12/24(火)
Cagnes-Sur-Mer (FR) Tres Souple (3.9)
〇 Prix Du Comte De Nice (Listed)
Steeplechase Pour tous chevaux de 4 ans et au-dessus. 4200m (Replay)
1. Le Roi David (FR) J: Felix De Giles T: Mickaël Seror
Le Roi DavidがGreymなどを引き連れて前に行く展開で、やや前半は隊列が長くなる。そのまま後半になって馬群が密集するも、ここから再度抵抗したLe Roi DavidがGreym以下を振り切って勝利した。
Le Roi Davidは前走のCagnes-Sur-MerのClasse1から連勝とした。春の段階ではAuteuilのHaiesのListed競争に参戦したようだが、秋は早々にCompiegne及びFontainebleauに転戦している。5歳馬であるがSteeplechaseの経験は多くはなさそうで、Steeplechaseで仕切り直しという形になりそうだ。同じく5歳馬のGreym、後方から進めたNyiri、Kamyador、さらにチェコのMandinkoと、1~5着はすべて5歳馬が占める結果となった。ただしTres Soupleとこの時期のCagnes-Sur-Merにしては良馬場で、全体的にスピードが生きたという可能性もありそうだ。チェコからはSuriotも参戦していたがこちらは最後脱落して7着。10歳とだいぶ年齢は重ねているが、1年半の休養明け2戦目としては進境のある内容で、馬場がさらに重くなればチャンスはありそうだ。
12/26(木)
Aintree (UK) Soft (Good to Soft in places)
〇 Formby Novices' Hurdle (G1) 2m209y (Replay)
1. Potters Charm (IRE) J: Sam Twiston-Davies T: Nigel Twiston-Davies
濃霧の中で行われたAintree開催。Roadlesstravelledが前に行きこれにCeltic DinoやPotters Charmなどが絡んでいく。さらにその後ろから接近したMiami Magicが前に出てくるも、これをPotters Charmがしのいで勝利した。
Potters CharmはこれでHurdleは4戦4勝、Under RulesにおいてはNHFも含めると5戦無敗とした。濃霧でレースの状況が分かりにくいが、どうやら途中からCeltic Dinoがだいぶ強気に前に出ていたようで、結果的に後方にいたGood And Cleverが3着まで浮上していることを考えると前々で張り続けたこの馬のパフォーマンスはなかなかいいものがありそうだ。KemptonのClass4を圧勝して挑んできたMiami Magicが2着だが、より厳しいレースをしたという点では勝ち馬に分があるだろう。道中は後方に置かれていたGood And Cleverが3着に浮上したようだが、濃霧でどうにも後ろの様相はよくわからない。
Kempton (UK) Good (Good to Soft in places)
〇 Kauto Star Novices' Chase (G1) 3m (Replay)
1. The Jukebox Man (IRE) J: Ben Jones T: Ben Pauling
昨年はフランスのIl Est Francaisが圧勝したレースだが、今年はフランスからの参戦はなく5頭立てとなった。レースはNicky Henderson陣営のHylandが前に行く展開も、昨年のような大逃げの格好にはならず馬群は固まって進行。好位にいたThe Jukebox ManがそのままHylandをとらえて前に出ると、2着に2馬身半差をつけて快勝した。
The Jukebox ManはこれでChaseは2戦2勝とした。Novice HurdleではAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)でKielan Woods騎手の巧みな逃走劇によりStellar Storyの僅差の2着に入った馬であるが、今回はそのようなテクニカルな戦術ではなく真っ当なレース運びで快勝とした。ただしスピードの違いを見せつけて圧勝した昨年のIl Est Francaisと異なり、今年は24fのNovice Chaseらしいスローペースからの我慢比べという常識的なレースの範疇に収まっており、レース水準という点では引き続き注意が必要だろう。CheltenhamのListed競争を勝利したHylandが2着だが、この馬は5月からChaseを使っている完成度の高い馬で、内容的には現時点での完成度という利もあった。HurdleではHandicap戦線を使ってきた経歴があり、やはりNovice ChaseのG1競走という点での水準としては慎重に検討したほうがいいかもしれない。
〇 Christmas Hurdle (G1) 2m (Replay)
1. Constitution Hill (GB) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson
約1年ぶりの実戦となるConstitution HillとLossiemouthの対決ということで注目が集まっていた。レースは4歳のex-flat horseであるBurdett Roadがかなり積極的に飛ばす展開も、Constitution Hillがこれについていく。そのままConstitution Hillが残り2障害あたりから抜け出すと、Lossiemouthに2馬身差をつけて勝利した。
Constitution Hillはここまで健康上の問題やWind Surgery等でどうにも順調さを欠き、結果的に昨シーズンはこのChristmas Hurdle (G1)のみの出走にとどまっていたのだが、今回は改めてこの馬の強さを見せる内容となった。良馬場で平坦なKempton ParkということでスピードのあるBurdett Roadに対してやや騎手が動かしていくそぶりもあったのだが、復帰戦としてはこれで合格点だろう。Cheltenham替わりはこの馬にとってはプラスと考えられること、及び一度実戦を使ったことによる上積みが期待されることを踏まえると、なんとか今年は無事に行って欲しいものである。アイルランドのLossiemouthはここまで16fの一線級のスピードが要求されるレースへの出走歴はなく、やや前半は追走に苦労するような面もあったのだが、後半はリカバリーしてConstitution Hillに対して2馬身差まで迫る走りを見せた。この馬にとってはBurdett Roadが作る良馬場のペースを追走した経験を得たということは大きな収穫であり、もしCheltenhamのChampion Hurdleに向かうのであればConstitution Hillを脅かす存在になり得るだろう。Dual Purpose HorseのBurdett Roadは最終障害で大きなミスがあり、そこから後退してConstition Hillから9馬身差の3着に終わった。ミスがなければもう少しLossiemouthに迫ることができた可能性もあり、これは大健闘の内容だろう。Fighting Fifth Hurdle (G1)で2着に入ったLump Sumは勝負には加われずの4着となった。
〇 King George VI Chase (G1) 3m (Replay)
1. Banbridge (IRE) J: Paul Townend T: Joseph O'Brien
Il Est Francaisをはじめ、Juntos Ganamos、General En Chefと、フランスSteeplechaseのG1クラスで勝ち負けが可能な一線級が参戦していた。レースはそのIl Est Francaisが後続を大きく引き離して逃げる展開で、番手からThe Real Whacker、Bravemansgameなどが追走。Il Est Francaisの逃げ足は衰えずそのまま大きなリードを取って直線に向くが、直線に入って後方からBanbridgeただ一頭が接近。最終障害でBanbridgeが前に出ると、そのままIl Est Francaisを振り切って勝利した。
Il Est Francaisは昨年のKauto Star Novices' Chase (G1)をはじめフランスでも圧倒的なスピードを武器に他を圧倒してきた馬で、今回もそのようなスピードを見せる内容であった。一方でかなり前向きに走った影響かゴール直前では失速気味であったようで、結果的に16f Chaseのスピードにも対応してきたBanbridgeが浮上する結果となった。BanbridgeはここまでManifesto Novices' Chase (G1)やPunchestownのChampion Chase (G1)など16~20fで結果を残してきた馬であるが、今シーズンはアイルランドの16f Chaseの重賞を2戦するもいまいちな結果に終わっていた。16f Chaseの一線級のスピードを要求されるとやや厳しいようだが、一方でそれ以上の距離であればこの馬の持ち前の持久力が生きるようで、結果的にIl Est Francaisの作り出したペースはこの馬にとっては与しやすいものとなった。今シーズン16f戦を2走してきたこともはまった要因と思われるが、これが意図的なのか偶然なのかはよくわからない。
フランスのIl Est Francaisはゴール直前で捕まって2着。最終障害の踏切が合わなかったことでBanbridgeに前に出られた点が悔やまれる内容だが、この馬のやることはやったレースと言えるだろう。ただし良馬場のKemptonだから24fを走りきることができたという可能性も想定され、もしかすると本質的には20f程度のほうが良いのかもしれない。約1年ぶりのなったL'homme Presseが最後3着に浮上。前からはだいぶ置かれたが、1年ぶりのレースとしては上出来だろう。前を追いかけたThe Real Whacker、John Durkan Memorial (G1)で2着に入ったSpillane's Towerと入線。Envoi Allenは後半で落馬に終わったが、その時点で当初つけていた好位からだいぶ脱落していた。ここまでこのコースではさっぱり良績がなく、本質的にKemptonは合わないものと思われる。Bravemansgame、Grey Dawningと比較的期待されていたイギリス勢はいいところなし。Juntos Ganamos、General En Chefの2頭もいいところがなかったが、いずれもMartaline産駒の重戦車のような走りを特徴とする馬で、良馬場のKemptonは明らかに適性外であったと思われる。
Wincanton (UK) Good to Soft
〇 Pertemps Network Handicap Hurdle (Class 2) 3m150y (Replay)
PU Ike Sport (FR) J: Oisin Murphy T: Neil Mulholland
日本でも実績のある平地騎手Oisin Murphyが障害初騎乗ということで参戦していたが、後方から進めるも残り3障害地点で途中棄権に終わった。ただしレースの内容としては馬群の後ろである程度我慢しながら進めるもので、飛越技術に関しても特段問題はなかったと思われる。Oisin Murphy自身は馬術競技への参戦歴もあるそうで、引き続き障害競馬への参戦を期待したい。勝ったのは2023年のAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)以来の実戦となるThomas Morという馬で、実績的にはだいぶこれからまだ伸びしろのありそうな印象がある。そのAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)を勝ったStay Away Fayも出走していたが途中棄権に終わった。昨シーズンはNovice CHaseに参戦し期待されていたのだが、シーズン後半は途中棄権が連続しており、夏に2回目のWind Surgeryを行っている。今回は復帰戦であったがいいところはなく、健康状態が不安な始動戦となった。
Leopardstown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)
〇 O'Driscolls Irish Whiskey Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)
1. Hello Neighbour (IRE) J: Keith Donoghue T: Gavin Cromwell
Sony BillがMurciaを制して前に行く展開で、これにHello NeighbourやWilly De Houelleなどが好位から進める。最終障害手前で前に出たHello NeighbourがLady Vega Allenを制して勝利した。
この日のLeopardstownは濃霧で途中でレースの進行が中断される等の支障が生じていたようだ。Hello NeighbourはHurdleは初参戦であるがいいレースを見せた。平地競争ではここまで10~14f戦の計2戦を消化しており、いずれも勝利を収めている。この時期の3歳戦ということであまり信頼はしにくいところもあるのだが、とはいえHurdle初参戦で結果を残したというのは立派だろう。フランスのMoulinsでHaies競争を勝利した移籍馬Lady Vega Allenが2着。やや離れてSony Bill、Naturally Nimbleと続いたようだが、どうにも例によって濃霧でレースの内容がよくわからない。フランスで実績のあるWilly De Houelleは全体的に引っ掛かり気味にレースを進め、おそらく終盤脱落したものと思われる。どうにもアイルランド移籍後はちぐはぐな競馬に終わっており、Beaumec De Houelle産駒の牡馬をわざわざ去勢してまでアイルランド移籍したにしては残念なレースが続いている。
〇 Long Distance Novice Chase (G1) 3m100y (Replay)
1. Croke Park (IRE) J: Sam Ewing T: Gordon Elliott
今年からスポンサーがRacing Postに代わったようで、レースの名称も変更されている。レースはStellar StoryとCroke Parkの2頭が前に行くも、4頭立ての24f戦ということでレースはのんびりと進行。そのまま抜け出したCroke ParkがBetter Days Aheadを制して勝利した。
Croke ParkはこれでDrinmore Novice Chase (G1)を含めChaseは3戦3勝とした。HurdleのG1戦線では全くいいところがなかった馬だが、ここまでChaseではいずれも接戦をものにしてきている。今回はChannor Real Estate Group Novice Hurdle (G1)でDancing Cityの3着に入ったBetter Days Aheadが相手ということでメンバー的にはなかなかいい面々がそろっており、Drinmore Novice Chase (G1)の勝利はフロックではないことを示した内容と言えよう。そのBetter Days Aheadが僅差の2着。HurdleではLiverpool Hurdle (G1)でStrong Leaderの2着もあるBuddy Oneも出走していたが、前からは大きく離れた3着。Chaseでは10月のGalwayで初戦を飾っているが、その後はどうにもいいところだない。昨年のAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)を勝ったStellar Storyも出走していたが、終盤にかけて脱落し大きく離れた4着に終わった。
12/27(金)
Chepstow (UK) Soft (Good to Soft in places)
〇 Finale Juvenile Hurdle (G2) 2m11y (Replay)
1. Nietzsche Has (FR) J: Ludovic Philipperon T: Marcel Roland
Welsh Grand National MeetingのChepstowであるが、濃霧の影響で早々に開催可否が協議され、そのうえで開催は続行されたもののレース映像からはレースの状況が確認しにくい条件下での開催となった。レースはOpecが前に行く展開も馬群は比較的固まって進行。残り2障害のあたりから馬群から抜け出したNietzsche Hasがそのまま後続を突き放すと、Marche D'Aligreに8馬身差をつけて快勝した。
Nietzsche Hasはフランス3歳Haiesではトップクラスの成績を残してきた馬で、春は重賞を含め3連勝、秋はPrix Cambaceres (G1)にてSain D'Espritに対して僅差の2着に入っている。Zarak産駒の牡馬で来年から種牡馬入りが決まっているが、どうやら陣営の意向でイギリス遠征を行ったようで、その挑戦が実る結果となった。内容的にJCB Triumph Hurdle (G1)でも好勝負になりそうなものだが、これで引退だそうだ。フランス出身のex-flat horseであるMarche D'Aligreが2着。夏場からJuvenile Hurdle路線で経験を積んできたTorrent、やはりex-flat horseのHot Fussと続いた。Juvenile Hurdleの重賞競走のメンバーとして障害色が強いのはフランス障害競走出身のStatic、Mister Cessnaの2頭程度で、それら2頭もNietzsche Hasと比べるとかなり格下の存在であり、残りはex-flat horseという構成を考えるとこのレース結果はごく真っ当な内容だろう。強力なフランス出身馬に対抗することを目的としてイギリス・アイルランドでもJunior HurdleやAcademy Hurdleといった試みが行われているが、この時期にNietzsche Hasと対等にやり合えるだけの本格的な障害馬が現れることを期待したい。
〇 Welsh Grand National Handicap Chase (Premier Handicap) 3m6f130y (Replay)
1. Val Dancer (IRE) J: Charlie Hammond T: Mel Rowley
前述のとおり濃霧の中でのレースとなった。レースは11歳馬Amateurが元気よく飛び出してくる展開も、早々にペースは落ち着き馬群は密集して進行する。そのまま抜け出したIwilldoitとVal Dancerが競り合うも、Iwilldoitを競り落としたVal Dancerが最後追い込んできたJubilee Expressを振り切って勝利した。
Val Dancer自身は今シーズンがNovice上がりとなる馬で、11月のCarlisleのClass3から連勝とした。Noviceクラスでももともと重賞戦線ではなくHandicapを使っていた馬のようで、レース振りを鑑みるとおそらく長い距離を淡々としぶとく走るステイヤータイプの馬であると思われる。Haydockの28f戦を勝ってきたJubilee Expressが最後追い込んで2着に入り、上位2頭には比較的勢いのある軽ハンデの馬が入った。2021年の勝ち馬Iwilldoitが終盤までしぶとく走って3着。なんだかんだでこの馬は昨年もNassalamの3着に入っていたりと息の長い活躍を見せており、今回はConditional JockeyであるCallum Pritchardを起用しての参戦であったが、引き続きこの路線での活躍が期待できそうだ。
Kempton (UK) Good to Soft (Good in places)
〇 Wayward Lad Novices' Chase (G2) 2m (Replay)
1. Sir Gino (FR) J: Nico de Boinville T: Nickey Henderson
Sir GinoとBallyburnの対決ということで注目が集まっていた。そのBallyburnがSir GinoとRubaudを制して前に行くも、Sir Ginoがこれについていき、残り3障害あたりから前に出るとBallyburnを7馬身ほど突き放して勝利した。
Sir Ginoは昨シーズンのJuvenile Hurdleで強い競馬を見せていた馬であるが、今シーズンはFighting Fifth Hurdle (G1)を快勝したあと、Chase初戦ということでこちらに向かってきていた。仕草としてはかなり前向きに走る16fタイプの馬のようで、Ballyburnと比べてパワーのある前向きな飛越が目立っていた。一方のBallyburnは昨シーズンNovice HurdleのG1を3勝した馬であるが、Leopardstownのレース以外は20fの距離で行われたもので、典型的な16fタイプであるSir Ginoと比べると距離が伸びたほうがよいタイプと思われる。実際にPunchestownのBeginners Chaseとして19fのレースを使っていたようで、どうにもここでわざわざイギリスまで16fのレースに遠征した理由はよくわからない。
〇 Desert Orchid Chase (G2) 2m (Replay)
1. Soul Icon (GB) J: Harry Cobden T: Karl Burke
Sans BruitとEditeur Du Giteの2頭がスタート直後から激しい先行争いを繰り広げるも、早々に後続がついてきて馬群は密集。Edwardstoneが外から抜け出しを図るも、内から出てきたSoul Iconがこれをとらえて勝利した。
Sans BruitとEditeur Du Giteはかなり無理のあるペースを作っているが、後続の馬に関しては常識的なレースが展開されている。Soul Iconは昨年からChase経験はある馬だが惜敗が多く、これがChase初勝利であった。なんだかんだで相手なりに走る馬のようでなにかと僅差の敗戦が多い戦績となっており、今回は10st6lbとEdwardstoneが出走していた影響でLimited Handicapにしてはかなりハンデ差が存在するレース条件であったが、単なる軽ハンデの馬とは考えないほうがいいかもしれない。10歳となったEdwardstoneは頑張って走っての2着で、11st12lbという条件を考えれば立派な内容だろう。距離的な融通が利くのであればもう少し可能性も広がったのだが、残念ながら行きたがって走る気性のためか距離的には16fがいいようだ。
Leopardstown (IRE) Good to Yielding (Yielding in places)
〇 Paddy's Rewards Club Chase (G1) 2m1f (Replay)
1. Solness (FR) J: James Joseph Slevin T: Joseph O'Brien
Gaelic WarriorやMarine Nationale、Found A Fiftyといった期待の若馬がそろったレースであるが、前半からSolnessが元気に引っ張る展開でレースはスタートする。徐々に脱落したFound A Fiftyを尻目にGaelic Warriorなどがじわじわと位置を上げて来るが、Solnessの逃げ足は衰えず、そのままGaelic Warriorに3馬身差をつけて勝利した。
SolnessはこのJoseph O'Brien陣営にありがちなよくわからない使い方をされている馬で、今年の夏にはGalway Plateへの参戦があるほか、秋は9月から使っており12月にはSandownのTingle Creek Chase (G1)にも参戦している。とはいえそのTingle Creek Chase (G1)を含め重賞クラスでの実績はなく、昨年のこの時期にFairyhouseのListed Handicapを勝利したのが精々で、基本的にここでも格下扱いの馬であった。良馬場で霧のかかった条件でかなり強気に運んだのがよかったのか、それとも実力であるのかはよくわからないのだが、いずれにせよ解釈に困るレースであることは確かである。Gaelic Warriorはじわじわと差を詰めて2着に入ったが、この馬は基本的にもう少し馬場は渋ったほうが良いものと思われる。どうにもChaseでは期待外れなレースが続いているMarine Nationaleは今後につながる3着。Dinoblue、Captain Guinness、Blue Lordとこの路線の常連も出走していたのだがいずれもいいところはなし。Found A Fiftyは前目につけていたのだが、早々に脱落して途中棄権となった。
〇 Future Champions Novice Hurdle (G1) 2m (Replay)
1. Romeo Coolio (GB) J: Sam Ewing T: Gordon Elliott
Patrick MullinsのKarniquetが前に行くも早々に大きなミスをして後退。代わって前に出てきたRomeo CoolioがそのままBleu De Vassyを振り切ると、Bleu De Vassyに9馬身差をつけて快勝した。
Romeo CoolioはKayf Taraの産駒で、HurdleはMaidenから2勝目とした。CheltenhamのChampion Bumper (G1)でも2着に入った実力馬であるが、Kayf Taraの産駒らしいパワーのある前向きなスピードが目立っており、16fのスピードには良好な適性を感じさせるレースであった。Cokorikoの産駒Bleu De VassyはRomeo Coolioについていったが、最後はトップスピードの面で勝ち馬から突き放されて2着。こればかりは航行能力の点で優れるCokoriko産駒にありがちな負け方であろう。昨シーズンからHurdleに参戦しているDual Purpose HorseのEastern Legendが3着に入ったようだ。Willie Mullins陣営からはKarafon、Karniquet、Sea of Sandsの3頭が出走していたが、いずれも振るわずそれ以降の入線または途中棄権となった。
12/28(土)
Newbury (UK) Good to Soft
〇 Challow Novices' Hurdle (G1) 2m4f118y (Replay)
1. The New Lion (GB) J: Harry Skelton T: Dan Skelton
Electric Mason、さらにIt's Hard To Knowなどが前に行く展開で、隊列は早々に決まり淡々とレースは進行する。直線を向いて内からBill Joyceが持ったままで進出するも、さらに馬群の中から出てきたThe New Lionが先頭に代わると、Wendigoに4馬身ほどの差をつけて勝利した。
The New LionはKayf Taraの産駒で、これでNHFから4連勝とした。最後はだいぶ苦しくなった後続と異なりこの馬はほぼ騎手が持ったままの状態で入線しており、内容的にはかなり力量差がありそうな印象がある。中盤にかけてだいぶ前がペースアップした関係で逃げたElectric Masonをはじめ先行勢は苦しくなり、結果的に後ろにいたWendigoが追い込んできているのだが、この馬のパフォーマンスは一枚抜けていたと考えていいだろう。そのWendigoが2着。Mahlerの産駒で前走SandownのWinter Novices' Hurdle (G2)を勝ったBill Joyceはいい航行能力を見せるも最後止まって3着。Regent's Stroll、Electric Masonまであまり差のない入線で、2~5着馬に関してはあまり力量差はなさそうだ。
Leopardstown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)
〇 Savills Hurdle (G1) 2m7f80y (Replay)
1. Home By The Lee (IRE) J: James Joseph Slevin T: Joseph O'Brien
Beacon EdgeやAsterion Forlonge、さらにはHewickが前に行く展開も、早々に脱落したNoble Yeatsを残して馬群は固まって進行。じわじわとSandor Cleganeなどが差を詰めて来るも、外から伸びたHome By The LeeがBob Olingerを6馬身ほど突き放して快勝した。
Home By The Leeは今シーズンはLismullen Hurdle (G2)から連勝、このレースは2022年に次ぐ勝利となった。この24f Hurdleではすっかりおなじみになった馬で、昨シーズンもStayers' Hurdle (G1)にてTeahupooの3着に入るなど結果を残しているが、今シーズンも引き続き好調のようだ。そのLismullen Hurdle (G2)で2着に入ったBob Olingerが2着。ただし、年齢的にもあまり上積みがない9歳馬が上位2頭を占めたといったところで、この2頭はこの路線にて引き続き活躍が期待されそうだが、新興勢力の台頭という意味ではやや微妙なレースとなった。4歳馬のRocky's Diamondは10月にGowran ParkのHandicapを勝ってきた上がり馬で、強敵相手に収穫のある3着となった。ただしレース展開的に後方から運んだという利はありそうで、Bob Olingerから3馬身差の3着というレースの価値は引き続き慎重に見極めたほうがよいだろう。
〇 Savills Chase (G1) 3m100y (Replay)
1. Galopin Des Champs (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins
連覇を目指すGalopin Des Champsが人気になっていた。レースはそのGalopin Des Champsが前に行く展開で、GentlemansgameやConflated、Fact To Fileが好位集団を形成するも特に前には絡まずに淡々とレースは進行。早々に脱落したI Am Maximusを残してGalopin Des Champsのペースでレースは進むと、そのままGalopin Des ChampsがFact To Fileを7馬身ほど突き放して快勝した。
Galopin Des Champsはこのレースは連覇とした。どうやらLeopardstownのコース自体はあっているようで、Irish Gold Cup (G1)の連覇を含め結果を残している。おそらくLeopardstownの平坦なコースがこの馬のスピードを生かすうえではあっているものと考えられ、複雑な起伏が存在するPunchestownではどうにもちぐはぐなレース振りに終始していたこの馬がLeopardstownでは伸び伸びと走ることができるようだ。ただしレースとしては基本的にこの馬のペースで進めることができたといったところがあることに留意したほうがいいだろう。John Durkan Memorial (G1)でGalopin Des Champsなどを破ったFact To Fileは好位から進めるも最後Galopin Des Champsの伸び脚に屈しての2着。24f戦の経験は乏しい馬だが、今回はLeopardstownへの適性面でGalopin Des Champsに屈したといったところだろうか。
昨年のCharlie Hall Chase (G2)で穴をあけたGentlemansgameが3着。基本的に前目でワンペースで運ぶタイプの馬で、あまり急激なペースのアップダウンに対応することは難しいようだが、基本的には頑張って走ってなだれ込むというのがこの馬のパターンになりそうだ。いちおうまだNoviceの権利を有していたHeart WoodがGentlemansgameから2馬身差の4着。昨年Mildmay Novices' Chase (G1)を勝ったInothewayurthinkinが僅差の5着。Grangelare West、Conflated、Minella Cocoonerはいいところなく大敗。I Am Maximusは早々についていけなくなり途中棄権に終わったが、もともとG1クラスではoutpace気味になることが多い馬で、あまり気にするものではないだろう。
Limerick (IRE) Yielding to Soft (Soft in places)
〇 Faugheen Novice Chase (G1) 2m3f100y (Replay)
1. Impaire Et Passe (FR) (AQ) J: Daryl Jacob T: Willie Mullins
Mirazur Westが前に行く展開も、Good Land、Search For Gloryなどが好位に構え馬群は固まって進行。直線を向いて内から外へと進路を切り替えたImpaire Et Passeがそのまま抜け出すと、絶好調Joseph O'Brien厩舎のJordansを振り切って勝利した。
Impaire Et PasseはChaseは2戦2勝とした。HurdleではNovice G1を2勝、さらには昨シーズンはAintree Hurdle (G1)を制している馬である。どうにも乗り難しいところがある馬のようだがDaryl Jacob騎手がうまく馬を宥めながらレースを進めることに成功しており、やはりこのような世界有数の卓越した騎乗技術はこのような名手ならではのものであろう。昨シーズンはMatheson Hurdle (G1)やIrish Champion Hurdle (G1)にも出走していたが馬の性質を考えるとあまり16fタイプのようには思えず、おそらく20f程度か、もしくはもう少し我慢ができるのであれば24fということになりそうだ。貴重なByerley Turk系Diamond Boyの産駒ということで頑張ってほしいものである。10月にBetVictor Novice Chase (G3)を勝ったJordansが2着。フランス障害競馬出身の馬だが、このような馬が近年平地色を強めていたJoseph O'Brien陣営に加わるということもあるようだ。
12/29(日)
Leopardstown (IRE) Good to Yielding
〇 Irish EBF Mares Hurdle (G3) 2m4f (Replay)
1. July Flower (FR) (AQ) J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead
Lot of Joy、Jetara、さらにKala Contiが3頭で先行集団を形成する展開で、隊列はかなり長くなる。Kala Contiがこの中から抜け出すも、後ろからじわじわと差を詰めていたJuly Flowerがこれをとらえて勝利した。
Rachael Blackmoreは怪我からの復帰後初勝利とした。July Flower自身はフランスHaiesで実績を残してきた馬で、昨年のPrix Renaud Du Vivier (G1)では2着、Grande Course De Haies D'Auteuil (G1)ではLosange Bleuから僅差の3着に入っている。ただし瞬間的なスピード能力で戦う馬というよりは飛越技術と航行能力の高さを武器とするタイプで、昨年AintreeのFormby Novices' Hurdle (G1)に参戦した際は後方から進めるもそこから浮上できず途中棄権に終わっている。これがアイルランド初戦であったが、ある程度ペースが流れたことが幸いしたのか結果を残した。実績的には格上の馬だが、どうにも行きたがって走るのを後方から抑えて進むことが多いため、このままMares' Hurdle路線となるのであればそのレース展開には注意が必要だろう。昨年のJuvenile Hurdle路線で活躍したKaraktarの産駒Kala Contiが初の20f戦でめどをつける2着。昨年のNovice戦線のG1でも活躍したJetaraが3着に入り、Mares Hurdleとはいえメンバー的にはいい面々が揃っていたように思われる。
〇 Neville Hotels Hurdle (G1) 2m (Replay)
1. Brighterdaysahead (FR) J: Sam Ewing T: Gordon Elliott
レースはGordon Elliott陣営のKing of Kingsfieldがかなり積極的に飛ばす展開で、唯一ついてきたBrighterdaysaheadを残して隊列は相当に長くなる。残り2障害あたりからBrighterdaysaheadが前に出ると、そのまま脱落したKing of Kingsfieldを残して後続を突き放し、終わってみれば2着に30馬身差の圧勝とした。2着には最後脚が上がったState Manを交わしてWinter Fogが入った。
Brighterdaysaheadは前走のMorgiana Hurdle (G1)でState Manを振り切って勝利したことで一躍その名を有名にした牝馬であるが、今回はそれを上回るパフォーマンスを見せた。平坦でスピードが生きる良馬場のLeopardstownとはいえ、King of Kingsfieldがかなり速いペースを刻んでいく展開を積極的に追いかけ、最後まで脚が上がらずにスプリントをかけるというパフォーマンスは16fのHurdleとしては鮮烈な内容であった。父にはKapgarde*1、母父に2002年のGrande Course De Haies D'Auteuil (G1)の勝ち馬Laveron、さらに兄弟にはFrench Dynamite、Indiana Jones、Mighty Potter、Caldwell Potterと活躍馬が揃う良血馬で、このような障害色の強い血統から素晴らしい活躍馬が現れることは喜ばしいことである。
State Manは前2頭からやや離れた3番手から進めるも、そこから前に迫ることはできず3着に終わった。この馬自身この馬のできることはやっているものと思われるが、良馬場のLeopardstownにおいてKing of Kingsfieldが作り出したペースがかなり速かったこと、及びかなり位置的に離れた前2頭をオーバーペース気味に追いかける必要が生じたことで最後苦しくなったものと思われる。馬場が渋ればもう少し迫ることはできそうだが、現時点で良くも悪くも一本調子なフランス系の馬としてこの馬の能力ははっきりしているだけに、どこかで路線変更という可能性もあるかもしれない。Winter Fogは展開を利して最後浮上して2着。10歳と年齢は重ねており、この路線の一線級のスピードを求められると苦しいようだが、とはいえ平地競争も含めコンスタントに走っていることは立派だろう。格下のFils D'OudairiesもState Manから僅差の4着と、本来であればState Manとはかなりの力量差がある馬と差のない入線になったあたり、今回の展開の異質さが際立つ内容となった。King of Kingsfieldは明らかにオーバーペースであったようで、本来ここまで飛ばす馬ではないだけにおそらくラビット的な立ち位置であったと思われる。Mystical Powerはさっぱりいいところはなく、瞬間的なスプリント能力は高いもののその持続性能の点では不安が残る馬にとって、今回の展開はさすがに酷であった。