にげうまメモ

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23/02/26 Weekly National Hunt / Jump Racing

2/22(水)

Punchestown (IRE) Yielding (Yielding to Soft in places)

Quevega Mares Hurdle (G3) 2m4f100y (Replay)

1. Queens Brook J: Jordan Gainford T: Gordon Elliott

Willie Mullins厩舎のBrandy Loveが注目されていたが、これを制して勝利したのは好位から抜け出したQueens Brook。Queens Brook自身はここまで牝馬限定戦で活躍してきた馬で、昨年のClose Brothers Mares' Hurdle (G1)ではMarie's Rockから差のない2着に入っている。どうにも取りこぼすところが多いのだが、とはいえなにかと確実に上位争いには加わってくる堅実さは魅力であり、おそらく来月の大一番でも人気の一角になるだろう。中段から差を詰めてきたAnna Buninaが4馬身ほど離れた2着。Brandy Loveは差のない3着に終わった。

 

2/23(木)

Thurles (IRE) Good (Good to Yielding in places)

Michael Purcell Memorial Novice Hurdle (G3) 2m4f154y (Replay)

1. Sa Fureur J: Jordan Gainford T: Gordon Elliott

好位から進めたSa FureurがBuddy Oneとの叩き合いを制して勝利した。Sa FureurはこれでMaidenから3連勝とした。Gordon Elliott厩舎の秘密兵器的な立ち位置になる馬だが、Maidenを勝った直後の前走はRated Novice Hurdleを使っていたようで、ここでも対抗角と目されていたのが未勝利馬のKnocknard Ladyと、どうにもこの時期の重賞競走というところもあってレースレベル自体には疑問符が付く内容であった。僅差の2着に入ったBuddy OneもMiadenを勝った程度の馬で、前走はNovice戦ではなくいきなりHandicap Hurdleを使っていることを考えると、どうにもG3というには微妙な面々であることもまた正直なところである。

 

2/25(土)

Kempton (UK) Good (Good to Soft in places)

Adonis Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Nusret J: Darryl Jacob T: Joseph O'Brien

Sarsons RiskとThe Churchill Ladが逃げる展開も残り3障害地点でSarsons Riskが落馬。代わってPerseus Wayが先頭に立つも、後方からじわじわと出てきたNursretがこれを交わして勝利した。

Nusretはアイルランドからの遠征馬で、重賞はこれが初勝利とした。とはいえここまでKnight Frank Juvenile Hurdle (G2)ではLossiemouthに完敗、その後の平場戦でも完敗と、どうにもこの路線で中心的な存在とは言い難いところがある。前を走っていたPerseus Wayのミスに助けられた格好での勝利というところもありそうで、どうにも評価が難しいレースになりそうだ。ここまでイギリスJuvenile Hurdle路線では主要な活躍を見せており、前走はCheltenhamのJCB Triumph Hurdle (G2)でComfort Zoneの2着に入っていたScriptwriterもいたのだが、前半からミスを連発しておりいいところなく大敗に終わった。

 

Pendil Novices' Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Solo J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

前半からゆるゆると逃げたSoloがDatsalrightgino以下を振り切って勝利した。SoloはChaseでは重賞初勝利、KemptonではAdonis Juvenile Hurdle (G2)に続く重賞勝利とした。これがChaseでは2シーズン目となり、だいぶ飛越も良くなってきた感もある。ただしAdonis Juvenile Hurdle (G2)にて加速力を生かしてFujimoto Flyerを13馬身千切った際と同様に、やはりKemptonのような平坦なコースで瞬間的なスピードを生かすタイプといったところで、今回もマイペースで運んだことによる利もあったと思われる。Datsalrightginoは最後じわじわと差を詰めて2着。Wayward Lad Novices' Chase (G2)を勝っているBoothillもいたのだが、どうにも伸びきれず3着に終わった。

 

Coral Trophy Handicap Chase (Premier Handicap) 3m (Replay)

1. Our Power J: Sam Twiston-Davies T: Sam Thomas

Frodonもいたのだが、これを制して前に行ったのはAdam Wedgeシャドーロールが特徴的なAnnsam。Annsamはやや後続にリードを取って元気に引っ張り、隊列はかなり長くなるが、最終コーナーを回って後続が殺到。直線に入って前に出たFlegmatikがそのまま逃げ込みを図るも、これについてきたOur Powerがこれをとらえて勝利した。

Our Powerは今シーズンはAscotのLondon Gold Cup (Premier Handicap)から連勝とした。HurdleではClass2辺りのハンデ戦で活躍した馬で、今シーズンはNovice上がりとなるのだが、Noviceでも早々にHandicap Chaseに切り替えているようにおそらくこのような展開が合うのだろう。良馬場のKemptonということでやや鞍上も馬を動かしているのだが、とはいえさらに距離延長に耐えうるのであれば大きな可能性を持った馬となるだろう。Kemptonを得意とするFlegmatikが2着。11歳で12st0lbを背負ったFrodonはこの馬の形は作れなかったのだが、とはいえ最後まで頑張って走って3着に入ったようだ。この良馬場でスピードの生きるKemptonで、11歳にもなってトップハンデを背負って、それでも最後まで好位で踏ん張るというのは大したものである。

 

Dovecote Novices' Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Rubaud J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

逃げたRubaudがそのまま後続を振り切って勝利した。RubaudはこれでHurdleは3勝目とした。フランス平地競争ではPrix De Lutece (G3)にて4着もある馬だが、イギリス移籍後は下級条件戦を勝ったのみで、ようやくこれがこの馬のイギリスでの成功と言えそうだ。前走のBetfair Hurdle (Premier Handicap)はさすがに荷が重かったようだが、Noviceに戻ればこのくらいはといったところだろうか。ただ、例によってこの時期の重賞競走らしくメンバー的には全体的に小粒で、下級条件戦で連勝してきたGary Moore厩舎のHansardが一番人気であったというのもなんとも微妙なところではある。

 

Fairyhouse (IRE) Yielding (Yielding to Soft in places)

Winning Fair Juvenile Hurdle (G3) 2m110y (Replay)

1. Zenta J: Paul Townend T: Willie Mullins

Hypotenusが元気よく逃げる展開も、これを好位から追いかけたZentaが残り2障害でのミスにも関わらず勝利した。ZentaはフランスでListed Hurdleを勝ってきた馬で、これがアイルランドデビュー戦となる。勝負所でだいぶ怪しいミスがあったのだが、それでも勝ち切るのだから能力的にはだいぶ上なのだろう。フランス・アイルランド併せてもあまり経験の多くない馬だけに今後に期待したいところである。ex-flat horseのHypotenusが2着に入った。

 

Bobbyjo Chase (G3) 3m1f110y (Replay)

1. Kemboy J: Paul Townend T: Willie Mullins

やや道中は後続にリードを取って逃げたKemboyが追いかけてきたVanillierを振り切って勝利した。Kemboyはこの路線ではもはやお馴染みとなった馬で、今年で11歳となる。今シーズンもSavills Chase (G1)やDown RoyalのChampion Chase (G1)で2着に入るなど活躍を続けており、展開次第ではまだG1路線で戦うだけの力はあるようだ。Vanillierはこれが今シーズン初めてとなる好走で、2021年のAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)では強い競馬を見せたのだが、そこからはどうにもパッとしないレースが続いている。僅差の3着にはNow Where or Whenが入り、どうにも入着した面々の実績面としては微妙な顔ぶれとなった。1月にThyestes Handicap Chase (Grade A)を勝ったCarefully Selectedもいたのだが、こちらはやや勝ち馬からは離れた4着に終わった。

 

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

Prix Robert De Clermont-Tonnerre (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4400m (Replay)

1. Grandeur Nature J: David Gallon T: Arnaud Chaille-Chaille

この日から始まったAuteuil開催。Hano De Loiが前に行くもこれを制してSuriotが先頭に。そのままSuriotが引っ張るも、Gros Open Ditchにて落馬。そのまま前に出たHano De Loiが引っ張るも、最後の直線から出てきたGrandeur NatureがMetasequoiaを抑えて勝利した。

Grandeur Natureは今年で7歳になる馬で、Prix La Haye Jousselin (G1)ではFigueroの2着に入っている。どちらかというと昨年の段階では伏兵的な立ち位置であったが、今年はいいスタートを切ったことになる。Pauを使ってきたMetasequoiaが2着で、これは使ってきた分の強みもあったかもしれない。Auteuilでの経験はあまり多くはない馬で、このままレースに使い続けるのかは注意しておきたい。11歳となったPoly Grandchampは道中は絶望的な位置にいたのだが、気が付いたら上がってきて3着まで来た。しかも直線では前がふさがる不利もあり、勝ち馬とは3kg余分に背負っていたというのだから大したものだろう。Cagnes-Sur-MerでG3勝ちを収めたチェコのSuriotも出走しており、途中から先頭に立って見せ場を作ったが、Gros Open Ditchで落馬に追った。もともとAuteuilのSteeplechaseの経験もある馬なのだが、とはいえ今回は落馬の前にもミスを連発しており、さすがにもう少し慣れが必要だろう。

 

2/26(日)

Fontwell (UK) Good

National Spirit Hurdle (G2) 2m3f49y (Replay)

1. Brewin'upastorm J: Aidan Coleman T: Olly Murphy

例によって元気いっぱいGoshenが引っ張る形も、残り3障害あたりから怪しくなり後退。代わって出てきたBrewin'upastormがSceau Royal以下を振り切って勝利した。

Brewin'upastormはこのレースは2021年以来の勝利とした。昨年もBotox Hasの2着に入っているようにこの路線ではお馴染みの馬で、今年で10歳となるベテランである。ただし、今回が3度目のWind Surgeryとどうにも信用しにくいところもあるようで、G1クラスのメンバーが相手だと苦しいというのはすでにはっきりしており、ノドの状態次第で20f戦のG2クラスで好走するというのがこの馬の勝ちパターンなのだと思われる。11歳のベテランSceau Royalが2着に入り、よく言えば古豪健在、悪く言えば代わり映えのしない上位勢となった。

 

Naas (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

Johnstown Novice Hurdle (G2) 1m7f109y (Replay)

1. Corbetts Cross J: Donagh Meyler T: Emmet Mullins

好位から進めたCorbetts CrossがFound A Fiftyとの叩き合いを制して勝利した。Corbetts CrossはこれでMaidenから連勝とした。もともとはEugene O'Sullivan厩舎にいた馬で、これが転厩初戦となる。元の厩舎ではいきなりMaiden勝ちのあとに24fのHandicap Hurdleを制していたようで、ここでいきなり16fに戻してきた意図がよくわからないのだが、単なるこの時期の16f Novice Hurdleの重賞の勝ち馬というわけではないかもしれない。前走Maidenを快勝したGordon Elliott厩舎のFound A Fiftyが2着に入り、現時点ではこの2頭にさほど差はないだろう。

 

その他

2023 Grand National: 'It'll be a big ask but he's progressed well' - Noble Yeats camp confident despite 19lb rise (Racing Post)

今年のGrand Nationalの斤量が発表され、Any Second Now、Conflated、Hewickが並んで11st12lbのトップハンデとなった。Noble Yeatsは11st11lb、11st0lbl以上の馬がリスト上では20頭(Minella Timesは引退したため実質19頭)と、例年抜けた斤量を背負う馬がいたのだが、今年はそれなりに斤量としては偏りがないような分布になっているように見える。40番目としては(Minella Timesを含まない場合は)Velvet Elvisの10st6lbのようだ。

Twenty suspensions issued in first week of new whip rules (At the races)

悪評しかない新しい鞭使用規則が開始されたが、最初の1週間で合計20もの騎乗停止処分が発生、さらに1件の失格処分が発生したそうだ。この規則は猶予期間を経て導入されているが、この処分を受けたLorcan Williams騎手はCheltenham Festivalに騎乗できないことになるなど、競馬の正常な遂行に支障を来している。

D.M. Direttore Generale n. 114230 del 21/02/2023 - approvazione calendario corse ippiche periodo 1° marzo - 31 dicembre 2023 (Ministero dell'agricoltura, della sovranità alimentare e delle foreste)

今年のイタリア競馬日程が発表されているが、Milano(San Siro)では障害競馬が開催されないようだ。Grande Steeplechase Di Milano (G1)など、Milanoにおける主要競争が行われないことを意味しており、今年のイタリア障害競馬の開催数はだいぶ減少することになる。San Siroは昨年から改修工事を行っており、その完成予想図には障害コースが含まれていたのだが、なにか変更があったのだろうか。

Názor: Přežije hřebčín Napajedla? Jde o hodně, mlčení je nepřijatelné (Jezdci.cz)

Ke konci hřebčína Napajedla (Equichannel.cz)

最近閉鎖が発表されたHřebčín Napajedlaの経緯に関する分析記事。チェコ国内の競争馬生産産業に関しても参考になる内容である。facebookには同牧場の継続を目的としたグループが立ち上がっている。いずれにせよ、少なくとも某公益財団法人が性懲りもなく和訳している(わりと低質な)記事よりかは良いだろう。

Return of the Fair Hill Races Still on Hold (Far Hill Foundation)

Far Hills FoundationとMaryland州との土地使用に関する議論が遅れているため、5月の開催が中止となるそうだ。Far Hillsは2019年に大規模な再建工事が行われており、10月にはGrand National Hurdle Stakesをはじめとする主要競争の開催が予定されている。