1/14(土)
Kempton (UK) Soft
〇 Handicap Chase (Class 2) 3m (Replay)
1. Annsam J: Adam Wedge T: Evan Williams
途中から徐々にペースを上げて引っ張ったAnnsamがそのまま後続を振り切り、終わってみれば17馬身差の圧勝とした。Annsamは遡ればAscotのHowden Silver Cup (Listed)価値のある馬で、基本的にはこのように強引に前に行って粘り込むレースを得意としている。今シーズンのCoral Gold Cup (Premier Handicap)やLondon Gold Cup (Premier Handicap)は振るわなかったようだが、すんなりとペースを握ったここでは立派なレースを見せた。どうにも気分よく逃げられればという条件は付きそうなのだが、かなり強気に前に出てくるAdam Wedge騎手とともに展開を左右する馬として注意しておきたい。
〇 Silviniaco Conti Chase (G2) 2m4f110y (Replay)
1. Pic D'Orhy J: Harry Cobden T: Paul Nicholls
Coole Codyを制して前に行ったPic D'Orhyがそのまま後続に16馬身差をつけて圧勝した。Pic D'Orhyは今シーズンは3戦3勝とした。昨シーズンの20f Novice Chaseではトップクラスの活躍を見せた馬だが、とはいえSandownのScilly Isles Novices' Chase (G2)ではL'homme Presseに完敗しており、どこまで力をつけているかというのが焦点だろう。今回も内容的には完勝だが、とはいえG1には明らかに足りないメンバーばかりで、ここからもう一つステップアップするとなるとまだ少々わからないというのが現状である。前走Class2を勝ったPaint The Dreamが対抗角と思われていたようだが、Pic D'Orhyを追いかけるも最後は息切れして3着。12歳のCoole Codyは明らかにスピード面でついていけず大敗。今回が1121日ぶりのレースということで話題になっていたAngels Breathもいたのだが、さすがに序盤から大いに引っかかったりとさっぱりレースにならず、早々に途中棄権に終わった。
Warwick (UK) Heavy
〇 Hampton Novices' Chase (G2) 3m (Replay)
1. Galia Des Liteaux J: Harry Skelton T: Dan Skelton
前半から元気に前に行ったGalia Des Liteauxが徐々に後続を振り切ると、そのままComplete Unknownに13馬身差をつけて勝利した。Galia Des Liteauxはex-pointerでこれでChaseはBangorの牝馬限定Novices' Chase (Listed)から2勝目とした。Kauto Star Novices' Chase (G1)では早々に飛越をミスするとそのままリズムを崩して終わっていたが、今回は飛越もだいぶ良くなっておりいいレースを見せた。この重馬場も得意とするタイプのようで、飛越のミスによりリズムを崩した前走はさすがに度外視していいだろう。HurdleではEBF Paddy Power National Hunt Novices' Handicap Hurdle Finale (G3)の勝ち鞍のあるComplete Unknownは頑張ってGalia Des Liteauxについていったが、最後は振り切られ2着に終わった。内容的には馬場条件もありそうだが完敗といったところで、さすがに今回は勝ち馬をほめた方がよさそうだ。
〇 Leamington Novices' Hurdle (G2) 2m5f (Replay)
1. Grey Dawning J: Harry Skelton T: Dan Skelton
Snake Rollがある程度積極的に引っ張る展開も、勝負所からGinny's Destiny、さらにKnowsley Roadが出てくる。しかし間を割って出てきたGrey Dawningが先頭に立つと、Ginny's Destinyに5馬身差をつけて勝利した。人気のGivegaは途中で脱落し途中棄権に終わった。
Grey DawningはこれでHurdleは3連勝とした。前走はKemptonのHandicap Hurdle (Class3)を勝っているようで、あまりNovice馬らしくはないところがある。今回はSnake Rollが積極的に引っ張ったことで締まったレースが展開されたが、このレースで狭いところを割って出てきたパフォーマンスはレースレベルはともかくとしてもなかなか興味深いものがありそうだ。将来的にはHandicap路線に向かう可能性もあるかもしれない。前走Class4のNovice HurdleでMexicoを圧倒したGinny's Destinyが2着。この中で比較的重賞戦線で走ってきたのがSnake Rollで、HaydockのListedにてTahmurasから5馬身差の3着に入っている。Tahmurasはその後Tolworth Novices' Hurdle (G1)を勝つ馬で、同レースの水準がどうかというところはあるのだが、極端にメンバー的に手薄であったというわけでもなさそうだというのが正直なところだろう。Gary Moore厩舎のGivegaはやや引っかかって追走するも勝負所から脱落しての途中棄権で、ローカルの下級条件戦を圧勝してきたGary Moore厩舎の馬にはありがちな負け方である。
〇 Classic Handicap Chase (Premier Handicap) 3m5f54y (Replay)
1. Iwilldoit J: Stan Sheppard T: Sam Thomas
Warwick恒例の超長距離ハンデ戦。レースは葦毛のVolcanoがかなり積極的に引っ張るも、これにThreeunderthrufiveなどがついていく。じわじわと位置を上げてきたIwilldoitが残り2障害あたりから先頭に立つと、追い込んできたアイルランドのMr Incredibleを振り切って勝利した。
Iwilldoitは昨シーズンのWelsh Grand National (G3)の勝ち馬で、Welsh National以降今回が初の出走であった。当時は10st0lbと裸同然の軽量であったが今回は11st10lbというトップハンデに近いところまで斤量が上がっており、オッズとしても12/1とあまり高評価ではなかったようだが、見事な勝利を上げた。ChepstowとWarwickはややコース的には類似した性質を持つのだが、それでも休み明けでここまで立派なレースを見せるのだから大したものだろう。Welsh Nationalもここも重馬場での勝利だが、両馬場になっても対応が可能であるような感もあり、なかなか楽しみな存在である。アイルランドのMr Increedibleは最後追い込んできての2着で、これがWillie Mullins厩舎への移籍2戦目であった。移籍所詮はBrought Downに終わっていたが、とはいえJohn Francome Novices' Chase (G2)での2着程度しか実績のない馬をいきなりここまで走らせるのだから同厩舎の手腕というのは驚くべきものだろう。2021年の勝ち馬Notachanceが3着。それ以降勝ち星はないのだが、レースを見ていると一時期の不調はだいぶ脱してきたようだ。
Fairyhouse (IRE) Soft to Heavy
〇 Dan & Joan Moore Memorial Handicap Chase (Grade A) 2m1f (Replay)
1. Rebel Gold J: Dennis O'Regan T: Patrick Foley
葦毛のDunveganが後続をある程度引き離して逃げるも、番手でこれを追いかけたRebel Goldが途中から先頭に代わると、そのままDunveganを突き放して勝利した。
Rebel Goldはこれで2021年のBeginners Chase以来の勝利とした。基本的には16~20fくらいのHandicap Chase重賞で上位に入線してきた馬で、前走のTim Duggan Memorial Handicap Chase (Grade B)も2着に入っている。だいぶ調子もよさそうな感もあったが、今回はややDunveganが積極的に引っ張り、後続がこれを放置する中、軽量を利してこのDunveganを追いかけた積極的なレース運びもあった。11st7lbのDunveganは積極的に運んでの2着で、この馬自身は昨年の勝ち馬なのだが、その後のDublin Chase (G1)でも2着に頑張っている程度の実力馬でもある。後続は結局いまいち差を詰め切れずの敗戦で、結果的にはこの前の2頭がうまく運んだという印象のレースとなった。
1/15(日)
Punchestown (IRE) Heavy
〇 Moscow Flyer Novice Hurdle (G2) 2m (Replay)
1. Impaire Et Passe J: Paul Townend T: Willie Mullins
ゆるゆると前を走ったImpaire Et PasseがそのままThe Model Kingdomを振り切って勝利した。Impaire Et PasseはこれでMaidenから連勝とした。内容的にはなかなか立派な勝ち方で、レース運びにも特段の問題はなかったが、とはいえ2着のThe Model KingdomはここまでListedや重賞クラスでワンパンチ足りないレースを繰り返している馬だけに、メンバー的にどこまでというのは少々疑問である。ひとまずPaul Townend騎手の評価も上々なようで、レースの内容としてはともかく才能のある馬として注意しておきたい一頭である、というのが現状の評価だろう。
〇 Maiden Hurdle 2m (Replay)
1. Tactical Move J: Paul Townend T: Willie Mullins
好位で進めたTactical Moveが逃げたStellium以下を振り切り勝利した。1000日以上の長期休養馬対決はWillie Mullins厩舎の馬に軍配が上がった。Tactical Moveはこれが1158日ぶりの勝利で、Hurdleは初出走にて初勝利となる。どうやら健康上の問題によりここまで長い休養を経ていたようで、今年で9歳となる馬のHurdle初出走というのは少々驚きだろう。母はDenwomanというジョークのような名前の馬だが、この馬自身はDenmanの半妹である。Henry de Bromhead厩舎のLets Go Champはこれが1344日ぶりのレースであったが、好位から進めるも最後伸びきれず3着に終わった。
〇 Madigan Group Novice Chase (G3) 2m3f160y (Replay)
1. Impervious J: Brian Hayes T: Colm Murphy
Ha D'Orが逃げるも途中からJourney With Meが先頭に。好位から進めたImperviousが途中からJourney With Meに絡んでいくと、Journey With Meとの叩き合いを制して勝利した。
ImperviousはこれでChaseはCorkの牝馬限定重賞を含む3連勝とした。あまりここまでセン馬相手の重賞クラスでの経験はなかったのだが、メンバーが強化されたここでも結果を残したことは今後につながる内容だろう。ただしレースとしてはHeavyのNovice競走にありがちな上がり勝負で、かなり道中はゆったりとしたペースで進んでいたことには留意しておきたい。Beginners Chaseを圧勝したJourney With Meが2着。HurdleではG1の2着もあるMinella Croonerはどうにも伸びきれず、勝負所から脱落して3着に終わった。Rated Novice Chaseを圧勝したHa D'Orもいたのだが、こちらも勝負所から脱落して4着に終わった。どうにも上記のとおりレースとしてはいまいちな感もあり、大敗した2頭についても引き続き注意しておきたい。
その他
〇 Davy Russell announces shock return to riding to cover for injured Jack Kennedy (Racing Post)
先日引退を発表したDavy Russell騎手だが、Jack Kennedy騎手の離脱を受けて一時的に復帰するそうだ。Gordon Elliott厩舎にはJack Kennedy騎手の他にも有力な騎手は複数存在するのだが、どうやらDavy Russellの復帰は騎手の布陣にも大きな影響がありそうだ。Jack Kennedy騎手の不在を受けてチャンスが回ってくる可能性のあった騎手のことを考えると複雑なところもあるが、ひとまずはもう少しだけこのアイルランドの鉄人の騎乗を見ることができることを喜びたい。
〇 Emmet Mullins: 'There's no money in training - I wonder how some yards survive' (Racing Post)
昨年Noble YeatsでGrand Nationalを制したEmmet Mullins調教師のコメント。障害厩舎として金銭的に維持することの難しさを物語っている。近年は経済的な問題から廃業する厩舎が相次いでいるが、イギリス、アイルランドをはじめ欧州ではインフレが深刻であり、その動向には引き続き注意したい。
〇 Mullins aiming for historic Gold Cup and Grand National double with Noble Yeats (Racing Post)
昨年のGrand Nationalを制したNoble Yeatsは今年はCheltenham Gold CupとGrand Nationalを目標とするようだ。これまでにCheltenham Gold CupとAintreeのGrand Nationalの両方を制覇した馬は歴史上でもL'EscargotとGolden Millerの2頭しか存在せず、もしCheltenham Gold Cupを制覇すると歴史的な快挙となる可能性がある。
〇 Kdybychom do Cagnes přijeli s koňmi připravenými na 100%, tak by do konce mítinku s formou nevydrželi, říká trenér Váňa mladší (Fitmin & Turf Magazin)
先日のCagnesで成功を収めたJosef Váňa mladší調教師のインタビュー。Cagnesへの遠征に関する話が主だが、Pauへの遠征はおそらく今後は取りやめること、一部の管理馬についてはCompiegneやAuteuilへの遠征も視野に入れていることを述べている。
〇 Dostihy už se do Světlé Hory zřejmě nevrátí. Zastupitelstvo s nimi do roku 2026 nepočítá (Fitmin & Turf Magazin)
2019年に開催が行われて以来開催がないSvětlá Hora競馬場については2026年まで開催がないことが決定したようだ。Světlá Horaは2022年に開催が予定されていたが、直前で取りやめとなっていた。
〇 Letter To The Editor: Don’t Abstain From The Steeplechase Eclipse Awards Vote (Paulick Report)
Joe Nevills氏がEclipse AwardにおけるSteeplechase部門の棄権を表明したことに関するKate Dalton氏のコメント。アメリカ障害競馬界ではそこそこ話題になっているようだ。中の人はJRA賞のような何某には大した価値を見出していないので立派なことは言えないのだが、Joe Nevills氏のスタンスは単なる職務怠慢にしか思えないのだが......。