にげうまメモ

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23/06/04 Weekly National Hunt / Jump Racing

5/29(月)

Ballinrobe (IRE) Good

〇 McHale Orbital Flat Race 2m108y (Replay)

1. Mystical Power J: Mr Patrick Mullins T: Willie Mullins

好位を追走したMystical PowerがPerfect Nelson以下を振り切って勝利した。Mystical PowerはあのAnnie Powerの初年度産駒で、これがデビュー戦となる。どうやらアイルランドではお馴染みのJP McManusの勝負服で走ることになっているようだが、所有者としてはJohn Magnier及びSusannah Ricciの共同馬主となっているようだ。ひとまずシーズンオフにはありがちな良馬場でのレースということで着差は付かなかったが、とりあえずは楽しみな馬がデビュー戦を飾ったということを素直に喜びたいものである。

 

6/3(土)

Merano (ITA) Tempo Coperto Terreno Morbido

Criterium Di Primavera (G2) Euro 50,050

per cavalli di 4 anni (Siepi - GRUPPO II - Fantini) 3500m (Replay)

1. Don't Dream J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

4歳限定SiepiのG2競走。レースは前半からCosta Ricaが引っ張る展開も、Aslano、Don't Dreamがついていく。ここから抜けてきたDon't DreamがAslano、Costa Ricaをしのいで勝利した。

Don't DreamはこれでSiepiはPremio Dei Giovani (Listed)を含む3勝目を挙げた。前走はSteeplechaseのCondizionataに挑戦していたようだが、今回は再度Siepiに戻して来たことになる。元々平地ではチェコで実績を残してきた馬のようで、このままSiepiを使うのかは不明だがここまでの4歳路線とは異なる路線からきた馬ということもあって楽しみな存在になりそうだ。前走Popeの3着に入ったAslanoが2着。その2着に入っていたCosta Ricaが3着ということで、前3頭はさほど差はなさそうだ。今回は不在であったPopeも含めて引き続き4歳Siepi路線の上位馬として頑張ってくれそうだ。

 

Gran Corsa Siepi D'Italia (G1) Euro 60,000

per cavalli 5 anni ed oltre (Siepi - GRUPPO I - Fantini) 4000m (Replay)

1. Mauricius J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

レースは積極的にZaniniが引っ張る展開で、これについていくのがMauriciusとSkins Rock。Zio Reginaldo、Linovskyは早々に遅れる。そのままZaniniが軽快に逃げ込みを図るも、これについていったMauriciusが直線抜け出すと、そのままZaniniに7馬身差をつけて快勝した。

MauriciusはこれでPisaのGran Corsa Siepi Nazionale (G1)を含む4連勝とした。昨年のこのレースでは落馬といまいちうまくいかなかったのだが、今年は名実ともにイタリアSiepi最強馬としての活躍を見せている。残念ながらMilano競馬場の障害競争が今年は行われていないため上半期のタイトルはこの二つに留まっているのだが、本来であればMilanoのG1も含めて総なめしてもおかしくない勢いである。昨年のGran Corsa Siepi Di Merano (G1)を勝利したZaniniが2着だが、ここ2戦はややMauriciusに水をあけられる結果となっている。Steeplechase帰りのZio Reginaldoはどうにも前3頭にはついていけず、やや遅れた入線となった。

 

Aarau (SWI)

Grosser Preis Des Kantos Aargau

Jagdrennen Fr. 15,000 4200m (Replay)

1. Fou De Reve J: Ivan Cherchi T: Josef Stadelmann

この日のAarauの出馬表はAarau競馬場公式サイトが詳しい。複雑怪奇なAarauのCross Countryの見取り図を含め、レースの紹介等も記載されている。レースはFou De Reveが引っ張る展開で、チェコのGreek Dessertは好位から。途中からGreek Dessertは押して前に出てくるも、再度盛り返してきたFou De Reveがこれを捉えて勝利した。

Fou De Reveは例によってもともとフランスにいたAQPSで、2021年にはCross Countryで善戦を続けていた。スイスでの戦績は2022年からで、その中ではDielsdorfのGrosser Preis Der Stadt ZürichでチェコのMolly Powerの2着に入るなど活躍している。ただ、面白いことに今年2月にはSt MoritzのSkikjöringにも挑戦していたようで、スイスの馬の使い方というのはなかなか興味深いものがありそうだ。フランス時代の実績が示すようにGreek Dessertと違って瞬間的なスピードに優れたタイプではなさそうだが、かえってこのようにだらだらと加速するタイプの方がスイスでは合うのかもしれない。ここまでWroclaw、Pardubiceで6戦無敗のGreek Dessertは惜しい2着。今年若干5歳の馬がスイスの大舞台でここまで戦えるというのは素晴らしいことだろう。Gandango、EleganzaのJürg Lagmeier陣営の2頭はやや遅れた。

 

6/4(日)

Merano (ITA) Tempo Piovoso Terreno Morbido

Grande Steeplechase Di Roma - Memorial Mario Argenton (G2) Euro 30,000

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross Country - GRUPPO III - G.R. -Amazzoni-Fantini) 5000m (Replay)

1. Gap Pierji J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

"Grande Steeplechase"という名前がついているが、実質的にはMeranoのCross Countryにおける春の大一番となる。レースはJan FaltejsekのAlmost Humanが積極的に引っ張る展開で、好位からBrunch Royal、Gap Pierji。途中の急カーブで滑ってZubienaが落馬。Gap Pierjiはじわじわと差を詰めると、最後の直線で前に出るとそのままAlmost Humanを突き放して勝利した。2着にはWhite Woodが上がった。

Gap Pierjiは昨年のPremio Delle Nazioniでは落馬に終わっていた馬だが、その後はWroclawのCrystal Cupで2着、さらにその後はフランスに遠征していたようで、MeranoのCross Countryはやや久々のレースとなる。とはいえ久々のこのコースであったが特段飛越には問題はなく、フランスで力をつけてき7歳馬ということでなかなか興味深い馬になりそうだ。逃げたAlmost Humanは最後Jan Faltejsekが後ろの馬に気が付かずに手綱を緩めたことによる2着。どうにも抑える競馬を試みるようなところもあったのだが、今回のレースを見る限りではやはり気分良くいかせた方がよさそうだ。イタリアのWhite Woodが2着。Brunch Royalは大敗に終わったが、どうにも途中の急カーブで滑ってからはリズムを崩しており、今回のレースはやや度外視した方がよさそうだ。ただ、ZubienaもBrunch Royalと同じ個所で滑っていたようで、馬場コンディションには一考の余地がありそうだ。

 

Premio Ezio Vanoni (G2) Euro 44,000

per cavalli di 4 anni (Steeplechase - GRUPPO II - Fantini) 3800m (Replay)

1. Ramuntcho J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

元気にRamuntchoが引っ張る展開で、これにBurschiが絡んでいくも勝負所で落馬。そのままRamuntchoがLady In The Lake以下を振り切って勝利した。

RamuntchoはPisaのNeni Da Zara (G3)に続く重賞勝利とした。前走のMeranoのCondizionataではBurchiに敗れていたが、今回はきっちり結果を残したことになる。前走も敗れたとはいえ1.5kgのビハインドがあった状態で、4歳世代におけるSteeplechase路線では頭一つ抜けた存在と考えてよさそうだ。そのBurschiも手ごたえ良く運んだが、勿体ない落馬に終わった。内容的にはやはりRamuntchoに次ぐものを見せていたようで、引き続き期待したい。Lady In The Lake、Sopran MisteryはやはりRamuntcho相手だと苦しいようで、やや遅れた入線となった。

 

Grande Steeplechase D'Europa (G1) Euro 65,000

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - GRUPPO I - Fantini) 4600m (Replay)

1. First of All J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

上半期のイタリアSteeplechaseを締めくくる大一番となる。このレース5連覇がかかるNotti Magicheが出走していたが、人気の中心は主にFirst of All、Gangster De Coddesの7歳馬コンビが集めていた。レースは前半から元気にGangster De Coddesが引っ張る展開で、これに唯一ついていくのがFirst of All。Haad Rin、Notti Magicheなどは早々に遅れる。First of Allは軽快に逃げるGangster De Coddesを見ながらレースを進めると、最後の直線でこれを捉えると、Gangster De Coddesに9馬身差をつけて勝利した。3着にはHaad Rinが上がった。Notti Magicheは4着まで。

First of Allは前走のListedから連勝とした。前走のListedではL'Estranに対して10馬身差の圧勝を見せており、現時点ではGran Premio MeranoにおけるL'Estranの偉業を阻む可能性のある最有力候補といったところだろう。昨年のGran Premio Meranoで2着争いを繰り広げたGangster De Coddesに対してここまで着差をつけるのはやはり驚くべきことで、もともと持っていたスピード能力を生かしつつ本格化の兆しを見せている。そのGangster De Coddesはやはりいいスピードを見せての2着。現時点ではこの馬のペースについていけるかということがMeranoのSteeplechaseの大舞台における前提条件となっている。ポーランドのHaad Rinはしぶとく走っての3着。MeranoのSteeplechase Specialistに対して、全く性質の異なるWroclawのSteeplechase出身の馬がこれだけ戦えるというのは素晴らしいことだろう。ポーランドのチャンピオンとして堂々たる走りであった。13歳となったベテランNotti Magicheは立派な4着で、さすがにGangster De Coddesを相手にしたスピードを求められると厳しいようだが、とはいえやはり飛越の安定ぶりはここでも目立っていた。Ocean Life 、Sky Constellationはいずれもだいぶ遅れての入線で、特に唯一のイタリア調教馬Sky Constellationは途中から完全に脱落してのレースと、イタリア調教馬の出走があったこと自体は喜ばしい内容だが、今回もイタリア調教馬の苦戦が目立つ結果となった。

 

Wroclaw (POL) płotowy - lekki (2.3); przeszkodowy - lekki (2.4); 

〇 Nagroda 20000 zł

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych. Międzynarodowa gonitwa z płotami dla 4-letnich i starszych koni. 4000m (Replay)

1. Noble Eagle J: Pavel Peprna T: Janusz Kozłowski

Toyamaがゆるゆると逃げる展開も、好位からじわじわと進出したNoble Eagleがこれとの叩き合いを制して勝利した。Noble Eagleは昨年のWielka PartynickaにてDominiqueを下してきたポーランド調教馬で、これが今年の初戦となる。今回は75kgとかなり抜けたトップハンデを背負っていたが結果を残した。ポーランドHurdleの代表として今年も楽しみな存在になりそうで、なかなか強力なチェコ調教馬に押されがちなところはあるが頑張って欲しいところである。2019年のポーランドダービーでも6着に入った実力馬で、現時点でもどうやら未去勢のようだ。どうにも名前が気になるToyama*1*2*3が2着に入った。64kgの軽量とはいえ平地で2戦していずれも最下位に終わった4歳牝馬がHurdle初戦でNoble Eagle相手にここまで戦えるというのは素晴らしいことで、Hyperionの直系でポーランドで活躍したGolden Tirolの産駒と、なんとも血統的にもロマンがありそうな存在である。

 

Nagroda Wrocławska Trial 24000 zł

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych. Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 4300m (Replay)

1. Reggaeton J: Pavel Složil mł. T: Hana Kabelková

レースはかなりゆったりとしたペースでSophistが引っ張る展開も、早々にAmbrosiusが落馬。全体的にもたもたと飛越していたこと、さらに空馬が絡んできた影響もあったのか、序盤のに連続障害でSophist及びReggaetonの2頭の除いて落馬。残った2頭のレースはReggaetonに軍配が上がった。

ReggaetonはこれでWroclawのSteeplechaseは3連勝とした。今年5歳となる馬で、今回は同い年のライバルFrench Chardonnayがいなかったということはあるのだが、とはいえ若い上がり馬としてはなかなか面白い存在だろう。ただしやはり前半のアクシデントでレースとしてはどうにも残念なものになってしまったという感もあり、実力馬Swinging Thomasの回避があったことも踏まえると、あまりここからどうこうということは考えにくいというのが正直なところである。