にげうまメモ

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25/11/09 Weekly National Hunt / Jump Racing

 

11/5(水)

Auteuil (FR) Collant (4.2)

Prix Triquerville (Listed)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant, depuis le 15 février de cette année inclus, en steeple-chase, ni gagné une Listed, ni été classés dans les trois premiers d'une course de Groupe. 4400m (Replay)

1. Crown Du Berlais (FR) J: Baptiste Le Clerc T: Lageneste & Macaire

かなりの多頭数となったListed競争はLacokokeldyやHassadamなどが前に出て来る形で、ペースの割に頭数もあってか隊列は長くなる。2周目の向こう正面から前に出たCrown Du BerlaisがLacokokeldyなどを突き放して勝利した。

Crown Du BerlaisはこれでSteeplechaseは2連勝とした。春の段階ではAuteuilのListedクラスではやや大きく敗れていたようだが、どうやら夏を越して馬がしっかりしてきたようで、最後の直線では一頭抜けた伸び脚を見せていた。Saint Des Saints産駒の牝系がしっかりした馬らしく立派な馬体の持ち主で、おそらく今後重賞戦線に乗ってくるものと思われる。Cokoriko産駒の牝馬Lacokokeldyが2着に入った。残り2障害地点で大きなミスがあったが、この馬はどちらかというと道中のスピードで勝負をかけていくタイプであろう。AuteuilのHandicap競争を勝ったCantsbeeが3着で、レースの水準としてはかなり高かったものと思われる。Kapgardeの産駒で母にはPerfect ImpulseがいるHassadamも好位から進めたが、直線で大きなミスがあっての4着。とはいえまだSteeplechaseは2戦目と経験の少ない馬で、かなり立派な馬体の持ち主だけにここからの成長に期待したい。

 

11/6(木)

Clonmel (IRE) Soft

Clonmel Oil Chase (G2) 2m4f171y (Replay)

1. Il Etait Temps (FR) (AQ) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Il Etait Tempsの始動戦として注目されたレースはブリンカーをつけたSeneciaが後続にリードを取って逃げる展開で、Il Etait Tempsは後ろから進める。少しずつ前に差を詰めたIl Etait Tempsが残り2障害前で先頭に立つと、そのまま後続を突き放して勝利した。

Il Etait TempsはNovice上がりの馬で、4月のCelebration Chase (G1)ではJonbonに5馬身差をつけて勝利している。今シーズンの始動戦には20fを選んできたようだが、Novice時代にもManifesto Novices' Chase (G1)での勝利もあり、今シーズンにおいて16f又は20fのどちらを選ぶかは面白い選択になるだろう。Jukebox Jury産駒らしく小柄で器用なスパートを見せる馬だけに、16fのスピード戦よりは20fの方が良さそうな印象もある。昨年Webster Cup (G2)で大穴をあけたSeneciaは自身のレースをしたがこのくらいだろう。2024年にIrish Grand National (G3)を勝ったIntense Rafflesは流石にスピード面では苦しかったようだが、頑張って走って3着。昨シーズンTopham Chase (Premier Handicap)を勝ったGentleman De Meeは終盤止まって離れた最下位に終わったが、どちらかというとガス抜きのような位置づけのレースであったと思われる。

 

Fontainebleau (FR) Tres Souple (3.9)

〇 Prix Princesse D'Anjou (Classe 4)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant pas, en steeple-chase, reçu 12.000 (victoires et places). (Replay)

2. Ferrum (POL) J: Lucas Zuliani T: Lageneste & Macaire

ポーランド生産馬Ferrumが出走しており、直線追い込むもMount Angelの2着に終わった。FerrumはExaltationの産駒で、フランスではここまでHaiesで2勝をあげている。Steeplechaseはこれが初参戦で、道中どうにも飛越にもたつくところがあったが、最後は差を詰めて2着まで来た。元々はポーランドの平地競争を走っていた馬で、母国での障害競走への出走はないが、フランスではもっぱら障害競走を走っている。母はFangoriaという未勝利馬だがポーランドオークス及びチェコオークスへの出走歴もある馬で、祖母Francjaはポーランド、イタリアなどでHaiesを勝利し、2004年にはStrömsholmのSvenskt Champion Hurdleで3着に入った実績のある馬のようだ。チェコからGolden Tirolの産駒Sunsetも出走していたが、こちらは飛越がいまいちで早々に脱落し途中棄権に終わった。

 

11/7(金)

Exeter (UK) Good

Haldon Gold Cup Handicap Chase (G2) 2m1f109y (Replay)

1. Thistle Ask (IRE) J: Harry Skelton T: Dan Skelton

シーズン序盤のExeter恒例の一戦。Thistle AskがSaint Segalなどを制して元気に前に行く形で、良馬場もあってかそのままテンポよくレースは進行。そのまま緩めず引っ張ったThistle AskがSaint Segalに7馬身差をつけて快勝した。

Thistle AskはこれでChaseは4連勝とした。前走はWetherbyのPremier Handicapで早め先頭から押し切って勝利しており、ここにきて調子を上げている一頭である。今回は10st6lbとかなり斤量的には恵まれた印象のあるレースであったが積極的な競馬で結果を残した。ここまで順調にレースに出走していたことや軽ハンデといった追い風があったと思われるが、おそらく今後16fを走るのであれば更なるスピード馬相手に今回の逃げ足が通用するかといったところだろう。ここの所はClass2で結果を残していたSaint Segalが今回も崩れずに走って2着。昨年の勝ち馬Jpr Oneはやや遅れての3着。昨シーズンMaghull Novices' Chase (G1)を勝ったKalif Du Berlaisがトップハンデとして期待されていたようだが、こちらはどうにも走りがさえずの4着に終わった。実績馬としては今回がシーズンの始動戦で、ここから調子を上げてくればといったところだろう。

 

11/8(土)

Aintree (UK) Good to Soft

〇 Grand Sefton Handicap Chase (Class 2) 2m5f19y (National) (Replay)

1. Colonel Harry (IRE) J: Gavin Sheehan T: Jamie Snowden

2020年までは12月のAintree開催でBecher Chase (G3)などと同日に行われる競争だったのが、現在は11月にAintree開催に移動し、イギリス競馬シーズン序盤の名物競争となった。レースはLee EdwardsのMahons Gloryが積極的に引っ張る展開で、やや馬を促して前に出ていく。しかし終盤になって馬群が密集すると、外から出てきたColonel HarryがGaboriot以下を振り切って勝利した。

Colonel Harryは今年で8歳になる馬で、2024年の1月にはTowton Novices' Chase (G2)を勝利するもその後のG1戦線では通用せず、昨シーズンはHandicap戦線に参戦するも結果を残せず、これが約1年ぶりのレースであった。Official Ratingでは148とそれなりにいいものを持った馬で、ここでも11st12lbを背負っていたということで価値のある勝利だが、昨年のNewburyのCoral Gold Cup (Premier Handicap)では通用せずに終わっており、ここから距離延長と上のクラスでどこまでといったところだろう。9歳の軽量馬Gaboriotが2着。芦毛のCokoriko産駒Excelloもあまり差のない3着に入った。前に行ったMahons Gloryも大崩れすることなく4着。12st0lbのトップハンデを背負ったJohnnywhoも好位から進めたが、直線でうまく出て来ることが出来ずに5着。レースの内容としてはこの馬が最ももったいないものとなってしまったように思われる。昨年の勝ち馬King Turgeonも好位から進めるも直線で決め手を欠き、差のない6着となった。

 

Wincanton (UK) Good (Good to Firm in places)

Rising Stars Novices' Chase (G2) 2m4f35y (Replay)

1. Blueking D'Oroux (FR) J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

Brendan PowellのRightsotomが軽快に前を走る形で、Breaking CoverやBlueking D'Orouxなどがこれにぴったりと追走。残り2障害地点から抜け出したBreaking Coverを外から追いかけたBlueking D'Orouxが競り落として勝利した。

Blueking D'OrouxはHurdleではSelect Hurdle (G2)など複数の重賞勝ちがある馬で、Chaseはこれが2戦目であった。第11障害でやや大きなミスはあったがそれ以外は許容範囲の内容で、Hurdleの実績のある若い馬のChase転向ということで注目される一頭であろう。Hurdleでは比較的良馬場での実績が多い馬だが、Jeu St Eloiの産駒らしく本質的にスプリントを掛けた際のトップスピードは速くはないかもしれない。前走はNewburyのClass 4のHandicap Chaseを勝利し、ここでは経験豊富なBreaking Coverが2着。前に行ったドイツ生産馬Rightsotomも最後は巻き返して3着に入った。

 

Elite Hurdle (G2) 1m7f50y (Replay)

1. Rubaud (FR) J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

3連覇を狙うRubaudが淡々と前に行くと、ぴったりとついてきた後続から抜けてきたHamlet's Nightとの叩き合いを制して勝利した。

Rubaudは16fの良馬場のHurdle競争で結果を残してきた馬で、今シーズンはKemptonのListed競争から連勝とした。昨シーズンはChaseに参戦しKemptonのPendil Novices' Chase (G2)を勝利しているが、G1戦線では結局歯が立たずに終わっている。基本的に良馬場の平坦コースで力を発揮するタイプで、うまく制御を利かせることが出来れば20fもといったポジションだが、Hurdleに戻るのであればできることははっきりしている以上、この路線でということになるだろう。4歳馬のHamlet's Nightが2着。今年の9月にMaiden Hurdleを勝ったex-flat horseだが、転厩によって調子を上げてきている可能性はあるだろう。Willie Mullins厩舎からの転厩馬Tax For MaxはNigel & Willy Twiston-Davies厩舎での3戦目であったが結果を残せず3着に終わった。

 

11/9(日)

Naas (IRE) Soft (Soft to Heavy in places) 

Barberstown Castle Chase (G3) 2m (Replay)

1. Only By Night (IRE) J: Keith Donoghue T: Gavin Cromwell

Champ Kiely、Ile AtlantiqueとWillie Mullins陣営の馬が前に行くも、直線を向いて出てきたOnly By NightがChamp Kielyを捉えて勝利した。

Only By Nightは昨シーズンのNovice戦線で牝馬限定NoviceのG2を勝利した馬で、その後のArkle Challenge Trophy (G1)でもJango Baieの2着に頑張っている。ひとまず今シーズンの始動戦を勝利で飾ったが、メンバーとしてはどちらかというと16fのChaseとしてはやや低調な印象で、終いの瞬発力勝負を制したといった印象が強い。12st0lbを背負ったChamp Kielyを上に取るべきであろうと思われるが、この馬はNovice戦線では25fのG1を制しており、おそらく距離的にはもっとあった方がいいだろう。Novice戦線では落馬の多かったIle Atlantiqueは直線で脱落して3着に終わったが、この馬も目標としては先になると思われる。人気を背負ったInthepocketは残り2障害で落馬に終わり、この中では圧倒的に格下のGaelic Arcはともかくとして、全体的に解釈の難しいレースとなった。

 

Treviso (ITA) Buono

〇 Premio Amedeo Duca D'Aosta Euro 13,000 TRIO

per cavalli di 4 anni ed oltre (Cross Country - Condizionata - G.R.-Ufficiali-Ammazzoni-Fantini) 4750m (Replay)

1. Brunch Royal (FR) J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

Trevisoの主に内馬場を利用したCross Countryで、レースはRamuntchoがやや難しさを覗かせつつも前に行く展開となる。外周への入り口の池を渡る地点で2頭が落馬。RamuntchoがついてきたNormandy De La Vegaを振り切って逃げるも、外周に出たあたりから前に出たBrunch Royalがそのまま勝利した。

Brunch Royalは以前はこのイタリアCross Countryを中心に活躍した馬だが、これが2022年のPremio Delle Nazioni (G2)以来の勝利とした。近年は故障や加齢による影響で全体的にパフォーマンスを落としていたのだが、この年齢でも未だにこれだけ安定したレースを続けることが出来るというのは大したものであろう。6歳の良血馬Ramuntchoは積極的に前で運んだが最後捕まっての2着で、Brunch Royalに対して4kgの負担があったとはいえ、こればかりは勝ち馬を褒めるしかなさそうだ。Molly Powerはどうにも道中踏み遅れるような印象のある敗戦。さらに離れてCacciniの産駒Isyndur、前に競って行ったNormandy Dela Vegaと続いた。池を渡るところではJazzman Du Large、Sky Constellationの2頭が落馬。それにしても道中に2回の池を渡るコースが設定され、内馬場にはおそらく馬術競技にも由来すると思われるCross Country Courseが存在しており、そのコースは古き時代の面影を残すものである。なにかと苦境が伝えられるイタリア競馬であるが、そこに存在している歴史と伝統は素晴らしいものがあることは疑いようがなく、なんとか持ち直して欲しいところである。