にげうまメモ

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23/01/08 Weekly National Hunt / Jump Racing

1/7(土)

Sandown (UK) Soft

Tolworth Novices' Hurdle (G1) 1m7f216y (Replay)

1. Tahmuras J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

イギリス16f Novice Hurdle。レースはColonel Happyが引っ張る展開も馬群は密集して進行。ここから一頭だけ持ったままで出てきたTahmurasが残り2障害を越えて先頭に立つと、内から追い込んできたL'Astroboyを振り切って勝利した。

TahmurasはこれでHurdleは3戦3勝とした。ただし、ほぼ持ったままで出てきたとはいえ最後はかなり脚が上がっており、Harry Cobdenが最後まで追い出しを我慢した感もあることを踏まえると、ここまでほぼ圧倒的なパフォーマンスを続けているアイルランドのFacile Vegaへの対抗角としては少々インパクトに欠けるというのが現状だろう。これがMaidenからの2戦目となるL'Astroboyが2着で、NHFではTahmurasに先着したこともあるようだ。スムーズに出てきたTahmurasに対してこちらは上り坂の辺りで進路を探すような場面もあり、最後のストライドはこちらの方がしっかりとしていた。ex-flat horseのNemean Lionも差のない3着に食い込んだ。フランスではPrix Chaudenay (G2)では2着に入った能力馬のようで、Hurdle経験は乏しいながらも前走はHaydockのClass2のHandicap Hurdleで2着にも入っている。単なるex-flat horseではない可能性もありそうで、引き続き注意したい。ここまで立派な勝ち方を見せてきた人気のAuthorised Speedはさっぱり振るわず、Gary Moore陣営にはありがちなのだが、下級条件戦では足の速さで圧倒するタイプのようだが、ここではそもそも飛越がいまいちで追走するだけで精一杯になってしまったようだ。

 

〇 Veterans' Handicap Chase - 2022 Veterans' Chase Series Final (Class 2) 3m37y (Replay)

1. Wishing And Hoping J: Alex Edwards T: Mrs. Melanie Rowley

10歳以上の馬を対象としたVeterans' Chase Series最終戦。このシリーズ自体は昨年から始まっており、実質的にこのレースに出走可能な馬は11歳以上に限られる。レースは例によってWishing And Hopinが前に行く展開で、Ramses De Teilleeなどがこれに絡んでいく。Snow Leopardessは前に行こうと試みるも徐々に脱落。Wishing And Hopingの逃げ足は衰えず、そのまま残り3障害あたりから後続を突き放すと、最終障害の飛越のミスにも関わらずRamses De Teilleeの追い上げをしのいで勝利した。

Wishing And Hopingはこの出走馬中最高齢となる13歳の馬で、もともとはAlan King厩舎にて重賞戦線に挑戦するも飛越がいまいちで散々落馬を繰り返し、そこからPhillip Rowley厩舎に移籍してPoint to Point及びHunter Chaseを戦い、そこからHandicap Chase路線に戻ってくるという経歴を持つ。どうやら若いころは気性的な問題もあったようで、Point-to-Point及びHunter Chaseで再度やり直しをした陣営の努力が実った結果だろう*1。とはいえ例によって元気よく引っ張るのはこの馬のいつもの戦術であり、どうにも一頭抜け出して集中力を欠くような場面もあったのだが、愛すべきベテランがここまでこの馬らしいレースで大仕事をやってのけたという意味でも喜ばしいレースである。

11歳のRamses De Teilleeは12st0lbを背負っての2着。遡ればWelsh Grand National (G3)の2着などのある実績馬で、Wind Surgeryを繰り返しているようにノドには問題がありそうなのだが、とはいえこのような重馬場の超長距離戦自体は得意としているタイプである。今シーズンはVeterans' Chaseに移行しているようだが、ノドの調子さえよければHandicap Chase路線でもやれるだろう。出走可否の関連で報道があったSnow Leopardessはどうにも全体的にちぐはぐなレースで、この馬にとっては少々馬場としては早すぎた感がある。

 

Wincanton (UK) Good to Soft (Soft in places)

〇 Handicap Hurdle (Class 5) 1m7f50y (Replay)

1. Force De Frap J: Harrison Beswick T: Miss Emma Baker

前半から積極的に引っ張ったForce De Frapが後続に13馬身差をつけて勝利した。Firce De Frapはここにきて2連勝とした。もともとはフランスで走っていた馬で、なぜかLe DoratのCross Countryも走っていたりもするのだが、基本的にはイギリス移籍後はさっぱりいいところがなく、ここにきて急に結果を残しているといったところである。アラブ血量として1.560%有するAQPSで、父はDesir D'Un Soirというサラブレッドであるが、このDesir D'Un SoirはDual Purpose HorseとしてGrande Course De Haies D'Enghien (G3)を制している。残念ながらあまり種付け数は伸びていないようだが、なんとか頑張ってほしいところである。

 

Pau (FR) Tres Souple (4.1)

〇 Prix Mortimer De Lassence (Classe 1)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus. 5600m (Replay)

1. Galcoflaur J: Thomas Beaurain T: Philippe & Camille Peltier

早々に対抗角と思われたHip Hop ContiがPetit Open Ditchにて落馬。積極的に前に出ていったGalcoflaurがSaint Godefroyをしのいで勝利した。GalcoflaurはCross自体は2020年から使っている馬で、前走はSaint Godeforyにさっぱり歯が立たなかったのだが、今回は積極的な競馬で結果を残した。今回は5600メートルと一気の距離延長であったが、安定したレース運びで難易度の高いPauの障害にも対応しており、今後に向けて期待の持てるレース内容であった。2021年からPauのCross Countryにて7連勝を見せていたSaint Godefroyは差のない2着で、後半のBanquette及びPassage De Routeにてミスがあった。Felix De Giles騎手にはしばしばあるのだがやや大事に乗りすぎたといった印象の敗戦で、勝ち馬とは2kg差があることを考えると展開次第で十分に逆転は可能だろう。

 

〇 Prix Etalon Chamako Coupe Des Anglo-Arabes - Grande Course Haies Des 4 Ans

Haies Pour poulains entiers, hongres et pouliches de 4 ans, anglo-arabes, inscrits au Stud-Book anglo-arabes, nés et élevés en France, comptant au moins 12,5 % de sang arabe. 3500m (Replay)

1. Jaroussky J: Johnny Charron T: Lageneste & Macaire

いわゆる4歳アラブ馬限定のHurdle競走。じわじわと位置を上げてきたJarousskyがMesariaを振り切って勝利した。JarousskyはこれでHurdleは3戦3勝とした。細かいミスはあったものの内容的にはほぼ完勝で、ここ3戦の相手となるMesariaに対しては完全に勝負付けは済んだといったところだろう。父Bathyrhon、母父Robin Des Champsといずれもサラブレッドで、アラブ血統としては祖母Youbamda(AA)の父Hasa(AA)及び母父Donald Duck(AA)まで遡る。Jarousskyのアラブ血量は13.720%で、分類としてはAnglo-ArabianではなくAnglo-Arabe de complémentとなる。おなじくAnglo-Arabe de complémentのMerasiaが2着で、Anglo-Arabianとして最先着を果たしたのは3着のFinch Hattonとなった。父Anglo-ArabianのCarghese Des Landes(AA)のJaksonが離れた4着に入った。

 

1/8(日)

Naas (IRE) Soft (Soft to Heavy in places)

Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1) 2m3f212y (Replay)

1. Champ Kiely J: Danny Mullins T: Willie Mullins

レースはDanny MullinsのChamp Kielyが逃げるも馬群は密集して進行。そのままIrish Pointなどがこれに迫るも、そのままChamp Kielyが逃げ切り勝利した。

残念ながら直線の2障害がオミットされ、勝負所としてはほぼ平地部分での脚比べとなっている。Champ KielyはこれでHurdleは4戦3勝とした。FairyhouseのRoyal Bond Novice Hurdle (G1)ではMarine Nationaleから4馬身差の4着に終わっていたが、ここでは結果を残した。10月のTipperaryでは経験馬のBrazilを下した実力馬であるが、とはいえレースとしてはほぼ団子状態でどの馬も出るに出られない中、一頭悠々と前で運んだという利があったことは否めず、あまり今後に向けて参考になりそうなレースではなさそうだ。FairyhouseのRoyal Bond Novice Hurdle (G1)で僅差の2着に入ったIrish Pointが2着で、こればかりはレース運びの差だろう。Joseph O'Brien厩舎のGalileo産駒Dawn Risingは馬群を縫って頑張って出てきたが離れた3着。人気のGrangeclare Westは好位から進めるも伸びず5着に終わった。

 

Cagnes-Sur-Mer (FR) Collant (4.3)

Grand Prix De La Ville De Nice - Bernard Secly (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4600m (Replay)

1. Suriot J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

冬のCagnes-Sur-Mer開催の大一番。降り続いた強い雨により馬場の内側はほぼ掘れて土がむき出しになり、ところどころには水たまりすら認められるような馬場となっている。レースはIceo MadrikとSans Briutが引っ張る展開で、少しずつIceo Madrikはペースアップして後続を引き離す。しかし残り2障害あたりから前に出てきたSuriotが食い下がるIceo Madrikを振り切って勝利した。

馬主Josef Aichner、Josef Vana Jr、Josef Bartosはイタリアではお馴染みのトリオだが、フランスでのグループレースを勝利したことは初めてとなる。Josef Bartos騎手はこの勝利は大変嬉しかったようで、Velka PardubickaやGran Premio Meranoに匹敵するとも話しているようだ*2。Suriot自身は元々フランスDavid Cottin厩舎にいた馬で、フランス時代にはAuteuilのHandicap Steeplechaseを勝利している。現厩舎に移籍後も殆どイタリアでの出走はなくほぼフランスへの遠征のみのようで、前走のCagnesのClasse 4で勝利していたようにこの馬場への適正もあったようだ。さすがにここまで極端な馬場でのレースということもありそうだが、L'Estranと同じくLinda's Ladの産駒ということで、イタリアでも期待したい。Cagnesの常連であるIceo Madrikが2着。いちおうAuteuilでもPrix Ferdinand Dufaure (G1)で3着のある実力馬で、極端にメンバーが手薄であったということもなさそうだ。

 

その他

'He was a great servant and we also did our best for him' - Cloudings dies at 29 (Racing Post)

Many Clouds等の父として知られるCloudingsが残念ながら29歳で亡くなったそうだ。代表産駒としては上記Many Cloudsのほか、Vintage Clouds、Cloudy Lane等が挙げられている。

Horse racing's oldest winners including 18-year-old Sonny Somers(Sporting Life)

Veterans' Chase Series Finalに際しての過去の高齢馬の勝利に関する記事。1980年にはSonny Somersという馬がSouthwell等のHandicap Chaseを勝利したそうだが、当時はなんと18歳であったそうだ。近年は16歳のSee Double Youという馬がアイルランドで勝利している。

Mares' Hurdle 'highly unlikely' for Honeysuckle as Champion clash is back on (Racing Post)

Cheltenham FestivalではMares Hurdleという話が出ていたHoneysuckleだが、どうやらChampion Hurdleが目標となるようだ。圧倒的なレースを続けているConstitution Hillとの対決が期待される一方、Mares Hurdleの構図はかなり変わりそうだ。

Naas injury may rule Kennedy out of Cheltenham Festival (RTE)

Naasで落馬したJack Kennedyはしばらく休養が必要なようで、もしかするとCheltenham Festivalも不在となる可能性があるようだ。Jack Kennedyは現在Paul Townendに対して18勝差でリーディングを走っているが、この離脱はかなり大きな痛手となりそうだ。

História Taxisovej priekopy - 1. časť (turf.sk)

História Taxisovej priekopy - 2. časť (turf.sk)

Velka Pardubickaを中心としたチェコ競馬の歴史に関する詳細な記事。現時点では1800年代中頃のチェコ競馬の黎明期から1960年ごろの第二次世界大戦直後の時期まで記載されているようだが、このシリーズはまだ続くようだ。