にげうまメモ

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24/01/14 Weekly National Hunt / Jump Racing

1/12(金)

Naas (IRE) Soft (Yielding in places)

Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1) 2m4f2y (Replay)

1. Readin Tommy Wrong (IRE) J: Darryl Jacob T: Willie Mullins

Chapeau De Soleilが前に行くも早々にミスを連発して後退。代わって前に出てきたIle Atlantiqueが淡々と逃げ、コーナーから後続を突き放して逃げ込みを図るも、内を付いて出てきたReadin Tommy Wrongがこれを捉えて勝利した。

Readin Tommy WrongはNHFも含めて4戦4勝とした。Authorizedの産駒でレース序盤から過度に馬群に突っ込まないように進めており、なにかしら気性的な部分を警戒している可能性はありそうだが、とはいえスムーズに運んだIle Atlantiqueを最後までしっかりと加速したうえで捉え切るのだからいいものを持っている馬であることは間違いないだろう。最近アイルランドに戻ることになったAuthorizedにとってもはずみのつく勝利となった。前走Maidenで強い競馬を見せたIle Atlantiqueが2着。3着にはNavan Novice Hurdle (G2)で2着のあるLecky Watsonが入った。Champion Bumper (G1)ではあまり差のない4着にも入った素質馬で、上位勢はなかなか評価できそうなレースであった。ただしこの馬の場合、どうにも勝ち味に遅いところがありそうなだけに、距離を伸ばしてどうかというところがありそうだ。

 

1/13(土)

Kempton (UK) Good to Soft (Good in places)

Silviniaco Conti Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Banbridge (IRE) J: J J Slevin T: Joseph O'Brien

例によってPic D'Orhyが元気に引っ張る展開も馬群は比較的固まって進行。好位からこれを追いかけたBanbridgeが最終障害前で先頭に出ると、Pic D'Orhyを振り切って勝利した。

Banbridgeは昨シーズンのManifesto Novices' Chase (G1)の勝ち馬で、これがNovice上がりの初戦であった。比較的スピードの生きるKemptonにおいてマイペースで運んだPic D'Orhyを下したパフォーマンスはなかなか評価が出来そうで、おそらくこのまま20f路線を歩むものと思われ、Ryanair Chase (G1)に向けては面白い一頭となりそうだ。ただしRyanair Chase (G1)は例によって出走馬が比較的流動的であることに留意した方が良いだろう。この路線では実績のあるPic D'Orhyはマイペースで運ぶも2着まで。Willie Mullins陣営のJanidilは特にいいところはなく3着。昨年の2月にはRed Mills Chase (G2)を勝利するなどこれまでコンスタントに結果は残しているが、10歳という年齢もあってかRyanair Chase (G1)で2着に入るなどG1クラスでも好走した当時の勢いはなさそうだ。距離延長となったEdwardstoneは引っかかってレースにならず。気の毒な結果となったのがNotlongtillmayで、最終障害での落馬に終わった。昨年のTurners Novices' Chase (G1)ではStage Starの2着に入った能力のある馬なのだが、残念な結果となったそうだ。

 

Warwick (UK) Soft

Hampton Novices' Chase (G2) 3m (Replay)

1. Grey Dawning (IRE) J: Harry Skelton T: Dan Skelton

Broadway BoyとApple Awayが元気に引っ張る形となるも、途中からApple Awayが先頭に。しかし残り2障害辺りから前に出たGrey Dawningがそのままリードを開くと、Apple Awayに14馬身差をつけて快勝した。

Grey DawningはこれでChaseはHaydockのGraduation Chaseから2勝目とした。前走のCheltenhamのClass2ではどうにもちぐはぐなレースでGinny's Destinyの2着に終わっているが、今回は比較的スムーズに前の馬を交わして進出することが出来たようで、24f戦への適性を示す収穫のあるレースとなった。Sefton Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬で、前走はLeicesterのBeginners' Chaseを勝ってきたApple Awayが2着。上記HaydockのGraduation Chaseでは飛越がいまいちで3着に終わっており、今回は当時と比較するとだいぶ飛越に向上が見られたのだが、勝ち馬とはだいぶ実力差を感じさせる結果となった。CheltenhamでListed及びPremier Handicapと連勝してきたBroadway Boyは先頭で進めたが、途中でApple Awayに振り切られての3着に終わった。この馬を物差しにすれば上位勢はなかなか評価できそうなレース内容で、起伏のあるWarwickということを考えても今後に向けて面白いレースとなった。

 

Classic Handicap Chase (Premier Handicap) 3m5f54y (Replay)

1. My Silver Lining (IRE) J: James Best T: Miss Emma Lavelle

Warwick伝統の3m5f戦で、かつてはOne For ArthurもここからAintreeに向かったHandicap競走。レースは軽量のVolcanoが元気よく引っ張るも、途中からPercussionが先頭に。失速したVolcanoを尻目にPercussioは先頭を進むも、第17障害でMy Silver Liningが前に出ると、最後追い込んで来たGalia Des Liteauxを振り切って勝利した。

My Silver LiningはCloudingの産駒で、重賞競走はこれが初勝利とした。ここまでClass4~2レベルのHandicap競走を使ってきた馬で、今シーズンはClass3でコンスタントに結果を残しており調子も良かったようだ。10st4lbという軽量にだいぶ恵まれた可能性はありそうだが、初の29f戦で結果を残したことで今後のこの路線においても楽しみな一頭となりそうだ。11st10lbを背負って頑張ったのが牝馬Galia Des Liteauxで、実質的にはこちらを上に取るべきだろう。昨シーズンはBrown Advisory Novices' Chase (G1)にも参戦した馬だが、今回は初の29f戦で結果を残したことは今後に向けての大きな収穫だろう。どうしても馬場的にはもう少し渋った方がよさそうではありそうで、G1クラスだとどうにも踏み遅れるところがありそうだが、とはいえSoft程度の馬場で全体的に緩まず進行したレースを追いかけることが出来たということを考えると、今後の24f超のHandicap Chaseであれば期待できそうだ。同じくSaddler Maker産駒のGuetapan Collongesが3着。血統的には母父Dom Alcoとまさにタフネスの塊といったところだろう。AintreeのNational SpecialistであるPercussionは積極的に運んだが、途中から置かれての5着。レーティング的なことを考えるとAintreeのNationalに出走するには現状やや厳しそうだ。Guetapan Collongesと同じく父Saddler Maker、母父Dom Alcoの牝馬で、前走Meyrick Handicap Chase (Premier Handicap)を勝ったFontaine Collongesはどうにもふらふらと走るところが目立っており、さすがに苦しくなって大敗に終わった。

 

〇 Veterans' Handicap Chase - 2023 Veterans' Chase Series Final (Class 2) 3m (Replay)

1. Sam Brown (GB) J: Jonathan Burke T: Anthony Honyball

人気のVeterans' Chase Seriesの最終戦。レースは激しい先行争いからRamses De Tailleeが出てくるも、第5障害からGood Boy Bobby、さらに第8障害からAye Rightが先頭に代わる。そのままAye Rightは軽快に引っ張って逃げ込みを図るも、じわじわと差を詰めてきたSam Brownがこれを捉えて勝利した。

Sam Brownは今年で12歳になるベテランで、2022年のAintreeではBetway Handicap Chase (G3)勝ちがある。昨年はAintreeのGrand National (Premier Handicap)に出走するも落馬に終わっており、昨年は結局6戦して5着2回、それ以外は全て落馬か途中棄権といった成績であった。どうにも気性的に走る気を見せていない状況ではあったのだが、とはいえ昨年12月のVeterans' Chaseでは若干前向きなところを見せていたようで、ひとえにこの馬の競争馬としての可能性を諦めず、長きに渡ってともに過ごしてきた陣営の努力の賜物だろう。2022年にはCheltenham Gold Cup (G1)にも参戦した11歳馬Aye Rightが2着。Mill Greenは昨年は主にHurdleを使っていたようだが、今シーズンからこの路線に参戦し、結果を残しての3着。2020年にはPlanteur At Chapel Stud Handicap Chase (G3)を勝っているRamses De Teilleeは早々にAye Rightに捕まっていたようだが、そこから諦めずに走って4着に入った。

 

Wetherby (UK) Soft (Heavy in places)

Towton Novices' Chase (G2) 2m3f85y (Replay)

1. Colonel Harry (IRE) J: Gavin Sheehan T: Jamie Snowden

David BassのTrelawneが前に行くも、どうにもコーナーで膨れたりと順調さを欠きつつレースは進行。残り3障害地点で前に出たColonel HarryがTrelawneを振り切って勝利した。

Colonel HarryはChaseはこれで2勝目とした。前走はHenry VIII Novices' Chase (G1)にてLe Patronの2着に入っていたが、今回も全体的に完成度の高いレースを見せての勝利とした。Chaseにおいてこの距離のレースは初めてであったが特段問題はなく、比較的距離にも融通が利きそうなのは強みとなるだろう。ひたすら口向きの悪さを見せていたのがTrelawneで、鞍上のDavid Bassがかなり促して走らせたりと苦労している様子が見て取れた。最後は再度勝ち馬に迫っていたように余力はありそうで、真面目に走ればもう少しやれそうな馬ということで注意しておきたい。

 

Fairyhouse (IRE) Soft (Yielding to Soft in places)

Dan & Joan Moore Memorial Handicap Chase (G3) 2m1f60y (Replay)

1. Uncle Phil (IRE) J: Paul Townend T: Willie Mullins

前半から快調に逃げたUncle PhilがそのままLucid Dreams以下を振り切って勝利した。

Uncle Philは重賞は初勝利とした。Chaseは今年の5月から使っているNovice馬で、前走はCraddockstown Novice Chase (G2)にてImagineから僅差の3着に終わっているのだが、今回は初の経験馬相手ながら立派なパフォーマンスを見せた。ただし基本的には逃げの形で結果を作ってきた馬のようで、今回も10st12lbというそれなりに楽な斤量と、7歳というフレッシュな年齢もあってマイペースで進むことが出来たが、今後も同様の形を作れるかは微妙なところかもしれない。母にDream Onというデンマーク生産馬を持つNovice馬Lucid Dreamsが2着。前走のFaugheen Novice Chase (G1)では勝ったGaelic Warriorがあまりにも強すぎたようだが、このメンバーであればといったところだろう。同じくNovice馬のLetsbeclearaboutitが3着。Saint Roiは後方から進めるも4着までとなったが、途中で落馬した馬の煽りを食らったりUncle Philがかなりいいペースを作ったというところはありそうで、16fのG1クラスでの追走は厳しいようだが、馬群の中を捌いていく機動力はある馬だけにHandicap戦線であれば期待したいところである。

 

1/14(日)

Punchestown (IRE) Soft

Betting Better with Sky Bet Novice Chase (G3) 2m3f146y (Replay)

1. Spillane's Tower (IRE) J: Mark Walsh T: James Joseph Mangan

人気のBlood Destinyが引っ張る展開で、これに絡んでいったImagineを振り切ってBlood Destinyが逃げ込みを図るも、これにSilent Approach、Spillane's Towerが接近。内に潜り込んだSpillane's TowerがBlood Destinyを競り落として勝利した。

Spillane's TowerはこれでChaseは2連勝とした。HurdleではMaiden勝ちのみでChase転向初戦はあまりうまくいかなかったようだが、ここに来て調子を上げてきている。とはいえ今回はImagineに絡まれた前のBlood Destinyが苦しくなった利はありそうで、レースの水準としてどこまでのものかは注意したい。前に行ったBlood Destinyが2着。前走O'Flynn Group Irish EBF Mares Novice Chase (G2)を勝ったSilentt Approachが3着に入った。Walk In The Parkの牝馬だが、Hurdleでの実績を考えるとあまり決め手があるタイプではなさそうだ。11月にCraddockstown Novice Chase (G2)でLucid Dreamsを下してきたImagineは距離を延長しての1戦であったが、早々に失速して離れた4着に終わった。

 

Moscow Flyer Novice Hurdle (G2) 2m157y (Replay)

1. Mystical Power (IRE) J: Mark Walsh T: Willie Mullins

Jack KennedyのJigoroを制してLombronが逃げる展開も、馬群を縫って出てきたMystical Powerがそのまま一気に加速すると、2着のJigoroに7馬身差をつけて勝利した。

Mystical PowerはあのAnnie Powerの産駒で、Hurdleは2戦2勝とした。Galileoの産駒だが既に去勢されているようで、血統的には長きに渡っての障害馬としての活躍を期待したいところである。今回は馬の後ろでのレースができたということは今後に向けての収穫で、どうしてもいまいちな飛越もまだ散見されたが、とはいえ最後の加速性能はいいものを持っているようだ。前走NavanのMaidenで強い競馬を見せたFree Port Luxの産駒であるJigoroが2着。2022年のChampion Bumper (G1)にてFacile Vegaの3着のあるJame's Gateは遅れての3着だが、NHFのあとは607日の休養を経てWillie Mullins厩舎から現Martin Brassil厩舎に移籍しているようで、どこまでやれるかは注意した方がいいだろう。Willie Mullins2騎のうち、Paul Townendを確保したex-frenchのLombronはJame's Gateと並んでの4着に終わった。

 

Pau (FR) Collant (4.4)

Prix Charles De Ginestet - Grand Steeplechase Des Anglo Arabes

Steeplechase Pour chevaux entiers, hongres et juments de 5 ans et au-dessus, anglo-arabes, inscrits au Stud-Book anglo-arabes, nés et élevés en France, comptant au moins 12,5 % de sang arabe. 4700m (Replay)

1. Stingo (FR) (AA) J: James Reveley T: Mme Daniela Mele

ManitoparkとGarry De La Brunieが前に行く展開も、途中から人気のStingoが先頭に。Stingoはそのまま軽快に引っ張り後続を突き放すと、2着のGarry De La Brunieに大差をつけて快勝した。

Stingoはこれで障害戦は4戦無敗、Steeplechaseは2戦2勝とした。前走のPauのClasse3でもGarry De La Brunie、Manitoparkといったここでの有力馬を下して勝利していたのだが、距離が伸びた今回はさらに強い競馬を見せた。後半ペースを上げたところでやや遠すぎる飛越も気になったが、Steeplechase2戦目の馬としては上出来だろう。アラブ系競争馬限定競走の中では現状頭一つ抜けた存在で、この路線で強い馬が出てきてくれたことは喜ばしいことである。AuteuilのSteeplechase National Des Anglo-Arabesでは1位入線も失格の憂き目にあったGarry De La Brunieは頑張って勝ち馬を追いかけたが2着まで。3着にはReddingtonが入り、出走馬6頭中3頭を占めたAnglo-Arabianが上位3着までを占める結果となった。