にげうまメモ

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24/02/18 Weekly National Hunt / Jump Racing

2/14(水)

Pau (FR) Lourd (4.7)

〇 Prix Elie De Malet (Classe 3)

Cross Country Pour chevaux entiers, hongres et juments de 6 ans et au-dessus, anglo-arabes, inscrits au Stud-Book anglo-arabe, nés et élevés en France, comptant au moins 12,5 % de sang arabe, n'ayant, en steeple chase, depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus, ni reçu une allocation de 15.000, ni reçu 35.000 (victoires et places). 4100m (Replay)

1. Domino Du Raynal (FR) (AC) J: Esteban Metivier T: Jean-Pierre Daireaux

レースは後方から進めたDomino Du Raynalが最終コーナーで先頭に立つと、そのまま後続を振り切って勝利した。Domino Du Raynalはアラブ系Cross Countryでは長い馬で、これでCross Countryは5勝目、Pauでは3勝目とした。基本的にPauかMont-De-Marsanを転戦している馬で、Pauの開催が既に終盤戦であることを考えると今年も同様のローテーションとなることが想定される。前に行ったLine De Verdunが追い上げてきたGris Minoisを抑えて2着に粘ったようで、アラブ血量としてはAnglo-Arabe de complémentに分類される馬が上位2頭を占めた。

 

〇 Prix Jules De Saint-Sauveur (Classe 1)

Cross Country Pour tous chevaux de 5 et 6 ans. 4100m (Replay)

1. J'Arrive De L'Est (FR) (AQPS) J: Valentin Morin T: Mme Daniele Mele

中段から進めたJ'Arrive De L'Estが最終コーナーで内に潜り込むと、Inouie Tiepy、Interdit De Jeuを抑えて勝利した。J'Arrive De L'Est自身はCross Countryはこれで2戦2勝とした。Haies及びSteeplechaseではPauにてClasse 4を勝ったのみで、ClairefontaineのClasse 1及びAuteuilのClasse 2では途中棄権に終わっている。ひとまずCross Countryでの飛越は全体的に特段問題はなく進めており、まだ5歳と若い馬であることを考えるとこの路線での飛越の習熟に期待したい。すでにCross Countryでは今回のレースを含めて計7戦を消化し、前走はPauのClasse 2を勝利しているInouie Tiepyが2着。差のない3着にInterdit De Jeuが入り、AQPSが上位1~3頭を占める結果となった。

 

2/17(土)

Ascot (UK) Good to Soft (Good in places)

Reynoldstown Novices' Chase (G2) 2m7f180y (Replay)

1. Henry's Friend (IRE) J: Ben Jones T: Ben Pauling

Brave Kingdomが前に行くも2周目の障害でミスをして途中からApple Awayが先頭に代わる。5頭中で唯一脱落したBrave Kingdomを除いた4頭の接戦はKilbeg Kingを抑えてHenry's Friendが勝利した。

Henry's FriendはこれでChaseはClass3から3連勝とした。HurdleではSandownのWinter Novices' Hurdle (G2)の2着がある程度であまり実績はなく、Chaseにて頭角を現した一頭である。父はShiroccoとしぶとい伸び脚を武器にしている感はあるが、とはいえ上位4頭はあくまで立ち回り一つで着順は変わりそうだ。前走はKauto Star Novices' Chase (G1)にて3着に入ったKilbeg Kingが2着。Apple Awayは人気になっていたが、直線はやや狭いところに閉じ込められてしまったようなところもあり、あまりこの着順は気にしなくていいだろう。

 

Swinley Handicap Chase (Premier Handicap) 2m7y180y (Replay)

1. Threeunderthrufive (IRE) J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

チークピーシーズを着用したShan Blueが前に行くも、これにThreeunderthrufive、Victtorinoなどが並走し馬群は固まって進行。2周目からShan Blueはペースを上げて少しずつ馬群は開いていくが、これについて行ったThreeunderthrufiveが残り2障害前で前に出ると、Rapperの追い上げを振り切って勝利した。

ThreeunderthrufiveはNovice時代は重賞を2勝と結果を残した馬だが、その後はHanmdicap戦線に参戦、前走のCheltenhamのPremier Handicapでは2着に入っていた。どうやらノドの問題があったようで今年の春にWind Surgeryを行っており、復帰後は安定した結果を残している。今回は12st0lbでの勝利ということで内容的には十分なもので、おそらくAintreeを目標にするものと思われるが、Good to Softの馬場のスピードにも対応したことは収穫だろう。ゴール直前では一頭になった影響かややふらふらと走ってRapperやShan Blueに追い詰められる場面もあった。Rapperはどうにも好走と凡走の波が激しい馬で当てにしにくいのだが、今回は真面目に走って2着。前走Ascotで復調気配を見せていたShan Blueは逃げての3着で、以前にはKauto Star Novices' Chase (G1)勝ちを含め高い能力を示していた馬の復調は喜ばしいことであろう。

 

Ascot Chase (G1) 2m5f8y (Replay)

1. Pic D'Orhy (FR) J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

スタート直後から元気に前に行ったPic D'Orhyがそのまま後続にリードを取って引っ張ると、そのままL'Homme Presse以下を寄せ付けず快勝した。

AP McCoyはどうやらスタート時に他の騎手の油断がPic D'Orhyの快走を招いたと批判しているようで*1、実際にレース内容としては20fの快速馬であるPic D'Orhyが24fのステイヤーを圧倒するものとなった。Pic D'OrhyはこれでG1は昨年のAitreeのMarsh Chase (G1)に引き続いての2勝目で、おそらくこのままCheltenhamではなくAintreeに向かうものと思われる。ただしメンバー的には全体的に24fの馬に対して20fのスピードで勝ち切ったというもので、この距離に適性を有する馬が現れてきた場合はどうにもわからない。前走LingfiledのFleur De Lys Chaseで復帰戦を勝利したL'homme Presseが2着で、長期休養明けの馬の2戦目としては十分な内容だろう。Ahoy Senorは例によって何度か飛越にミスがあった。Sail Awayはここでは格下の存在で、さほど離されず4着というのは頑張った内容だろう。

 

Haydock (UK) Heavy

Juvenile Hurdle (Class 2) 1m7f144y (Replay)

1. Salver (FR) J: Caoilin Quinn T: Gary Moore

レースは淡々と逃げたSalverがCastlefort以下を振り切って勝利した。SalverはMotivatorの産駒で、アイルランドで活躍するSaldierを兄に持つ良血馬である。HurdleはこれでMaidenから4戦4勝とした。その中にはChepstowのCoral Finale Juvenile Hurdle (G2)も含まれており、おそらくTriumph Hurdle (G1)に向けては有力馬の一頭となる可能性があるが、とはいえレースの内容としてはかなり楽なもので、あくまでスピード能力で押し切ったというものであることに留意しておきたい。Castle Du Berlais産駒のCastelfortが2着で、レース運び次第ではもう少し差を詰めることができたかもしれない。いずれにせよ、このHeavyのコンディションにも関わらず4着のKuzcoまであまり差のない入線で、レースとしてはだいぶ楽な内容であったと思われる。

 

Rendlesham Hurdle (G2) 3m58y (Replay)

1. Botox Has (FR) J: Caoilin Quinn T: Gary Moore

人気のButchが元気に前に行く展開も、これを追いかけたBotox Hasが残り4障害辺りで前に出ると、そのままButchを振り切って勝利した。

Botox Hasは今シーズンの初戦となったbet365 Hurdle (G2)でRed Risk以下を下して勝利してきた馬で、今シーズンは重賞2勝目とした。ただしその後Long Walk Hurdle (G1)やCleeve Hurdle (G2)といった一線級相手だとやや厳しかったようで、とりあえず今回は上がり馬Butchを相手に航行能力の高さで圧倒したものの、CheltenhamのG1クラスでどうこうというのは少し慎重に考えた方がよさそうだ。Kayf Taraの産駒で前走はCheltenhamのClass2を勝ってきたButchは軽快に逃げたが、シンプルな航行能力の違いで圧倒されての2着。案外最後まであきらめずに走っているようにスピードの持続性能は高いようで、Handicap戦線であれば、もしくは7歳という年齢を考えればChaseという選択肢もあるかもしれない。Cheltenham Gold Cup (G1)で落馬に巻き込まれて負傷したSounds Russianはこれが復帰戦で、中段からついて回ってRed Riskから差のない5着に入った。復帰戦としてはこれで十分な内容だろう。

 

Grand National Trial Handicap Chase (Premier Handicap) 3m4f97y (Replay)

1. Yeah Man (IRE) J: Sean Flanagan T: Gavin Cromwell

Chambard、Highland Hunterなどが前に行くも、Heavyの24f超のレースらしく馬群は固まってゆったりと進行。途中から前に出てきたMy Silver Liningがそのまま逃げ込みを図るも、これに迫ったYeah Manがこれを捉えて勝利した。

Yeah Manはアイルランド調教馬だが、今シーズンはAscotで転戦するなどイギリス遠征を敢行していた。Sodexo Gold Cup (Premier Handicap)では最終障害で落馬、Howden Silver Cup (Premier Handicap)では惜しい2着と勿体ないレースに終わっていたが、今回はようやく結果を残した。レース的にはHeavyでのマラソンレースといったところだが、とはいえAscotではGoodの馬場でも結果を残しており、単なる重馬場の超長距離戦巧者とは考えにくそうだ。2着にはClassic Chase (Premier Handicap)を勝ったMy Silver Liningが踏ん張り、比較的10歳以上の馬も多く出走した中では若い馬が上位を占める結果となった。

 

Albert Bartlett Prestige Novices' Hurdle (G2) 3m58y (Replay)

1. Now Is The Hour (IRE) J: Sean Flanagan T: Gavin Cromwell

レースはDon't Rightly Know、Haiti Couleursなどが前に行くも、早々にペースは落ち着いて馬群は固まって進行する。内を回って進出してきたNow Is The Hourが残り3障害辺りで前に出ると、そのままDon't Rightly Know以下を大きく突き放して勝利した。

Now Is The HourはHurdleはこれでMaidenから連勝とした。Grand National Trialを勝ったYeah Manと同じくGavin Cromwellの陣営の馬で、レースの内容としてはHeavyのマラソンレースといったところだが、このレースを走破することができる体力を有するのがこの馬のみであったという内容で、完全に脚が上がった2着以下とはややパフォーマンスが異なっていたようだ。ピッチ走法で馬群の中をすり抜けていく器用さを有しているようで、どのようなレースを使っていくかは今後の楽しみとなりそうだ。積極的に運んだ9歳馬Don't Rightly Knowが2着。年齢は重ねているがかなり長期の休養を繰り返しているようで、あまりレース経験としては多くはない。Mt Fugi Park、Isaac Des Obeauxが人気を背負っていたようだが、いずれも早々に脱落して途中棄権となった。

 

Wincanton (UK) Heavy

Kingwell Hurdle (G2) 1m7f50y (Replay)

1. Nemean Lion (GER) J: Richard Patrick T: Miss Kerry Lee

Goshenが例によって前を伺うもこれを制してRubaudが前に行く展開。しかし前々で運んだNemean Lionが残り2障害辺りで先頭に立つと、そのままColonel Mustardを振り切って勝利した。

Nemean Lionは今シーズンはWelsh Champion Hurdleから2勝目とした。前走はKemptonの21f戦を使うも2着に敗れており、再度16fに戻ってきた格好となる。昨シーズンはNovice馬としてKelsonのPremier Novices' Hurdle (G2)を勝利している馬だが、Tolworth Novices' Hurdle (G1)では3着に終わっており、おそらくG1戦線というよりはこのクラスでの上位争いを期待することになりそうだ。ただし距離的にはもう少し融通は利くかもしれない。Chaseからの出戻りとなるColonel Mustardが2着。24fから再度距離を戻してきたGoshenは最後まで諦めずに走っての3着。レース振りからするとやや距離的な違いによるペースの差異に苦労した感もありそうだ。

 

Gowran Park (IRE) Heavy

Red Mills Trial Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Lantry Lady (FR) J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

Doyen Ta Winが元気よく逃げるも残り4障害辺りで後続が殺到。人気のWhat's Up Darlingを交わして前に出たLanrty Ladyがそのまま9馬身差の勝利とした。

Lantry Ladyの母Anna's StarはAnnie Powerの半妹という良血馬で、Lantry Ladyは父にSaint Des Saintsを有する。これがMaiden勝ちからの343日ぶりの実戦と状況的にはやや厳しいものであったがいきなり結果を残した。What's Up DarlingはNovice上がりの馬とはいえNovice戦線ではG3勝ちのある実績馬であることを考えると、実質的には2頭立てのレースとはいえ、なかなか今後が楽しみになるものであった。ただし血統的には繁殖牝馬としてのポテンシャルも高そうだ。例によって元気よく引っ張ったDoyen Ta Winは早々に捕まっての3着。Brilliant Question、Dreamings Greeはいずれも格下の馬で、いずれも早々に馬群から遅れ、Doyen Ta Winからも大きく離れた入線となった。

 

Red Mills Chase (G2) 2m4f (Replay)

1. Saint Sam (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

レースは前半から軽快に引っ張ったSaint Samがそのまま勝利した。Saint Samは昨年はAn Riocht Chase (G3)を制した馬であるが、どうにも飛越の問題があったのか何度かHurdleに戻している。ひとまず今回は飛越の問題は認められず、メンバー的にはやや格下であったとはいえ強い競馬を見せた。ただしCheltenhamにも登録はないようで、厩舎的なところを考えるとこのような穴場の重賞戦線を転戦することが想定されそうだ。最近は牝馬限定戦でコンスタントに走っているRiviere D'Etelが2着で、メンバー的なところを考えればこれでいいだろう。CheltenhamではMares' Chase (G2)に登録がありそうで、馬場状態次第ではそちらで期待したい。

 

2/18(日)

Pau (FR) Lourd (4.6)

Grand Cross De Pau - Allianz Olivier Ournac - Prix Gaston De Bataille (Listed)

Cross Country Challenge Crystal Cup Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus, ayant reçu 12.000 en steeple-chase (victoires et places). 6300m (Replay)

1. Hip Hop Conti (FR) J: Clement Lefebvre T: Emmanuel Clayeux

11歳のベテランLucky Net Loveがかなりゆったりとしたペースで前に行く展開も、早々に池を渡る手前からSaint Godefroyが先頭に立つ。そのままSaint Godefroyは軽快に引っ張り逃げ込みを図るも、これにぴったりとついてきたHip Hop Contiがゴール手前でこれを捉えて勝利した。

PauのCross CountryはPassage de RouteやBanquetteをはじめとする一つのミスが落馬に直結するリスクの高い障害が多数設置されていることに加え、これらの障害がペースを上げて対処しなければならない箇所に設定されており、Cross Countryとしてはフランスでも随一のレースが展開される。Hip Hop Contiは昨年から連覇としたが、全体的に人気馬が落馬に終わった昨年と異なり、特に大きなミスもなく行われたレースにおいて改めて強さを見せたことがなによりの結果だろう。今年に入ってはSaint Godefroyの相手を含む3連勝と結果を残しており、内容的にも完勝のものであった。2022年のこのレースの勝ち馬で、昨年は人気を背負いつつも落馬に終わったSaint Godefroyが2着。牝馬Harmonie Roqueはここまで上位2頭に食らいつくレースを見せていたが、今回は勝負所から脱落し離れた3着となった。基本的にはここまでの前哨戦で結果を残してきた組みが好走したといった結果で、ここまでPauの年齢指定競争を連勝してきたIllicoもいたのだが、こちらは勝負所から置いて行かれ4着となった。もう一頭の牝馬Solingenは途中で一気に押し上げる構えを見せたが、こちらはさらに大きく離されての5着。前走のPrix Mortimer De Lassenceで2着に入ったHemevoiceは前走の時点でHip Hop Contiからは大きく離されており、今回も差を詰めることは叶わず。11歳馬で2021年にこのレースで2着に入っているLucky Net Loveも出走していたが、さすがにスピード面でだいぶ苦しくなっているのか、ペースが上がったあたりから脱落して離れた7着となった。