 Handicap Chase (Premier Handicap)を勝利しており、それに続く重賞2勝目とした。Novice戦ではあまり重賞戦線に使ってこなかった馬だが、基本的にはやはりハンデ戦向きの馬のような印象がある。11st12lbを背負ったSound Russianは惜しい2着で、勝ち馬とは1st以上の斤量差があることを考えると、どちらかというとこちらの方が今後楽しみな存在になるだろう。11st9lbを背負ったFanion D'Estruvalはじわじわと差を詰めて3着。今回が2年近い休養明けとなるKalashnikovは最後失速して6着で、とりあえずは次に期待したい。人気のShan Blueはどうにも道中から行きっぷりが悪く、早々に途中棄権に終わった。そもそもこちらに回ってきたことには疑問を感じざるを得ないほど昨年までは高い能力を見せていた馬で、どうにも順調でない部分があるのかもしれない。

 

Leopardstown (IRE) Soft

〇 Maiden Hurdle 2m (Replay)

1. High Definition J: J J Slevin T: Joseph O'Brien

High DefinitionのHurdleデビュー戦ということで注目が集まっていた。レースはそのHigh Definitionがゆったりと逃げると、そのまま追いかけてきたJetara以下を振り切って勝利した。High DefinitionはFlatではAlan Smurfit Memorial Beresford Stakesの勝ち鞍がある馬で、2021年のアイルランドダービーでは一番人気にも押されていた。今年はTattersalls Gold Cup にて僅差の2着にも入っており、まだ平地でもオーストラリア等の他国に移籍するといった場合での可能性はありそうなのだが、秋ごろからJoseph O'Brien厩舎に移籍し障害を目指すことになったようだ。平地の実績馬が障害戦に来ること自体は喜ばしいことだろう。ただ、さすがにあまり調教期間も長くはなかったせいか飛越自体はかなり未熟なものを見せており、最終障害がオミットされたことも利して平地のスピードで強引に押し切ったというレース運びで、上のクラスで戦うにはもう少しステップアップが必要だと思われる。現時点でも未去勢のようで、National Hunt Sireとしての可能性を見越しての障害参戦であれば興味深いのだが。

 

Knight Frank Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Lossiemouth J: Paul Townend T: Willie Mullins

前半から人気薄のSundalが積極的に引っ張る展開も、最終障害あたりからLossiemouthが接近。そのまま前に出たLossiemouthがGala Marceau以下を振り切って勝利した。

LossiemouthはこれでHurdleはフランスAuteuilでの勝利も含めて3戦3勝とした。まだ飛越には若干怪しいところはあるのだが、とはいえ障害馬としての仕草はさすがにフランスでの経験のある馬のそれであり、内容的には完勝のものだろう。最終障害がオミットされたことでフラットのスピードが要求されるレースではあったが、そもそもフラットのスピード以前にレースとしてJuvenile Hurdleにおいてはハイレベルな障害馬としての完成度を求められるもので、2着馬のレベルの高さも考えると、この上位2頭はなかなか今後を楽しみにしてもよさそうである。2着にはAuteuilでListedを勝っているGala Marceauが入り、ex-French horseが上位を独占する結果となった。Joseph O'Brien厩舎のGolden Horn産駒の牡馬Nusretが3着。この強力なメンバー相手によく頑張ったといったところだろう。Deep Impact産駒の日本産馬Cougarも出走しており、好位からレースを進めたものの勝負所から脱落して大敗に終わった。道中の仕草を見ていると延々と大騒ぎをしており、障害馬の完成度として上位馬とは大きく見劣っていた。ここ2戦の勝ち方は立派であったが、いくら最終障害がオミットされた条件とはいえ、さすがにこの完成度ではこのクラスで通用するはずもないといったところだろう。

 

Brand New Racing Post App Novice Chase (G1) 2m1f (Replay)

1. Saint Roi J: Mark Walsh T: Willie Mullins

G1としてはなんとも微妙な名前なのだが、アイルランドではよくあることである。レースはVisionarianが淡々と引っ張る形で、好位からFil Dorが追走するも残り3障害で大きなミス。VisionarianについていったSaint RoiがVisionarianとの叩き合いを制して勝利した。

Saint Roiは16f Hurdleではおなじみの馬で、Horse & Jockey Hotel Hurdle (G3)の勝利があるほか、2020年のMorgiana Hurdle (G1)ではAbacadabrasの僅差の2着がある。そのほかG1でも多数の入着実績があるが、基本的には勝ち馬からはやや離れた3~4着というのが定位置で、今シーズンからChaseに移行していた。Chaseではこれが初勝利となった。若干の飛越のミスはあったのだが、とはいえ能力馬がChaseにしっかりと目途を付ける走りで、メンバー的にどこまでというところはあるもののとりあえずは喜ばしい勝利だろう。Hurdleではなにかと引っかかったり前が壁になったりといまいちなところもあったのだが、基本的にトップスピードに優れたタイプで、16f戦のスピード勝負というレースでは楽しみな存在になりそうだ。人気薄のVisionarianが2着で、どうしてもSummer Horseということもあって評価は落としがちなのだが、とはいえ経験のあるところを生かして安定したレースを見せた。Fil Dorは人気になっていたが、残り3障害で大きなミスがあり、そこから挽回を試みたが最後は失速して3着に終わった。

 

Limerik (IRE) Soft to Heavy (Heavy in places)

Faugheen Novice Chase (G1) 2m3f160y (Replay)

1. Gerri Colombe J: Jonathan Gainford T: Gordon Elliott

Authorized Artが淡々と引っ張る展開も、好位から進めたGerri ColombeがAdamantly Chosen、Kilcruitの追い上げを振り切って勝利した。

Gerri ColombeはこれでNHF、Hurdle、Chase含めて6戦無敗とした。ただしここまで大レースや重賞クラスで走ったという経験はなく、これが初の重賞挑戦であった。初のG1でいきなり結果を残したというのは大したものなのだが、とはいえSaddler Makerの産駒でこの重馬場は比較的得意としていたことが想定されること、さらにメンバー的には若干微妙であったことを踏まえると、まだ信用しきれないというのが現状だろう。2着のAdamantly Chosenは10月にBuck House Novice Chase (G3)でVisionarianを下した馬だが、Drinmore Novice Chase (G1)ではさっぱり勝負にならずMighty Potterから28馬身離れた5着に終わっている。KilcruitもNHFはG1勝ちのある馬だが、結局HurdleではMaiden勝ちのみであったこと、さらにAuthorized ArtもまたDrinmore Novice Chase (G1)で大敗していたことを考えると、どうにもメンバー的には疑問符が付くというのが正直なところである。

 

12/27(火)

Chepstow (UK) Soft

Coral Finale Juvenile Hurdle (G2) 2m11y (Replay)

1. Comfort Zone J: Jonjo O'Neill Jr T: Joseph O'Brien

去年まではG1競走であったレースだが、今年からG2に降格になった。実際、ここ数年の勝ち馬としてもPorticello、Adagio、Allmankind、Quel Destinと、その後G1勝ち馬として活躍しているとは言い難い馬ばかりで、そもそもJuvenile Hurdle路線ということを差し引いてもこの措置は仕方がないものだろう。レースはFils De Roiがゆったりと逃げる展開も、直線に入って進出してきたアイルランドのComfort ZoneがDixon Coveを振り切って勝利した。

Comfort ZoneはChurchill産駒のex-flat horseで、今年の11月からHurdleに参戦していた。前走はFairyhouseのJuvenile Hurdle (G3)でLossiemouthの3着に入っており、LossiemouthのLeopardstownでの走りが示した通り、やはり上記のレースのレベルが高かったということだろう。ドイツ生産馬の牝馬Dixon Coveは惜しい2着で、前走はAintreeの牝馬限定のListed競走を勝利している。フランスでは重賞でも入着のある実績馬で、最後は力強く勝ち馬に迫るいい走りを見せていた。やはりex-flat horseのPerseus Wayが3着に入った。

 

Welsh Grand National Handicap Chase (In memory of Kim Gingell) (Premier Handicap) 3m6f130y (Replay)

1. The Two Amigos J: David Prichard T: Miss Martin

イギリスColin Tizzard調教師の娘で、厩舎の発展に大きな貢献を残したKim Gingellの追悼競争として行われた。Kim Gingellは残念ながら2020年に43歳で癌が原因で亡くなっており*1Welsh Grand NationalはColin Tizzard元調教師にとってはNative RiverやElegant Escapeの勝利等、大きな成功を収めたレースである*2。 レースは前半からThe Two Amigosが逃げる展開で、これを追いかけてThe Big Dog、The Galloping Bear、Truckers Lodgeなど。The Big Dogは執拗に食らいついてくるが、The Two Amigosの逃げ足は衰えず。最後はさらに追いかけてきたThe Big Breakawayを振り切って勝利した。Joe Tizzard厩舎のThe Big Breakawayが2着。Kim Gingellの息子のConditional JockeyであるFreddie Gingellが騎乗したTruckers Lodgeは最終コーナーまでは勝負圏内に入っていたが、最後は脱落して4着に終わった。

The Two Amigosは2020年(2021年1月)は2着、2019年は5着に入っており、これが3度目の正直となった。2021年の競争は調教師がエントリーを忘れたため出走しておらず*3、結果的にこれがよかったのかはよくわからないが長年の陣営の努力が報われたレースとなった。10st1lbという裸同然の斤量で、いわゆるCourse Specialistということもあってどこまで外挿性があるかは微妙なところだが、ともかくどちらかというと重馬場の超長距離戦で力を発揮するタイプということで、今回はいろいろと条件も向いたということだろう。Conditional JockeyのDavid Prichard騎手はもともとアマチュア時代や競馬から離れていた時期等を経てきた苦労人だそうで、今回はとてもうれしい勝利となった。

Joe Tizzsard厩舎のThe Big Breakawayが2着に入った。遡ればKauto Star Novices' Chase (G1)でもShan Blueの2着のある馬だが、その後はどうにも苦労してきたようで、一度Wind Surgeryも経ている。今シーズンはどうやら調子がいいようで、前走のHaydockのClass2でも僅差の2着に入っていた。まだ7歳と若い馬で、調子が戻ってくればこの路線では楽しみな存在になるだろう。残念ながらJoe TizzardによるFairytale Successとはならなかったが、それでも今後につながる競馬であった。12st0lbを背負ったThe Big Dogは頑張っての3着で、斤量面を考えればこのThe Big BreakawayとThe Bid Dogはかなり頑張った方だと思われる。

 

Kempton (UK) Soft

Wayward Lad Novices' Chase (G2) 2m (Replay)

1. Boothill J: Jonathan Burke T: Harry Fry

前半から積極的にAncunrisqueが引っ張る展開も、一呼吸おいて追い出してきたBoothillがAncunrisqueとの叩き合いを制して勝利した。

Boothillは今シーズンはChaseは4戦3勝とした。前走はSandownのHenry VIII Novices' Chase (G1)でさすがにJonbon相手は苦しかったようだが、今回はきっちりと結果を残した。やや積極的に前に出ていくAncunrisqueを見ながら仕掛けていくのは騎手の好騎乗だろう。HurdleではDovecote Novices' Hurdle (G2)勝ちのあるAncunrisqueが2着で、勝ち馬とはあくまで仕掛けのタイミングの違いといったところで、あまり力量差はなさそうだ。人気になっていたLac De Constanceは途中で落馬に終わった。

 

Desert Orchid Chase (G2) 2m (Replay)

1. Editeur Du Gite J: Niall Houlihan T: Gary Moore

Edwardstoneがやや抜けた人気となっていたが、Open Ditchで早々に落馬。積極果敢に逃げたEditeur Du Giteがそのまま後続を振り切って勝利した。2着にはNube Negraが入った。

Editeur Du GiteはこのNiall Houlihan騎手とのコンビで逃げて結果を残してきた馬で、重賞はRed Rum Handicap Chase (G3)以来の勝利とした。前走は控える競馬を試みていたようだがやはり逃げた方がこの馬の持ち味を出せるようで、Niall Houlihan騎手との相性もいいのだろう。かなり積極的にペースを作っていくタイプのようで、おそらくAintreeのような平坦なコースや、Cheltenhamのようにメリハリが必要なコースが合っているものと思われる。16f Chase路線はとにかく層が厚いのだがなんとか頑張ってほしい。Nube Negraは後方からじわじわと進めるも、前には迫れずに終わった。どちらかというとEdwardstoneをマークしながら乗りたかったようなところがあり、今回はEditeur Du Giteに出し抜けを食らわされたといったレースだろう。EdwardstoneはOpen Ditchでの落馬で、あまりKemptonがいいような印象もないのだが、とりあえず次に期待したい。

 

Leopardstown (IRE) Soft

〇 Beginners Chase 2m1f (Replay)

1. Dysart Dynamo J: Paul Townend T: Willie Mullins

前半から元気よく逃げたDysart Dynamoがそのまま勝利した。Dysart DynamoはNovice Hurdleでは良質なスピードを見せてきた馬で、これがChaseでは初戦であった。Novice Hurdleで見せたようないいスピードを見せてくれたのだが、とはいえ相変わらずやや行きたがって走るようなところがあり、今回はスピードだけで圧倒できる相手であったからいいものの、ぴったりと付いて来られたらわからないというのが現状だろう。Future Champions Novice Hurdle (G1)ではAppriciate Itの2着もあるIrasicibleはRachael BlackmoreがDysart Dynamoについていこうという構えも見せたのだが、結局さっぱりペースにはついていけずに離れた2着に終わった。実績的には重馬場のパワー勝負であれば浮上してくるといったところのようで、好走するにはいろいろと条件が必要そうだ。

 

Paddy's Rewards Club Chase (G1) 2m1f (Replay)

1. Blue Lord J: Darryl Jacob T: Willie Mullins

Chacun Pour Soiが逃げるかと思いきや、これを叩く形でJeremys Flameが先頭に。Gentleman De Meeは逃げることはできず好位から。Chacun Pour Soiはリズムよく運ぶも、残り2障害地点で大きなミス。代わって出てきたBlue LordがCaptain Guinessを突き放して勝利した。

Blue LordはNovice上がりの馬で、昨シーズンはIrish Arkle Novice Chase (G1)などG1を2勝していた。Novice上がりの今シーズンはClonmelのOil Chase (G2)から連勝とした。ChelentamよりはどちらかというとLeopardstownやPunchestownのようにだらだらとスピードを使うことに長けたタイプだが、16fのG1の常連相手に戦えることを示したのは大きな収穫だろう。ただし、前走も20fで結果を残していること、同厩舎の有力馬の動向等を踏まえると、Cheltenhamでどのレースを使ってくるかというのは少し注意した方がいいかもしれない。この路線の常連であるCaptain Guinessは頑張って2着で、とりあえず今シーズンも調子はいいようだ。20fではやや距離的には長いというのはすでにはっきりしているようで、この路線の安定勢力として引き続き期待できそうだ。10歳となった古豪Chacun Pour Soiは残り2障害で大きなミスがあり、そこから挽回できずに3着に終わった。Blue Lordはともかく、Energumene等が相手だと厳しいことははっきりしているCaptain Guinessくらいは捉え切って欲しかったというのが正直なところであり、10歳という年齢的なところもそろそろ考えておいた方がいいかもしれない。やはりNovice上がりのGentleman De Meeは今シーズンはさっぱりで、得意のスピードを生かした逃げも打てずに大敗に終わった。

 

Future Champion Novice Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Facile Vega J: Paul Townend T: Willie Mullins

Il Etait Tempsが逃げるかと思いきや、第1障害をもたもたと飛んだことでFacile Vegaがハナに行く展開。そのままFacile VegaがIle Etait Tempsを振り切って勝利した。

Facile VegaはこれでHurdleは2戦2勝とした。NHFでは非常に高い能力を見せてきた馬で、今回も経験のあるIl Etait Tempsをさっぱり寄せ付けないのだから大したものだろう。飛越に関しても特段問題はなく、このまま16fを使っていくのかという点も含めて注目の一頭である。昨シーズンはJuvenile Hurdle路線でG1を転戦したIl Etait Tempsが2着で、この馬を物差しにすればFacile Vegaは昨シーズンのJuvenile Hurdleのトップクラスを凌駕する能力を持っていることは間違いないだろう。牝馬Ashroe Diamondは後方から足を伸ばしたが、前には追い付かず3着に終わった。レースぶりから考えるともう少しやれてもよさそうなのだが、前走もPatrick Mullinsが同様のレースをしていたようで、なにかしらの意図があるのかもしれない。

 

Limerick (IRE) Soft to Heavy (Heavy in places)

Lyons of Limerick Jaguar Land Rover Novice Hurdle (G2) 2m7f (Replay)

1. Favori De Champdou J: Jordan Gainford T: Gordon Elliott

例年重馬場で行われるLimerickの24f Novice Hurdle。例によってLetsbeclearaboutitが淡々と逃げる展開も、好位から進めたFavori De Champdouがこれを振り切って勝利した。

Favori De ChampdouはこれでHurdleは3連勝とした。その3戦全てで23f戦を使っているようで、距離的にはこのくらいの条件に適正を見出されているものと思われる。Saddler Makerの産駒ということもあって重馬場も得意としているようで、落ち着いたレース運びも考えると完成度の高そうな馬である。前に行ったLetsbeclearaboutitが2着で、ここまでHurdleでは勝ち星がないのだが、NHFではSir Gerhardの2着もある能力馬のようだ。前走そのFavori De Champdouの2着に入ったHarry Des Ongraisが3着に入った。

 

12/28(水)

Leopardstown (IRE) Soft

Jack De Bromhead Christmas Hurdle (G1) 3m (Replay)

1. Home By The Lee J: J J Slevin T: Joseph O'Brien

先日落馬事故で亡くなったJack De Bromheadの追悼競走として行われた。レースは前半からFlooring Porterが積極的に逃げる展開も、好位にいたHome By The Leeが絡んでいき、残り3障害あたりから先頭に代わる。これにFlooring Porterが抵抗、さらにAshdale Bobなどが追い上げてくるが、Home By The Leeがこれらを振り切って勝利した。

引き続き24f Hurdle路線の混戦ぶりを示すレースとなった。Home By The Leeは前走のNavanのLismullen Hurdle (G2)から連勝とした。ただしもともとはChaseを試すも結局芽が出ずHurdleに戻し、今年のStayers' Hurdle (G1)は大敗していたりと、本来であればG1クラスでは足りない馬である。ここにきて急激に力をつけていたものを考えたいところだが、とはいえ上位3頭の面々からすると若干微妙な感もあり、Flooring Porter自身もLeopardstownのコースを得意としているタイプの逃げ方ではないようなレース運びで、引き続きこの路線の力量差には注意しておきたい。やはり人気薄ながら上位に飛び込んできたのがAshdale Bobで、勝ち鞍自体はNovice時代に重賞を2勝しているのみである。どちらかというとG1では足りない重賞の安定勢力といったところだが、積極的に前に出ていったHome By The Leeとはレース運びの差もありそうだ。驚きであったのでMeet And Greetで、この馬はNovice上がりなのだが前走はNaasのハンデ戦で大敗していた。昨シーズンのNovice Hurdleのレベルが高かったのかは不明だが、残念ながらThe Nice Guyは今シーズンは全休とのことである。Flooring Porterはどうにも半端な逃げ方で、おそらくCheltenhamであればこれでもよいのだが、より強引に逃げていた2020年の方がLeopardstownのコースとしては戦いやすかったように思われる。ここは勝ちたかったと思われるHenry De Bromhead厩舎のBob Olingerは好位から伸びず離れた5着。Saldier、Zanahiyrといった距離延長組は見せ場を作れず、Sire Du Berlaisはさっぱり走る気を見せず途中棄権に終わった。

 

Savills Chase (G1) 3m (Replay)

1. Conflated J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

人気を集めると思われたA Plus Tardが直前で回避。例によってKemboyがゆるゆると引っ張る展開だが、2周目からConflatedが前に出てレースを引っ張る。Kemboy以下は抵抗してついていくも、直線に入ってConflatedがKemboy以下を振り切って勝利した。

ConflatedはこれでG1はIrish Gold Cup (G1)に続き2勝目とした。どうやらLeopardstownのようなコースでだらだらと足を使っていくのがいいようで、Kemboyのペースを許さず前に出ていったJack Kennedy騎手の好騎乗であった。ただ、結局昨シーズンはCheltenham Gold Cup (G1)ではなくRyanair Chase (G1)に参戦し落馬に終わっており、今年はおそらくGold Cupに向かうことになるだろうと思われるが、Cheltenhamのようなコースで同じようなレースができるかは注意しておきたい。古豪Kemboyはいつも通りこの馬のレースをしての2着で、できれば終始この馬のリズムで運びたかったというところだろう。Novice上がりのFury Roadが3着。フランス帰りのFranco De Portはやや飛越に戸惑っている感もあったようだ。人気の一角であったGalvinはさっぱり伸びず大敗で、どうにも今シーズンのレースを見ていると不安が残る結果となった。

 

Limerick (IRE) Heavy (Soft to Heavy in places)

McMahons Builders Providers Irish EBF Dawn Run Mares Novice Chase (G2) 2m6f120y (Replay)

1. Allegorie De Vassy J: Sean O'Keeffe T: Willie Mullins

早々に先頭に立ってレースを引っ張ったAllegorie De Vassyがそのまま勝利した。Allegorie De Vassyはこれでアイルランド移籍後は3戦3勝とした。今回はChaseは初めてであったようだが、22f戦にも関わらず終始安定した飛越を見せており、さすがにここでは役者が違ったといったところだろう。ただしアイルランドでは全て牝馬限定戦のみ使っているようで、かなり可能性はありそうな馬なのだが、このまま牝馬限定戦専門という可能性もありそうだ。4連勝で挑んできたBroomfield Hallが対抗角と思われていたようだが、飛越にミスがあり途中棄権に終わった。

 

12/29(木)

Leopardstown (IRE) Soft (Yielding in places)

Neville Hotels Novice Chase (G1) 3m (Replay)

1. Gaillard Du Mesnil J: Paul Townend T: Willie Mullins

Unexpected Depthが前に行く展開も馬郡は比較的固まって進行。第11障害でミスをしたThree Stripe LifeのJack Kennedy騎手がバランスを崩し、これにぶつかったAmiriteのRachael Blackmoreが落馬。さらにUnexpected Depthは故障を発症し途中棄権。さらの残り2障害でThree Stripe Lifeが落馬。そのあたりから前に出ていたGaillard Du MesnilがChrchstonewarriorを突き放して勝利した。

Gaillard Du MesnilはChase7戦目でようやくうれしい勝利となった。昨シーズンはBrown Advisory Novices' Chase (G1)では3着、Irish Grand National (Grade A)でも3着と、24f Chase路線ではトップクラスの活躍を見せてきた馬で、どうにも飛越面での問題があったり、決め手に欠けるようなところがあったりと勝ちきれないところがあったのだが、ようやくここにきて飛越も安定してきたようだ。おそらくBrown Advisoryに向かうだろうとの調教師の弁で、だらだらとスピードを生かしてなだれ込むSaint Des SaintsのAQPSらしくCheltenhamが向くような印象はないのだが確実にこの路線では上位争いをしてくる一頭として期待できそうだ。HurdleではLawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)の4着があるChrchstonewarriorが2着で、Chaseはこれで3戦連続で2着となった。このようなタイプは案外どこかで化ける可能性もあり、引き続き注意したい。Mighty Potterの不在があったにも関わらず上位2頭はなかなか将来性がありそうで楽しみなのだが、競争中止したUnexpected DepthとThree Stripe Lifeいずれもは助からなかったとのことで、残念ながら後味の悪いレースとなった。

 

Matheson Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. State Man J: Paul Townend T: Willie Mullins

人気薄のShe Is Electricが果敢に引っ張るも、早々にState Manが接近。そのままState ManがVaubanを突き放して勝利した。

State ManはG1は3連勝、今シーズンはMorgiana Hurdle (G1)から連勝とした。どうにもこの路線はHoneysuckleが抜けたことでよくわからなくなっているところはあるのだが、とはいえSharjahという安定勢力、さらにはJuvenile Hurdleで強い競馬を見せてきたVaubanを寄せ付けなかった走りは、この路線におけるアイルランド代表として名乗りを上げてきたと考えてよさそうだ。直線の障害が全てオミットされたことでレースとしては若干微妙だが、とはいえ今後が楽しみな一頭である。Juvenile Hurdleで強いレースをしてきたVaubanはState Manについていったが、最後は追いつけずに2着。フラットのスプリント勝負ということでどこまで外挿性があるかは微妙だが、ひとまず初のJuvenile Hurdle上がりのレースにおいてState Manから4馬身差というのは立派だろう。Sharjahは最後おいていかれて3着に終わった。今シーズンは2連勝で挑んできたPied Piperは早々に勝負所から遅れ、そのままはるか後方の入線に終わった。ここまで下してきた相手としては16fのG1戦線でどうこうというメンバーではなく、ここでも単勝13倍とあまり評価は高くなかったのだが、騎手の動作を見るとなにか馬にトラブルがあった可能性もありそうで、今後の報道に注意したい。

 

12/31(土)

Newbury (UK) Soft

Challow Novices' Hurdle (G1) 2m4f118y (Replay)

1. Hermes Allen J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

Hermes Allenが前に行く展開も、スタンド前から外にいたVicki Valeがやや引っかかり気味に前に出てくる。しかし最後の直線に入る辺りから再度Hermes Allenが前に出ると、そのままついてきたYou Wear It Wellを振り切って勝利した。

Hermes AllenはこれでHurdleは3戦3勝とした。Poligloteの産駒でフランス産馬らしい良質でしなやかなスピードを持った馬だが、この馬場にも問題なく対応できていたようで、能力的には一枚上手であった。前走のBallymore Novices' Hurdle (G2)でも後続を9馬身突き放す勝利を上げており、良馬場でも走れるだけのスピードもあるようで、なかなか楽しみな存在になりそうだ。飛越に関してはまだロスもあるようで、ここからよくなる余地がありそうだ。前走のHexhamのNovice戦を圧勝したYou Wear It Wellが2着。最後まで足を伸ばす余力が残っていたのは勝ち馬とこの馬だけであった。アイルランドのJoyeux Machinが対抗角と思われていたようだが、特に何もできず途中棄権。Gordon Elliott厩舎のKansas City Starもいたようだが、こちらも勝負には加われず途中棄権に終わった。

 

1/1(日)

Cheltenham (UK) Soft (Good to Soft in places)

Dipper Novices' Chase (G2) 2m4f127y (Replay)

1. The Real Whacker J: Sam Twiston-Davies T: Patrick Neville

前半から軽快に逃げたThe Real Whackerが後続を振り切って勝利した。The Real WhackerはこれでChaseは2戦2勝とした。HurdleではRiver Don Novices' Hurdle (G2)でMahler Missionの2着があった程度の馬だが、今回は距離を短縮して結果を残したことになる。最後はむしろ追いかけてきたMonmiral以下を振り切る走りを見せており、自身のリズムで運んだとはいえ内容的には完勝だろう。HurdleではG1勝ちのあるMonmiralもいたのだが、最後はむしろ苦しくなって2着に終わった。G1馬とはいえAintreeのJuvenile Hurdleであり、その後のHurdle路線では重賞クラスでどうこうということはなかったことや、前走はJonbon相手にさっぱりであったことを考えると、ややChaseでのキャリアの今後に不安が残る内容となった。昨年は5戦4勝といういい結果を残したThunder Rockが3着で、いい成績を残したとはいえ基本的にはClass2~3であることを考えると、見た目ほどはというのが正直なところだろう。

 

Paddy Power New Year's Day Handicap Chase (Premier Handicap) 2m4f127y (Replay)

1. Midnight River J: Harry Skelton T: Dan Skelton

Stolen Silver、Happygoluckyなどが引っ張る展開も、残り3障害あたりから前にでたMidnight RiverがHarry Skelton騎手の派手なガッツポーズとともにStolen Silver以下を振り切って勝利した。

あの飛行機のようなポーズは流行っているのだろうか。騎手の美学にはいろいろとあるようだが、せっかく勝ってもガッツポーズもせずにしれっとしているよりは個人的には喜びを露わにしてくれる方が嬉しいものである。Midnight Riverは今シーズンはNovice上がりの馬で、前走はPaddy Power Gold Cup (Premier Handicap)においてGa Lawの3着に入っていた。あまりNovice戦線では結果の出なかったタイプだが、やはりハンデ戦のある程度締まったペースで前に行った方がよさが生きるようで、今回もじわじわといちを押し上げての勝利であった。前に行ったStolen Silverはそのまま前に張り続けての2着で、2022年に入ってからはほぼCheltenhamの20f戦のみを使っているようにこのコースは合うようだ。Lostintranslationはさっぱり走る気を見せずに早々に途中棄権に終わり、さすがに11歳という年齢的なところもあるのかもしれない。

 

Relkeel Hurdle (G2) 2m4f56y (Replay)

1. Marie's Rock J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Dashel Drasherが淡々と引っ張るも、好位から進めたMarie's Rockが最終障害手前で抜け出すと、そのままDashel Drasherに6馬身差をつけて勝利した。

Marie's Rockはこれで今年の2月からG1の2勝を含む4連勝とした。その中にはClose Brothers Mares' Hurdle (G1)も含まれており、内容的には昨シーズンの牝馬Hurdle路線のチャンピオンといってもいいだろう。今回はセン馬相手の完勝の内容だが、とはいえ全体的にG1クラスというメンバーではないものの、HoneysuckleがMares' Hurdleに回ってくることに関しては、とりあえずこの馬の調子はよさそうだというのが現状の判断だろう。遡れば2021年のAscot Chase (G1)を勝っているDashel Drasherはリズムよく運んでの2着で、おそらく来月のAscot Chase (G1)が大目標である以上、この馬にとってはいいr-テーションで運んでいると考えてよさそうだ。前走NewburyのIntermediate Handicap Hurdle (Premier Handicap)を勝ったGolden Horn産駒のFirst Streetが3着に入った。

 

Tramore (IRE) Heavy

Savills New Year's Day Chase (G3) 2m6f50y (Replay)

1. Minella Indo J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

かなりゆったりとしたペースでRoi Mageが逃げる展開も、残り2障害あたりから一気にペースアップ。ここで前に出てきたMinella IndoがStattlerを振り切って勝利した。

Minella Indoは2021年のCheltanham Gold Cup (G1)以来の勝利とした。昨年の同レースでも2着に入ったりとそれなりに結果は残していたのだが、どうにもズブいようなところもあるようで、年齢的なところもあって信用しきれないというのが現状だろう。とりあえずはほぼ残り2障害あたりからのスプリント勝負ということで結果を残したが、とはいえ加速がかかるまでそれなりに騎手が馬を動かしていたこと、Tramoreの最終コーナーは下り坂のカーブになっていることを考えると、あまり手放しには喜べないものだろう。昨シーズンのNational Hunt Challenge Cup (G2)を勝ったStattlerは差のない2着。Roi Mageはゆったりとしたペースで進めたが、さすがにスプリント勝負で前の2頭についていけるはずはなく、やや離れた3着に終わった。

 

その他

Conditional jockey Tom Buckley banned for 12 days for taking wrong course (Racing Post)

水曜日LeicesterのHandicap HurdleにてSindabellaに騎乗していたTom Buckelyはコースを間違えたことで12日間の騎乗停止を受けたそうだ。Sindabellaは途中から元気よく前に飛び出したのだが、そこからHurdle CourseとChase Courseの進入口を間違えたようで、もったいないレースとなってしまった。

'The Welsh have bounced back' - biggest National crowd since 2016 at Chepstow (Racing Post)

ChepstowのWelsh Grand Nationalは2019年以来、初めて観客を入れての開催となったが、多数の観客が集まり大成功を収めたようだ。近年は悪天候による開催の延期や、新型コロナウイルス感染症の影響、さらにはJuvenile HurdleがG1から降格するなどネガティヴな話題が多かったのだが、久しぶりに明るい話題となった。