にげうまメモ

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15/5/23 National Hunt Racing

*2miles Chase

引き続き短距離Chase路線の総括。いつもどおり150以上のRatingの馬の一覧から。

 

171 Dodging Bullets

168 Special Tiara, Un De Sceaux (Novice)

167 Sire de Grugy, Sprinter Sacre

165 Twinlight

164 Somersby

162 Mr Mole

160 Felix Yonger, God's Own (Novice), Hinterland, Mallowney

159 Hidden Cyclone

158 Baily Green, Josses Hill (Novice), Sizing Granite (Novice)

157 Simply Ned, Vibrato Valtat (Novice)

155 Bright New Dawn

154 Traffic Fluide (Novice)

153 Claret Cloak, Moscow Mannon, Court Minstrel (Novice)

152 Days Hotel

151 Croco Bay, Next Sensation

150 Dunraven Storm (Novice), Far West (Novice), Three Kingdoms (Novice), Australia Day

 

昨季は怪物Sprinter Sacreが心疾患でまさかの離脱、代わって登場したのが新たなチャンピオンSire de Grugyというシーズンであった。そのSire de Grugyもシーズンオフ中に膝の骨片を取り除く手術を行い、Sprinter Sacreも心疾患からの復帰を目指す、という両巨頭にとっては決して順調とはいえないシーズンスタートであった。

そうしてスタートした今シーズン、トップのRatingを獲得したのは上がり馬Dodging Bullets。昨シーズンこそ短中距離のNovice路線でUxizandre、Taquin Du Seuilらに水を空けられていた馬だが、今シーズンになって一気に力をつけ、チャンピオンまで上り詰めた。シーズン初戦となったTingle Creek Chase (G1)でSomersbyらを下すと、返す刀でSprinter Sacreの復帰初戦となったClarence House Chase (G1)を勝利、更に短距離Chaseの最高峰、Queen Mother Champion Chase (G1)でもきっちりと勝利を収め、今シーズンは3戦無敗と素晴らしい形でシーズンを終えることが出来た。Ratingは171と昨年のSire De Grugyの172とほぼ同様の評価であり、新たな短距離Chase路線における王者の誕生と言っていいだろう。

ただし、歴代の2miles Chase Championに比べるとやや低評価な感は否めない。やはりこれはSire De GrugyやSprinter Sacreがベストの状態にあったとは言いがたいということ、また下した相手がSomersbyなどややトップクラスとは言いがたいメンバーであったこと、また勝利のどれもが昨年のSire De Grugyのように危なげない勝利というよりは接戦をものにしたといったようなところからだろうか。

Dodging Bulletsに次ぐ評価を受けたのが個性派Special Tiaraの169。元々Mughull Novices' Chase (G1)勝ちこそあれど、なかなか一線級相手には結果が伴わなかった馬であり、事実昨シーズンはSire De Grugyらの後塵を拝すレースが続いていた。昨年の夏シーズンはHurdleや平地などを使い苦労していた馬だが、今シーズンのDesert Orchid Chase (G2)では思い切った大逃げをうち、Balder Succesの追撃を振り切って勝利。どうやらこの形がこの馬にはあっていたようで、続くQueen Mother Champion Chase (G1)でも同様の逃げを打ち、Dodging Bulletsに僅差の3着と前走がフロックではないことを示した。さらに昨シーズンで引退した伝説的ジョッキーAP McCoyの引退記念レースとなったA P McCoy Celebration Chase (G1)ではSprinter Sacreらを相手に危なげない勝利を飾った。どうやらとにかく気分良くハイペースで行かせたときに最も持ち味を発揮する馬のようで、ついに今シーズンはこの馬の形を見出したことがこの飛躍に繋がったと言っていいだろう。実力的にはDodging Bulletsとはさほど遜色ない。来シーズンも楽しみな一頭である。

そのSpecial Tiaraと展開面で被りそうなのが、今シーズンの2miles Novice路線の主役、Un De Sceaux。Hurdleでは重賞勝ち含む6戦6勝、鳴り物入りで転向したChase初戦こそ落馬したものの、その後は絶対的なスピードで他馬を寄せ付けない圧倒的なレースを見せている。大きなストライドから繰り出される大きな飛越を見せるVautourとは対照的に、ピッチ走法から繰り出されるテンポの早い飛越は必見。とにかくスピードがNoviceでは桁違いであり、スピードの違いでハナを切るレースが続いている。上のクラスに行ってどのようなレース運びをするかは不明だが、同様に逃げの手に出るのであればSpecial Tiaraとの兼ね合いは要注意だろう。もっとも、Special Tiaraは積極的に前に出るのに対して、この馬はむしろスピードの違いで引っ張るタイプ。番手で折り合える可能性も考えられるが。

昨年のチャンピオンSire De Grugy、一昨年のチャンピオンSprinter Sacreはいずれも精彩を欠き、167というRatingに終わった。Sire De Grugyは復帰戦となったBetfair Price Rush Chase (G2)では落馬、その後のC2ハンデ戦はさすがに勝利したもののQueen Mother Champion Chase (G1)ではSpecial Tiaraの作り出したハイペースに対応できず4着、その後Melling Chase (G1)に挑戦するも落馬という結果に終わった。調教師曰く、どうも最近は2m5f路線の方がよいのではないかということ。短距離ではUn De Sceauxなど相当速い馬がいる。中距離路線に参戦してくるようなら要注意だが、最後までやや飛越が安定しなかったのが気がかりか。

心疾患から復帰したSprinter Sacreも同様であった。かつての圧倒的なパフォーマンスは影を潜め、Queen Mother Champion ChaseはPU、他2走は2着と意地をみせるものの、上位とは差がつく結果となってしまった。心疾患により馬に精神的なダメージが残っている可能性も推測できる。いずれにせよ、Henderson師は去就を決めかねているようであり、その動向にはこのオフシーズン中も注意したい。

かつては両馬このように、圧倒的なパフォーマンスを見せてきた馬たちである。その復活を心から願いたい。

Rating165を獲得したTwinlight。アイルランドで走っている馬であり、今期はDial-A-Bet Chase (G1)勝利など重賞を3勝。ただしDodging BulletsとはAscotで対戦するも8馬身負けており、この評価も妥当と言ったところだろうか。上位陣とはやや差があるものの、アイルランドの重賞戦線では注意すべき一頭であろう。

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Rating164を獲得したのはSomersby。Queen Mother Champion Chase2着などの実績はありながらこの評価に留まった。その理由はなんと言っても成績がムラな部分だろう。とにかく飛越が安定しない馬で、何かと飛越をミスしてはリズムを崩して大敗することが多い。同馬は今年11歳と大ベテランの域に達している馬。これ以上の成長を望むのは酷かとは思うが、飛越さえ安定していれば現在の短距離Chaseのトップクラスとも十二分に戦える馬。どこまで現役を続行するかは不明だが、今期の結果を見る限り力の衰えはない。来シーズンも期待したい。

その他何頭か。Rating162のMr MoleはSire De Grugyの復帰戦となったBetfair Price Rush Chase (G2)で圧勝した上がり馬だが、その後のQueen Mother Champion Chase (G1)、AP McCoy Celebration Chase (G1)では上位陣とは差を感じさせる敗戦。Goodな馬場では上位陣とはスピード負けしているように見受けられるので、やや馬場が渋ったほうが良いだろう。

Rating160のGod's Own (Novice)はArkle Challenge TrophyでUn De Sceauxに食らいつき2着。さすがはHaldon Gold Cup ChaseにてBalder Succesらを下してきた実力を見せた。どうも成績の安定しない馬だが、飛越が下手なせいもあるのだろうか。事実、スローになったAintreeのMughull Novices' ChaseではSizing Graniteに先着を許している。もっとも、このレースはどうやら波乱と評価されたようで、Sizing GraniteはRating158に留まっている。また、Noviceで高く評価された馬としてはJosses Hillが挙げられる。この馬は元々素質を高く評価されてきた馬で、なかなかChaseでは結果が出なかったものの、Arkle Challenge TrophyではUn De Sceauxの作り出したハイペースを追走し、結果3着と好走。どうやらハイペースをある程度押し気味に追走したほうが地力勝負になってよいようで、スローになりがちなNoviceでは実力が十分に発揮できなかった可能性もある。この馬も来シーズン、クラスが上がって期待できるだろう。

NoviceでRating157を獲得したVibrato Valtat。スローからのロングスパート合戦になりがちなNoviceにおいて重賞をいくつも勝利してきた馬。スピードに乗ってからの飛越とそのスピード、持久力はNoviceの中では上位ではあったが、Arkle Challenge TrophyではUn De Sceauxにスピードの違いを見せ付けられ完敗。その後のManifesto Novices' ChaseでもVautourに完敗していたはずのClarcamに完敗しているように、ややそれまでのレースレベルには疑問符がつく。上のクラスに行ってスローからのロングスパート勝負になれば勝機はあるだろうが、ハイペースを追走するとなると厳しいかもしれない。もしかすると距離延長が良い方向にでるかもしれないが。

 

いずれにせよ、今シーズンはSprinter Sacre、Sire De Grugyの不調という残念な結果こそあったものの、3戦無敗でシーズンを終えたDodging Bulletsという新たなチャンピオンの誕生するシーズンとなった。また、Special Tiaraの覚醒、非常に将来有望なUn De Sceauxの出現など、見所の多いシーズンであった。来シーズン、これらの馬がどのような展開で、どのようなレースを見せてくれるのか、大いに期待したい。