にげうまメモ

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23/03/12 Weekly National Hunt / Jump Racing

3/11(土)

Sandown (UK) Heavy (Soft in places)

European Breeders' Fund Betfair 'National Hunt' Novices' Handicap Hurdle Final (Premier Handicap) 2m3f173y (Replay)

1. Crambo J: Connor Brace T: Fergal O'Brien

前々で進んだCramboがいったんは前に出たInnestonとの叩き合いを制して勝利した。CramboはこれでHurdleは4戦3勝とした。昨年12月のChallow Novices' Hurdle (G1)ではノドの影響もあったのか途中棄権に終わっているが、それ以外は勝利をあげている。Saddler Makerらしいパワーのある走りが特徴的で、やや行きたがって走るきらいはあったものの11st5lbを背負っての勝利は価値があるだろう。ただし、Cheltenham直前のPremier Handicapということは若干考慮しないといけなさそうだ。Doctor Dino産駒のInnestonが2着に入り、なんともパワーの溢れるフランス血統らしい馬が上位を占めた。

 

Imperial Cup Handicap Hurdle (Premier Handicap) 1m7f216y (Replay)

1. Iceo J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

後方からじわじわと進めたIceoがKnickerbockergloryを振り切って勝利した。Iceoは昨シーズンはJuvenile Hurdleを使っていた馬で、KemoptonのDovecote Novices' Hurdle (G2)にてAncunrisqueの4着もある。Novice卒業後はこれが初勝利だが、やはり実績的には馬場は重くなった方がよさそうで、このあたりもCoastal Path産駒らしい馬ともいえそうだ。Chaseから出戻りとなるKnickerbockergloryが2着。前々で運んだPlayful Saintが3着に入った。

 

Betfair Daily Multiples Offer At Cheltenham Novices' Handicap Chase (Premier Handicap) 2m4f10y (Replay)

1. Hudson De Grugy J: Jamie Moore T: Gary Moore

昨年はListedだった競走だが、今年はPremier Handicapに格上げになったようだ。2019年はClass3であったことを考えれば出世ぶりは大したものだが、とはいえPremier Handicapとはいえ5頭しか集まらなかったのは微妙なところではある。レースは好位から進めたHudson De GrugyがQuel Destinとの叩き合いを制して勝利した。Hudson De GrugyはこれがChase初勝利となる。HurdleでもClass2での勝利程度の実績しかない馬で、ここまでChaseでもClass3でいまいちなレースを続けていたということを考えると、どうにも10st5lbの軽量に助けられた結果と考えた方がよさそうだ。11st2lbのQuel Destinが2着で、HurdleではCoral Finale Juvenile Hurdle (G1)の勝ち星はあるのだが、同レース自体その後格下げとなっていることを考えると、あまりここからどうこうということはなさそうな印象である。

 

Auteuil (FR) Collant (4.3)

Prix Duc D'Anjou (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3500m (Replay)

1. Juntos Ganamos J: Felix De Giles T: David Cottin

前々で運んだJuntos Ganamosが付いてきたGliath Du Rheuを振り切って勝利した。Juntos Ganamosは昨年11月のPrix Congress (G2)の勝ち馬で、Steeplechaseは2戦2勝とした。Martaline産駒らしいパワーのある走りが特徴的で、スプリントを掛けてからのスピードは番手にいたGoliath Du Rheuを凌駕していた。Castle Du Berlais産駒のGoliath Du Rheuが2着で、Prix Congress (G2)でもJuntos Ganamosに敗れていたのだが、今回も同様の敗戦となった。今回は4kgの斤量差があったのだが競り負けている辺り、この2頭のスプリント能力にはやや力量差があるように感じる。

 

Hanshin / 阪神 (JPN) Good to Firm

The Hanshin Spring Jump / 阪神スプリングジャンプ (G2) 3900m (Replay)

1. ジェミニキング J: 小野寺祐太 T: 服部利之

昨年の中山大障害を制したニシノデイジーの復帰戦ということで注目が集まっていた。レースは前半からロードアクアがゆったりと逃げる展開で、どうにも引っかかり気味のニシノデイジーはじわじわと好位まで取りついていく。襷コースを抜けた辺りから逃げるロードアクアに対してマイネルレオーネが接近するも、馬群を縫ってジェミニキングが進出。ジェミニキングが前で踏ん張るロードアクアを振り切って勝利した。

ジェミニキングは重賞は初勝利とした。昨年9月の清秋ジャンプステークスを勝った馬だがその後は2戦続けて競争中止に終わっており、中山新春JSで3着に入るも、メンバーが揃ったここでは人気を落としていたようだ。どうにも前掛かりにロードアクアを捉えに行った馬が多い中、その多くはロードアクアに振り切られているというレースの性質は気になるところで、結果的にはワンテンポ遅らせて馬群を縫ってロスなく出てきた小野寺騎手の好騎乗が目立つ内容となった。中央平地では未勝利の馬だが、3900mと距離延長でパフォーマンスを上げてきたことは楽しみな内容だろう。全体的にex-flat horseらしい無駄な仕草が多い馬が目立つ中、障害馬らしい淡々としたレース運びは好印象を持てるものであった。逃げたロードアクアは惜しい2着で、これが障害5戦目の馬としては十分な内容だろう。ニシノデイジーは道中は引っかかって好位まで出てきたりとチャンピオンホースらしからぬちぐはぐなレース運びで、このレース運びで最後脚を伸ばしているのは大したものなのだが、本番に向けては相変わらず乗り難しさが目立ちそうだ。イルミネーションJSの勝ち馬ミッキーメテオは好位から進めるも最後は振り切られて4着。中山大障害の2着馬ゼノヴァースは5着で、この馬は中山に代わって再度期待したい。

 

3/12(日)

Limerick (IRE) Soft (Soft to Heavy in places)

Shannon Spray Mares Novice Hurdle (G3) 2m6f (Replay)

1. Eabha Grace J: Conor McNamara T: Willie Mullins

Feddansが逃げる展開も途中からHarmonya Makrerが先頭に。しかし残り2障害あたりから前に出たEabha GraceがHauturiereを退けて勝利した。

Eabha GraceはこれでHurdleではMaidenから2勝目とした。前走は牝馬限定のNovice Hurdleを使っていたのだがそこではHauturiereから遥か後方に敗れており、距離延長で逆転に成功したことになる。とはいえPunchestownからLimerickへの変更、さらに馬場もさほど大きく変わっていないということもあって、いまいちなにがこの馬にとって良かったのかはわからない。そのHauturiereが差のない2着に入った。Gordon Elliott厩舎のHarmonya Makerも人気になっていたようだが、2戦連続で落馬に終わった。

 

Naas (IRE) Soft

Kingsfurze Novice Hurdle (G3) 1m7f89y (Replay)

1. Irish Point J: Davy Russell T: Gordon Elliott

するすると逃げたIrish PointがNo Looking Backを振り切って勝利した。Irish PointはこれでMaidenから2勝目とした。ここのところは16fのNovice HurdleのG1を3戦連続で使っており、そのいずれでもなかなかに上位争いをしていたのだが、Cheltenhamではなくこちらに向かってきたというのは気になるところだろう。いずれにせよ、Punchestownを含め今後の活躍を期待したい。Kew Gardens Hurdle (G2)でBrazilを下したNo Looking Backが2着と、この時期の重賞としてはメンバーが揃っていないというわけでもないのは面白いところだろう。

 

Directors Plate Novice Chase (G3) 2m4f (Replay)

1. Journey With Me J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

前々で引っ張ったJourney With MeがLimerick Laceを振り切って勝利した。Journey With MeはこれでChaseは2勝目とした。前走はPuncehestownのMadigan Group Novice Chase (G3)にてImperviousから僅差の2着に入っており、実績的には格上の馬ではある。ただしどうにも飛越がまだいまいちなところがあるようで、このあたりは向上を期待したい。スタート地点ではやや難しさを出していたLimerick Laceが2着。ハンデ戦からこちらに向かってきたというのは興味深い試みで、今回はJourney With Meがマイペースで運んだということもあったが、注意しておきたい馬ではある。Chase2戦目となるSaldierもいたのだが、早々に後退し途中棄権に終わった。

 

Leister National Handicap Chase (Grade A) 3m126y (Replay)

1. Espanito Bello J: Mr. Michael O'Sullivan T: Barry Connell

Regina Draconesが前を伺うも飛越が安定せず、Milan NativeとWaitnseeが引っ張る展開となる。残り5障害辺りから後続が殺到し馬群は密集して進行するも、ここにCaptain CJ、Espanito Belloが進出。残り2障害あたりから抜け出したEspanito BelloがHistory of Fashion以下を振り切って勝利した。

Espanito BelloはChaseはこれで2勝目とした。Novice時代にはTen Up Novice Chase (G2)にてCoko Beachの2着もあるのだが、重賞は初勝利となる。ChaseではほぼNaasでのみ結果を残しているというCourse Specialistで、ひとまず11st4lbを背負って強い競馬はしているのだが、他のコースで同じ競馬ができるかというと微妙なところもある。10st3lbの軽量馬History of Fashionが2着。トップハンデのGabbys Crossは散々前が壁になっており、最終障害もミスしたりとレース運びとしては完全に落第点なのだが、それでも3着まで頑張ってきたことは大したものである。

 

その他

David Cottin suspendu 12 mois par France Galop (France Sire)

French trainer David Cottin facing 12-month ban over case of four horses injected with steroid (Racing Post)

以前禁止薬物の使用が問題となったDavid Cottin調教師に対する厳しい制裁が発表され、12カ月の長期にわたるレースへの参加が禁止されることになった。David Cottinは成功した障害騎手で3度のリーディングに輝いているが、27歳の若さで騎手を引退し、その後は調教師としてEasyslandをはじめとする多数の成功を収めていた。

Cheltenham Festival fan village ditched after only 16 bookings for 300-place facility (Racing Post)

Cheltenham Festivalで話題になっていたトラックの荷台ホテルだが、300の宿泊施設のうち16カ所しか予約されなかったことから中止になったようだ。ただし、どうやら2024年にも設置する計画はあるらしい。

'They all think I'm mad' - 66-year-old becomes oldest winning rider in Ireland for a century (Racing Post)

LimerickのBumperにてTeuchters Gloryに騎乗して勝利したLiam Burke騎手はこの1世紀ほどで勝利した騎手の中で最年長となるそうだ。今年で66歳になったこの騎手が最後に勝利したのは1988年の6月のようで、これがなんと35年ぶりの勝利だそうだ。

Zazou beze stopy zmizel. Noční únos Kadyrovova hřebce šetří policie (Jezdci.cz)

2010年のDeutsches Derby (G1)で2着に入り、2011年のPremio Roma (G1)等の勝利のあるZazouはその後チェコ種牡馬入りしているが、先週の土曜日から行方不明のようだ。Zazouはチェコでは人気のある種牡馬で、平地ではどうやら成功した産駒を収めているようだが、どうにも資産凍結の制裁が科されているチェチェン共和国の首長Ramzan Kadyrovの持ち馬であり、1年前にも怪しいロシア語のを話す男が馬を連れ去りに来ていたりと、なかなかにきな臭い話もあるようだ。ちなみにRamzan Kadyrovはこの事件に関して声明を発表している。なお、海外障害競馬情報では微塵も役に立たないことで有名なJRA-VAN Worldにもこのニュースは掲載されているのだが、Ramzan Kadyrov関連の記載がごっそりと省略されている辺りは意図的なのだろうか。

Zabudnuté mená: Disturbance (turf.sk)

1873年の英Grand Nationalの勝ち馬Disturbanceに関する記事。どうやらハンガリーオーストリアに移籍していたこともあるようで、当時の欧州障害競馬の様相を伺うことができる記事となっている。

Vydané propozice potvrzují další pokles počtu dostihů i cen. Navzdory pardubickému navýšení (Fitmin & Turf Magazin)

チェコ2023年の競馬日程が発表され、年間のレース数や賞金額の減少が認められるようだ。特に近年最大となる2000年には567もの競走が行われたようだが、今年のレース数は372と、約35%程の減少となっている。昨年と比べても23競走の減少となっており、その状況としては決して芳しいものではない。

英愛仏障害競馬調査(2021) (note)

はんまー(@HammerofKuchibu)氏による2021年のイギリス・アイルランド・フランス障害競馬の開催状況とその内訳、落馬率等の調査結果。各国障害競馬の性質及び現在欧州障害競馬において生じている現象並びに問題等を考察するうえでベースとなる非常に有用な統計情報等が提示されている。