
11/11(火)
Compiegne (FR) Collant (4.2)
〇 Grand Steeplechase Cross Country de Compiegne (Listed)
Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5400m (Replay)
1. Klitchko De Belair (FR) J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire
CompiegneのGrand Cross。レースは12歳のベテランDunne Le Changeが前に行くも、これを好位から追いかけたIceo Madrikが途中から先頭に。しかし途中の障害手前でIceo Madrikが立ち止まると、Donne Le Changeも大きな不利を受ける。Capodimonte、更に再度盛り返してきたDonne Le Changeも前に出るも、好位から出てきたKlitchko De BelairがJade De La Roque以下に大きなリードをつけて勝利した。
Klitchko De Belairは6歳の馬で、2023年にはPrix Maurice Gillois (G1)にも出走している。今年の春まではAuteuilのSteeplechaseの上位クラスに色気を持っていたようだが、その後はCross Countryに参戦しており、CraonのGrand CrossではRoi Mageの2着に頑張っている。今回は当面の相手と思われたIceo MadrikやDonne Le Changeの脱落はあったものの、レース運びとしては十分なものを見せており、年齢的なことを考えると今後の活躍が期待される一頭であろう。Gemix産駒の6歳牝馬Jade De La Roqueが2着に入った。今年はMoulinsのGrand Crossを制している馬で、Cross Countryも今年からの参戦と豊富な戦績があるわけではないのだが、この馬もポテンシャルを見せるレースとなった。9歳馬CapodimonteはまだCross Countryの経験は少ない馬のようで、スタート直後は最後方に構えつつ、様子を見ながら前に出ていくというレースで3着。Cross Countryの経験が増えてくればもう少しやれるだろう。昨年の4着馬Great Du Large、実績馬Shawiniganは振るわずその後ろの入線。Donne Le ChangeはIceo Madrikにより大きな不利を受け、そこから一度は盛り返してきたのだが、さすがに消耗が大きかったようで最下位に終わった。Iceo Madrikはどうにも返し馬の時点から難しさを見せており、返し馬ではJohnny Charron騎手が促してようやく障害を越えていたのだが、実戦ではそのまま立ち止まって途中棄権となった。
11/14(金)
Cheltenham (UK) Soft
〇 Shloer Chase (G2) 1m7f199y (Replay)
1. L'Eau Du Sud (FR) J: Harry Skelton T: Dan Skelton
Jonbonの復帰戦として注目されたレースで、スタートからMatataとJonbonが並んで前に行く恰好となる。しかし中盤からリズムよくL'Eau Du Sudが前に出て来ると、そのままリードを開いて勝利した。
L'Eau Du Sudは2024年のHenry VIII Novices' Chase (G1)の勝ち馬だが、CheltenhamのArkle Challenge Trophy (G1)では4着、その後のMaghull Novices' Chase (G1)でも3着と、春のG1戦線では勝ち切れずに終わっていた。ひとまずNovice上がりのシーズン初戦を立派な勝ち方で飾ったが、とはいえメンバーの走りどうにもというレースであったという点にはやはり留意した方がいいだろう。JonbonはやはりCheltenhamではいまいちなようで、今回もどうにもリズムが悪く、残り2障害でのミスもあってそのまま大きく引き離されて終わった。Wind Surgery明けでの凡走というのも気になる材料で、次走としてTingle Creek Chase (G1)に登録があるようだが、そこでの走りには気を付けたほうがいいかもしれない。実績的には格下のMatataは積極的に運んでの3着で、最終障害での落馬寸前のミスがなければ2着はあっただろう。古豪Edwardstoneはさっぱり振るわずの敗戦で、年齢的なところを懸念する頃合いにきているかもしれない。
〇 Albert Bartlett Novices' Hurdle (G2) 2m5f (Replay)
1. No Drama This End (IRE) J: Harry Cobden T: Paul Nicholls
人気を集めたHeads Upがじわりと出て来る展開となり、そのままImperfectlyperfect以下に対してややリードを開いていく。そのままHeads Upが淡々と前を走るも、これに唯一ついてきたNo Drama This Endが直線でこれを捉えて勝利した。
No Drama This EndはこれがHurdleデビュー戦で、3月にはCheltenhamのChampion Bumper (G1)にも挑戦している。やや重い馬場で行われたNovice戦としてはどちらかというと淡々とレースを進みつつ苦しくなった馬が脱落していくというレースであったが、Point-to-Pointでの経験が生きたのか、Hurdleデビュー戦とは思えないほどの完成度の高さを見せた。そのChampion Bumper (G1)で2着と好走したHeads UpはMaidenを勝っての参戦であったが2着まで。レース展開としてはどちらかというとこちらに分があったものと思われるだけに、今回は勝ち馬を褒めたほうが良いかもしれない。Maidenから2戦目となるKing's Bucks、Hurdleは2連勝とややこの中では経験のあるDestination Dubaiと、この時期のNovice Hurdleにしてはなかなかいいメンバーが揃っていたと思われる。
11/15(土)
Cheltenham (UK) Heavy (Soft in places)
〇 JCB Triumph Hurdle Trial (G2) 2m87y (Replay)
1. One Horse Town (IRE) J: Paul O'Brien T: Harry Derham
One Horse Townがじわりと出て来る展開で、後方で折り合いに専念したPrecious Manまであまり広がらずにレースは進行。そのままOne Horse Townはリズムよく走ると、付いてきたPrecious Manを突き放して勝利した。
One Horse Townはex-flat horseで、6月のJuvenile Hurdleから4連勝とした。ここまでかなり派手な勝ち方を見せてきた馬のようで、今回は初の重馬場でのレースであったようだが実力を見せた。ただしやはりこの時期のex-flat horseということで、完成度の高さが味方している可能性には留意した方が良く、父Threatという聞きなれない種牡馬の名前も気になるところである。AuteuilでHaiesの勝利があるPrecious Manはこれがイギリスでの初戦で、今回は今後に繋がるレースに専念するようなところがあり、血統背景を考えればやはりこちらを上に取るべきだろう。やはりex-flat horseのKate O'Rileyが3着に入った。さらにFrankel産駒のSecret Forseがその後ろ。ここまでHurdleを3連勝したBest Solution産駒のLordや、2連勝で挑んできたGary Moore厩舎のGalactiqueはあまり振るわなかった。
〇 Arkle Challenge Trophy Trial Novices' Chase (G2) 1m7y199y (Replay)
1. July Flower (FR) (AQ) J: Darragh O'Keeffe T: Henry de Bromhead
スタートからBurdett RoadとBe Awareが元気よく出て来る形で、後方のStencilまで頭数の割に隊列は長くなる。やや飛越にもたついたBurdett Roadを残してBe Awareが前を走るも、コーナーで前に出たJuly FlowerがBe Awareを退けて勝利した。
July FlowerはChaseは連勝とした。元々フランスのHaiesで非常に高い能力を示していた馬だが、イギリス・アイルランドHurdle戦線では明らかに適性外と思われるMares' Hurdleに出走しており、昨年のG3勝ちのみに留まっていた。今回は16fへの距離短縮でのレースとなったが、ここまでの実績から考えればもう少し距離があっても問題はないだろう。ただしある程度締まったペースで走った方がこの馬の良さが出るような印象もあり、そのレース選択には注意したいところである。HurdleではPremier Handicapクラスでの好走歴があるBe Awareがリズム良く走って2着。この日の馬場状態もこの馬には向いたものと思われる。Burdett RoadはどうにもここでChaseを試してきた理由が良くわからないのだが、飛越にスムーズさを欠いての3着。慣れればもう少しやれそうな感もあるが、馬の能力からするとHurdleの方がいいかもしれない。
Auteuil (FR) Collant (4.2)
〇 Prix Congress (G2)
Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 3 ans, ayant reçu une allocation en course à obstacles. 3600m (Replay)
1. Nador (FR) J: James Reveley T: Noel George & Amanda Zetterholm
3歳Steeplechase。レースは例によってNadorが元気に出て来て隊列は長くなるも、これにKoffi Kometが絡んでいき、途中からNadorを制してKoffi Kometが前に行き、Nadorを突き放して逃げる形となる。しかし襷コースを出る辺りから再度Nadorが前に出ると、同厩舎のDuc De Rocheを振り切って勝利した。
NadorはこれでSteeplechaseは3連勝とした。3歳Steeplechaseとしては破格のハイペースの逃げで結果を残してきた馬だが、ひとまず今回は道中で前に馬を置く形に成功したというのがこの馬にとっては収穫であろう。スピード能力としてはかなりいいものを持った馬であることは間違いないのだが、やはり先を見越してある程度制御が効いた状態で走ってもらいたいところである。Steeplechaseはこれが2戦目となるDuc De Rocheはこれが大舞台としては初めてであったが結果を残した。実績的にはこちらの方が上がり目がありそうで、次走以降に期待したいところである。3着以下は大きく遅れたが、ここまでCompiegneで堅実な走りを見せていた牝馬Mary Shelleyが入った。Kapgarde産駒の牡馬Kap of Goldは道中はほぼ勝負圏内からは離れた最後方を追走していたが、展開利で4着まで押し上げたようだ。母にKoffi Ladyの半姉を有するKoffi Kometは積極的に絡んでいったが、さすがに苦しくなって5着まで。Saint Des Saints産駒の牡馬Santanderはどうにも道中のミスが多く、終盤脱落して大敗に終わった。Saint Des Saintsの後継種牡馬は多く現れており、この馬はどうだろうか。
〇 Haras D'Etreham - Prix Magalen Bryant (G2)
Haies Pour pouliches de 3 ans 3600m (Replay)
1. Delmegan (FR) J: Theo Chevillard T: Mlle Elisabeth Allaire
3歳牝馬限定戦。レースはGood Girl De FaustやDelmeganといったGoliath Du Berlais産駒の人気どころが前を走る形となり、頭数もあってある程度隊列は離れて進行。そのまま前の2頭が競る形で直線に入るも、Good Girl De Faustを振り切ったDelmeganがNoire Wulf以下を振り切って勝利した。
DelmeganはHaiesは3勝目とした。10月のPrix Magne (G3)ではOlga De Kievに敗れていたが、そのOlga De Kievが混合戦に回ったことでメンバー的にはだいぶ楽になったようで、内容的には逃げたGood Girl De Faustを競り落として後続を凌ぎ切るというなかなか立派な内容であった。Goliath Du Berlais産駒はSteeplechaseで結果を残している馬が多いが、この馬は一度Steeplechaseを走るもその後Haiesに戻しており、その動向には少し注意しておきたいところである。アイルランド生産馬Noire Wulfが後ろから差し込んで2着。Beaumec De Houelle産駒のMelisse Du mathan、さらに大きく離れて逃げたGood Girl De Faustと続いた。3歳の牝馬限定戦ながらかなりペースが流れた結果全体的に着差が付いた入線となっており、スローの上がり勝負となりがちなイギリス・アイルランドの牝馬限定戦とは一線を画す競馬が行われたものと思われる。
〇 Grand Prix D'Automne (G1)
Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4800m (Replay)
1. Losange Bleu (FR) J: Johnny Charron T: Dominique Bressou
Haiesとしてはフランス最高峰のものとなる。今回は全てフランス調教馬が出走枠を占め、イギリスやアイルランド等からの参戦はなかった。レースは人気のLosange BleuががJet Blue以下を引き連れて逃げる形となり、Jeu De Thaixは特に絡んでいくことなく中段を追走する。そのままLosange Bleuは淡々と逃げると、Jet Blue以下を突き放してJohnny Charron騎手の派手なガッツポーズとともに快勝した。
Losange Bleuはこのレースは昨年に続き連覇とした。面白いことにこのレースは2016年のAlex De LarredyaからGalop Marin、Thelemeと全ての馬が連覇を決めており、この馬もその伝統に続いたことになる。直近ではGalop Marinが4連覇を決めているがこの馬はどうだろうか。今シーズンは初戦のPrix De Compiegne (G3)こそGallipoliに敗れているが、その後のPrix Carmarthen (G3)ではEl Clavelなどを含めて圧勝劇を演じており、今回のメンバーではこの馬に対して手も足も出ないというのが現状なのだろう。昨年CheltenhamでG2勝ちのある6歳馬Jet BlueはAQPSらしく比較的レース経験の少ない馬で、もしかすると今後の経験次第ではもう少し力をつけてくる可能性はあるだろう。5歳牝馬Isis D'Inor、ここでの常連Heloy Delabarriereと続いた。ここのところは平地競争を含めて好調のZarakhanはあっさり脱落して向こう正面で途中棄権。Jeu De Thaixは本来であればLosange Bleuと対等に戦えるだけの能力を持っているのだが、ここの所は馬がやる気をなくしているのかさっぱりで、今回も早々に脱落し、直線で途中棄権となった。
11/16(日)
Auteuil (FR) Collant (4.5)
〇 Prix Fondeur (G3)
Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans, n'ayant, depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus, en steeple-chase, ni été classés dans les deux premiers d'une course de Groupe I, ni, cette année, été classés dans les trois premiers d'une course de Groupe 4400m (Replay)
1. Karre D'As (FR) (AQ) J: Charlotte Prichard T: David Cottin
馬場は土曜日よりも重くなりCollant (4.5)となった。レースはKarre D'Asが人気のKilt Ecossais以下を引き連れて前に行く展開で、そのまま後続にリードを取って逃げる形となる。Karre D'Asは元気に引っ張ると、そのまま追いかけてきたKilt Ecossais以下を突き放して勝利した。
Karre D'Asは2024年の春にPrix Fleuret (G3)などG3を2勝した馬だが、肝心のPrix Ferdinand Dufaure (G1)ではRachael Blackmoreとの息が合わず大敗に終わっていた。今回は1年半ぶりのレースとなるが、以前結果を残していた際に騎乗していたCharlotte Prichard騎手とのコンビで勝利を挙げた。ある程度早いペースで引っ張るのはこの馬の特徴的な戦術で、鞍上との息が合わず危なっかしいところもあるのだが、とはいえこの馬が戻ってきたことは喜ばしいことだろう。Cokoriko産駒のKilt Ecossaisはもう少し前を追走しても良かったかもしれないが、あのようなペースで走るのが勝ち馬の持ち味であるだけに仕方のない感もある。Chance De Ballonが3着。2024年にPrix Alain Du Breil (G1)でKinglandを下して勝利したPistache Doreはその後はどうにもパッとしないレースが続いており、SteeplechaseでもここまでListed競争を勝利したのみに終わっている。ここでも中段から追走し、特に見せ場を作ることなく4着と冴えないレースとなった。
〇 Prix Cambaceres (G1)
Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans. 3600m (Replay)
1. Leopard Du Berlais (FR) J: Johnny Charron T: David Cottin
3歳Haies。レースは人気のLeopard Du Berlaisが出て来る展開で、スタートから馬群は固まってレースは進行する。そのまま馬群は密集して進むも、直線で抜け出したLeopard Du Berlaisが余裕残しで快勝した。
Leopard Du BerlaisはこれでHaiesは3戦無敗とした。5月のPrix Le Parisien (G3)にてデビュー戦ながらも経験馬を一掃して勝利したことで話題を集めた馬だが、秋もその評判に違わぬ走りを見せており、現時点で3歳Haies路線では完全に頭一つ抜けた存在と考えていいだろう。頑張ったのがMoises Has産駒のBourbon Hasで、この馬は9月にMoulinsでデビューし、10月にClasse2を勝ったばかりの実績なのだが、強いメンバーが集まったここでもやれることを示した。Doctor Dinoの産駒のShannon Maestroはここまで惜敗続きの馬だが、今回はLeopard Du Berlaisについて行って3着まで踏ん張るというレースを見せており、後方から差し込んできたBournon Hasよりも上に取るべきであろう。アイルランドからJoseph O'Brien厩舎のSea The Moon産駒の牡馬Dignamが参戦しており、後方から追い込んで5着。イギリスSummer SeasonのHurdle競争で3連勝と結果を残してきた馬で、レースとしてはどちらかというと着を拾いに行った印象があるが、よく頑張った方なのではないだろうか。牝馬Olga De Kievは流石にLeopard Du Berlaisをマークしに行っては苦しかったようで、直線失速して6着。The Mighty Celt、Guadalquivirといった牡馬勢は振るわずに終わった。
〇 Prix Maurice Gillois (G1)
Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans 4400m (Replay)
1. Leader Sport (FR) J: Leo-Paul Brechet T: Mele Daniela Mele
James ReveleyのLauthentykoやWorld Apartが元気に前に出て来ることで、レースは速いペースでスタートする。スタンド前から牝馬La PaleraieがLauthentykoを制して前に出て後続を突き放すも、直線に入って出てきたLeader Sportがこれを捉えて勝利した。
LauthentykoやLa Palmeraieがかなり積極的に引っ張ったことで激しい消耗戦が展開された。Leader SportはこれでPrix Orcada (G3)から連勝とした。前走は実績馬Lanivtsiを12馬身突き放す強い競馬を見せていたが、今回はこのような消耗戦で勝ち切ることで、改めてこの馬のSteeplechaseへの適性を示すことになった。おそらく重い馬場がこの馬にとっては向いたものと思われるが、とはいえレースとしては4歳SteeplechaseのG1としては十分なものであったと思われる。途中から積極策を取ったLa Palmeraieが2着。例によってあまりレース経験が多くないAQPSの牝馬で、勝ち馬には交わされたとはいえ3着以下を12馬身突き放しているのだから大したものである。同じ牝馬Nirvallaが3着に入り、Nirvana Du Berlaisの産駒はここで1、3着と、重い馬場のSteeplechaseへの適性を改めて示すことになった。実績馬Lanivtsiはあまり振るわず4着まで。Listed競争でMusique Maestroなどを下して勝ってきたLauthentykoは途中からハナを叩かれて苦しくなったようで、終盤失速し7着と大敗。Goliath Du Berlaisの産駒は3頭出走していたが、いずれも途中棄権か落馬と、今回は見せ場を作ることが出来ず、勢いのある若い種牡馬としては明暗が分かれる結果となった。
〇 Prix Renaud Du Vivier (G1)
Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans 3900m (Replay)
1. It's Win O'Clock (FR) J: James Reveley T: Noel George & Amanda Zetterholm
Bryony FrostのNikkaluoktaが颯爽と先頭を走るスタートで、後方のCapbello Dinoなどまで隊列は長くなる。スタンド前からIllusion Machineが先頭に代わるも、向こう正面から馬群は密集。コーナーから捲ったIt's Win O'ClockがSain D'Espritを凌いで勝利した。
It's Win O'ClockはPrix Pierre De Lassus (G3)から連勝とした。今年の秋から一躍頭角を現してきた馬で、それまではあまりぱっとしたところがなかったのだが、ここまで馬が変わるというのも面白いものである。そのPrix Pierre De Lassus (G3)にて2着に入ったSain D'Espritはやはり秋三戦目で馬が良くなってきたようで、前走はあっさり突き放されたIt's Win O'Clockに対して今回はしぶとく食い下がるレースを見せた。ただしやはりトップスピードの点ではIt's Win O'Clockに分があるようで、この馬はもう少し積極的に立ち回った方がこの馬本来の良さを出せるような印象がある。3着以下は大きく遅れたが、Choeur Du Nord産駒の牝馬Miss Woodが3着に入った。この馬は5月にPrix Christian De Tredern (G3)を勝った経緯もあるが、今回のレース内容を踏まえるとやはり前2頭がかなり抜けているというのが現状のようで、前2頭の立ち回り次第で着順が入れ替わる可能性があるというのが現時点での勢力図であろう。
〇 Prix La Haye Jousselin (G1)
Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5500m (Replay)
1. Toscana Du Berlais (FR) J: Pierre Dubourg T: Chaille-Chaille & Pamart
フランス競馬の秋の大一番。フランスは春と秋にそれぞれG1競走が行われるレーススケジュールとなっており、このレースは秋の主要開催のメインレースとなる。レースは様子見のようなスタートからLa Marche BleueやIncollableがゆったりと出て来る形となり、Juntos Ganamosは戦術を変更したのか最後方からレースを始める。そのまま馬群は固まって淡々とレースは進行するも、最終周からKolokicoが前に。しかしRail Ditch and FenceでKolokicoが大きなミスをし、代わってIncollableやSel Jemなどが一度は前に出る。最終コーナーからKolokicoが再度前に出るも、最終障害を越えて猛然と追い出したToscana Du Berlaisがそのまま後続を振り切って勝利した。
Toscana Du Berlais自身はこの路線ではすっかりお馴染みとなった馬で、今年のGrand Steeplechase De Paris (G1)にも参戦している。以前は飛越が安定しなかったりとどうにもいいところがなかったのだが、最近はそのような不安定な面も解消され、今年のGrand Steeplechae De Paris (G1)は4着、直前のPrix Heros XII (G3)もSel Jemの2着と頑張っている。勝ち切るまでと言われると微妙なところもあったのだが、Shantouの産駒らしいパワーのある伸び脚がこの重馬場で行われた消耗戦において最後の決め手になったようだ。5歳馬Kolokicoは積極的に運んだが、Rail Ditch and Fenceにおいて大きなミスがあった。決め手の点で勝ち馬に対して見劣るのはどうしても仕方がないことで、この馬は早め先頭で押し切るというのがおそらく今後も勝ちパターンになるだろう。Gold TweetはToscana Du Berlaisと同じような位置から前を追いかけたが、最後はKolokicoにも差し返されての3着。Sel Jemも最後は失速して4着に終わった。もったいなかったのがKaadamで、直線で落馬する地点までは勝負圏内にいただけに、もしかすると今後更なる大仕事をやってのける可能性はあるかもしれない。Juntos Ganamosは戦術を変更して後ろから進めたが、どうにも走ったり走らなかったりしているようなところがあり、いつの間にかフェードアウトして大敗に終わった。