にげうまメモ

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16/11/19 National Hunt Racing

*Ascot Good to Soft (Soft in Places)

Stella Artois 1965 Chase (G2) 2m5f8y

例によってRoyal Regattaが注文を付けて逃げる展開。これを追いかけてKylemore Lough、Eduard、God's Own。Third Intention、Vibrato Valtat、Dodging Bulletsは後方から。Royal Regattaは前半こそ軽快に引っ張るが、そこから緩やかにペースダウン。第10障害の手前でDodging Bulletsが何か問題があったのかPU。Eduardはやや後退し、Kylemore Lough、God's Ownが逃げるRoyal Regattaを追いかける。Third Intentionはペースアップに付いていけず。God's Ownが最終障害でRoyal Regattaに並びかけるも、ここからRoyal Regattaが二枚腰を使って反撃。Kylemore Loughの追い込みを僅差凌ぎ切って勝利した。3着にはGod's Own。

Royal Regattaは深いブリンカーをつけており、今回もやや集中力が切れかけてミスをする場面が見受けられた。C2から重賞でもそこそこやれる実力馬だが、今回は中盤で大きくペースダウンできたこと、また最後まで集中力を切らさなかったことが大きな勝因だろう。Kylemore Loughは昨シーズンに5連勝でRyanair Gold Cup Novice Chase (G1)を勝った馬。相手関係としてはいまいち手薄なのでどこまでやれるかは未知数であったが、ここでも実力上位であることを示した。やや道中Eduardの飛越に不利を受ける場面が散見された。勝ちに等しい内容。期待されたGod's Ownは最後伸びを欠き3着。あくまで平地の脚の違いなので悲観する内容ではない。また、この馬にとっては中盤に大きく緩む展開は向かない。Vibrato Valtatはやはり16f戦の方がいいだろう。前走穴をあけたThird Intentionは動けず。Dodging Bulletsは何もなければいいのだが。

 

Coral Hurdle (G2) 2m3f58y

Garde la Victoireが淡々と逃げる展開。これを追いかけてZarkandar、Lil Rockerfeller。Court Minstrel、Yanworthは後方から。残り2障害辺りからLil Rockerfellerが抜け出すも、ここからYanworthが猛追。2頭の激しい叩き合いはYanworthに軍配が上がった。3着にGarde La Victoire。Zarkandarは見せ場なし。

YanworthはNovice G2を2勝し、Neptune Investment Management Novices' Hurdle (G1)でもYorkhillの2着に入っている。ただしここはメンバーとしてはやや手薄であったことも考えると、もう少しすんなり勝ちたかったというのが正直なところ。また、24f戦は未知数であり今後のレース選択にも注目だろう。Lil RockerfellerはNational Spirit Hurdle (G2)の勝ち馬。あくまで重賞クラスでは太刀打ちが効くくらいの立ち位置であり、シーズン初戦の24f戦はSilsolの3着に敗れている。この辺りの重賞では好走を続けるだろうが、大レースまでとなるとやや厳しいかもしれない。Garde La Victoireはさほどトップスピードに長けたわけではないLil Rockerfellerにあっさりおいて行かれた辺りChaseの方がいいだろう。Zarkandarは長期の休養明けであり今回はひとまず回ってきたので十分。

 

Handicap Chase (C2) 2m192y

Dresdenが逃げる展開も、途中からUpsilon Bleuが先頭に。ペースとしてはC2の平均的なもので進行。好位からQuite by Chance、Sire de Grugy、Croco Bay。中段にVaniteuxは構える。残り4障害から内を進出してきたSire De Grugyが先頭に。一旦は完全に抜け出すも、最後Quite By Chanceが猛追。Sire de Grugyが1馬身半ほどこれを凌ぎ切って勝利した。Vaniteuxは伸びきれず3着まで。

Sire de Grugyは2013-14シーズンの短距離Chaseにて無敵を誇った馬だが、2014年の夏にひざを手術、その後はどうにも精彩を欠いていた。今回は課題の飛越も安定しており、トップハンデにも関わらず自ら動いていけるスピードと体力はさすがのものがあった。Quite By ChanceはListedを勝ってきた馬であり、Sire De Grugyと比べると1st以上軽い斤量を背負っている。Quite By Chanceを抜かせなかったパフォーマンスはさすがだが、やはり往年のスピード能力はないのだろう。現状のスピード能力から考えれば20f戦の方が良いのだが、どうにも飛越に課題が見られることなどを考えると、16fのハンデ戦が今後主な目標となるかもしれない。

 

*Haydock Heavy

Betfair Price Rush Hurdle (C2) 2m45y

Melodic Rendezvousが逃げる展開。これを追いかけてCh'tibello、My Tent Or Yours、Old Guard。残り3障害辺りからCh'tibelloがMelodic Rendezvousに並びかけ先頭に。My Tent Or Yoursがこれを持ったままで追いかけるが、追い出してからはさっぱり伸びず。結局そのままCh'tibelloが逃げ切って勝利した。2着には盛り返してきたMelodic Rendezvous

ややHeavyへの巧拙が勝敗を分けた結果となった。Ch'tibelloはScottish Champion Hurdle (G2)の勝ち馬だが、あまり強い相手と走ったことはない。しかし非常に力強く芝の根を掴み掻き込むような走法を見せており、今後馬場が悪化するようなら面白い一頭だろう。Melodic Rendezvousは有名なHeavy巧者だが、やや近年はスピード能力の衰えが見られる。My Tent Or Yoursは馬場だろう。さほど勝ち馬に離された敗戦ではないだけに悲観する内容ではない。

 

Betfair Chase (G1) 3m24y

Coneygreeの復帰戦。

例によってConeygreeが軽快に逃げる展開。Silviniaco Conti、Cue Cardがこれを追いかける。遅れてIrish Cavalier、Seeyouatmidnight、Vezelay。早々にSeeyouatmidnightは遅れPU。Irish CavalierもPU。Silviniaco Contiも少しずつ位置を下げる。代わって上がってきたのがVezelayだが、ConeygreeとCue Cardの2頭で後続を大きく引き離す。残り3障害辺りからCue Cardが前に出ると、抵抗するConeygreeを振り落とし15馬身差の勝利。3着にはVezelayが入った。

Cue Cardは同レース2013、2015と勝利し、これが3勝目となった。Charlie Hall Chase (G2)こそIrish Cavalierの激走の前に敗れていたが、一度レースを叩いたことで状態も上がっていたようだ。それにしても、Coneygreeがハイペースで飛ばすところを追走し、最後まで脚を伸ばしきるパフォーマンスはトップホースのそれだろう。一時は骨盤骨折に苦しんだが、今回は飛越も問題なくこなせていた。天下を取れるだけのポテンシャルを持った馬である。一方のConeygreeはChaseで初の敗戦となった。元々他馬が付いてこれないほどのハイペースで飛ばす馬だが、今回はやや飛越も大事にこなしており、各ステップに時間をかけていたためスピードを上げきれないという場面があった。Heavyな馬場自体はこなせる馬だが、勝ち馬とは状態の差だろう。故障で長く休んでいたこと、また柔らかい馬場を選んで使っていることが気になるが、この馬もまた再度頂点に立つことが出来る馬であることは間違いない。Vezelayはフランスからの参戦馬。Prix Heros XII (G3)にてMilord Thomasを破った実力馬。今回は2戦ほどHaiesを使っての参戦であり、英国挑戦の本気度が高いようならば今後も面白い馬になるだろう。やや飛越には慎重さがみられたので、次走は期待が出来る。Silviniaco Contiはこのようなハイペースは合わない。SeeyouatmidnightやIrish CavalierもHeavyのハイペースのレースはやや気の毒であった。